第四十一話 竜人族の王様と勝負する事になってしまった
「師匠~!頑張ってください!!」
「がんばれー!」
「主の活躍、しかとこの目に焼き付けます!」
「皆の者!王をしっかり声援するのだぞ!」
『おおー!!』
ああ、どうしてこうなった?
私と竜人族の王様はただいま距離を空けて向かい合ってる。
まさに今から決闘します!なスタイル。
以前のヒューゴとの手合わせもこんな感じだったなぁ・・・。
でも今回は訳が違う。
相手は竜人族の王様だよっ!
勿論断ろうとしたさ!!
なのにヒューゴ達が・・。
「我が師匠に勝負を挑むなどと・・自意識過剰にも程があるな!」
「マ、おねーちゃんはとってもとってもつよいよー!」
「身の程知らずとは困ったものだ(鼻で笑う)」
なんて、そりゃあ竜人族の方々を煽るような事を言っちゃったもんだから、まー皆怒った怒った。
我が王が人族に負けるはずない!って。
そんで雰囲気的に勝負する流れになっちゃって・・。
ああもう、めんどくさい事になったなぁ。
「手加減は致しませんぞ、イクミ殿」
「はあ・・・」
審判役は、オディールさん。
オディールさんは腕を高く上げて、さっと下した。
「はじめ!!」
その言葉を合図に、ジークさんは一瞬で私の目の前に来る。
早いなこの王様。
首筋を狙った手刀だ。
私はいち早くその腕を掴んで軽く捻る。
ジークさんの体勢が崩れた隙に、ジャンプしてジークさんの背中を蹴って向こう側に移動する。
ジークさんは倒れる寸前に地面に手をついてくるんと側転し、体勢を整えた。
「グリーンアロー!」
ジークさんがそう叫ぶと、草木でできたような矢が何本も攻撃してきた。
へえ、こういう魔法使えるんだ。
矢を避けたり、苦無で弾きながら観察する。
「忍法、手裏剣乱れ打ち」
それに対抗して、私も手裏剣を無数に放つ。
ジークさんは結界を張って阻止するけど、何枚かは結界を通った。
手裏剣の刃がジークさんの服を掠める。
「!」
「王!!」
「くるでない!」
オディールさんが焦ってジークさんに駆け寄ろうとするけど、それを止めさすジークさん。
「他者が手を出した時点で、その者の負けだ。手助け無用」
ジークさんはにやりと笑った。
この王様、楽しんでるみたい。
「見た事のない武器だ。そして全く隙のない動き、見事!」
王様はアイテムボックス持ちなのか、どこからともなくフェンシングのような細い剣を出した。
私も忍び刀を抜く。
「レインボーミラー」
私の周りに、虹色の鏡みたいなのが何枚も浮かび上がる。
何だこれ?
「プラズマショット!」
雷の弾丸が来た。
それを避けると、後ろにあった鏡の中に弾丸が吸い込まれる。
そしたら右横にあった鏡から弾丸が飛び出してくる。
それを避けると、また鏡の中へ。
すると今度は足元にあった鏡から弾丸が。
なるほど、鏡の中を魔法攻撃が行き来しててどこから来るのか分からないようになってるんだ。
ジークさんはプラズマショットを何度も放つ。
それによって四方八方から鏡の中から雷の弾丸が襲いかかってくる。
流石にめんどくさいな。
私は高くジャンプして、周りを囲む鏡から抜け出す。
とそれを予測していたジークさんが、私の背後に。
「チェックメイト」
ジークさんの剣が、私の背中を狙う。
勝負はその時決まった。
見ていた者は全員、言葉をなくす。
「・・・・・・・・あ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
思わず、私はジークさんの顔面にキックをかましていた。
私の足裏が見事にジークさんの顔に命中した。
「王ーー!!王の、王の美しい顔があああ」
「ごめんなさい・・・」
オディールさんが滝の涙を流しながら、木の根元に腰を下ろしてるジークさんの顔を濡れタオルで冷やしている。
咄嗟とはいえ、顔面に蹴りはあんまりだよね。
しかも王様相手に。
「師匠・・俺は、今感動で体の震えが止まりません!竜人族の王を相手に見事な圧勝・・俺は一生貴方についていきます!」
「おねーちゃんすごいすごい!せかいいちー!」
「我が主よ・・素晴らしき戦いぶりでありました・・流石は我が主です」
「いやいや・・褒められる事してないから」
だって王様相手に、二回も蹴りを入れたんだよ。
しかも二回目は顔面に。
うわああ、兵士さん達睨んでるうう・・。
特にオディールさんが凄いこわいいい・・・。
「ふ・・・余の完敗だ・・・。ここまで完膚なきまでに打ちのめされたのは初めてだ」
まだ鼻が少し赤いジークさん。
「申し訳ありませんでした・・」
「いや、勝負を挑んだのは余の方だ。お陰で余はまだまだだと知る事ができた。感謝する」
「いえ、私も珍しい魔法を見る事ができたので、楽しかったです」
「・・・・楽しかった、か。余もだ・・」
ジークさんは木の根元から立ち上がると、私をまっすぐ見下ろした。
・・・どうしてこの世界の人達は皆背が高いんだろうなぁ。
「気に入ったぞイクミ殿。先ほどの無礼と余との勝負を受けてくれた礼もかねて、貴殿達を我が国へ招待しよう」
一瞬の、静寂。
『王ーーーーーーー!?!?!?!』
私達が驚くよりも先に、オディールさんと兵士さん達の悲鳴が上がった。
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