第七十三話 海の街ラメーマル
途中で色々あったけど、のんびり旅を初めて一ヶ月。
風に乗って潮の香りがしてきた。
「あ、見えてきた!!」
道を下った先に目に映る光景。
ついに私達は、目的地であるラメーマルの街へ到着した。
「うわあ、綺麗!」
地図のとおり、街のすぐそばには海が見える。
真っ青で、太陽の光が反射してきらきら輝く広い海。
「あれがうみー?きれー!」
「そうだねルル、綺麗だね」
「師匠、入国審査所はあちらにあるようですよ」
「では我が主、いったん私は影の中へ入りますね」
パテルさんはしゅる、と私の影の中に入った。
入国審査対策だ。
「それじゃあクリア、しばらく私のカバンの中にいてくれる?何かあったらすぐに呼ぶから」
「了解シマシタ、マスター」
私の肩の上にいたクリアもカバンの中に隠れた。
「それじゃルル、街に入った後の事は覚えてるよね?」
「んーっと、ひとまえで、スライムにならない!ママとパパのことは、おねーちゃんおにーちゃんってよぶ!しらないひとにはついていかない!ひとにむかって、まほうはつかっちゃだめ!」
「よしいい子」
「本当に必要な時以外、魔法は使っては駄目だ。それを見極める事も大事だからなルル」
「はーい!」
よしそれじゃ入国しよう!
どんな事が待ってるかなぁ?
この時の私達は、まさかあんな大事件に巻き込まれるとは思ってもいなかった。
「おい!ギルドマスターを呼べ!!急げ早くしろ!!」
「はい!!」
「どうかここでしばらくお待ちください!どこにも行かないでくださいね!!絶対に!!」
「は、はぁ・・・・」
入国審査所で審査員に私達の名前を告げた途端、物凄い慌ただしくなった。
な、何で?
「師匠、街の様子が少し可笑しい事と関係しているのでは?」
「え?街の様子?」
そういえば、入り口から街の中が見えるけど、何か人が少ないような?
それに皆、元気なさそう・・・。
「お待たせしました!!」
審査員の人が、大柄で真っ黒に日焼けした男の人を連れてきた。
がっちりした体で、麦わら帽子が凄く似合ってる。
まさに夏の漢って感じの人だ。
「おおお!!!あんたがSランクのヒューゴさんか!!」
「お前は?」
「俺はこの街の冒険者ギルドマスターのアンドリューだ!」
凄いでかい声の人だぁ。
アンドリューさんは周りをきょろきょろする。
「ん?イクミって子はどこにいるんだ?」
「え、何でヒューゴならともかく私の事まで・・?」
「うぉお!!ビックリした!!?な、何だいたのか!いやあ悪い悪い!」
まあこの反応は毎度おなじみだけど、何でラメーマルのギルドマスターが私の事知ってるんだろう?
「フィオフルルのライリーから色々噂聞いてるぜ!!とんでもなく強いんだってな?あんた達の事は俺達ギルドマスターの間では今や話の中心人物だ!」
・・・ライリーさああああん!!
貴方いったい何を話したんですかあああ??!
あああ・・・知らない間に目立っているううう・・・!
その頃、ライリーは仕事中にでっかいくしゃみをしていた。
「おじちゃん、うでふといねー」
「そりゃあ毎日鍛えてるからな!」
「あの、それで私達に何か・・・?」
ルルの頭をがしがし撫でてくれたアンドリューさん。
悪い人ではなさそうだ。
「おおっそうだった!実はあんた達に頼みたい事があるんだ!」
ぱんっと両手を合わせて、アンドリューさんは頭を下げてくる。
「頼む!この街を救ってくれ!!」
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