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第三十七話 恋する乙女達



次の日、私達は買い出しに出かけた。

またあの美味しいパンも買いだめしたいし、ルル用の替えの服とか下着も欲しい。

ヒューゴも色々買いたいものがあると言うし、ルルはシュクレちゃんの所で猫のミシャちゃんと遊びたいと言うので、別行動を取る事にした。


「じゃルル、お昼頃にヒューゴが迎えに来るからいい子にしてるんだよ。ルルのお洋服可愛いの見つけてくるね」

「はーいっかわいいのかわいいの!」


ぴょんぴょん跳ねるルル。

ああ可愛い。

ヒューゴが行きたいお店は、シュクレちゃんのお店と同じ方角にあるというのでルルはヒューゴと一緒に。


「貴様、師匠に何かしてみろ・・冥界に送りかえしてやるからな」

「はっお前のレベルでできるものならやってみせろ」


パテルさんは私と一緒に買い物する事になったのだが、ここでまた二人が喧嘩を始めようとする。


「はいはい喧嘩は禁止!約束したでしょ?」


もうどうして喧嘩腰になるかな?

気が合う時は気が合う癖に、困った二人である。

とにかく私達は、お昼に宿の前に集合という事で買い物に出かけた。



(パテルさんは着替えとかどうする?)

『必要ありません。人型の時の服は私のイメージでいくらでも変える事ができますから』


人型のパテルさんはイケメンさんだからそれはもう注目を浴びる浴びる。

あまり目立ちたくない私の心情を察してくれたパテルさんは私の影の中にいた。

会話はテレパシーでできるというから便利である。

着替えいらずか、それもかなり便利だな。


まず服屋さんへ。

花の国だから、花模様とか花の飾りがついた服が多かった。

その中からルルに似合いそうな服を何着か選ぶ。

ルルは動くのが好きだから、動きやすくて丈夫そうなのを重点にした。

気分はもう子ども服を選ぶお母さんである。


「あ、これ可愛い!」


可愛いパジャマもあった。

少しフリルがついた、薄桃色のパジャマ。

小さく刺繍された花模様が可愛い。

これもルルに買っていこう。

ついでも私の寝巻用としてシンプルなシャツとズボンも選んだ。



「次は・・そうだ、花瓶」


昨日オーウェンさんから貰った花束を思い出す。

無限空間に入れてあるから枯れる心配はないけど、早く花瓶に入れなくちゃ。

何てたってここは花の国。

あの花にぴったりな花瓶がきっと見つかるはずだ。


「花瓶・・雑貨屋さんにあるかな・・?」


どこに雑貨屋さんあるかな?

えーと・・。


「あ、あの!」

「ん?」


声をかけられた。

聞いた事ある声だ。


「あ、クルミさんにミレイさん?」


あの二人だ。

オーウェンさんは、いない。


「ちょっと話があるんだけど・・!」

「よろしいかしら・・・?!」


真剣そのものといった二人の顔がずいっとくる。

分かる。

これは、断っちゃいけない顔だ。

私はこくこく頷いた。



二人に連れてこられたのは公園だった。

入り口は花でできたトンネルで、それは綺麗だった。

公園の中も、まるで花畑のようで甘い香りでいっぱいだった。


公園内にはジュースを売っている屋台もあった。

そのジュースを私はクルミさんから貰う。

二人もジュースを購入し、屋台の傍のテーブルセットに腰を下ろす。


「・・・あの、お話というのは・・?」


バラの形のクリームが浮かんでるジュースは甘すぎず美味しいけど、凄い空気が重い。

もしかしてオーウェンさんの事だろうか・・?

昨日、花束を貰った時の事を思い出す。

いやいや、私相手にそんな心配する訳ないか!

だってクルミさんはウサ耳の美少女だし、ミレイさんは巨乳の美女だし。


「・・・単刀直入に聞くわ・・!イクミさん・・!」

「貴方はオーウェン様の事をどう思ってらっしゃるの?」


私は飲んでいたジュースを噴きだしかけた。

え、まじで?

まじでそっち方向なの?

私相手に?

いやいやいやいやいや。


「ど、どうというのは?」

「だ、だから・・貴方はオーウェンの事を・・・」

「お慕いしているか否か聞いてるんですわっ」


ミレイさん超直球!!!

ここまでストレートだとかえって話しやすいからいいけどっ。


「ミレイっあんたもうちょっと言葉を考えなさいよ!」

「いいえっこういう事ははっきりさせないと・・!貴方だってそれが聞きたかったのでしょう!?」

「そ、そりゃあまあ・・そうだけど・・」

「オーウェン様から花束を貰って、あれで靡かない女はいない・・!貴方も昨夜言ったではないですか!?」

「ちょっと!声大きい!!」


うん、声大きいね。

屋台の主人とか周りが何だ何だと見てるよ・・。

うーん・・こりゃあ二人とも、かなり拗らせてるわ・・。

まあ、好きな相手がデブとはいえ女に花束を送る・・それを見せられちゃあ、やっぱ嫌だろうなぁ・・。

いや、相手がデブだからこそ嫌なのかも・・!


こんな太った相手に花束なんて・・っ許せない!みたいな?


うん、それなら納得。

それにオーウェンさんはイケメンさんだ。

私がコロッといっちゃったと思うのも仕方ないかも。

しかし安心めされよお二人とも・・。


「そういう事ですか。確かにオーウェンさんは素敵な人だから、お二人が好意を抱くのも分かります」

「じゃ・・じゃあやっぱり・・」

「貴方もオーウェン様の事を・・っ」

「いえ、それはないです」


きっぱり否定した私に二人の目が点になった。

私はにっこり笑って説明した。

オーウェンさんはとってもイケメンさん。

しかしイケメンさんだからこそ、私はコロッとはいかないという事を。

私にとってイケメンさんは神にも等しいくらいの遠い存在なのだ。

そんな相手を好きになるとか、おこがましいにも程があるし恐れ多い。

精々思う事は、目の保養である。


「考えてもみてください・・!こんなデブの私がオーウェンさんみたいなイケメンさんに恋するなんて、身の程知らずにも程があるじゃないですか!

ましてやオーウェンさんにはクルミさんという超絶美少女やミレイさんという超美人さんがいるのにですよ!?

私なんて入る余地ありませんよ!!いやある方が可笑しいですってっ!」


ばんっとテーブルを叩いて思わず力説してしまう私と、それにビビる二人(と聞き耳立てていた周囲)。


「それに私、今恋とかそういうの興味ないんです。いやきっと恋には一生縁がないと思います。

今は色々やりたい事が多いし、そっちを優先したいんです。

オーウェンさんは素敵な人だけど、だからこそオーウェンさんにはクルミさんやミレイさんのような女性がぴったりだと思います。だから安心してください」


ふー、言い切ったぁ。

一息つくために、私はジュースを飲み干す。

クリーム、すっかり溶けちゃったよ。

でもこれで納得してくれたかな?


「「・・・・・・・・・・・・」」


二人とも、顔を俯かせてぷるぷるしてた。

あれ?

まだ納得してもらってないのかな?

うーん、まだ言い足りないかな・・?


今度は二人同時にテーブルをばん!と叩いて立ち上がった。


「身の程知らずとか恋には一生縁がないとか何それ!?そんな訳ないじゃない!!!」

「そうですわ!女の子は皆恋をする権利があります!太っているとかそんなの全然関係ありませんわ!」


あれ?何か方向が違ってきてない?

がしっと二人に手を掴まれ、何か慰められた。


「いい!?好きという気持ちに相手がイケメンだとかそんなの関係ないわ!ましてや体型なんて気にする必要ないの!」

「恋に決まりなんてないですわ!その人を好きという気持ちが大事なんですのっ見た目や周りの目を気にする方がどうかしていますわ!」

「イクミさん!貴方はもっと自信を持つべきよ!もし貴方の事をデブとかバカにする奴がいたら私達に任せて!」

「女性の体型や見た目をバカにする奴らは私達が粛清してあげますわ!!」


えー・・・・と・・・。

そういう話だったっけか?

いつの間にか周りにいた女性もうんうん頷いてるし、頑張れと応援されてるし。

何かよく分かんないけど、クルミさんとミレイさんと友情が芽生えたっぽい?



あの後屋台の主人に、頑張りなとジュースのお変わりとケーキをご馳走された。

頑張れと言われても・・あ、このケーキ美味しい。


「私とオーウェンは同じ近所に住んでたんだけど、オーウェンは昔から正義感が強かったわ。弱い者いじめは大嫌いで、相手が強くてもいつも立ち向かっていって、ボロボロにされても絶対挫けなかった。

そんなオーウェンをほっとけなくて、私がついててあげなくちゃって思うようになったの」

「オーウェン様と出会ったのは、私が魔物退治で苦戦していた時ですわ。魔物の攻撃が私を襲おうとしたとき、あの方が颯爽と現れて助けてくれたんですの。

あの時のお姿は今でも忘れられません・・。あの瞬間、私はオーウェン様に心を奪われたんですのよ」


二人の恋バナを何故か私は聞かされた。

まあ別に嫌じゃない。

むしろ、頬を赤らめて話す二人の姿に何か和まされる。

いいねぇ・・まさに恋する乙女。

きらきら輝いてるように見える。

そしてオーウェンさんは典型的な主人公タイプだな、うん。


「でもオーウェンってほんと鈍感なの!この前も、服を新調したのに気づかないんだから!」

「そこが玉に傷ですわ。私もルージュの色を変えたんですけど、オーウェン様は全くお気づきにならなくて・・」

「うんうん!ちょっとは気づけっていうの!」

「あー・・そういう人もいるよねぇ」


主人公あるあるだね。

モテモテだけど、大事なところで鈍感。


「二人はライバルだけど、仲良いですね」

「まあミレイとはもう長い付き合いだしね」

「オーウェン様を思う気持ちはお互い本気だから、逆に分かり合う事も多いんですの」

「オーウェンの寝込みを襲う癖は治してほしいけどね!」

「おほほほほ」


うわあ、こういうライバル関係良いかも!

どろどろした女同士のもつれって、見てて良いもんじゃないし。


「それにいざとなったら一夫多妻婚という手もある事ですし」

「まあそれが一番後腐れもないけどね」


ぶふっ!

は、鼻からジュースが出そうになった!


「い、一夫多妻婚?!そんなの許されてるんですか?!」

「え?普通だけど?」

「イクミさんの国ではないのですか?」

「な、ない・・・・」

「へ~、そんな国もあるんだね」

「世界は広いですわね」


まじかあああ・・・。

一夫多妻婚、普通なんだー・・・。

うわあ、ハーレム好きな男なら喜ぶ世界だなぁ・・。


『一妻多夫婚もあるでござるよ?お互い了承していれば問題ないでござる』


・・・・・・・・・・・・この世界って、ほんと凄い。

改めて異世界だと思い知った気がする。


「一夫多妻婚が認められてるなら、二人が喧嘩する必要もないんじゃないですか?」

「まあ、そりゃそうなんだけどね」

「何といいますか・・やはり独占したいという気持ちもありまして・・・ねぇクルミさん」

「ねぇミレイ」


・・・・まあ突っ込まないでおこう。

世の中色んな恋の形があるという事で。



『(主殿は我もいる事をすっかり忘れているようだな・・。まあお陰で面白いものが見れたから良しとするか』

オーウェンはクルミとミレイによってベッドに縛り付けられてます


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