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密談

第3話 憤怒


マスターはマサさんに電話をかけてる。


いつも冷静なマスターが少し興奮してるみたい。


「マサ、ひょっとしたら見つけたかも知れない」


「見つけたって?」


「美和を殺した男の事だ」


「何だって?」


「ああ、まだ確証はないが多分間違いない」


「そうか・・・で、拳ちゃん、俺は何をすれば良い?」


「なあ、翔は今何をしてる」


「翔は独立して探偵事務所を構えてるよ。立派な探偵になった。翔の手を借りるのか?」


「うん、今回ばかりは失敗は出来ないからな。翔なら安心して組める」


「あぁ、翔なら俺も間違いないと思う。それに拳ちゃんを尊敬してるしね」


「俺は尊敬される値打ちは無い男だけどな。なぁ翔に連絡取ってくれないか? 出来れば一緒に二人で俺の部屋まで来て欲しい」


「わかった。拳ちゃん。直ぐに連絡取ってみるよ」


「悪いな、マサ。頼むよ」




マスターは電話を切ると大きなため息をついた。


マスターがため息つくなんて珍しいから、私は

「マスター、大丈夫?」って聞いたんだ。


マスターが突然

「明日香。明日香は幸せにならないといけないよ」って言うから


「だったらマスターが私を幸せにしてよ」って言った。


マスターは苦笑いして、それから真剣な顔になると

「ようやく俺にも決着を着ける時が来たのかもしれない。この件が片付くまで待っててくれるか?」って聞くから


「うん、待ってる。だからマスター、頑張ってね」って言った。


するとマスターは凄く優しい顔をして、私の頭を撫でてくれたんだ。


私はマスターの心の中は分からなかったけど、それでもとっても嬉しかった。



次の日の夕方


さっそくマサさんが翔さんを連れてやって来た。


「拳さん、お久しぶりです」と言った翔さんの目を見て、マスターは愛されてるんだなと思った。


マスターも翔さんに会えてとても嬉しそうだ。


二人には深い絆があるみたい。


私はちょっとだけ嫉妬した。


翔さんが私を見て

「拳さん、ずるいですよ。こんな綺麗な人と暮らしてるなんて」って言ったから、私は照れてしまった。


だって翔さんはとってもカッコ良いんだよ。


顔も身体も。


優しいし、面白いし、何より謙虚だ。


私のどストライクだ。


健太さんやマスターに会う前ならきっと好きになってた。


でも今ならわかるんだ。


人生で本当に好きになれる人はたった1人か2人。


だから本当に好きな人が出来たなら大切にしないといけない。


マスターは間違いなく私の大切な人。


翔さんはどうなんだろ?


多分違うと思う。


だって今の私にはマスターがいるから。


時として人は自分の心さえわからない。


私は健太さんへの想いは本物だと思ってた。


だけどそれは本物だけど恋愛じゃなくて親子の愛情だった。


お母さんは凄い。


健太さんは人生で唯一の人。


健太さんだけを愛してる。


「私には健ちゃんしかいません」って別れて20年以上過ぎても言えるんだよ。


会ってもいないし、連絡も取って無いのに。


お母さん・・・凄すぎ。


私はマスターへの愛情は本物だと思っているけど、どうなんだろ?


私は愛してるけど、愛されてる自信はまだ無い。


だってマスターの心の中にはまだ誰かがいるみたいだから。


私はそれでもマスターが好きなんだ。




マスターはマサさんと翔さんで奥の部屋で長い間話し混んでた。


私は仲間に入れてもらえなかったけど、それはしょうがないのかな?




--------

--------



マサ

「それで拳ちゃん、見つけたって?」


マスター

「見つけたってゆうか現れたんだ。翔、まずこの写真を見てくれ。」


「これは? 明日香さん・・・じゃないんですか?」


マサ

「そうか。翔でも見間違える位なんだ。これは美和さんだよ。拳ちゃんの奥さんだった」


「えっ、だってそっくりじゃないですか?」


マスター

「うん、良く見れば所々違うんだが雰囲気や体型なんかは良く似ている。その明日香が昨日ある『男』に突然言われたそうだ。『お前は何故生きてる。お前は俺が殺したはずだ』と」


「じゃあ、その『男』は明日香さんと美和さんを間違えたと言う事ですか?」


マスター

「そうだ。つまりその『男』が美和を殺したと言う事だ。そして先週は直ぐ近くの道で若いOLが殺害された。多分その『男』の犯行だと思う」


マサ

「だったら明日香ちゃんが危ないんじゃ?」


マスター

「ああ、だから明日香を守る為、そして美和を殺した『男』に復讐する為に俺に力を貸してくれないか? マサ、翔」


「当たり前じゃないですか。何でも言ってください。俺、拳さんの為なら何だってしますから」


マサ

「ようやく敵討ちが出来るな。拳ちゃん」


マスター

「ありがとう。でも明日香には内緒にしていてくれ。命を狙われてる何て知ったら平静では居られないからな」


マサ

「わかってるって」


「俺、口は固いですから」



--------

--------



私は食事の世話をしたり、お酒のあてを作ったりしてたけど、私が部屋に入ると会話は止まる。


マサさんも翔さんも私に気を使って

「もう帰るから明日香ちゃんは休んでて」って言ってくれるけど話しは終わりそうになかった。


深夜になってようやく話しは終わったようだ。


マサさんが

「長居してごめんね」って言ってくれた。


翔さんは

「明日香さんの料理とっても美味しかったです」と最高の笑顔で言ってくれた。


その時私は翔さんはモテるんだろうなって思った。


マサさんと翔さんが帰った後マスターが

「翔は気持ちの良い男だろ? 俺の息子みたいなもんだ」って自慢そうに言うんだ。


その時のマスターの笑顔は本来の笑顔のように思えて、再び翔さんに嫉妬してしまった。


数日後、あんな事件が起こるなんて、その時は思いもしなかった。


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