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第一話 王道パターンから始まりました


「聖女様!何とお美しい・・貴女様こそ、この王国に繁栄と幸せをもたらす聖女様です!」

「何という強い魔力・・!流石聖女様ですっ」

「どうかこのアムルート王国をお美しい貴女様の力でお救い下さい!」

「聖女様!」

「聖女様!」


この聖女と呼ばれているのは私ではない。

      

私の名前は日下部(くさかべ)いくみ。

14歳の中学2年生。

趣味は読書。

体系 平均より少し太め・・・。

自慢じゃないけど、私は昔から影が薄かった。

太っているけど、影が薄かった。

出欠で先生に名前をすっ飛ばされるのも日常茶飯事、遠足でバスに置いていかれるのも数回。

しまいには実の親に旅行先で置いてけぼりにされ、迷子になったり。

そんな影の薄い私だけど・・


まさか召喚された異世界でも、この影の薄さが効力を発するとは思わなかった!


朝、学校へ行く途中で突然地面が青白く光り出して気づけば、いかにも魔法使いみたいなローブ姿の人と巫女みたいな女の人数人に囲まれていた。

しかし彼らは私には見向きもしない・・というか全く気付いていない様だ。


彼らが聖女ともてはやしているのは同じクラスの藍原舞花(あいはらまいか)

そういえば私の少し前を歩いていたな・・。

要は私は彼女の召喚に巻き込まれたと言うわけか?

趣味が読書の為、よくある異世界転生とか異世界召喚は読んだ事あるけど、まさか私自身が、まきこまれ型の異世界召喚を経験するとは・・。

いや異世界召喚という王道中の王道な展開に、喜んでない訳ではないよ?

この場合、まきこまれた方は結構不遇な扱いを受けるけど、何だかんだでチートなスキルとか会得してて結構上手くやっていけるパターンだからね!

だからあまり巻き込まれた事にショックは受けてないけど・・。


てかこいつら、本当に私に気づいていないようだ。

藍原舞花も私には全く気づく様子もなく、むしろ周りに聖女様聖女様とちやほやされてまんざらでもないようだ。


藍原舞花。

同じクラスだけど、私はあまり話した事はない。

でも苦手なタイプだ。

だって彼女、ぶりっ子だもん。

確かに見た目はとても可愛い。

二重でぱっちりとした目で小柄でふわふわの髪で、見た目だけなら乙女ゲームのヒロインをやれそうだ。

しかし私は知っている。

クラスメイトや先生の前では優等生を演じてるけど、たまたま誰もいない図書室で、私が1人で本を読んでいた時だ。

影の薄い私に気づかず、彼女が図書室に入ってきて校内では使用禁止となっているスマホを使って、友達に先生やクラスの女子の悪口を話し始めたのだ。


あいつ××君の前でいい子ぶっててさぁ~すっごく腹立つ~とか、ぶりっ子って本当むかつくよね~とか・・。


いやいやお前の事だろう!?と私は頭の中で突っ込んだ。

腹の中ではこんな事思っていたのか・・女って恐ろしい・・・!と私は身震いした(同じ女だけどさ)。

彼女は私に全く気付く事はなかったけれど、以来私は彼女にあまり関わらないようにしている。

この時ばかりは自分の影の薄さに感謝している。


とにかく今の現状を纏めると


1、藍原舞花は聖女としてこの世界に召喚された

2、私はそれに巻き込まれた

3、呼び出した奴らは私に全く気付いていない


巻き込まれパターンにショックは受けてないけど、周りが私に全く目を向けないという現状には流石に呆れる。

異世界でも自分の影の薄さがここまで発揮されるとは思ってもなかったわ!

藍原舞花に至っては、ローブ姿の魔法使いが石板みたいなのを持ってステータスとか何とか言いながら素晴らしい!と連呼している(俗にいう魔道具というやつかな?)。

それに益々、藍原舞花は舞い上がっているようだ(舞という字が名前に入っているだけに)。


結局彼らは私に一切気付く事なく、さっそく王様の元へ参りましょう!と藍原舞花を連れて出ていった。

ぽつんと残された私。


「・・・・・・・・・・さて、これからどうしようか」


とにかく私は異世界物の小説を読んだ知識をフル稼働させた。

大抵は異世界に召喚されたら帰れないのがお約束だ。

この場合はどっちだろう?

・・・・・・・・・・・何故だか分からないが、帰れないパターンだと確信した。

どうしてだ?

う~ん・・・・。

・・・・・考えるのは後にしよう。


そういえば、あのぶりっ子を聖女と称えるこの国・・。

お美しいだの、強い魔力だの、この国をお救い下さい!と連呼する魔法使い達と巫女。

その割にはきらきらと金の刺繍やら宝石の付いたアクセサリーとか着けてたな・・。

これはあれだな・・・。


聖女とやらを利用するだけ利用して王国を広くしてやろうぜ!なパターン!


もしそれが当たっているなら、この城に留まるのもあれだ、良くない。


「よし、脱出だ!」


私は床に落ちていた自分のスクールバッグを肩から下げ、召喚の儀式?に使われたであろう魔法陣やらが描かれたその部屋から出た。

王様とか言っていたから、お城の中かな?と思っていたけど正解みたいだ。


広い廊下、赤い絨毯、壁には大きな絵が何枚も何枚も・・。

豪華すぎて逆に趣味が悪くないこれ?

角を曲がる時に王様らしき人の像があったけど、うん、やっぱり趣味が悪い。

あとこの顔は絶対欲深だ!


途中で兵士とかメイドらしき人がいたけど、影の薄い私には誰一人気づかなかった。

流石は私。

図書室で遅くまで本を読んでいた私に、先生が気づかず電気を消して鍵を閉めてしまっただけの事はある(スマホがあったから良かったけど)。


何とか外に出れた。

城の門を出るときも、普通なら見回りの兵士がいるだろうに誰もいなかったのでスムーズに出る事ができた。

この城大丈夫かい?


「さて、これからどうしようか・・」


てくてくと街を歩く。

セーラー服姿の私に、流石にちらちらと見る人もいたけど大抵は誰も私を気に留めなかった。

セーラー服なんて目立ってこの上ないのに、それすら凌駕する私の影の薄さ・・恐るべし。

とりあえず私は色々と試したい事がある為、なるべく人気のない場所を探した。



少し広めの路地裏に入って、人気が全くないのを確かめてから、私は一言唱えた。


「ステータスオープン」


これぞテンプレ!王道!!

異世界召喚物のお約束なステータスオープン!

あの魔法使い達もステータスがどうのとか言ってたから、使えるんじゃないかと期待する。


だが何も起こらない。


「そこまでお約束じゃないか・・」


がっくりと肩を落とす。

と頭の中に突如声が響いた。


『状態確認を行いたいのなら、状態情報確認と唱えるでござる』

「うぇえ!?何今の声!?」

『拙者は補佐役。主殿の疑問や質問相談事、何でも答えるでござる』


・・・・・何故にござる口調?

これは喋るタイプの、鑑定とか色々教えてくれるスキル、かな?


とにかく私は言われた通りにしてみた。


「えっと、状態情報確認?」


どどんと太鼓のような音が響いた後、目の前に紐で結ばれた巻物が現れる。

巻物の紐が解けると、中が開いて筆で書いたような文字が浮かび上がった。

いや、サウンド付き?巻物?何これ??

とりあえず文字を読んでみる・・。


【名前】クサカベ イクミ

【年齢】14歳

【種族】異世界の人間

【職業】忍者

【レベル】∞

【魔力】∞

【攻撃力】∞

【守備力】∞

【俊敏性】∞

【運】∞

【スキル】補佐役 万能忍術


・・・・・・・・・うん

とりあえず、状態情報確認、というのはステータスオープンという意味だろう。

そして、これらの数値を見て、自分がお約束のチートな存在だというのが分かった。

だって∞だよ?チート以外の何でもない。

ただ一つ、気になるのがある。


「忍者って何よ?」




====================


「うふふふ。始まったわね~。

リアル異世界召喚に巻き込まれたタイプのあの子の物語が!

創造神としての仕事は毎日退屈だから、これくらいの楽しみがなくちゃね~。

イクミ、これからどんどん楽しませてね~」


いくみはデブとまではいかないけど、体系はふっくらしてて胸も大きめです

身長は152位かな

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