第六十九話 村の神様
冷たい風が吹く真夜中。
村長の家に村人達が集まっていた。
「村長・・・・どうするんですかいったい・・」
「まさかあのヒューゴがこの村へ来るとはなぁ・・・」
「下手な誤魔化しは通じませんよ・・!」
「そんな事したらかえって疑われるだろ・・っ」
村の男達と女達が、話し合う。
村長は腕を組み重いため息を吐き出す。
「良いか?あのお方の存在がばれれば、この村は終わりだ。
なるべく疑われぬよう丁重に持て成して、早々に村から出てもらうんだ。いかにSランクといえどもまだ若造・・他のメンバーも大した事なさそうだし、あのお方の存在には気づく事はないだろう」
「しかしSランクですよ・・・。もしかしたらもう感づいているんじゃ・・」
男の言葉に、何人かが息を呑む。
そこへ慌ただしくドアを開けた男が息を荒くして叫んだ。
「たっ大変です!ヒューゴ様の仲間の黒髪の女と背の高い男が教会の中へ!」
「何だと!?」
村長をはじめ、村人全員がざわめく。
「Sランクの姿はあったか!?」
「いえっ彼の姿はありませんでした!二人だけです!!」
「それなら、何とかなるか・・すぐに連れ戻せ!」
Sランクのヒューゴでなければ問題ない。
彼らはそう思った。
だがそれは大きな間違いであったという事を、彼らは思い知らされる事になる・・。
村長と村人達は教会へと急いだ。
教会の扉は開かれていた。
中は中央に赤い絨毯が敷かれていて、左右に長椅子が設置されている。
小さな祭壇の右側にパイプオルガンが置かれていた。
村人達はランプの明かりで侵入した二人の姿を探した。
「村長!パイプオルガンの蓋が開いたままに・・!」
「何!?」
普段は閉じられている鍵盤蓋が開いている。
二人の姿はどこにもない。
村長は最悪の事態を予感した。
オルガンに駆け寄った村長は五つの鍵盤を同時に押した。
独特の重なった音が教会の中に響くと同時に、この村の風景の絵がはめ込まれた壁が開いた。
その奥には下に続く階段がある。
村長達はランプの明かりで足元を照らしながら階段を下りていく。
「おや、来たようですよ我が主」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
広い場所に出る村長達。
そこは異様な光景が広がっていた。
石壁や冷たい地面の場所に、まるで城の王座の間のような空間があった。
細かい模様が刺繍された絨毯に金を強調とした豪華で大きな椅子がある。
そこにイクミとパテルが立っていた。
まさに玉座といえるその豪華な椅子に、誰かが座っていた。
否、座らされていた。
「っ神様!!」
村長が目を見開き叫ぶ。
血のように真っ赤な鎖で椅子に縛り付けられたそれ。
「フー!!フーーーーーー!!!!」
蜂と人間を掛け合わせたような姿をした蟲の魔物が、鎖を壊そうと暴れていた。
その口元も鎖が口枷のようにぐるぐる巻かれて、言葉にならない言葉を発してる。
「・・・これが、貴方達の言ってる神様、なんですね・・」
イクミは村長達に振り返った。
その声はいつになく冷たく、目はきつく村長達を睨んだ。
怒りと、悲しみを込めて。
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