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第六十六話 ありがとうドラシエル・アース



ヒューゴはあの夜の事を全く覚えていなかった。

私が酔い潰れたヒューゴを部屋まで運んだと知った途端、何度も土下座されたのにはまいった。


「申し訳ありません師匠!!師匠の手を煩わせるなんて俺は弟子失格です!!!」


宥めるのにえらく時間かかったわ・・。

覚えていたら覚えていたでどんな反応したか気になったけどね。


「よいしょ、と」


いつもの着物に着替えて、鞄を背負い忘れ物がないかチェックする。

手乗りサイズのクリアネスナイトを肩に乗せて、いよいよ今日が旅立ちの日である。


「皆は忘れ物ない?」

「大丈夫です師匠」

「私も問題ありません」


ルルの姿がない。

でも見当はついてる。

庭に出ると、ドライブリザード達と別れを惜しんでいた。


「またくるからね。またいっぱいあそぼうね。ルルのこと、わすれないでね」


一匹ずつ挨拶を交わすルル。

涙目だけど我慢しているようだ。

偉いねルル。

ドライブリザード達もそんなルルに何度も頬を擦りよせていた。


玉座でジークさん達とお別れの挨拶をしに来たら、オデットさんがすでに号泣していた。


「イクミさまぁあああああ!どうか私の事をお忘れにならないでくださいねええええ!」

「わ、忘れないですよ絶対!」

「うえええええ!!イクミさまあああああ!」


凄い。

こんな漫画のような滝の涙を流してる人、初めて見た。

でも何か、嬉しい。

こんなに別れを惜しんでくれるなんて・・。


「我らはあのサヴェッジドラゴンとの戦闘でまだまだ未熟だと痛感しました。お強い皆様方を目標とし、よりいっそう鍛錬に励むと決意しました!全員敬礼!」


オディールさんの一言で、隊の人達が一瞬のぶれもなく綺麗な敬礼をした。

な、何か恐縮だ・・・。


「オディールさん、ジークさんとの事、頑張ってくださいね」


こそっと小声で応援を伝えると、きりっとした顔のオディールさんは耳が赤くなった。

次に会えた時はもしかしたら婚約してるかも。

心から応援してますよ!


「貴殿達がこの国に来てからの期間は本当に特別な時間であった。こんなに楽しい思い出ができた事、心から感謝する。その証に、これを受け取ってほしい」


ジークさんの合図で、オディールさんが何か綺麗な箱を持ってきた。

その箱を開けると、この国の紋章が刻まれたプレートがあった。


「他のドラシエルの国に訪れる事があったら、きっとこれが役に立つだろう。余の名前も彫ってあるから、いらぬ難癖をつけてくる同胞がいたら、これを突きつけてやれ」


ジークさんはそう言いながら笑った。

以前、私が他のドラシエルも見てみたいと言ったのを覚えていたよう。


「それともう一つ、これは転移の魔道具だ。手紙のやり取りも荷物を送る事も可能だ」


見た目は綺麗な宝石箱だが、中に手紙を入れるとジークさん達の元に届くんだって。

荷物も大小関係なく送れるんだとか。


「私!沢山手紙を書きますわ!」

「うん、楽しみにしてる!私も手紙書くよ」

「・・・イクミ様!」


オデットさんが私を抱きしめる。

一瞬ヒューゴが反応したけど、空気を読んで大人しくなった。


「必ずまたいらしてくださいね・・」

「うん、絶対にまた来る。そしたらまた女子会しようね」

「はい!お待ちしてますわっ」


私は滞在中のお礼に、無限空間に仕舞ってた魔物をジークさん達にあげた。

勿論ヒューゴ達と相談してからね(全員良いよと言った)。

フィオフルルでの買い取りで残ったものだけど、外界の魔物の素材はこの国でも重宝されるというので無料で提供した。


Eランク ホーンラビット 角と毛皮5匹分。


Dランク ポイズンタランチュラ12匹。


Cランク ブラックボア 牙と毛皮10匹分。

Cランク ホワイトピジョン 羽根と爪と嘴10匹分。


Bランク ジャイアントドード 羽と爪と嘴5匹分。

Bランク ブラックドード 羽根と爪と嘴と目玉15匹分。

Bランク ギガマウス 毛皮と牙15匹分。


Aランク デッドサソリ 15匹。


「どうぞ存分に使ってください!」

「良いのかこんな貴重な素材を・・!!」

「どうぞどうぞ、好きにしてください」


金貨はまだまだ十分すぎるくらいあるし、必要になっても私達ならすぐに手に入れられるし。

ジークさん達からまた凄く感謝された。



国の外までは馬車で送ってもらった。

外に出たらそこから外界までパテルさんの転移魔法で送ってもらう事になってる。

国の中を馬車で移動する最中、沢山の竜人族の人達が見送ってくれた。


「イクミ様ー!お元気でー!」

「また来てねー!」

「旅のご武運をー!」


手を振りながら、ちょっと泣きそうになった。

でもまた来ようと思えば来れる。

オデットさんとも約束したしね。

その時は沢山おみやげ用意しよう。

今度は、から揚げとおむすびご馳走しようかな?

皆どんな反応するだろう?


「ありがとうジークさん、オデットさん、オディールさん・・それに国中の皆も。絶対また来るからね」


今度は海の街ラメーマルの国だ。

そこではどんな出会いが待っているだろう?


====================


─どこかの建物の中の闇の中─


「次の舞台は・・そうだな・・海だ・・海が良い・・・・あそこにはとっておきの魔物がいる。その魔物にこれを使ってみよう・・」


誰かが血のように赤い液体の入った瓶を掲げて、三日月のような吊り上げた笑みを浮かべる。

その頬に刻まれた蝶の刺青は、闇の中で光っていた。


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