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第四十八話 無事に帰還



─どこかの場所のどこかの建物の中にて─


「────様、ご報告いたします。例のサヴェッジドラゴンですが、あえなく討伐されました」


何かが膝まづいて誰かに報告をしている。


「竜人族にか?」

「・・・・・・・・・・・はい」


何かは偽りの返答を返す。

だがその誰かはそうか、とだけ呟く。


「だがまあいい・・どうせ実験だ。これからに期待しよう」


誰かはにやりと笑う。

その頬には、蝶の刺青が怪しく光っていた。


====================



どうしよう。

何とかサヴェッジドラゴンを倒せたけど、この状況は想定してなかった。

バカでかいサヴェッジドラゴンは国に持ち帰る事になり(もとよりそのつもりだったしね)、ジークさんがアイテムボックスに仕舞った。

驚いたのはその後。

あれだけ私達を睨んでたオディールさんはじめ兵士さん達、ジークさんまで揃って私達に向かって膝まづいたのだ。


「イクミ殿、それに皆様方!此度の事、心より礼を申す!本当に感謝してもしきれない・・ありがとう・・!!今もこうして日の光を浴び、大地の上に立っていられるのは貴殿達のお陰だ!」

「兵士達を代表に、私からもお礼を申し上げます・・!ありがとうございます!」


ありがとうございます!と兵士さん達が声をそろえてお礼を言ってくる。


「いやいや!私達はただやりたい事をやっただけで・・」

「いえ、イクミ殿達は我らの命の恩人です!」


何か皆、目がすっごくキラキラしてる。

オディールさんまで・・。

何か頬も赤い気が・・・?


『竜人族は強い相手が好きなのでござる』


へ、へえ・・・・。

でも王様が膝まづいちゃうなんて恐れ多いなぁ・・。


「みんなげんきげんき!」

「ルル・・・・。そうだね、全員無事で良かった。ルルも頑張ったね」


ルルの頭を撫でるとルルは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねた。


「パテルさん、ここまで連れてきてくれてありがとう」

「我が主の命令ならば、どんな事でも従います」


パテルさんは優しく微笑む。


「ヒューゴ、じゃなかった。ヒューイットも、お疲れ様」

「師匠・・・・」


ヒューゴの目に映るイクミは、綺麗だった。

日の光で反射する水滴が宝石を纏ってるようだ。

ヒューゴはイクミをこの腕に抱き寄せたかった。

しかしそれをぐっと堪える。


「(今の俺はまだまだ師匠にはつり合わない・・)」

「ヒューゴ?」


ヒューゴが、私の雨で濡れた頬の水滴を拭ってくれた。


「師匠も、お疲れ様です」

「・・・・うん」




そこからがまた凄かった。

ドラシエルへ戻ると、国中の人達が大騒ぎだった。

再び用意されていた馬車の中。

ジークさんやオディールさん達を住人が褒め称えてる。

それは分かる。

分かるんだけど、その歓声の中に私達の名前も叫ばれていた。

大声でルル様ーとか、パテル様ーとかヒューイット様ーとか。

ただ問題なのは。


「みんな、おねーちゃんのこと言ってるー!」


今回もドライブリザードに迷わず乗ったルルの言う通り、ジークさんを押しのけて私の名前が中心に叫ばれてる。

何か気恥ずかしくて顔を手で覆う。

影が薄くて今まで注目される事がなかった私にはこの歓声は厳しい!


「今宵は国中を上げて、貴殿達の歓迎パーティーを開くつもりだ。料理には勿論サヴェッジドラゴンの肉を出す。サヴェッジドラゴンの肉を存分に堪能してほしい」

「良いんですか?高級品なんじゃ」

「何を言う。この国の誰よりも貴殿達に食べる権利がある。なあオディール達よ」


馬車の外のオディールさん達が、その通りといわんばかりに大きく頷く。


「おにくおにくー!」

「サヴェッジドラゴンの肉・・・俺も初めてだ。楽しみですね師匠」

「お言葉に甘えて存分にいただくとしよう」


肉食派な3人はわくわくしていた。

まあ私もどれだけ美味しいか気になってはいたんだけどね。


馬車から降りて、お城の中に入るとオデットさんが出迎えてくれた。

物凄い高速で。


「へ?」


高速で走ってきたオデットさん。

ぴょーんっと私に飛びかかってきた。


「師匠!!」


飛びつかれて後ろに倒れそうな私をヒューゴが支えてくれた。

ありがとうヒューゴ!

オデットさんは・・私にぎゅうぎゅう抱き付いてる。


「貴様、師匠から離れろ!」


だけどオデットさんは離れようとしない。

ジークさんがオデットさんを窘めようとすると、がばっと顔を上げるオデットさん。

キラキラした目と顔が真っ赤だ。


「イクミ様!先の戦い本当に素晴らしかったです!!私今でも興奮が収まりません!!ああ、イクミ様イクミ様!!」


次にオデットさんは爆弾発言を落とした。


「イクミ様!私、イクミ様の事が好きになってしまいました!!」


全員、固まる。

日下部いくみ、14歳。

生まれて初めて告白されました。

異世界の、竜人族の王女様に。


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