第九十九話 ドラシエル・マリーンの王様とお妃様
「イクミ殿であったな。お初にお目にかかる。私はドラシエル・マリーンの王、カレント」
「わたくしは妻のラリマーと申します・・・こんな姿でごめんなさいね・・」
「い、いえ・・・・・」
お城へと連れてこられ、いわゆる玉座に通された私達。
そこには渋い顔をした王様と、氷嚢を額に当ててふかふかソファーに横になっている綺麗なお妃様がいた。
「すまぬな。妻はランスロットの話を聞いて、貧血を起こしたのだ」
「あまりにショックが大きすぎたもので・・」
そりゃそうだろうなぁ。
普通に考えても、親としては息子がした事にショックを受けない方が可笑しい。
「イクミ殿には多大なるご迷惑をかけたようで・・申し訳なかった」
「いえいえ、とんでもないです!それで、王子様達は今・・?」
聞けばランスロットさんは自室で、コーラルさんとクララさんは別室で謹慎させてるらしい。
「我が息子とはいえ、王国の危機であるのにそれを放って乳繰り合っていたなど言語道断・・!それなりの処罰を検討している」
乳繰り合うって、凄い発言したな王様。
「まったく・・我が主がいなければ今頃どうなっていた事やら・・」
「ちょっとパテルさん!」
王様とお妃様に対して失礼な態度なパテルさんに、私は慌てる。
でもお二人は全くもってそのとおりだと頷いてた。
「ああランスロット・・。本当に何という事を・・・。でも一番ショックなのは・・実の息子に想い人がいたというのに、それに気づかなかったわたくし自身です・・」
「お妃様・・・?」
「科学が発達しているドラシエル・ボルケーノの王女との婚約が決まり、我が国はより発展すると喜びのあまり・・ランスロットの気持ちを全然考えていませんでした・・。ランスロットがこのような行動をしてしまったのも、わたくし達にも原因があります・・。それに関係のないイクミ様にまでご迷惑をかけて・・・ああ・・・・」
ふらっとソファに倒れ込むお妃様。
慌ててメイドの人魚さんが気付け薬を飲ませた。
「我が国では何よりもお互いの気持ちを尊重し合うべきという教えがありますのに・・国を治める立場のわたくし達がそれを怠ってしまいました・・。わたくし達もランスロット達と同様、罪人です・・・」
「ラリマー・・・」
ほろほろと泣くお妃様に寄りそう王様。
王様も、お妃様と同じ気持ちなのが見ていて伝わってきた。
お二人は、ランスロットさんの事をちゃんと愛している。
それがよく分かった。
でもお二人は国の頂点に立つ、王様とお妃様。
実の子供だからと言って、処罰を下さないつもりはないとはっきりいった。
「頼りない王だと思っていたが、やるべきことはきちんとやる王だったんだな・・」
ヒューゴは小さくつぶやいたつもりだろうけど、私の耳にはばっちり聞こえた。
「イクミ殿には3人の救世主達と同様に待遇をするつもりだ。どうかこの国でゆっくり体を休めてほしい」
「あ、ありがとうございます・・・」
お城の外からはヒューゴ達を称える住民の声がまだ聞こえる。
よく声が枯れないもんだ・・。
「ねーねー。ぎるどのおじさんにほーこくしなくていいの?」
あ、忘れてた。
私達、ギルドマスターに頼まれて調査してたんだった。
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