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第5惑星   作者: らっきー
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サエコ

ショッポは若い腕のいいバイクスタントマンだった

火星の地下カジノで火のついた巨大な鉄のドームの中をバイクで爆走したり、巨大な踏切で飛び、空中でなん回転もするバイクを操り、自分の腕に酔いしれていた

飛ぶ鳥を落とす勢いのショッポはもっと危険な事をもっと過激な事をと探し求め、ゼロテリトリーに行き着く


行ったら帰って来れないと噂される魔の地域にバイクで突っ込み生きて帰ってくる


これに成功すれば自分は英雄になれる


若いショッポは無謀な計画を立てる。

イヤ自分の腕があれば成功できると過信していたショッポはロクに調べることもせずそれは計画と呼べるものでもなかった


それに一人の女性が猛烈に反対したが若いショッポの耳には届くことはなかった


サエコはショッポのマネージャーでもあり、恋人でもあった


彼女は止めても突き進むショッポのためにゼロテリトリーの情報を集めるがそれほどゼロテリトリーの情報ないこの頃には情報収集があまりうまくいかなかった


そんな中、ショッポのアタックの日は訪れ、ショッポとサエコと人工知能内蔵のロボットアームのサニーは地球に向かい出発する


サニーはチェスが趣味のサエコのお気に入りで二人はいつも一緒だった


地球に到着した三人はゼロテリトリーの砂嵐の手前にキャンプを張り、ショッポは愛車のバイクにまたがり、ネオクリスタルのバッテリー満タンのエンジンを吹かし、出発準備を整える


サエコとロボットアームのサニーが見守る中、若いショッポは砂嵐に向かい消えていった


何本も現れるドラゴンのような竜巻を華麗なテクニックでやり過ごし、唸るエンジンをなだめながらショッポは爆走した


しかし、ショッポのテクニックなど蚊ほどの価値もなく死滅したネオクリスタルを積んだバイクはただの鉄の塊にすぎなかった


ショッポは視界を完全に奪う砂嵐に恐怖し、完全に方向感覚を失い、四つん這いになり動く事が出来なかった


しばらくするとわずかに砂嵐がおさまり、前方に建物が見える


ショッポは死にものぐるいで建物に向かい走りだす


突然だった。突然、砂の中に埋まっている自分に気づく、そして血を吹き出しながら自分の下半身が空から降ってきた


何が起きたかわからなかったが、すぐに分かる


巨大な牙が右腕を食い千切っていく。


真っ黒な象ほどもある蟻が動けない自分の右腕を食いちぎり、今度は左腕を奪い取る


ショッポの目には巨大な蟻の頭に刻まれた黒い太陽のマークが刻まれる


ショッポの記憶はここで途切れる


次に気づいたときには水槽のような生命維持装置の中であった


もう腕もなく残っているのは頭部と胸の一部だけだった



そして

自分の目の前にはサエコの姿があった


右腕と右足のないサエコの姿が、、、、


サエコはゼロテリトリーではネオクリスタルが死滅するという噂も情報として対応し、実弾のライフルを用意し、クローンラクダを用意し、ネオクリスタルではなく従来のバッテリーで動く生命維持装置を用意していたのだ


キャンプに戻ったサエコは手足を失い、命から柄ショッポ救い、バッテリー容量のある生命維持装置に二人分の余裕はないと判断しショッポだけを助け、SOS信号を出し旧式の装置の操作をサニーに託し絶命した


救助信号を受けた たまたま通りかかったトレジャーハンターに救われるまでニ週間かかった


その間、ショッポは


最愛の人の

髪の毛が抜け 肉体が腐り 虫がわき 徐々に白骨化していくのを、ただ水槽の中から見てるしかなかった


くだらない自分の欲望を満たすために、失ってはいけないものを失ってしまった男は


身体を失い、恋人を失い、首だけになりサニーとともに地球をあとにした



これからのショッポの人生はサエコを迎えにいくためだけの時間になった





「騙したのか?」


話を聞いて感傷に浸ったストレートだったが黄金の事を思い思わず口出す


サニーは黄金の話は事実でノーチラスメンバーにも思わぬ収穫だったとストレートに伝えた


ストレートは小さく頷くとサニーはナイフから手を離し予定外に留まることになった繁華街に消えて行った


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