第六十一話 恋という気持ちが全然分からない イクミの気持ち
「イクミ様は、あのヒューイットという者をどう思っているんですの?」
ヒューゴの事をどう思ってるか?
うーん・・・。
改めて考えると、どうなんだろう?
まあ、ものすごいイケメンさんだよな。
優秀な魔法使いだし、色々私が知らない事も知ってるし。
何やかんやで師弟という関係になっちゃってるけど・・。
「イクミ様?もしや私に遠慮しているのですか?」
「へ?」
黙った私を見て、オデットさん何か勘違いしてるみたい。
オデットさん、凄く暖かい笑顔を浮かべた。
「イクミ様、私はイクミ様をお慕いしております。ですが、私は想っている方が幸せになられる事を何より願いますわ。勿論、お慕いしているお方が私を好いてくださるのならそれはとても嬉しい事です。でもそれ以上に、想うお方が幸せになってくださるのなら、お相手が私でなくても、心から嬉しく思いますの」
「オデットさん・・」
「王女・・・」
オデットさんって・・凄い。
よっぽど心が広くなくちゃ、そんな事言えないぞ。
まるでカードキャ○ターさく○の知○ちゃんみたいっ。
好きな相手に好きになってほしいのは当然の事なのに、選ばれなくても相手が幸せなら良いだなんて・・。
「勿論っ好きになったからには、振り向いてもらえるようとことんアタックしますけどねっ」
感動してたら、私に抱き付いてきてぐっと拳を握るオデットさん。
あ、そこはちゃんと行動取るんだね・・。
「何もせずにいたら、きっと後悔しますもの。だからとことんやるだけやって、それでも想うお方が別の方を選んで幸せになれるのでしたら・・・今度はその恋を応援したいと思いますわ」
・・・やっぱり凄いなオデットさん。
自分の恋は諦めない。
でももしその恋が叶わなかったとしても、今度は応援するだなんて。
オデットさんは、本当に相手の事を考えてるんだな。
な、何かその相手にヒューゴだけでなく、私が含まれてる事が恐縮に思えてきた・・!
「わ、私・・正直言うと、今まで恋とかした事ないから・・恋する気持ちってよく分からなくて・・・。オデットさんの気持ちは、凄く嬉しいです。オデットさんの事、好きですよ。でも、それはお友達の意味で・・」
「お友達・・」
「あっご、ごめんなさい!で、でも正直に言った方が良いかなって・・嫌いじゃないんですよほんと!!オデットさんの事、人としてでも本当に好きです!ただ恋とかそういう類じゃなくて、お友達として本当に好きで・・ああもう何言ってるんだか・・!」
しっちゃかめっちゃかで、脳内パニックだわ!
でもオデットさんは、ぎゅううっと私を抱きしめた。
「嬉しいですわ!何の誤魔化しもなく正直におっしゃってくれて・・っ。それに、私お友達っていなかったら、すごく嬉しいですわ!」
え、友達いなかったの?
あーでも普通に考えて、王族の方と友達関係になるって難しいだろうなぁ。
そう考えると、勝手にお友達宣言って図々しかったか・・?
でも、オデットさん喜んでくれてるから・・大丈夫かな?
「イクミ様が初めてのお友達・・私、とってもっても幸せですわ」
・・・大丈夫みたい。
「王女、良かったですね」
「ええっ。あ、イクミ様。恋をした事ないとおっしゃってましたが、ではあのヒューイット様もただのお友達なんですの?」
話戻っちゃった。
ヒューゴはお友達・・。
「友達・・・とはちょっと違う・・かな」
ルルは可愛い妹で、可愛い娘。
パテルさんは、何か頼りになる保護者。
クリアネスナイトは、まだ会ったばかりだけどボディーガード?かな。
ヒューゴは・・どうだろう?
改めて考えると、私・・ヒューゴの事どう思ってるんだ?
信頼できるお兄さん?
ちょっと違うような・・・。
『師匠も、お疲れ様です』
サヴェッジドラゴンを倒したあの時のヒューゴの柔らかい笑みを不意に思い出した。
あの時はお互い濡れた状態だったけど、水滴が太陽でキラキラ光ってて、ヒューゴは凄く綺麗だった。
ヒューゴに笑いかけられて妙に嬉しかったのを覚えてる。
「・・どう言ったらいいか分からないけど、ただこれだけは間違いないです。彼は凄く、私にとって大切な仲間です」
失いたくない、大事な仲間。
今、私に分かるのはそれだけ。
「・・とても、大切な方なのですね」
「うん、まあそう、ですね」
恋とはまた違うけどね。
(イクミ様、気づいておりますか?
今の貴方様は、とても素敵な顔をしていますわ。)
オデットは心の中で小さく呟いた。
「王女、イクミ様。そろそろおやすみになられた方が・・」
「あら、もうこんな時間!そろそろ眠らないとお肌に差し支えますわね!」
私達は揃ってオデットさんの大きなベッドで川の字で寝た。
オデットさんが真ん中である。
手のりサイズのクリアネスナイトは、一晩中起きようしてたけど何とか説得し、今はオデットさんが用意してくれた綺麗な箱の中で眠ってる(スリープモードというらしい)。
柔らかいハンカチとかで簡単なベッドになった。
正直、可愛すぎて三人ではしゃいだのは内緒だ。
「うふふ。楽しい夜でしたわねっ。またやりたいですわ」
うん、私も同じ気持ちかも。
女子会、良いもんだね。
正直女子会って、他の女子の悪口や愚痴を言い合う会というマイナスイメージもあったけど、こんな女子会ならまたやってみたいかも。
恋愛トークにはついていけない部分もあったけど・・。
・・・オデットさんもオディールさんも、もう眠ったようだ。
私は、中々寝付けなかった。
「恋、かぁ・・・」
自分の恋の話をする、二人の顔は輝いていた気がした。
オディールさんは真っ赤になって可愛らしかったし、オデットさんは正直に向き合ってて凄かった。
そういえば、クルミさんとミレイさんもオーウェンさんの事を話してる時は輝いてた。
恋をすると、皆輝くのかな?
私も、いつか恋をするのだろうか?
そしたら、どんな恋になるのかな?
その人は、私に恋をしてくれるだろうか?
「・・・・ないだろうな」
自分の顔面偏差値の低さは自分がよく知ってる。
体型だってダメダメ。
でも、もしこんな私でも良いっていう人がいるのならその人はきっと。
「凄く、素敵な人なんだろうな・・・」
いたら凄いけど。
私はそう思いながらいつの間にか眠りについた。
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