第六十四話 素敵な宴と厄介な酔っ払い
朝からそれはそれは国中もうお祭り状態だった。
宴は夕方からなのだけど、お城の中まで街の騒ぎが聞こえた。
私達はそんなにぎやかな声を聞きながら旅支度をした。
勿論、皆から貰った贈り物も忘れずに。
「ヒューゴ、その仮面も持ってくの?」
「王が持って行っていいとおっしゃったので・・・」
「パパかっこいいよ」
「そうだな。よく似合っていたし」
ルルは本気。
パテルさんはからかってる。
のでルルの頭を撫で、パテルさんに蹴りを入れようとするヒューゴを止めながら、ようやく旅支度を終えた。
そして夕方。
ジークさんやオデットさんはまさに王様と王女様らしく煌びやかだけど上品な衣装を着ていた。
あ、オディールさんも素敵なドレス姿!
剣を持ってるのが逆に凛々しさが増してて凄い。
「隊長の私がこのような格好・・・」
「良いではないですかオディール!こんな日くらい。武士の情けで剣は持たせてあげたでしょう?」
「オディール、よく似合っているぞ。・・とても美しい」
「お、王・・・!」
おや?
ジークさん、凄く優しい目でオディールさん見つめてる。
これはもしや・・。
私はオデットさんを見ると、オデットさんは意味ありげなウインクをした。
どうやらオディールさん、幸せはすぐそこかも。
めでたいなぁ。
「ささっイクミ様達もお着替えをしましょ」
「へ?」
私達も着替えさせられた。
白を強調したこの国の衣装だ。
露出がほとんどなくて良かったけど、こんなお洒落なの似合うかな・・・?
「イクミ様、とってもとっても素敵ですわ!」
「あ、ありがとう・・。うわあ、皆もよく似合ってるね!」
ヒューゴ達はもう似合いすぎて眩しかった。
仮面姿なヒューゴは、衣装とマッチしすぎてて舞踏会に行っても可笑しくないだろう。
ルルはお姫様みたいにとっても可愛かった。
パテルさんは王族みたいで凛々しかった。
白いリボンも貰ったので、手乗りサイズのクリアネスナイトの首元に結んであげた。
「師匠・・師匠もよくお似合いです・・」
何か最初ぽかんと口開けてたヒューゴだったけど、気を使ってくれたのか褒めてくれた。
何か薄く化粧もされたから、少しは映えたから私でも。
ただ顔にものすごい違和感があって仕方ないけど。
「ルルもピンクの口紅塗ってもらったんだよね」
「ぬりぬりっ」
ルルは薄い色の口紅を塗ってもらえてご機嫌だ。
私も七五三で紅を塗ってもらった時、嬉しかったからそんな感じかな?
「さあイクミ様!宴の始まりですわ!」
外に出ると、沢山の人達が出迎えてくれた。
花びらのシャワーなんて結婚式でしか見た事ないよ!
宴はそれはもう素敵としか言いようがなかった。
街の人達が色々と余興までしてくれた。
素敵な演奏と歌、オディールさんなんか剣舞までやってくれた!
ドレス姿の剣舞は本当に綺麗だった。
子供達は可愛らしいダンスを披露してくれた。
すっごく可愛かった。
途中でルルが混ざって踊っちゃったのは笑った。
「うわあ、すごい」
「イクミ様達の為に心を込めて作りました!」
まるでウェディングケーキようなでかいケーキには驚いた。
私の身長なんて完全に越してる。
でもとても美味しいケーキだった。
料理も沢山あって、選ぶのに悩んだ悩んだ。
パテルさんはジークさんや色んな人達と酒飲み合戦始めてた。
ヒューゴも無理矢理つき合わされてる。
ルルはドライブリザードとお肉料理を食べていた。
クリアネスナイトは、人形のふりをしながら子供達に変わりばんこに抱っこされてる。
偉いぞクリアネスナイト。
後でいっぱい褒めてやらなきゃ。
何はともあれ・・。
「こんな素敵な宴、生まれて初めてだよ」
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ようやく静かになったのは夜もそこそこ。
疲れて船を漕ぎはじめた子供達を親が抱っこして連れて帰ったり、残った大人達は酔い潰れて寝ていた。
オディールさんは酔って眠ってしまったジークさんやオデットさんの世話をやいていた。
パテルさんは顔色を変えずにまだ飲み続けてる。
ルルはドライブリザード達とくっ付いて眠っていた。
「起こすのも可哀想だし、この状態ならあったかいだろうからこのままにしておこうかな」
お別れも近いしね・・。
クリアネスナイトは、私の頭の上で休んでる。
子供達にさんざん人形扱いで遊ばれたから、お疲れらしい。
流石のゴーレムも、小さい子供のパワーには敵わないんだろうな。
ヒューゴは・・・・あ、潰れてた。
机に突っ伏してぴくりとも動かない。
「おーい、大丈夫?」
「・・・・う・・・・・」
肩を軽く揺すると少しだけ反応が返ってきた。
でも動けそうにないらしい。
お酒には強いヒューゴだけど、流石にこの量は限界だったみたいだ。
仕方ないからヒューゴを部屋まで連れてくのを手伝ってあげた。
「パテルさんオディールさん、私ヒューゴを連れてくね」
「分かりました」
「これだけの量で潰れるとは・・まだ子供だな」
「パテルさんと対等に呑み合える人がいたら会ってみたいよ・・」
空になった酒樽やボトルがそこら中に散乱してるのに呆れながら、ヒューゴを立たせ、肩を貸してあげる。
「ほらヒューゴ、しっかり」
「うう・・・・・」
「じゃあおやすみなさい」
「おやすみなさいませ」
「ゆっくりとおやすみを。我が主」
お城の中は静かだ。
私達の足音がよく響く。
「ほら、ヒューゴ。部屋についたよ」
この国にいる間、ヒューゴが泊まっていた部屋に入る。
意識が飛んでるヒューゴを何とかベッドに座らせた。
「水でも飲ませた方が良いかな・・?」
コップを無限空間から探そうとしたら、ヒューゴが急に立ち上がった。
「ヒューゴ?どうし」
たの?と言おうとして、視界が暗くなった。
「・・・・・・・・師匠」
「ヒュー、ゴ?」
えーと・・・これは、抱きしめられてる状態だろうか?
ど、どうしたヒューゴ?
「・・・・ひっく」
あ、完全に酔っ払ってるわこれ。
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