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【遊華ヤンデレ編1】朝飯が真っ赤だった事を敬に話す件について

今回から遊の恋人達1人1人のヤンデレ版をやっていこうと思います。って事で、1日目は遊華から!

前みたいに戻るかどうかは遊の接し方と遊華達の考え方次第です

では、どうぞ

 俺の失言により遊華達に対し、常にヤンデレでもいいと許可を出してしまう結果に終わってしまった写真撮影会。結局、昨日は写真撮影をすることなく1日が終わってしまった。写真撮影しようとしなかろうと俺はどっちでもいいんだが、問題が発生してしまった。そう、遊華達だ


「んあ?何だ?両手の自由が利かない?」


 俺は起床時間なので身体を起こそうとしたが、起こせなかった。というか、なぜか身体の自由が利かなくなっている。


「いつの間に俺の両手に手錠が……?」


 俺の両手が手錠によって繋がれている状態だった。しかし、一体誰がこんな事を……


「両手がこの状態じゃ朝飯を作る事ができない。どうしたらいいんだ?」


 別に決まっていないが、家事全般は俺の役目。つまり、俺の両手の自由が利かないという事は朝飯を作れないという事だ


「あ、お兄ちゃん、おはよう」


 珍しく俺より先に起きていたであろう遊華が入ってきた。


「お、おはよう、遊華。ところで俺の両手の事なんだが─────」

「朝ごはんできてるから持ってくるね?」


 俺の言葉を遮るように朝飯ができてる事を告げ、出て行く遊華。それは後で聞くとして、今は周囲の観察が先だ。入ってきたのは遊華1人だが、香月達はどうした?もう起きてるのか?


「遊……」

「遊ちゃん……」

「遊さん……」

「遊くん……」


 周囲を見てみると香月達はまだ夢の中にいるようだ。つまり、起きているのは今のところ俺と遊華だけ。って事は俺の両手に手錠をかけたのは遊華って事になる


「香月達は寝てるみたいだから俺に手錠をかけたのは遊華って事になる。しかし、どうして……」


 どうしてだなんて今更だ。俺の失言によって遊華達はヤンデレと化してしまった。いや、違うか。元々ヤンデレだったのがオープンになったと言った方が正しい


「お兄ちゃん、朝ごはん持ってきたよ」


 朝飯が乗ったトレイを持って遊華が戻ってきた。


「お、おう、ありが──────」


 ありがとうと言う前に俺は言葉を失った。なぜなら─────────


「ん?どうしたの?お兄ちゃん?」

「あ、いや、今日の朝飯は随分と赤いなと思ってな」


 朝飯が赤かったからだ。


「だって私の愛をお兄ちゃんに理解してほしかったから……」

「遊華の愛情が詰まってるのはいいんだが、どうして赤いんだ?まさか、これって……」


 遊華の血じゃないよな?マンガのヤンデレが料理に自分の血を入れるだなんて事はよくある展開だ。遊華もそれに倣ったんじゃないよな?


「ん?トマトケチャップだよ?」

「え?」

「私はお兄ちゃんが大好き。ううん、愛してるよ。でも、お兄ちゃんは私が傷つく事を望んでない。でも、お兄ちゃんに私の愛を受け止めてほしい。そこで出たのがトマトケチャップってわけ。わかった?」

「あ、ああ……」


 朝飯のメニューを見るとパンと目玉焼きみたいだから不釣り合いってわけじゃない。しかし、辛うじて目玉焼きだって事が解る。逆に言えばケチャップの量が多すぎるせいで目玉焼きだって認識するのに苦労したって事になる


「じゃあ、香月さん達はまだ寝てるし、お兄ちゃんは早く朝ごはんを済ませてね?」

「ああ。ところで香月達はどうしたんだ?」


 寝言を言ってるところを見ると死んではいないみたいだが……


「ん?昨日睡眠薬を飲んで寝たから起きないよ。それに、今日のお兄ちゃん当番は私だからね」

「俺当番が何か詳しくは聞かないが、香月達って睡眠薬飲んで寝たんだな」

「うん。ところで朝ごはん冷めちゃうんだけど?」


 朝食を作ってくれたのは嬉しい。彼女の手料理は世の男性の夢だ。かく言う俺も彼女の手料理は憧れる。憧れはするが……さすがに辛うじてメニューが認識できる程度の料理はちょっとなぁ……


「あ、ああ、すぐ食べる。が、俺は両手が使えないから食べようがないんだけど?」


 手錠で両手の自由が封じられてるんだ。今の俺は1人で朝飯を食えない


「うん。だ・か・ら、食べさせてあげるね♡」


 目に光が宿ってない遊華がケチャップたっぷりの目玉焼きを俺に差し出してきた


「あ、ああ、頼む」


 俺は遊華に食べさせられる形で朝飯を済ませた。俺が朝飯を済ませた後で香月達が起きて朝飯を各々で食べた。例外はなく、全員が目に光を宿していなかったとだけ言っておこう。っていうか、ケチャップの味が未だに残っていて気持ち悪い。



 朝食が済み、俺達は学校に登校する。そして、今は遊華達が通う中学の前


「じゃあ、お兄ちゃん行ってくるね?」

「ああ、頑張って来い」


 俺はいつもと同じように遊華達年下組を見送った。今日は遊華の当番と言う事で美優と由紀は先に行ってしまった。


「うん。ところでお兄ちゃん?何か忘れてない?」

「ん?忘れてるもの?何かあったっけ?」


 遊華達の中学は弁当じゃなくて給食だから弁当を渡す必要はないし……遊華に渡すものって何かあったかな?


「わからない?」

「ああ、全くわからない」

「本当に?」

「ああ」

「そう、じゃあ、勝手に貰うからいい」


 俺が答えを聞こうと口を開く前に遊華のキスによって口を塞がれてしまった。


「遊華……」


 遊華のキスシーンを見ていた女子達は『遊華ちゃん大胆……』『きゃー!!』などの声を上げ、男子からは言葉はなくとも嫉妬の視線を浴びせられた。そして、当の遊華は……


「行ってくるね?お兄ちゃん」


 俺に微笑み校門を潜って行った。


「遊華のヤツこの後どうするつもりなんだよ……」


 遊華の後姿を見ながら俺は1人呟く。俺は高校へと向かえばいいだけの話だが、遊華は多分、同級生から追及されるぞ?それこそ男女関係なく。


「お兄ちゃん」


 同級生からの追及をどう躱すのかを心配している俺の元へ戻ってきた遊華?キスの他にする事でもあったのか?


「どうした?キス以外で何かする事でもあったか?」


 キスされただけでも大変なのにこれ以上何かされたら俺の身が持ちそうにない


「ううん、お兄ちゃんに伝え忘れてた事があって戻ってきたんだよ」


 俺に伝えたい事?晩飯のリクエストか?


「伝えたい事って晩飯のリクエストか?」

「違うよ。それに今日のお夕飯は私が作るし」

「そ、そうか……晩飯のリスエスト以外で何か伝えたい事があるのか?」

「うん」

「何だ?」

「浮気したり香月さん達以外の女子と話したら……お兄ちゃんを殺して私も死ぬから。いい?」

「あ、ああ……」


 遊華は光の宿ってない目で俺を見つめてとんでもない事を言ってきた。浮気をする度胸もなければ俺と話す女子なんて明美さんか早川くらいのものなんだけど?


「じゃあ、今度こそ行ってくるね?」

「ああ……」


 遊華が小走りで学校へ向かい、校舎に入って行くのを見届けた後で俺も学校へと向かった。


「はぁ~」


 教室へ入るなり深い溜息を吐く俺。自分の失言が原因とはいえ、朝からケチャップ塗れの目玉焼きを食わされたせいで気分が悪い


「どうしたの?遊。溜息なんて吐いて」


 今日は珍しく敬に声を掛けられた


「俺の失言が原因で遊華達がヤンデレになってしまったんだ」

「え?遊華ちゃん達がヤンデレなのは今に始まった事じゃないでしょ?今更何を言ってるの?」


 そうだった……遊華達がヤンデレなのは俺と親しい奴なら誰でも知ってる当たり前の事だった……


「そうだった……遊華達がヤンデレなのは敬達にとっては当たり前の事だった」


 今更遊華達がヤンデレになっただなんて言っても『ふ~ん』で済まされるのがオチだった。仕方ない、昨日の事を正直に話そう


「遊、今日は本当に変だよ?いきなり遊華ちゃん達がヤンデレになっただなんて当たり前の事を言いだすし」

「あ、ああ、実はな────────────────」


 俺は昨日の事を素直に話した。


「なるほどね。それで大きなため息を吐いていたわけか」

「ああ」


 敬は納得した表情で頷いた


「話を聞いた僕の率直な意見を言うと遊が悪いね」

「それは俺も自覚している。常にヤンデレでいいだなんて言わなければよかった……」


 言ってしまったものは仕方ない。だが、遊華のケチャップ塗れの朝食だけでも大変だ。それが香月達もとなると俺の身が持たない


「そうだね」

「敬、俺はどうしたらいい?」

「どうもこうも受け入れるしかないでしょ。受け入れたら楽になるよ?」


 敬の誘惑するかのような意見。だが、敬の言ってる事は正しいのかもしれない。常にヤンデレの遊華達を受け入れてしまえば悩む事もない。ただ、飯は普通のものが食いたい


「ヤンデレでもいいから飯は普通のものが食いたい」

「確かにケチャップ塗れのご飯は嫌だよね……」

「「はぁ~」」


 俺と敬が揃ってため息を吐いたところで担任が入って来てHRが始まった。


「遊華達がヤンデレなのは今に始まった事じゃない。飯さえ普通にしてくれればなぁ……」


 ヤンデレなのはいいとして飯が異常に赤いのは困る


「ん?着信?メールかな?」


 HR中だというのに携帯が鳴った。俺が携帯で連絡を取る相手なんて遊華達と浩太、敬、親父達くらいしかいない。だが、浩太と敬は同じ教室にいるし、親父達は仕事で俺に構ってる暇はないだろうし、遊華達もHR中だから俺にメールなんてできないだろう


「とりあえず緊急だったら困るし確認だけするか」


 初めて未来に飛ばされた時に母さんは交通事故で亡くなったと聞かされた。俺が失踪してないから未来が変わったとはいえ緊急事態ってのはいつ何時起こるかわからない


「遊華か……」


 着信を確認してみたら遊華からメールの着信があった。遊華もHR中のはずなのに何の用だ?


『お兄ちゃんがありのままの私達でいいって言ったんだよ?それなのにどうしてため息なんて吐くの?それに私が頑張って作った朝ごはんは美味しくなかったの?それなら素直にそう言ってくれてよかったのに……私はお兄ちゃんが望むなら何だってするよ?お兄ちゃんが抱かせろって言うなら私達は喜んで抱かれるよ?私達はお兄ちゃんに嫌われたら生きていけないんだよ?だから捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで捨てないで』


 遊華からのメールに書かれていたのは前半がHR前の敬との会話をまるでその場にいて聞いていたかのような感じの内容で後半は俺の言う事には何でも従うって事、俺に嫌われたら生きていけないって事、残りは捨てないでという文字がひたすら羅列しているだけだった。


「はぁ……光のない目で俺にメールしてる姿が目に浮かぶ」


 直接確かめたわけじゃないが、光のない目で俺へのメールを打ってる遊華の姿が目に浮かぶ。


「こんなメールを見ても怖くないと感じているあたり俺の感覚は狂っているみたいだ」


 慣れとは恐ろしいものだ。遊華からのヤンデレメールを受け取っても愛しさしか感じない俺は病気なんだろうか?







今回はヤンデレ遊華でした。さすがに刀傷沙汰にすると未来が変わってしまう恐れがあるので過激な事はしなかったみたいです。まぁ、これが遊華の本来の姿なのかとも思いますが

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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