第四十七話 VSサヴェッジドラゴン
「どく、すっちゃうよー!」
サヴェッジドラゴンは毒魔法も使用していた。
毒により皮膚がただれていた兵士も多かった。
だがルルがスライムの姿になり、兵士達から【吸収】スキルを使って、毒を全て吸収した。
ルルがスライムになったのにも驚いたオディール達だったが、毒の効果が消え、ただれていた皮膚が元に戻った事にも驚いていた。
「今から回復魔法をかける。おとなしくしていろ」
ヒューゴがすかさず回復魔法をかけていく。
淡く柔らかい光がオディール達、そしてジークを包み込む。
無残にも裂かれ、骨まで見えかけていた傷も塞がっていった。
「こ、これは・・何という魔力・・これほどまでの回復効果があるとは・・」
ジーク達は完全に治った傷に驚愕を隠せなかった。
「体力までは回復しない。あとは師匠に任せてゆっくり休め」
「やすめー」
「し、しかしあのサヴェッジドラゴンは桁外れだぞ!?」
「大丈夫だ」
ヒューゴはまっすぐパテルに跨るイクミを見た。
「師匠は、絶対に負けない」
サヴェッジドラゴンの周りを駆けるパテル。
イクミは苦無をサヴェッジドラゴンの目に向けて投げる。
けれど苦無ではまったく効果はなかった。
「普通の武器じゃ効かないみたい」
『あの体の硬さは異常のようですね』
サヴェッジドラゴンはイクミ達に、黒い落雷を落とす。
パテルは巧みにそれを避けていく。
今度は黒い炎を吐き出すサヴェッジドラゴン。
しかし漆黒の一角獣であるパテルの張った強い結界はその炎をモノともしなかった。
『下衆が・・下界の生物ごときに我の結界が破れるとでも?』
「凄いねパテルさん。でも早く決着つけないと、この山が更地になるね」
既に落雷攻撃で山の木々が散々な姿になっちゃってるし。
でもどうやって倒そうか・・。
うーん・・・。
忍び刀で切れるかなぁ?
・・・・・そうだ!
「パテルさん、少しだけあいつに近づいて。後は私が何とかやるから」
『了解しました!』
サヴェッジドラゴンと距離を近づける。
私は忍び刀を抜いて、パテルさんからジャンプした。
「イクミ殿!?」
ジークが叫ぶ。
水晶鏡で見ていたオデットも国の住人も何をする気なのかと一切目をそらさなかった。
イクミはぎゅっと刀を握る。
「忍法、一刀両断 焔刀」
刀の刀身が炎に染まった。
雨の中、真っ赤に熱く燃える炎。
サヴェッジドラゴンはイクミを一飲みにしようとした。
けれどイクミの姿がふっと消える。
サヴェッジドラゴンはイクミを探す。
だがその首は、雨で濡れた大地へと沈んだ。
続いて、胴体が落ちる。
ぬかるんだ土の上で、サヴェッジドラゴンが見たのは、首がない自分の胴体。
その胴体の横に降り立ったのは、炎を纏った刀を持つイクミの姿。
それが、サヴェッジドラゴンが見た最後の光景だった。
ジーク達は、何が起きたのか理解できなかった。
水晶鏡で見ていたオデットや国の住人達もだ。
恐ろしいほどの強さを持ったサヴェッジドラゴン。
ジーク達に、死を覚悟させた魔物。
それを、変わった剣に炎を纏わせた一人の人間が倒した。
それもまだ10代の少女だ。
魔法攻撃も効かなかったサヴェッジドラゴンの首を、その炎を纏った剣で簡単に切り落としたのだ。
雨が止んでいく。
雲の隙間から光が差し込み始める。
イクミが刀をひゅっと払うと炎は消えた。
その身体に纏う水滴は、太陽の光を飲み込んできらめいていた。
「・・・・戦いの女神か・・・・?」
ジークやオディール達、オデットも国中の竜人族がその姿に見惚れた。
「・・・・・・はぁ・・・」
正直、うまくいって本当に良かった!!
これで駄目だったらどうしようかと思ったよ!
でも我ながら刀に術の炎を纏わせるのは良い考えだったよね?
ちょっと術名は中二病なネーミング付けちゃったけど・・。
あー、倒せて本当に良かった!
「師匠!!!!」
「おねーちゃん!」
「我が主!」
「あ、皆っ」
ヒューゴはイクミに駆け寄り、抑えきれない興奮を語った。
ルルはイクミに勢いよく飛びつく。
パテルも人型の姿になり、イクミの傍につく。
サヴェッジドラゴンとの闘いは、イクミによって幕を閉じたのだった。
「ふーん・・・竜人族でなく、人間が倒しちゃうとは・・」
それをはるか遠くから見つめていた何かがいた。
「単なる実験だったんだけど、面白いのを発見したなぁ・・あの方に報告するべきかな?」
その何かは、イクミを見つめる。
「・・・・もうちょっと、観察してからでもいいよね?」
にやりと笑う何か。
「・・・・・・?」
誰かに見られてるような気がしたイクミは視線を感じた方角を見た。
けれど誰も何もいない。
「(気の所為かな・・・?)」
「(危ない危ない・・結構勘が鋭いなぁ・・・俺も気を付けなくちゃ・・ししし・・・)」
イクミ達の知らないところで、何か起きているようです
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