第六十三話 沢山の贈り物と思い出
イクミ達が旅立つ。
別れの前に宴を開きたいので、是非とも協力してほしいと城から国中に伝達したらもの凄い大騒ぎになった。
急いで国中の飾りつけをする者、酒好きがいるからと彼方此方から酒が城に届けられたり、菓子職人が勢ぞろいで宴にぴったりな菓子のデザインを考え製作にかかったりと大忙しだ。
その間イクミ達は毎日別れの挨拶やらプレゼント攻撃の対応をしていた。
「ヒューイット様は魔道具も自ら製作されると伺ったので、この魔石刀を是非とも贈らせてください」
※魔石刀とは魔石をカットできる道具。魔石に何の影響もなく好きな大きさにカットする事ができる
「ルル様は甘いものがお好きなので、焼き菓子をお持ちしました」
その場でぱくぱく食べ始めたルルに微笑ましく笑うお菓子屋のお姉さん。
「これはかのドワーフ族も唸らしたという幻の名酒でございます。どうかお受け取り下さい」
ドワーフ族が土下座しても欲しがると言うお酒。
それを満面の笑みで受け取るパテルであった。
「イクミ様ー!これみんなで描いたんです!」
「僕達の事、忘れないでください!」
「また来てね!」
イクミは子供達から自分達の似顔絵を貰った。
嬉しくてイクミは涙ぐみそうになるのを我慢して子供達の頭を撫でた。
その夜。
「ルル、もう遅いから菓子は明日にしろ」
「はーい」
貰ったお菓子をまだ食べようとしたルルをヒューゴが止める。
「パテルさんも、飲みすぎは駄目だよ」
「心配ご無用です我が主。私は酒樽の数20飲んでも酔った事はないので」
「それって冥界では常識?パテルさんだけなの?」
酒樽20って・・どんだけの量なんだろう。
考えたら恐ろしくなったので止めた。
私は竜人族の子供達から貰った紙を広げた。
私やヒューゴ、ルルやパテル、小さなクリアネスナイトも描かれてあった。
買い物してる時、手乗りサイズのクリアネスナイトを、うっかり子供達に見られた時は焦ったけどお気に入りの人形なの!って誤魔化してしまった。
クリアネスナイトも、子供達の前でじっと大人しくしてくれたので子供達はかわいいねーっとこれっぽっちも疑わなかった。
純粋な子供を騙してる気がして胸が痛くなったけど・・。
「何か、ありがたいねこういうのって・・。凄く暖かいっていうか、幸せだね」
クレヨンなのだろうか?
それに近いタッチで、色鮮やかな似顔絵。
一生懸命、心を込めて描いたのが伝わってくる一枚だ。
「・・・良い国だね、ドラシエル・アース。いっぱい素敵な思い出ができた。クリアネスナイトにも会えたし」
肩の上のクリアネスナイトを撫でると、すりっと私の頬に擦り寄ってくる。
「もし師匠がいなかったら、俺はこの国に来る事はできなかったでしょう。素晴らしい魔道具の数々を見れて本当に勉強になりました。・・・この仮面だけはマイナスですが」
国にいる間はずっと着けていた、あの派手な仮面にヒューゴは眉を寄せてる。
それでも、この国の滞在は楽しめたよう。
「ルルはね!ドライブリザードたちとおともだちになれてうれしい!」
ルルは城にいる全てのドライブリザードと仲良くなった。
お別れする時、泣かないか心配だ・・。
「素晴らしきかな、竜人族の作った酒・・。この為にまた来てもいいですね」
パテルさんはこの国に来てから毎日お酒飲んでる気がする。
私の無限空間にはパテルさんが購入してきたお酒がいっぱいである。
「また、来ようね。この国に」
頷く皆。
明日はついに、別れの宴の日である。
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