第十四話 国へ向かう途中でギルドマスターに会った
第十四話 国へ向かう途中でギルドマスターに会った
ついに森を抜けた!
久々に木が並んでない風景だわー。
森を抜けた目の前に広がるのは、ねこじゃらしみたいな草がいっぱい生えた場所だけど。
膝までうもるくらい生えてるけどっ。
それでも風が気持ちよくて腕を思いっきり伸ばす。
んー、何か爽やかな気分。
でもここから更に3日歩くんだよなぁ。
「師匠、この草原を抜けると国へ続く道があります。そこへ行きましょう」
あ、ここ通らなくちゃいけないのね・・。
了解了解。
魔物の存在もないようなので、私達はねこじゃらし草原を進んだ。
一本抜いて肩に乗ってるルルに見せてあげる。
くんくん匂いを嗅ぐような仕草を見せたルルは小さくくしゃみをした。
ああ可愛いっ。
広い道に出た。
ここは馬車もよく通るらしい。
この道の先に目指す国があるとか。
これなら迷子にならずに済むね。
それから2日間、ひたすら歩いた。
魔物も出なかったが、馬車も通らなかった。
途中で分かれ道もあったが、目指す国はひたすらまっすぐだという。
そして3日目。
私は何というか、凄いものを見た。
バイクだ。
どでかいバイク。
まるで暴走族が乗っているようなでかいバイクが道の真ん中にあった。
ふっといパイプも付いてる。
そのバイクをかちゃかちゃと弄りながら、煙草を咥えた女の人もいた。
赤いロングの髪に、首からゴーグルを下げて上はビキニブラで下はショートパンツ、所々破れた黒タイツにブーツを履いたお姉さん。
すっごいナイスバディ!
まさにボン!キュ!ボン!!
おっぱいでか!
ウエストほっそ!
さらに超美人!
ヒューゴといいこの世界は顔面の偏差値高いのか!?
でもこの女の人、人間じゃない。
だって耳が凄くとがってるんだもん!
まさか・・・
『この者は妖精種族、エルフ族でござる』
やっぱりかあああ!!!
エルフ!
エルフなら美人でナイスバディも納得だけど!納得だけど!!
ちょっと・・いやかなりイメージが違う・・。
え、この世界ではエルフはバイクを乗り回してるの?
てか異世界だけどバイクあるの?
それがこの世界では普通なの?
ヒューゴは動じてない様子・・やっぱり普通なの?
「あれー?ヒューゴじゃん!」
いけいけなお姉さんはヒューゴの事を知っているようだ。
立ち上がると170センチ以上はある長身だった。
うわあああすごい細いいいいいい。
足も細いけど!太ももはむちっとしてて色気が凄い!
咥え煙草がまたセクシーだ・・。
ああいかん、エロ親父思考になってる。
ヒューゴは180はあるから私のちびさが余計に引き立つね・・。
「ライリー、ギルドマスターのお前がこんな所で何している?」
・・・・・・・・・・。
ギルドマスター!?
このいけいけセクシーボディのエルフお姉さんが!?
私の中のギルドマスターのイメージは筋肉もりもりのおじさんイメージだったので衝撃だった。
バイクも衝撃的だけどね・・。
「いや~ちょっと近くの村に用事があってな!その帰り道に相棒がスト起こしちまって!」
がははとバイク叩きながら笑ういけいけお姉さん。
うーん、姉御!と呼びたくなるさっぱり系だ。
「アンタはここで何してんのさ?」
「お前の国に向かう途中だ。師匠と一緒にな」
「師匠?アンタにそんな大層な奴がいたのかい?」
「ああ、この人だ」
「ん?どこ・・・・・・うぉおおお!?え、いつからいたのこのおちびさん!?」
お姉さんは物凄く驚いて私を見た。
影が薄い故、こんな反応はもう慣れてる。
でもヒューゴは顔をしかめた。
「おい。いくらお前でも師匠に無礼な態度は許さんぞ」
わあ頼もしいっ。
でも私は全然気にしてないから良いんだけど。
「・・・・はぁ~、アンタがそんな事言うなんてなぁ・・・」
お姉さんは上から下まで私を見た。
・・・お姉さんと私、並ぶと私の方が魔物みたいだ・・ははは(遠い目)。
「あ、あのはじめまして。イクミといいます」
「おっと!こりゃあ失敬失敬!アタシはライリー。
この先の国の冒険者ギルドのマスターやってんだ!よろしくっ」
お互いに握手する。
うん、この人かなり良い人だ。
私が他人に抱く第一印象はだいたい当たる。
「にしてもアンタ、スライムつれてるなんて変わってるね~?従魔かい?」
「あ、えーと。従魔というか面倒を見てるんです。赤ちゃんだからほっとけなくて」
肩の上のルルは不思議そうにライリーさんを見ている。
きっと私とヒューゴ以外の人を見て戸惑ってるんだろうな。
「へえ~。物好きもいたもんだ。
まあ危険性はないようだし、何を連れようとアタシが口出す事じゃないしね」
ライリーさんはぷにぷにルルをつついた。
ルルはちょっとびくっとしたが、私とヒューゴと約束したからか何もしようとはしない。
いい子だルル!
「お、結構可愛いじゃん」
にかっと笑うライリーさんに、最初は戸惑ってたルルも少し警戒がとけたようだ。
ライリーさんの指をつんつんしはじめる。
「こりゃあ連れて行きたくなっちまうねぇ~」
ルルの可愛さはライリーさんにも伝わったらしい。
そうでしょっルル可愛いでしょっ?
世の人は私を親馬鹿というだろうな。
でもルルが可愛いのは事実だもん!
「ライリー。俺達はともかく、お前は早く国に戻った方がいいんじゃないか?
ギルドの仕事があるだろう?」
「あっ!そうだそうだ!早くもどらねーと旦那に怒られちまうっ」
「結婚されてるんですか?」
「そうだよ。旦那は副ギルドマスターをしてんだ。アタシらは夫婦でギルド経営してるんだよ」
おー夫婦で。
夫婦でギルドをやってるって珍しい。
それともこの世界では案外普通なのかな?
「でもね~早く戻りたいんだけど相棒がすっかり拗ねちまってよ~」
相棒というのはやはりこのバイクの事らしい。
荷物を括りつけた大きなバイク。
最近、中々エンジンがかからないらしく修理に出そうか考えていた矢先に国に帰る途中で動かなくなってしまったようだ。
「国を出る前に修理すればよかっただろう」
「いや~旦那にも言われたんだけどなぁ。まだ大丈夫だろうと思って・・」
「そうやって先延ばしにするからこうなったんじゃないのか?」
「いや~・・・壊れるにしても国についたときに壊れてくれりゃー良かったのに、相棒も気が利かなくてまいったまいった」
「お前がめんどくさがりなだけだ」
ヒューゴ言うなぁ。
でもつい先延ばしにしちゃう気持ち、分かる。
早目に手を打てば何とかなったのに、ついまだ大丈夫って思っちゃうんだよね~。
根拠があるわけでもないのにね・・。
「でもこのバイク、綺麗に磨かれてるみたいだしとっても大事にしてたんじゃないですか?」
「お?分かるかいっ?この相棒とはね長い付き合いなんだ。
だから修理に出して、もし買い替えなんて言われたらと思うとどうもねぇ・・
この傷一つ一つに思い出もあるし」
なるほど。
その気持ちもすごく分かる。
長年愛用していたんなら尚更だ。
うーん・・・あっそうだ!
ねえ補佐丸、あの森の木とかを治した復活術でバイクを直せないかな?
『お答えするでござる。復活術は自然だけでなく無機物にも効果があるでござる』
よっし!
「あのライリーさん、良ければ私がバイク直します」
「えっそんな事できんの?」
「ライリー。師匠にできない事はないぞ」
いや、それじゃ私神様だよ。
ヒューゴの中の私はどんだけ評価が高いんだ。
「そこまで私は立派じゃないけど・・でも大丈夫だと思います!」
「でも直すって、魔法で直すとか?」
「魔法、とはちょっと違いますけど、でも任せてください」
私はライリーさんのバイクに手を翳した。
私は頭の中でイメージする。
傷一つに思い出があると言っていたから、外見は変わらずその機能が復活するように。
「忍法、復活術」
パアっとバイクが光った。
ライリーさんは驚くように見ている。
光はすぐに収まった。
補佐丸はバイクは完璧に直ったと鑑定してくれた。
ライリーさんはバイクをあちこち見ている。
「見た目は変わってないようだけど・・」
「あ、思い出があると言ってたんで傷とか外見はそのままで、機能だけ直したんです」
「そんな細かい事できるのかい!?」
信じられないといわんばかりのライリーさん。
半信半疑でバイクにまたがり、エンジンをかける。
ブオンとエンジンのかかった音が響いた。
「おお!?」
ライリーさんは声を上げ、首にかけていたゴーグルをかけて周りの平地を走り出した。
「すごいすごい!まるで初めてこいつに乗った頃みたいにスムーズだ!」
バイクを止めてライリーさんは私に駆け寄ると、両手を握られた。
「イクミ!!あんたすげーよっこんなすげー魔法使えるなんて驚きだ!!」
ぶんぶん腕を振られる。
な、何か照れちゃうな・・。
「当然だ。師匠は何でもできる」
だからヒューゴさん・・私に過大な評価するのはお止めくだせぇ・・・。
「何か礼をしないとな!」
「それなら、師匠はこれから国へ行って冒険者ギルドで冒険者登録を希望している。
色々取り計らってくれないか?」
「おおっそうなのか!よしっそれならアタシに任せとけっ旦那にも話つけとくよ!
ギルドについたら、アタシの名を出してくれ。アタシが直接請け負ってやるよ!」
任せとけと胸を叩くライリーさん。
ギルドマスター自ら・・!これはラッキーかもしれない。
「ついでに入国審査官にはアタシから話を通しておくよ!
そのスライムの事とかさ、審査官にあれこれ話すんの面倒だろ?
荷物検査も簡単に済むようにしてもらうよ」
「えっ良いんですか!?」
というかできるのかそんな事?
「遠慮すんなって!アタシの感謝の気持ちさっ。何たって大事な相棒を直してくれたんだからね」
「ありがとうございますっ」
それなら存分にお言葉に甘えよう。
「アンタらがつくのは夕方だね。じゃ明日ギルドで待ってるよ」
そうしてライリーさんは先にバイクで国へ向かっていった。
やっぱり良い人だぁ。
「あのライリーさん、随分顔が広そうだね」
「ライリーも元冒険者で、あの国でかなりの功績を上げたと聞きます。
ライリーのお陰で国が栄えたという者もいますから」
おお、結構凄い人だったんだねライリーさん。
まあ大型バイクを乗りまわすナイスバディないけいけエルフお姉さんという時点で凄いけど。
旦那さんはどんな人かな?これまた意表をつく相手かもしれない。
さて、国までもう少しだ!




