アベルの秘密
アベルは懐かしい夢を見た。
そこは神々の住む世界。人々から離れた神々がのんびりと人の様に暮らしている。
その世界に誕生して、10年は経った頃、アベルは人間の10歳児の様な体格をしていた。知能も人間と変わらなかった。髪は今と同じプラチナブラウンで肩よりも長く、瞳は少し明るめなコバルトグリーン。神々が身体に纏うのはトガという一枚の布を身体に巻きつけ着る衣装だ。
子供はアベルしかいなかった為、一人で釣りをして遊んでいた。神々の世界には危険などないから、心配して付いてくる大人もいない。
澄んだ川の水は清らかで、飲み水にもなる。緑に囲まれて、綺麗な川で釣りをする。時折、リスや鹿がアベルに近寄ってきて撫でろと催促するので優しく撫でてあげた。とても穏やかな時間だ。
そんな時間をずっと過ごせたらいいなと思ってた。
日が暮れて小さな魚が入った桶を落とさないようにしっかりと抱え家に帰った。魚が釣れて嬉しくってお母さんとお父さんに自慢する。
「お母さんお父さん!今日は釣れたんだよ!」
アベルと同じプラチナブラウンの髪にコバルトグリーンの瞳の母親は均整のとれた美しい肢体を屈めアベルに目線を合われると微笑んだ。
「よくやったわ。やれば出来るじゃない」
「頑張ったよ!もっと褒めて!」
「偉い偉い」
頭を撫でてもらい、アベルは喜んだ。次はお父さんに褒めてもらおうと隅に立つ父に駆け寄る。
「見てよお父さん!」
姿はアベルと母のように人型なのは変わらないが、父の背中からは大きな白い翼が生えている。短い金髪にがっしりとした体格の父は眉間にしわを寄せる。
「私のことを父と呼ばないで頂きたい」
「うん。わかったお父さん!」
「そうではなく、元は人であった私が貴方様の父だとは恐れ多いのです」
「でもお父さんはお父さんでしょ!」
「……」
父は掌で顔を覆い困ったようにはーとため息をついた。母が近づいてきて、いい加減諦めなさいと父の肩をポンポンと叩いた。
「...分かりました。では父として、意見させてもらいます」
父は堅苦しい性格で大変だ。もっと気楽に生きればいいのに。
今度こそは褒めてくれると続く言葉に期待したのだが。
「たかだか一匹で褒めてもらおうなどとは情けない。たとえ沢山とれたとしても、自慢などせず自分の中だけで納得しなさい」
この言葉にアベルも母も目を丸くする。子供にはあまりにも厳しすぎる言葉だ。素直に褒めればいいのになんて頑固親父なんだ。
「上部の褒め言葉など聞いても虚しいだけです」
「...私は上部で言ってないのだけど?」
喧嘩を売られたと勘違いした母は笑みを浮かべている。が、額に青筋を立ててる。
「知っています。私の主人は、常に平等で公平で対等です。素直とも言いますね」
「バカにしてる?」
笑顔を貼り付けた母は父に詰め寄る。
アベルは厳しい父と不機嫌な母が嫌で隣の部屋に逃げた。幸いにも気づかれなかった。
母が平和の女神で、父は母に仕える天使だ。父はああみえて、母にべた惚れだ。あの会話も結局は父が母をべた褒めし平和に終わるのだ。それまでの過程が不穏すぎるのだが。
父のせいで母に魚を調理してもらえない。神は食事がなくとも生きれるが、毎日の習慣にしているため、食事をとらないと物足りないのだ。
気を紛らわせようと外に出ると、5人の天使を引き連れた戦女神が現れた。女神の長いブルネットの前髪から覗く金色の目は冷たくアベルを見下ろした。
「アストレアはいるか?」
冷ややかな声に恐怖を覚えた。固まるアベルに女神は舌打ちする。女神の横にいた男の天使が慌てて宥める。
「まあまあ。そうカッカッしないで下さいよ。相手は神様とはいえ子供ですよ」
「...邪魔するぞ」
女神は宥める天使もアベルも無視して、家に入った。アベルも後に続こうと思ったが、身体が恐怖で動かなかった。
「あらいらっしゃい!うちの子見なかった?」
家の中から母の朗らかな声が響く。あの女神の前でよく平気だよねと感心した。母と戦女神は異母姉妹で交流もそれなりにあった。
「...そんなことよりも大事な話がある」
「そんなことだなんて酷いわ」
「…扉の外だ」
扉から母が現れ、固まるアベルをそっと抱きしめた。母の体温は温かくて、恐怖で強張った身体がほぐれていった。
「よしよし。怖い大人ばかりで嫌ね。貴方は見習っちゃ駄目よ」
背中をさする手はどこまでも優しかった。ホッとしたら、涙が出てきた。それを見た戦女神はばつが悪そうに謝ってきた。
「怖がらせて悪かった」
「もぉ本当にね!」
母はぷんすか怒った。頰を膨らまして怒る姿は父に怒った姿よりもだいぶ子供っぽい。多分、戦女神は自分の非を認めたから母はそこまで怒ってないのだろう。父は頑固というより鈍いから、非を全然認めない。だから父のときの母の怒りは凄まじいのだ。
アベルと母が落ち着き、家のリビングで戦女神の話を聞くことにした。
テーブルを挟んで椅子に座るのはアベルと母と戦女神。父と他の天使達は遠慮して立っている。
アベルは大人達の話し合いは退屈そうで遠慮したかったが、父が勉強として聞いときなさいと言うので従った。
戦女神は正面に座る母の顔を見て静かに話し始めた。
「つい先ほど、冥王から遣いがきた。内容はあの計画の結果だ」
「…ついにこの時がきたのね」
母は緊張した面持ちだ。
冥王は死者の魂が集まる冥界の神さま。アベルの母の伯父だ。
あの計画とは、詳しくはわからないが人間界に漂う瘴気を精霊の能力で一掃する計画だそうだ。
10歳の頃は分からなかったが今のアベルには勇者と精霊使いの救済の旅のことだと分かる。
「人間界の様子から計画は成功だと冥王は予想したのだが…実際には少し違った」
人間界から去った神は人間界に行くことが出来ない。だから、母も戦女神も人間界の事は冥王から聞く他手段がない。
戦女神は複雑な表情で話し続けた。
「瘴気を一掃させる前にトラブルが起きた。お前の元眷属が魔王化する際に意識を手放し、水の精霊使いの魂の一部を消滅させた」
眷属とはその神様に遣える天使のことだ。元眷属ということは、天使から人間に戻ったということ。
闇の勇者は元天使だったのか!
しかも戦女神の口調からして、魔王になることは想定内でステファンの魂の一部が消滅した事が想定外。
元眷属を魔王に仕立て勇者に殺させるとは非情で残酷ではないのか?人間の事をとやかく言えないのでは?
神々は清廉潔白なイメージだったが、それが崩れ落ちた。母は違うよね?そんな事ないよね?
母に尋ねようとしたが、母の真剣な表情を見て言葉を引っ込めた。
「人間の魂は私たちよりも死に慣れているから丈夫なはず。なのに消滅って...」
母は悲しそうな目をしていた。戦女神は眉間に皺を寄せて母を見る。
「またしても予想を裏切る。それが人間か。私たちの手にはおえんな」
人間の魂の消滅が余程この女神たちに衝撃だったようだ。しかし、瘴気の所為で魔王化したのに何故人間を責めるんだ?そもそも瘴気とはなんなのだ?
怖い顔の戦女神は怖かったが、勇気を出して声を絞り出した。
「瘴気の所為でみんな困ってるのになんで人間が悪いみたいに言うの?」
戦女神は意外そうにアベルを見つめる。
「アストレアが話したのか?」
アンゲラに聞いたのだが、今はそんな事どうでも良い。
「瘴気って何?」
母は泣きそうな表情で話し始めた。
「...瘴気とは人間の悲しみ怒り、そして私たち神への憎しみと失望の怨念。それは人間界に漂っていても自然に消えるものであったけど、ある事がきっかけで瘴気は爆発的に増えた。それは人間界を狂わせ神を消滅にまで追い込むエネルギーとなった。私たちは瘴気には勝てない。瘴気を消滅させるのは人間にしか出来ない。だから、私たちは少しでも瘴気を生み出さないように神を愛して欲しいと人間に願っているのよ」
「人間が瘴気を生み出すだなんて…」
神々が人間と距離を置いた理由がわかった。神々は自分を消滅させる瘴気が、何よりそれを生み出す人間が恐ろしいのだ。
「それで人間は瘴気の消滅に失敗したということ?」
母は戦女神に問う。
「今はまだなんとも言えない。天空神と海王神が魂の修復をするようだから、その結果待ちだな」
天空神はアベルのお爺さんで海王神がお爺さんの兄。人間には神々が全員去っていったと伝わっているが、この二神は人間界に残っているのだ。
「...そう。人間を消すために残った神が人間を救うだなんて皮肉ね」
天空神と海王神はいざという時のために人間を滅ぼすという目的のために人間界にいる。
「それは少し違う。人間に安らかな永遠の眠りを与えるのだ。我々は人間を救うのだ」
戦女神は己の発言に自信と誇りを持っている。
「人間からしたら死ぬのと一緒のことよ。私は絶対に反対よ」
母は戦女神を睨む。戦女神は母の視線を好戦的な眼差しで受け入れた。
「そうだな。お前は平和の女神なのだからそうでなければな。しかし、お前が苦しんで尽力した計画でさえ人間は上手くいかないのだ。もう見捨ててはどうだ?」
「...まだ失敗とは限らない。人間には沢山の可能性がまだまだある。私はそれに救われて今の私があるの」
アベルは母が嬉しそうに話した人間界の話を思い出した。
母は神々の世界に戻る間際、瘴気に蝕まれ正気でいられず人間に酷い仕打ちをしていた。瘴気を人間に取り込み、その人間を愛する者に能力を与え殺させるというものだ。瘴気の効率的な消し方だが、あまりにも非情で冷徹な方法だ。
それを止めたのがエリスだ。のちに聖母や魔女と言われる。瘴気をエリスは自分の中に封じ込めた。特殊な血筋だから出来た芸当で普通なら瘴気に蝕まれ魔人化する。エリスは神を心から愛する人間だ。その愛は瘴気を溶かし、瘴気に蝕まれた女神の正気も取り戻させた。
母はエリスの寛大で偉大な愛に感動した。だから、精霊というプレゼントをエリスに渡して、神々の世界に帰ることができた。
母はエリスの事を思い出し、柔らかく笑った。戦女神は少し気に食わないのか、微妙な顔をした。
「お前を救ったエリスか。私もあってみたいものだな。ちょうど一人空いたしお前の眷属に出来ないのか?」
母は首を横に振った。
「あの子の帰りを私は待ってるわ。エリスもきっと眷属を辞退する」
あの子とは元眷属で闇の勇者のバラント初代女王の事だ。
母の微笑みは全てを優しく包む女神の微笑みだった。
戦女神は渋い顔をして、机に方肘をついて手の上に顎を乗せる。目線を母にむける。
「そいつだが、光の勇者が気になってまだ眷属に戻りたくないとか言ってたそうだがいいのか?」
「まだならいいわ。いつか戻ってくれるもの」
母は想定内だったのか驚きもしなかった。
「お前を見ていると私が愚かに思えてくる。もう話は終わりだ。邪魔したな」
戦女神はそう言うと天使を引き連れ去って行った。
アベルはおっかないのが消えてホッとして机に突っ伏した。
疲れた〜
すると母がアベルの正面に座り、机に広がったアベルの長い髪を撫でた。
「ふふふ。サラサラ〜」
アベルの長い髪で遊び始めた母はまるで子供のようだ。
「何してるの?」
母の好きにすれば良いと、体勢はそのままにした。
「あら?いつの間に髪を切ったの?」
何のことだと髪を掴むとアベルの髪は短くなっていた。
でも、元々短い。
「何を言ってるの?一年前から切ってるよ」
背筋を伸ばして母を見ると、ニヤリと笑っていた。
「あらあら、貴方どこにいるの?」
コバルトグリーンの目はアベルを見透かす様に見つめていた。
「どこって。これって夢だよね?」
てっきり過去の記憶を思い返した夢だと思っていたが違うの?
「ここは私の夢。でも貴方の夢でもあるのね。貴方は今人間界にいる。違う?」
母も夢を見ている。お互い夢を見ている。不思議だけど、神ならできるかもしれない。
「そうだよ。人間界にいるよ」
「当たりね。それにしても、随分魂が疲弊してるじゃない」
人間界かどうか聞く時点で目の前の母は同じ時間軸なのか疑問だ。果たして俺の状況をちゃんと把握しているのか?
「俺の状況がわかるの?」
母はまじまじとアベルを観察する。
「俺だなんて格好つけて、少し生意気になったわね。貴方が人間界にいるってことは計画が失敗しているわね。貴方が人間を消すかどうかの審判中ってところかしら?」
俺と自分を呼ぶのは確かにカッコつけであるので認める。
母はアベルがまだ人間界にいない時間軸にいるそうだ。
「そうだよ。あと、ついでに眷属を探し中」
神と人間は密接な関係だ。神が一体生まれると人間の魂が何千万と誕生する。逆に神が一体消滅すると誕生した何千万の人間の魂が消える。
神は自分が生まれた事により、誕生した人間を天使にして眷属にする事が出来るのだ。ただし人数制限がある。
「どうやら、記憶が元に戻っているようね。お母さんなら不思議ちゃん発言をしないように記憶を封じるはずなのに」
母がはーとため息をつきアベルもつられてため息をした。
自分が神様とか言い出したら周りがひくか怒りだすよね。最悪の場合、神を騙る不届き者だと処刑される。
記憶は元に戻らない方が楽に生きれた気がする。女王に勘付かれることもなかった。
「これには色々事情があるんだけど聞きたい?」
精霊関連で記憶取り戻したので、言っても人間にかかわらないと願う。人間の弁解は思ったよりもずっと難しい。
「貴方が言いたくないならいいわ。それよりもその状態が深刻になれば消えるわね」
言いたくないので言わないどこう。
魂が消えるってことかな?確かに気分が良くない。特に首のあたりが腐りそう。
首を抑えて、椅子にもたれた。アベルは気づいてなかったが成長した現在の姿に戻っていた。
「首に瘴気がついている。私も貴方もどうすることもできない」
これが瘴気だって!?あの女王はもしかしたら…
「神さまが嫌いで嫌いで仕方ない人ってさなんで関わりのない神さまを嫌いになれるんだろう」
首から憎悪を感じ冷や汗が出た。
「その人にとっては害が及ぶほどの関わりがあったのよ。私たちは直接じゃなくともそれ程の影響があるのよ」
女王は昔、父からアベルを救ってくれた。優しい人だと思っていたのに、記憶を取り戻したアベルに憎悪を向けるようになった。
「貴方はその人の事を理解したいの?」
ああなるほど。だから俺は女王を憎んでいないのか。そもそも人間を憎むとか阿呆らしいと思っていた。
「全く理解しようとしなかった。そうなると瘴気を全否定出来ない」
人間は神を理解しようとして憎んだ。俺は理解しようともしなかった。なるべく穏やかに長生きしたらいいとだけ思っていた。人間の感情から傷つかないように逃げていたのだ。
「そんなに難しく考えないで。貴方は今人間よ。きっと気持ちが分かるわ」
「母さんは理解できるの?」
人間になったことあるの?
母は目をカッと開き、両手を上げ叫び出した。
「ちっとも分からない!見目で優劣をつけたり、年齢が若い方がいいとか全く分からん!」
私はいったい何歳だと思っているんだー!と母は叫んだ。
「神さまってみんな大人になってから見た目変わんないし、みんな美形だもんねー」
別にそれを聞きたかった訳ではないが、母は俺の話を聞いて衝撃を受けたようだ。
「美形だと?!そうだったのか?!」
「俺の見た目って神さま時代のをそれなりに引き継いでいるから、人間に人気だよ」
リウィアなんてガッツリ顔見てくる。
「...不細工に生まれるようにすれば良かった」
母は顔を青くした。
何か問題あるの?
「苦労しないと人に優しくできないと夫から聞いた。調子に乗らない事を願うわ」
調子に乗るって意味が分からないけど、俺って信用ないなぁ。
「わかった。頑張って苦しんでくるから、俺がどうなってもちゃんと庇ってね」
とりあえず逃げないよう努力はしてみるが人間の悪口言うかもしれん。そうなると審判の結果が怖い。
「それなら、文句は言わないわ。貴方の本音を私は尊重する。私は貴方の味方よ」
人間のことは庇わないらしい。平和の女神も厳しいな。
「貴方に一番大事なことを言うわ。神や人間、精霊、全ての生き物に言えることよ」
ようやくまともな助言が聞けると耳を澄ました。
「愛は全てを救う。はいこれメモしてね」
えー?そんなけ?もっと頭のいい助言ない訳?
がっくしとうなだれた。
「私は大真面目に言ってるのよ!」
目を釣り上げて怒んないでよ。
「性欲に従えってこと?」
それはまずいだろ。死んだ後、冥王にこてんぱんにしごかれる。どっかの爺さんはわしもそうだったと大喜びしそうだな。
多分違うと思っていた。案の定、母は顔を真っ赤にしてますます目を釣り上げた。
「ちがーう!そうじゃない!慈しみ尊び敬い哀れむそれが愛よ!」
流石は平和の女神、言うことが立派だ。しかも母の場合は事実救われている。
母を救ったエリスって人に会ってみたいと思った。
「まっ私の息子だし、その辺は問題ないわね」
ふっと母は笑った。
何を根拠に言ってるんだ。俺は今憎悪で死にそうなのだ。
「意味わかんない」
「だって、貴方は愛に守られているもの」
耳を疑った。恋人いないし、人間の家族はアベルを愛してはいない。一体誰が愛しているというのだ?
突然首のあたりが楽になった。心まで軽くなった気分だ。
「...治った」
「瘴気が愛によって消えたわ。その子のことを大切にするのよ」
愛で消えたなんて信じられない。
「その子って誰?」
「目覚めれば分かるわ。そういえば貴方の名前聞いてないわ」
アベルは神さまのときの名前を思い出せないことに気づいた。
「名前…おかしいな。昔の名前が思い出せない」
呼ばれても貴方やらお前やらあの子やらだった。
「当然よ。名前つけてないもの!」
威張んな!人間だと名前つけないとか精神的に傷つくぞ!
「だから、貴方の名前を聞いてるのよ。私もそう呼ぶから」
母は案外ズボラだな。大らかともいう。母が名前つけないのなら父も名前つけるの遠慮したんだろうな。
「アベル・レイアン。それが名前」
「そう。アベル・レイアンにアストレアから祝福を与えます。もうそろそろお目覚めの時間よ」
母のにこにこした顔を最後に意識が遠ざかった。




