第三十二話 アーニーさんからのお願い
五日後、ついに剣は直った。
見せてもらったけど、何というか凄かった!
「綺麗・・」
剣に入っていたヒビは完全に直っている。
それだけでなく、刀身は前よりもずっと赤く輝いていた。
「流石は鍛冶師として名が広がっているだけはありますね」
「ほう・・見事な仕上がりだ」
「きれーきれー」
「あたぼうよ!」
アーニーさんは剣を鞘に入れた。
この鞘、見た事ないけど?
「これはおまけだ。オーウェンに伝えてくれ、大事な相棒に無理させんじゃねえぞってな」
「なるほど、分かりました」
私は鞘に納められた剣を預かり、無限空間へ仕舞った。
「にしてもお前らには世話になったな!食事の用意だけでなく、掃除とか色々ありがとな!」
「私達こそ、泊めてもらってありがとうございます!」
「ありがとー」
ルルはまた骨を被っている。
どうやら気に入ったらしい。
「ほらルル、それ外して」
「やー」
「はははっんじゃルルには代わりにこれやるよ」
アーニーさんはルルにペンダントをくれた。
牙の形をしたペンダントだ。
「お守り。これをつけてるときっと良い事あるぞ」
「わあーありがとっ」
ルルは嬉しそうにペンダントを受け取った。
頭にかぶっていた骨はちゃんとアーニーさんに返して。
「そんで、お前達はこのまままっすぐ帰るのか?」
「一度、ブランネジュに寄ってからフィオフルルに帰ろうと思ってます」
「えっぷるのおかしー」
「まだ全店制覇してませんからね・・!」
「なるほど、菓子巡りか・・。我も是非菓子を堪能したい」
「・・・・・という訳なんです」
「ああ、なるほど・・」
アーニーさんと一緒に苦笑い。
でも私もエップルのケーキとかまた食べたいと思ってるので人の事はいえなかったり。
「なぁイクミ・・ちょっと頼みがあるんだ・・」
「?何ですか?」
突如アーニーさんが土下座した!
どうしたアーニーさん!?
「頼む!!お前の剣を一本俺に譲ってくれ!!!!一生のお願いだ!!!」
ええ?
「剣って・・この刀ですか?」
私は腰に差している忍び刀を指差す。
「そうだ!お前の魔力を元にしてできた刀というその剣、あんな曇りも穢れもない剣は初めてだ!鍛冶師としてその剣は魅力的だ・・頼む!譲ってくれ!今後の俺の目標にしたい!」
「も、目標?」
「ああ、俺はその剣のように曇りも穢れが全くない剣を打ちたい・・鍛冶師としての本能がうずくんだ・・!その剣のように美しい剣を打ちたいと・・!だから頼む!!!その剣を譲ってくれるなら俺の全財産くれてやってもいい!」
また頭下げて土下座。
ごちん!て地面から凄い痛そうな音がしたんだけど!?
てかヒューゴも弟子入り志願してきた時もこんな感じだったな!?
「か、顔上げてくださいっ全然あげてもかまわないですから!」
だっていくらでも作れるもの。
私は腰に差していた二本の忍び刀をアーニーさんに差し出す。
「へ・・い、良いのか?そんなあっさりと・・」
うわあおでこ真っ赤だよ・・痛そう。
「刀はまた作れるし、全然構わないですよ」
「だ、だがタダで貰う訳にも・・」
「じゃあ、ルルにペンダントくれたからそのお礼って事で!」
はい、と忍び刀をアーニーさんに渡した。
アーニーさんは刀を受け取ると、涙まで流してすまねぇ・・!とまた地面に勢いよく頭を下げた。
うわあまた痛そうな音がしたよ・・。
何?おでこぶつけて土下座が普通なのこの世界?
「(羨ましい・・!俺も師匠の剣が欲しい・・!)」
「(後で主に強請ってみましょうか・・・)」
「それじゃ本当にお世話になりました!」
「おうっ俺の方こそ楽しかったぜ!何かあったら俺の所にこいよ。力になるぜ」
「ありがとうございます。あのそれで・・パテルさんの事は・・」
アーニーさんはパテルさんが漆黒の一角獣だと知っている。
そして私の従魔になった事も。
できるだけ噂になってほしくない。
「わーってるよ!絶対しゃべらねえ、約束する!ドワーフは約束は必ず守る」
ああ良かった!
これで王族とかに絡まれずに済む。
「たとえ王族の軍が総出で来ても返り討ちにしてやりますよ主」
「師匠に仇なす輩は俺が駆除してやりますからね!」
「ルルもがんばるー!」
わあたのもしいっ
お願いだからくれぐれも暴れないでおくれ・・。
「お前も大変だなぁ・・」
「あはは・・もう慣れっ子です」
私達はアーニーさんに別れを告げて、山を下りていった。
途中でまた魔物が出てきたけど、今度はパテルさんもいるから簡単に山を短時間で下りれた。
「またこれでから揚げをどっさり作ってくださいね主」
「からあげからあげ!」
「解体は任せてください!」
よっぽどから揚げが良いのか、鳥系の魔物以外は皆殆ど無視してた。
おいおい・・。
でもこの山はアーニーさんが言うには山の周りには結界があって、魔物は外に出れないって言ってたし(道理で一番近い国のブランネジュが無事なわけだ)。
魔物はなるべく退治するって決めたけど、この山に住む魔物が人を襲う危険は少ないって事だから、無理に戦う必要もないかな?
アーニーさんもいるしね。
さ、ブランネジュ国へ向かうぞ!
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「ご先祖様、俺いつか必ずご先祖様のように歴史に残る鍛冶師になります」
イクミから貰った刀を壁に飾り、アーニーは横長の木箱を床下から出した。
これは先祖代々受け継がれたものだ。
アーニーは木箱を開ける。
「イクミから貰った剣と、ご先祖様が魂を込めて打ったこの剣・・いつか俺はそれらを超えた剣を打ってみせます」
木箱の中には、赤い透明な剣が収められていた。
ブランネジュ国にあるドワーフの銅像が持っていた剣と、同じ剣であった。
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「あらあら~冥王ちゃんの所のお馬さんが従魔になるなんておもしろ~いっ定番の最強パーティーができてきたわね~。
でもまだまだ、面白くなるのはここからよ~♡」
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