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火の精霊は役に立つ?

 


 あっどうも、黒い木の魔物の足(?)をぎこぎこと剣で削る作業をしてますリウィアです。コイツらじっとしてくれなくて切るの大変なんですよ。ウィルが伸びる枝をカットしてくれて助かるわ〜。おかげで黒い木の部分が元の色に戻ってきた。あーこういう時に火の精霊が欲しくなりますね。火の魔法でゴゴゴゴゴッと燃やしてほしい。やばいぐらいほしい。


 という事で提案です。噴火口にある試練の場所に突っ込んで行き精霊に魔物退治を協力してもらう。リウィアにしては良い案だと思う。どうだろう?


 かわってセルウィルスことウィルがお答えします。むやみにサラマンダーの住処に行けば攻撃される。簡単に説得できるほど、陽気な連中じゃない。サラマンダーは馬鹿に見えるけど、戦闘狂だよ。リウィアちゃんみたいだね(笑)


 えーリウィアに戻りました。ウィルの出番だよ! 行ってフルボッコにされてきて! ドMにとって最高でしょ? (笑)


 俺は死にたがりじゃない。お姉さんの鞭で死なない程度に痛めつけられるのが好きなの! わかる? わかるよね!?


 ドカーーン!


 !? ねえちょっと!? サベラ何俺に銃撃ってるの!? 髪の毛焦げたよ!? え? わかんないって? それがいいたかっただけなんだ……。うふふふふ


 き、気持ち悪い……。うがっーー!!


 リウィアちゃんやめてー!俺まで斬らないでー! 死んじゃうー!!




「我が名はフリッツ。水の精霊の使い手なり。怒り哀しみ苦しみに染まりし力よ。滝の如く激しく海の如く寛大なる聖なる水の力となれ てめえらー! 真剣にやれ!!」



「「「あいっさー!!」」」




 * *



「うてーー!」


 戦艦の甲板では女王の指示が飛ぶ。大砲の音が響いた。


 ズドッーン!!


 じんじんと痛む片足を我慢しながらアベルは甲板へと階段を駆け上がる。潮風が強くて髪や服がはためく。


「エリザベス女王!! どいうつもりですか!? 今すぐロマネの人を解放して下さい!! 今ならまだ間に合う!!」


 水軍騎士達が俺の行く手を阻む。女王は黒い喪服を着ていた。黒いレースに隠された顔に慈悲深い女神のような微笑みを浮かべる。その視線は陸に向けられていた。


 ロマネ人を庇うように前に広がる何千の兵と騎士達。女王はロマネ人を囮にするように命じたのにそれを庇うとは王命に背く行いだ。


 ーーなのに何故女王は嬉しそうに笑ってるのだ? まるでそれを望んでいたようだ。


 女王はぽつりと呟いた。


「美しい」


 優しい眼差しは母のようで、母なる海を思わせる心で自国の民を見つめている。どうやら騎士や兵が女王の命に逆らってまで罪なきロマネ人を犠牲にしたくないらしい。そんな自国の民の美しい精神に感動した女王であった。


 フレンス反資本主義派の攻撃は収まらずに次々にバラントの戦艦は大砲を受け死傷者を出す。この戦艦に目をつけた敵艦が迫って来る。それに気づいた女王は「あの船に近づけよ!」と命ずる。


 女王の肩にひょこっと現れたサラマンダーは「どうするんだ?」と女王の顔を覗く。


「手を貸しなさい」

「おいら? おいらがやっちゃっていいのか?」

「ええ。思う存分に暴れなさい」

「おうよ! 燃えるなぁ!」


 サラマンダーが姿を消し、敵艦に近づいた瞬間に飛び移り帆や甲板をメラメラと燃やした。こっちに飛び乗ってきた敵の水兵をアベルと水軍騎士達が迎え撃った。


 ーー剣がないし! 手錠なんですけど!


 振り上げ振り落とされた剣をどうにか手錠で食い止め、敵の懐に入り腹を蹴る。次に飛んで攻撃してきた敵の剣を避けて甲板にのめりこんだ隙に横っ面を蹴飛ばした。


「鍵!!」


 ーー誰かこの手錠外してー!


 見た目が天使のくせに意外に強いアベルであった。ちなみに皆さん敵の対応で忙しいのでアベルの叫びは無視された。


 サラマンダーがすごく活躍した。敵の戦艦に近づくたびに飛び乗り燃やすという作業を繰り返すうちに敵艦が残り一隻となった。


 フレンス反資本主義派は撤退を余儀なくした。一隻は背を向けて去っていった。


「俺たちの勝利だー!!」


 水軍騎士の1人が勝鬨を上げる。皆嬉しそうに笑い泣く。見事にバラントが勝利した。うわー! と勝利の喜びを皆で分かち合った。アベルもそれに巻き込まれた。手錠は外してもらえなかった。


 だが、それも束の間のことで、新たな敵が陸に迫ってきたのであった。


 女王は珍しく焦った声で「皆直ぐに陸に向かいなさい!!」と命ずる。


 陸を見ると黒い人の様な物、魔物がうじゃうじゃと海の中から波に打ち上げられて騎士と兵に迫ってきたのであった。



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