身支度
少し手直ししました。
ロマネ国への旅の前に、リウィアは服を仕立ててもらうことにした。旅をするにはスカートとだと動きづらかったり、女だと侮られて盗難にあったりするので男装であるズボンにすることにした。
そこで男装と言えばこの方!サベラに相談した。「良い店知ってますよ〜。いつもそこの着てます」という事で男装の名人の紹介で仕立て屋がクレイ伯爵邸に訪問販売にきた。
眼鏡の基本の形オーバル型の赤い眼鏡をした紫色のパーマの男だった。上下ヒョウ柄のスーツの格好をリウィアは見て「帰ってもらっていいですか?」と半眼になった。
今更だけど、既製品でいいのだが。女性用のズボンって既製品で売ってないのよね。男性用でもサイズは合わないだろうが裾直しをすれば良い。うん絶対その方が目の前のパーマよりいいわ。
サベラが「まあそう言わず。こう見えても、センスいいですよ」と窘めた。
やはりサベラもこのパーマ男の格好は変に見えた様だ。よかった!私がおかしいのかと思った!
「でも、女性じゃないし!」
仕立てるのに採寸は必須なので、男性だと困る。
「あら?身体は男だけど、心は女よ?」
パーマはオカマでした。
「え?あ。すいませんそうでしたか」
リウィアは女性だと聞いて謝った。
ん?まてよ。そういう問題か?
「大丈夫よ。あたし男にしか興味ないの。貴女の裸なんて全く興味ないわ」
パーマはウインクした。
そっかぁ。...そっかぁ。まぁ、私の裸なんて興味ないわよね。せっかく来てもらって悪いし、サベラも大丈夫だって言ってるし、信じることにしよう。
「よ、よろしくお願いします」
深々とお辞儀をした。
「ええ。もちろんサイコーな服を仕立てるわ!」
「普通でいいです」
「普通って何⁈あたしの辞書に普通って文字は無いわ!」
...大丈夫かな。ド派手にされないわよね。
それから1週間後。服が出来上がった。
パーマは服の入った紙袋をリウィアに押し付けて「着て見せてちょうだい!」と眼鏡を輝かせた。
リウィアはセンス大丈夫かな?と半信半疑で滞在してる客室でファニーに手伝ってもらいながら着替えた。
こ、これは!?
服は上から下まで一式揃えてあった。チェック柄のキャスケット帽と蝶ネクタイとジャケット。白のシャツと靴下。茶色のベスト。ダークグレーのズボン。黒い革の靴、ベルト。リウィアと同じ焦げ茶色のショートのウィッグや、胸を潰すさらしまである。
着替え終えて鏡に映る自分を見て驚いた。
誰この男の子?!そして普通にオシャレ!商人のお坊ちゃんて感じ!
「着替えれたかしら〜?」
扉の外側からパーマが声を掛けた。預かってる子供達の声もガヤガヤ聞こえる。
因みに生贄にされた子供達10人のうち7人は里親が見つかり邸宅にいるのは3人になった。
「はい!入っても良いですよ!」
ガチャッとパーマは扉を開いて中にスタスタ入ってきた。リウィアの姿を見て満足気ににやりとした。子供達もきてリウィアの姿に「おー!」とやら「誰?」と騒ぐ。
「ふふふ。頑張って作った甲斐があったわ!新しい自分に出会った感想をどうぞ!」
「普通に凄いです。びっくりです」
パーマの感性は驚く程普通に良い。パーマはピクリと片眉を上げてリウィアにいちゃもんつけた。
「だから、普通って何!?いいの?悪いの?」
「凄く良いです」
「ならよろしい!因みにねその靴には仕掛けがあるの。片っぽちょうだい」
なんだろうと片っぽ靴を脱いで渡すと、パーマはちょちょいといじりつま先部分から刃がシャキーンと生えた。
えっ!それはもしや武器になるの!?
「これはね。良く切れる刃よ。旅って色々物騒だからね。靴職人に頼んで仕込んでもらった特注品よ。ロッククライミングにも使えるわよ」
「便利ですね!」
「その服はね伸縮素材を使ったから、動きやすいわよ」
試しに屈伸してみる。スムーズに屈伸できた。
「本当だ!」
「防水加工もしてるから雨とかで濡れても平気よ。あとその服頑丈だから、刃物で切られても破れないわよ」
リウィアは感動で打ち震えた。
こんな素晴らしい仕事をする人を疑ってたなんて自分が恥ずかしい!
「パーマさん本当にありがとうございます。センスを疑ってすいませんでした。この服は家宝にします!」
パーマはふふんと鼻を鳴らした。そして、はっと気付く。
「誰がパーマよ!?」




