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女子トークという名のただの愚痴(前半はリウィア視点で後半はアベル視点です)





「お父様は一体何がしたかったのよ」


 リウィアはぷんすかふくれていた。


「さぁ?」


 ファニーは紅茶のポットを傾け、リウィアのカップにこぽこぽと液体を注いだ。


「もうっ!お母様を愛してるのにカーラと結婚するなんて信じられない!」


「確かにおかしいですね」


「アベルなんて気安く結婚してなんて言ってくるし!何が水の精霊(ウンディーネ)の血の所為で人を誘惑するんだねっだ!私がいつ誘惑したんだー!!」


「まぁ!プロポーズ!素敵じゃないですか!?」


 キラキラした目でファニーは見てくるが、そんなんではないから!


水の精霊(ウンディーネ)を知った男は水の精霊(ウンディーネ)を娶らないといけないみたいよ」


 ファニーは明らかに落胆した。


「なるほど、それで旦那様もラエティティア様と結婚したと思うとなんとも言えませんね」


「本当よね!結局、愛だの恋だのよく分からん!」


「まぁ。結婚してから愛が育まれることもあると言いますし、アベル様と結婚してわ?」


「いやそれは、水の精霊の前での建前だけの話だから。第一アベルと結婚だなんてあり得ないから!」


「えー。何がいけないんですか?アベル様ってすっごく人気ですよ〜。エッディンの年頃の娘はほぼアベル様狙ってますし。そりゃあ、私たちが抱いた第一印象は美少女でしたが、今はイケメンでしょ?」


「いやいや。みんな容姿に惑わされてるだけよ。中身は意地悪で弱気な男よ」


「え?でも優しくて誠実ですよね?」


 意地悪で弱気なところを否定しないファニーに内心驚く。


「元恋人が3人もいて誠実とか笑わせるわ!」


「あーなるほど!それで怒ってらっしゃるんですね!でも最初の方はご自分が勧めたのでは?」


「…あれは、女性が告白したんだから、恥をかかせちゃ駄目とは言ったけど、付き合えとは言ってないわよ〜!」


 うえーんとリウィアは泣きたくなった。


「後悔してるんですねぇ」


「違うわよ!アベルのくせに〜!」


「俺が何?」


 突然、アベルが現れたからファニーも私もギョッと身体を仰け反らした。


「べ、別に〜。只の女子トークよお気にせずに」


 ほほほほと私は誤魔化した。だが、


「あの〜。つかぬことをお聞きしますが、アベル様はお嬢様にプロポーズしたそうですが、本気じゃないのですか?」


 この裏切り者〜!!とリウィアは内心ファニーを呪った。


 アベルを伺うと冷めた顔だ。


「あれは本気じゃないよ。リウィアだって本気じゃ困るでしょ?」


「そ、そうよ。全くファニーは何当然のことをきいてるのよ」


「そ、そんな〜」


 何故ファニーが悔しがるのだ。私はむしろ安心したよ。ちょっと複雑だけど...。



(ここからアベル視点です)



 こっちはヒヤヒヤして急いで駆けつけたのに、女子トークとか全く呑気なものだなぁ。


 アベルは何やらまた話し出したリウィアとファニーをひとまず置いといて、部屋の窓の近くに立っているファニーの旦那に声をかけた。


「怪しい人影はいませんでしたか?」


 ガタイが良く筋肉隆々な男は、いたとハードボイルドな声で答えた。これは是非目指したい分類だ。筋トレ頑張ろう。男は窓の外を顎でくいっと示した。


「そこに1人。あれは下っ端だ。もっと離れた場所に指示してる奴がいる」


 すごいここまで把握しているなんて、是非師匠になって欲しい。


「何か動きはありました?」


「特にはないな」


 あちらが動かないのなら、こちらも知らないふりを決め込んだ方がいいな。


「俺はリウィアと王都へ迎うので、奥さんと一緒に伯爵邸に行ってください。どうか姉と甥を守ってやって下さい」


「わかった」


 ひとまず方針を練ったので、リウィアにも呼びかけたが、まだ話に夢中みたいだ。


「くぅー!生まれ変わりを待ち続けるとかもう、素敵じゃないですか!どこの恋愛ファンタジーですか!」


「そう?記憶が無いのに生まれ変わりってだけで、また恋できるとは限らないじゃない」


「なんでそんなに冷めてるんですか!アベル様に振られたからですね?」


「なっちがっ」


「お嬢様〜。その生まれ変わりに記憶が無いのなら、お嬢様に惚れちゃったりして。人生案外捨てたものじゃありませんよ」


 この2人本当仲良いよね。ファニーがどんどんお節介おばさん化していくのが残念だ。


「だー!もう!私は大体、結婚するつもりなんてないわよ!」


 リウィアのこの台詞にはぎょっとして、思わずきいてしまった。てっきり普通の女子のように結婚に憧れがあると思っていた。


「なんで?」


「えっ?えーと、それはその。私は男の人が苦手なのよ」


 それは知ってた。男の前では強がって頑張っているが、内心逃げたいんだよなと感じていた。まあ、酔っ払うとちがうんだけどね。


「大丈夫な人もいるかもよ?」


 自分が言っといてなんだけど、ちょっともやっとした。


「私の話はもういいからさっさと捜しにいくわよ!」


 リウィア達が盛り上がってたんじゃんと突っ込みたいが我慢した。






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