第五十六話 倒れたゴーレムとイクミの選択
「皆の者よく聞け!ここで起こった事は全て他言無用、決して口に出してはいかん!まだこのゴーレムについて何もわからぬ以上、安易に噂を広めてはならぬ。曖昧な噂で国中が混乱に陥るかもしれぬ!
ここにいるイクミ殿達にも迷惑がかかる。それだけは決して起こしてはならぬ!よいな?」
鶴の一声というか、ジークさんの一声。
王であるジークさんの言葉に、採掘場にいた竜人族の皆さんははっと揃って返事した。
ジークさんへの人望と忠誠心凄い。
さて騎士型のゴーレムはと言うと・・・。
ずーっと私の横から離れません。
ぴったりと護衛のようにくっ付いてます。
「でかぶつ、師匠から離れろ」
「マスターヲ守ルノガ、私ノ役目。片時モ離レない」
「我が主がいつお前を受け入れた。身の程をわきまえろ」
「おー、たかいたかい~!」
ヒューゴとパテルさんは敵意向き出し。
ルルは、最初は警戒してたけど今はゴーレムによじ登って肩車状態になってる。
ゴーレムは特に抵抗してない。
「師匠、どうするのですか?いっそ師匠のお力でこのでかぶつをただの瓦礫にしてしまえばいかがです?」
「それとも私がやりますか?」
「二人とも、物騒な事言わないで・・・。うーん・・でもどうしたものか・・」
正直ゴーレムなんて、どう扱えばいいのか分からない。
いくら私はマスターじゃないって言ってもこのゴーレム、聞きやしないし。
「貴方ノ強イ力で私ハ目覚メタ。ダカラ貴方ハ私ノマスターデス」
これしか言わないんだもん!
「さて、これで外部に情報が洩れる事はないだろうが・・。イクミ殿、そのゴーレムどうなさる?」
「どうっていわれてもなぁ・・」
「本当にソウルゴーレムなのかも分かりませんからね・・」
「でもオディール。このゴーレムは言葉を話すのよ?普通のゴーレムでない事は確かですわ」
うーん・・補佐丸、このゴーレムのステータスって見れる?
『可能でござる』
よし、んじゃ状態情報確認!!
心で唱えると、目の前にこのゴーレムについてのステータス値が出てきた。
【名前】なし
【年齢】5歳
【種族】ソウルゴーレム
【レベル】1210
【魔力】0
【攻撃力】12000
【守備力】10000
【俊敏性】9900
【運】9700
【スキル】 完全無効化 武術 体術 戦闘強化
・・・・・・・・・・・・・魔力以外すげええええ!!!
レベルはパテルさんと同じだけど、ステータス値がほとんどパテルさんよりも上だと・・?
スキルからして、もっぱら格闘タイプだ・・。
てか年齢5歳って・・思ったより若い。
あ、ソウルゴーレムってちゃんと出てる・・。
・・・ここでこのゴーレムは本物のソウルゴーレムだって言ったらどうなるだろ・・?
・・・・・・・・・また騒ぎになりそうだから今は言わないでおこう。
「うわ!」
突然ゴーレムが地面に倒れた!
肩車してたルルもびっくりして私に飛びついてくる。
ど、どうした貧血!?
「これは・・・・魔力が足りていないのか?」
「魔力?ヒューゴ、どういうこと?」
「ゴーレムは主人の魔力を配給して動くのです。いわば主人の魔力はゴーレムに取って食事と同じ。恐らく、このゴーレムの中に残っていた魔力がつきかけているのでしょう」
「・・・なくなったら、どうなるの?」
「このまま魔力が配給されなければ・・永久に、動かなくなります」
永久に、動かなくなる?
普通のゴーレムじゃないソウルゴーレムでも?
『いかに自我を持ったソウルゴーレムといえども、生き物と同じで食事なしで動き続ける事は不可能でござる。以前は他の主から魔力を貰って動いていたでござろうが、今は主がいない状態・・このままでは・・・・』
補佐丸が何を言いたいかは分かった。
・・・・どうやったら、ゴーレムに魔力をあげる事ができるの?
『通常のゴーレムは己を作った本人から貰うでござるが・・。ソウルゴーレムの場合は、互いに主と認め、使いゴーレムと受け入れた者同士でないと魔力配給はできないでござる』
使いゴーレム・・使い魔みたいなものかな?
要はお互い受け入れた者同士でないと駄目って事か・・。
このゴーレムは私をマスターを決めている。
そして私は・・まだそれを受け入れてない。
「・・おねーちゃん?」
すっかりおねーちゃんと言い慣れたルルが私を見上げる。
私はルルを下ろして、ゴーレムを見つめた。
ゴーレムの、夜空の目が私を捉えた。
「!」
すると私の頭の中である情景が流れ込んできた。
これは、このゴーレムが何か伝えようとしてる?
暗く冷たい土の中。
光も音もない、ずっと一人きり。
ゴーレムは、長い間ずっとここにいたのか。
ずっと、ずっと一人ぼっちで。
「・・・・・・・・・・・・・・・・受け入れれば、いいの?それだけでいいの?」
私の言葉に、周りは?となる。
帰ってきた補佐丸の答えに、私はゴーレムの傍に腰を下した。
補佐丸の答えは。
『受け入れるだけで、いいでござる』
私はゴーレムの手に自分の手を添えた。
「ゴーレム、私はまだまだ世間知らずの子供だけど・・・貴方を受け入れるよ」
途端、ゴーレムの体が光りに包まれた。
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