第二十五話 ありがちな夢での出会い
今回は少し短めです
色々手直ししました。
水の音がする。
ここはどこだ?
見上げると吸い込まれそうな満天の星。
見下ろせば鏡のように星空を映している水面。
私はその水面の上に立っていた。
歩くと波紋が広がる。
ここはいったいどこなんだ?
どこまでも星空と水面は続いている。
果てが見えない。
まじでここどこ?
バササッと羽音が耳に届く。
見上げると、黒い翼の生えた馬がいた。
真っ黒い馬だ。
銀色の目をしていて、水のように透明な角が生えている馬。
馬は私の目の前に下りてきた。
うわ、でかっ。
え?黒いペガサス?
いや、角がある馬はペガサスっていわないんだっけ?
黒い馬にじっと見つめられる。
馬はよく知らないけど、こうして見たら綺麗な馬かも・・。
『待っている・・』
頭の中で男の声が響いた。
え?何?
もしかしてこの馬の声?
テレパシーって奴?
『リンベルト山にて、待っている・・』
リンベルト山?
って、目的地であるあの山の事?
待ってるって・・あ、ちょっと!消えないで!
「・・・・・・・・・・夢オチ・・・なんてありがちな」
天井に手を伸ばした状態で目が覚めた。
隣にいるルルも、ヒューゴもまだ寝ている。
「あの馬、何だったんだ・・?」
状況からしてあの馬は何か特別な馬っぽかったぞ。
伝説の名馬とかさ。
もしそうだとしたら、凄いっ何か主人公っぽい展開!
主人公と伝説の生き物との出会い・・この出会いが新たな展開を生み出す!みたいなっ!
「・・・・・・・これは滾る」
いやでもあの馬が私に何の用だ?
もしかして・・世界を救えとかそういうんじゃないだろうな・・っ
流石にそこまでお約束な展開は勘弁だ。
世界を救うなんて、そんなの荷が重すぎる。
そこまでの正義感は私にはない!
今の私は目の前の魔物で手一杯っ(少々物足りない時もあるけど・・・)。
でも今は正義感のない主人公が世界を救っちゃうお話もいっぱいあるしなぁ・・。
いやいくら何でも私にそんな大役は回ってこないだろう。
でも万が一という事も・・いやいやまさかそんな・・・。
うーん・・・。
・・・・・考えても仕方ないや。
もし世界を救ってほしいお願いだったら、先方ももっと焦ってるよなうん。
だからきっと大層なお願いで私を待ってる訳じゃない!
うん、きっとそうだ!
・・・・・そうと願いたい・・・。
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地図によれば今日で森を抜けられる。
昼頃には外に出られるらしいので、足取りは自然と軽くなる。
ルルは私と手を繋いでご機嫌で歩いてる。
国への入国の際、スライムの姿で入るか人型で入るか、昨夜ルルの希望を聞いてみたら「ひと!」と即答された。
だからルルの入国の準備を急いでした。
服はシャツのままだけど、ちょっと手直ししてワンピース風にしてみた。
これで国へ入れるだろう。
スライム特有のままのぽよぽよぷるぷる髪も、お団子に纏めたし。
これで何とか誤魔化そう。
足は裸足のままだけど・・・まあ何とかなるだろう。
「角の生えた、黒い馬・・ですか」
「うん、翼も生えてておっきい馬だった」
ヒューゴに夢の事を話してみた。
ヒューゴなら何か知ってるかもしれないし。
「・・・・もしかしたらですが」
「ん?」
何か、とんでもない事言われる予感・・。
「それは漆黒の一角獣かもしれません」
「漆黒の、一角獣」
「いっかくじゅー」
大層なネーミングきたぞちょっと。
「それって、どういう訳ありさんなのかな・・?」
「俺も本で読んだだけなのですが、冥界に住む魔獣かと」
冥界の魔獣。
何かとんでもないフレーズがきたんですけどおおおおお!
「め、冥界・・・・」
「死者の魂が最後に行きつく場所と言われています」
いやその説明は求めてないよヒューゴくん。
「俺が読んだ本によると、漆黒の一角獣という黒い馬は冥界とこの世界を自由に行き来でき、国の10や20、簡単に滅ぼす事ができる程の魔力を持っているそうです」
「さらっと言ってるけど、さらっと言って良い内容じゃないよねそれ!!!」
国の10や20って・・まさか夢に出てきた馬はその漆黒のなんちゃらさんじゃないよね!?
夢の中で会った時は、全然そんな怖さはなかったぞ!?
綺麗な馬という印象しかなかったよっ。
いやでも、この展開だとその漆黒なんちゃらさんの可能性が・・。
うう・・・フラグがびんびんな気がする・・。
「・・・こういうフラグって、必ず成立するんだよね・・」
「ふらぐ?」
「何でもないよルルちゃん・・・」
うう、一気に足取りが重くなっちゃったよ。
「師匠、もうすぐ森を抜けますよ」
「あー、うん」
・・・ええい!フラグが何だ!
私の目的は、ライリーさん達の依頼を達成する事だ!
今はそれに集中しよう!!
馬が何だ!冥界が何だ!!冥王が何だああああ!!!
「ママ、はりきってる」
「きっと目的の山が近いから気合を入れているんだろう」
「ルルもきあい、いれるー!」
「そうだな。俺も師匠を見習わなければ!」




