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第十八話 ゴブリンキングのお値段と花の国の伝統料理



夕方、私達は再びギルドに来た。

ルルは私の頭の上でまだ眠っている。

はたしてゴブリンキングはいくらになっただろうか?

Aランクというからちょっとは期待できるかな?


「おう来たな!」


中に入るとライリーさんが待っていてくれたようだ。

それにしても、やっぱりヒューゴは視線を集めるなぁ。

ん?


「(ねえ、あの女の子でしょ?噂の?)」

「(あ?どこにいるんだそんな子)」

「(ほらヒューゴ様の隣のっ)」

「(おおっ確かにいた!全然気づかなかったぜ・・あの子がヒューゴの師匠さんか?)」

「(そうみたいよ。信じられないけど、噂じゃあのアマンダをコテンパンにしちゃったとか)」

「(俺も聞いた聞いた!何でもアマンダを丸裸にしちまったとか)」

「(かーっ見たかったなぁその瞬間!)」

「(バカ!)」


・・・・【忍者の聴覚】も考えもんだな。

内緒話がもろ聞こえるもん。

でも噂にかなり尾ひれがついてるな。

丸裸にしてないぞ!

同じ女としてそこまではしないぞ!

あ、顔は丸裸にしちゃったかな・・・?


「師匠、どうなさいました?」

「ううん、何でもない・・」


あれも同じ女としてやっちゃいけない事だったかな?

・・・・今は忘れよう、うん。

過ぎた事は仕方ないもんね!



「こっち来いよ、金額の説明すっから」


ライリーさんの案内で、魔物の買取窓口へ。


「お待ちしておりました、ヒューゴ様、イクミ様」

「ました」


ジュリアン君とチェルシーちゃんがすぐに奥から出てきた。

ゴスロリ服の袖は捲ってあるけど、包丁は握ったまま。

うん、その包丁は手放しちゃいけないものなの?


「まずはイクミ様の方からご説明いたします」

「します」

「Aランクは久々だからな、こいつらも張り切ってたぜ~」


そう言うライリーさんも嬉しそうだ。


「ゴブリンキングは肉は食べられないので、採れる素材は骨と皮、眼球や睾丸となります。あと、運の良い事に大粒の魔石が確認されました」

「ました」

「魔石?」


チェルシーちゃんが緑色の石を見せてくれた。

大きさはルルより少し大きい。


「Bから上のランクの魔物には時折、魔石持ちがいるんです。魔物から採れる魔石は大粒で上質な物が多く、大変貴重なのですよ」

「ですよ」


ゴブリンキングが持っていた魔石は風の魔石で、風魔法の魔力がこもっているとか。

魔石は本来、採石場で掘るのが普通だが大粒や上質な石は中々採れないらしい。

他にも皮は皮鎧に、骨は武器に、眼球や睾丸は薬に使うとか。


「性欲増強剤としてつよーい効果があるんですよ」

「ですよ」


双子が満面の笑みで薬の効能を教えてくれた。

・・中学2年の私はどう答えたらいいのか分からなかったので、とりあえずにっこり笑い返した。

この世界ではどうかは知らないけど、未成年にそんな薬の事教えられても困る。


『この世界では15歳から成人として認められているでござる』


・・・・どっちにしろ私はまだ未成年だよ(14歳)。

という事はヒューゴはとっくに成人してるのか。

お酒も飲んじゃうのかな?

後で聞いてみよ。


「皮も他に素材になる部分も殆ど傷がなくて、解体とっても楽でした」

「でした」

「おまけに上質な魔石持ちだったからな!これはすぐに買い手がつくぜ」


ライリーさんは袋一杯の金貨を机に置いた。


「素材分と魔石分含めて金貨173枚だ!解体費用は金貨3枚で、それを差し引いてちょうど170枚だっ受け取れ」


・・・・・・・・えっと、確か金貨1枚が10000円の価値だから・・170万円!?


「そ、そんなにですか!?」

「ああ。何せ魔石持ちだからな」


170万円・・・いまだかつてそんな大金見た事ない。

そんな大金、14歳が持ってていいのだろうか・・・!

Aランクってそんなに高額なの?


『Aランクの魔物は金貨100枚以上から値段が決まっているでござるが、Aランクの中でもゴブリンキングは上位種、それに魔石持ちでござるから価値はぐんと上がったようでござる』


そうなのか。

金貨100枚以上でも私には大金だけどね。

んじゃSランクの魔物はどうなんだろう?


『Sランクの魔物は主に金貨200枚以上でござる』


に、200・・・そりゃあ凄い・・。

Sランク冒険者のヒューゴって所持金いくらなのかな?

聞く勇気がないから聞かないけど。

にしてもこの袋に金貨170枚入ってるのか。

うわ重っ!これが170枚の重さかぁ。

無限空間に仕舞うため、空間収納術を使った。

江戸時代の箱が出てきて、ライリーさん達はちょっと驚いてた。


「これが私のアイテムボックスなんですよ~。仕舞ったものを出すのはともかく、新しいのを収納する時はこんなのが出るんです。変わってますよね~あはは!」


必殺笑って誤魔化せ!

容量もさほど大きくなくてまいったまいったと有無を言わさず私は誤魔化す。

空気を呼んでくれたのか、ライリーさん達もあまり突っ込まないでくれた(ありがたい)。

私はさっさと金貨の袋を仕舞った。


「金貨の数、数えなくていいのかい?」


ん?数える?どうして?


「いえ、大丈夫です」

「大概皆数えるぞ?」

「?だってライリーさんがこのお金用意してくれたんでしょう?なら数えなくても大丈夫じゃないですか?」


だってギルドマスターだよ?

そりゃあ、異世界物小説の中では悪役なギルドマスターもいるけど、ライリーさんの性格から、金額を誤魔化すなんて事しなさそうだし。

もし間違ってたら補佐丸が教えてくれるし。


あれ、ライリーさん目を少し丸くした。

え、私なんか変な事言った?


「っあははははははは!イクミ、あんた面白いくらい良い子だねぇ!!」


またバシバシと背中を叩かれた。

何だ何だ?

私、ライリーさんの変なツボでも押したか?


「ヒューゴ!アンタ、良い師匠を見つけたねぇ」

「当然だ。師匠は誰より素晴らしい方だ」


本当に一体何なんだ?

双子達も笑ってるし。

私、何か変な事言ったかな?



「では次はヒューゴ様の番です」

「です」


ヒューゴは数が多かったので説明が私の時より長かった。

その間は目を覚ましたルルと遊んでいた。

今夜のご飯、どうしようかな?

昼間はパンや砂糖菓子摘んでたから、お昼そんな食べなかったんだよな。

朝も取り寄せたサンドイッチで簡単に済ませたし、どうせならこの国の料理を食べたいなぁ。


ヒューゴは私よりも大きな金貨の袋を貰った。


「お待たせいたしました師匠」


ヒューゴにこの国でレストランあるか聞いてみよう。

何せ大金が入ったからね。

ちょっと贅沢してもいいかな?

ヒューゴはまた自分が払いますって言いそうだけど。


「なあお前ら、夕飯どうするか決まってるか?」


おおっ凄いタイミング。


「まだ決まっていない。師匠、どうしますか?」

「んー、どっか美味しい料理を出すお店があったら行きたいなって思ってるよ」

「それならアタシが良い所を知ってるぜ!」


私達はライリーさんとキーランさん、双子達と夕食を取る事になった。

お店はエディーブルというレストランだった。

店内は色んなランプが置かれていて、そのランプの明かりだけで店内を照らしている。

少し薄暗いけど、十分明るさはあってお洒落なレストランだ。

ここは従魔も入れる店で、ルルも問題なく入れた。


「さあどんどん食べてくれ!アタシと旦那のおごりだよ!」


テーブルの上に次々置かれる料理。

ライリーさんが色々注文したものだ。

私はどういう料理かさっぱり分からなかったけど、目の前の料理に目が離せなかった。


匂いはすごく美味しそうな匂いだ。

匂いは良い、匂いは良いんだ。

ただ見た目が、見た目が花だ。

全部花、花、花である。

いや、私の世界にも食べられる花はあるよ?

ただ明らかに肉の匂いがするのに、見た目は可愛い花なのはどうなってるんだろう?

花から湯気がたっている。

あと、スープが青い。

青いスープの中の色とりどりの花が浮かんでる。


「あの、これ全部花に見えるんですけど・・?」

「そりゃこの国は花の国だからね!」


いやそういう意味じゃないんですけど。

そしたらヒューゴは小声で教えてくれた。


「この国の伝統料理なんです。どういう調理をされているかは一切不明なんですが、肉も野菜も全て花の形に調理されるんです・・。

魔物の肉もこの国で料理されると花として出てくるんですよ。俺もどうやってそんな芸当ができるのかさっぱりです。この国の極秘なんですよ・・・」


凄いな花の国!

肉をもろ花に調理加工ってどうやってすんの!?

補佐丸に聞けば分かるだろうけど・・。

・・・・・止めておこう。

極秘って事はどうしても秘密にしたいんだろう。

この国の伝統料理なら、尚の事大事な秘密に違いない。

そこまで詮索する気はない。

ただ、食べても大丈夫なのかが気になるところ・・。

それだけ補佐丸に聞こう。


『お答えするでござる。見た目が花として調理加工されているだけで味も栄養面も全く問題ないでござる』


問題なしか。

それなら安心だけど、でも勇気がいる。


「イクミ殿、遠慮しないで食べてください」

「美味いんだぜここの料理は」


皆普通にぱくぱく花を食べてる。

ヒューゴも大きな白い花をナイフとフォークで食べ始めた。

ルルも花にかぶりついてる。

・・・もう考えるのよそう。

異世界だもの、変わった料理があっても可笑しくないよね!

私は串に刺された赤や黄色の花の串焼きを一本取る。

匂いがもろ焼き鳥。

赤い花をかじってみる。


口の中に広がるのは、香ばしい匂いと肉汁。


「・・・美味しい!」


焼き鳥だ。

花だけど、弾力は鶏肉だ。

かなり美味しい焼き鳥の味だ。

見た目は可愛い花なのに、肉の味だ。


「こっちもおすすめですよっ」

「ですよっ」


双子達が取り分けてくれた花のサラダ?も食べる。

うん、レタスの味がする。

これはトマトかな?


「うん、これも美味しい!」


最初は戸惑ったけど、食べるとがぜん食欲がわいた。

青いスープも濃厚なコーンスープの味がした。

ヒューゴが食べていた白い花はステーキ味だった。

花の国フィオフルル、この国の伝統料理って色んな意味で凄い。

あとライリーさんもキーランさんも酒豪だった。

でかいジョッキに注がれたお酒をがぶ飲みしてる。

ヒューゴも普通にジョッキのお酒を飲んでる。

かなりいける口らしいなこれは。

大食いで酒豪、魔法使いとしてレベルも高く、おまけにイケメン。

ヒューゴのキャラ立ち凄いなほんと。


デザートは花を散らしたケーキだった。

これは普通に私の世界でも見た事がある。

切ったらスポンジに花弁がびっしりだったけどね。

でも味は美味しかった。

ルルなんかクリームだらけで食べてたもん(それがまた可愛かった)。

でも、凄く楽しい夕食だったな。

またこんな風に楽しい食事したいもんだ。


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