サソリ列車
オカリナを発ってから8日目
トレジャーハンターノーチラス専用船Uボートは荒廃した地球の域に入り、ネオクリスタルエネルギーエンジンの回転数を下げスピードを落とす。
よいよ地球に侵入する状態に入り、ノーチラスメンバーたちにもいつもと違う緊張感が走る
Uボートは地球の大気圏を突き破り、ゼロテリトリーの東方の砂漠地帯を目指し突進する
Uボート船体の耐熱パネルは高熱に耐え、船体の振動はノーチラスメンバーたちへの地球からの手荒い歓迎だった。
Uボートは鼻先を開け、砂専用の推進用ドリルを出し作動させ、船体は衝撃とともに砂漠の地面に斜めに突き刺さる
高速回転する鼻先のドリルはUボートの船体を地中に潜りこませ、Uボートはまるで海の中を進む潜水艦のように 砂漠の地中を突き進む。
2時間ほど砂漠の地中を進むとUボートのAiがノイズの走るディスプレイの画面越しにあらゆる機器の不調を伝える警告を発し出した
よいよゼロテリトリーの危険区域に近づいた証拠であった
副操縦士のサニーは予定通りにこの地点でUボートを地中から浮上させ、船体を停船させた
メンバーたちはシートベルトで固定されて体を解除すると 手慣れた様子でそれぞれの仕事に取り掛かる
宇宙服のショッポに
侍兜をかぶって十字の剣を背負ったサニー
左目に眼帯 防毒マスクをした海賊の様なドックチェリー
防毒マスクをしてるが、いつもと変わらないトカゲ
彼らはショッポの指揮のもとUボートの船体の腹を開き、積んでいた まだ睡眠中の大蠍をクレーンで下ろし、装甲で出来た貨物車二台も続けて下ろした
大蠍に取り付けた連結器と貨物車二台を繋ぐと まるでSL列車の様な貨物列車が完成した
手順が分からず ただノーチラスメンバーの仕事を見ていたストレートに宇宙服のショッポがトミーガンと無数の弾丸を大蠍のコックピットに運ぶように促す
荷物をサソリ列車に全て詰め込んだメンバーたちは大蠍の胸部上に作られたコックピットに乗り込み360度全面が見渡せる強化ガラスで出来たドーム型のハッチを閉める。
割と広いコックピットだが空気清浄器などのクリーンシステムはなく、中でも防毒マスクは必要だった
そしてストレートの出番がやってくる。
ストレートの乗る操作席は
大蠍の胸部上に作られたノーチラスメンバーたちのコックピットとは別に設けられ、
サソリの片目をエグって作った別室になっていた
マインドコントロールに使う送信機の手術口の近くは片目をエグったその位置にしか作れなかったからだった。
体のサイズぎりぎりの狭いストレートの操縦席には余計な装置をつける余裕はなく オープンカーのようにむき出し状態で
ストレートは防毒マスクとゴーグル 電磁波防止のフード付の特殊なコートを着込んで乗り込むスタイルになってしまう
ストレートは不満だった。
彼はこの状況を渋々受け入れ、自分の操縦席近くのサソリの手術口にショッポから与えられたコードの端子を差し込むと、もう片方を自分の耳の受信機の開口に差し込む
ストレートの思考を受け取ったマンモスほどもある大蠍は夢から覚める
巨体を巨大な6本の足で持ちあげ、2本の大鋏が轟音を鳴らして開閉する そして漆黒の尻尾を振り上げると
地鳴りをあげて貨物車を引きながら動きだす
ストレートはどこに迎えばいいのかと、後方のノーチラスメンバーの乗るコックピットを見上げると
ショッポが割と快適なコックピットから電池式のレーザーポインターで目的地を示す
ショッポは機器の使えないゼロテリトリーため、過去に作られた紙の地図を手に入れ、現存するデータと照らし合わせ、正確な地図を製作していた。
その地図と正確なコンパスを用い
サニーが太陽電池の計算機で計算し、電池式のレーザーは正確な位置を照らす。
赤いレーザーポインターの光は目的地を指し示し、遥かな彼方まで伸びていた
ストレートは赤い光の線を辿り、大蠍の貨物列車は砂漠の中をただ真っ直ぐに突き進んでゆく
何もない砂漠の中に吸い込まれてゆくような不思議な感覚だった




