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俺が息子に言われた事を実行した件について

今回は遊が元の時代に帰って来て遊亜に言われた事を実行する話です

最初は香月と遊華から

では、どうぞ

 俺は遊亜の言葉を信じ、元の時代に帰ってきた。やっぱりというか、何というか、帰ってきた時は未来に飛ばされる前にいた場所に帰されるんだな……まぁ、知ってたけどな


「はぁ……遊華達に愛の言葉を囁けば解放されるって言われてもなぁ~」


 トイレの中で俺は愛の言葉について考える。歯の浮くようなセリフを言うか、それとも、ありきたりな言葉を言うかのどちらにするかで迷う


「歯の浮くようなセリフなんて俺に考え付くはずないから必然的にありきたりなセリフになるんだが……どうしたものか……」


 歯の浮くようなセリフなんて俺に思いつくはずがない


「誰かに相談しようにも携帯は手元にないし……」


 俺が起きた時、すでに携帯はなかった。俺には外部との連絡手段がないので人に相談しようと思っても相談できない


『遊?大丈夫?』


 ドアがノックされ、外から香月の俺を心配する声がする。そりゃトイレに籠っていれば心配にもなるか


「ああ、大丈夫だ」


 体調的には何も問題ないが、精神的な余裕は全くない。しかし、香月に心配を掛けるわけにはいかない


『そう?でも具合悪かったらすぐに言ってね?』

「あ、ああ、ところで、どうして俺が具合悪いと思うんだ?」

『だって、遊がトイレに入ってから5分は軽く過ぎてるから……』


 どうやら俺は5分間トイレに籠っている事になっているらしい。そうか、2回目に飛ばされた時は遊華達と一緒に飛ばされ、人を待たせている状態じゃなかったから忘れていたが、戻ってくる時は飛ばされる前から少し時間が経過したところへ戻されるんだった……


「す、少し考え事をしていてな。体調は心配ないし、すぐに出る」

『それならいいけど……』


 香月に心配を掛けるわけにもいかないので俺はトイレを流し、手を洗ってトイレを出る。


「ごめん、待たせた」

「ううん、私は全然待ってないよ」


 トイレの前でデートの待ち合わせみたいなやり取りをする俺達。


「それならいいんだけど、遊華達を待たせたら悪いから戻るか」

「うん」


 俺と香月は遊華達の待つ部屋へ戻る。その途中で考えるのは遊華達への愛の言葉だ。歯の浮くようなセリフは俺には無理だって事でありきたりなセリフを言うって決めたが、問題はどのタイミングで言うかだ


「いきなり言われてもなぁ……」


 夫が急に優しくなったら浮気を疑えなんて言葉が存在するくらいだ。俺がいきなり愛の言葉を囁いたりなんかしたら遊華達に疑われるだろう……遊亜め、どのタイミングで言えばいいかもついでに教えてくれたらいいものの……


「何がいきなりなの?」


 前を歩いていた香月が俺の顔を覗き込んでいた。香月にはこの状況を利用して愛してるって言ってみるか


「ああ、俺がいきなり愛してるとか言ったら変かなと思ってな」

「別に変じゃないと思うけど?」

「そうか?」

「うん」


 冷え切った夫婦なら愛してるとか言っても効果ないんだろうけど、俺達は冷え切った関係じゃない。まぁ、息子がウンザリする程度にはラブラブらしいし、ここは1つ言ってみるのもアリだな


「香月」

「何?遊?」

「愛している」

「私も」


 俺と香月は見つめ合い、唇を合わせようとした。しかし──────────


「お兄ちゃん、何してるの?」


 部屋から出てきた遊華によって中断させられてしまった


「ゆ、遊華!?」

「遊華ちゃん……」


 ビックリした俺と残念そうな香月


「うん、遊華だよ。ところでお兄ちゃんは香月さんと何してるの?こんな廊下の真ん中で」

「べ、別に何も。なぁ、香月?」

「うん、何もしてないよ」

「ふーん。でも、お兄ちゃんは声が上ずってるし、香月さんは心なしか残念そうな顔してるけど、ひょっとしてキスでもしようとしてた?」

「「──────!?」」


 まるで見ていたかのように語る遊華に驚く俺達。これは遊華の洞察力がすごいのか、それともヤンデレは好きな人の事なら何でも見通す能力でも身につけているのか……


「図星だね。2人とも」

「「ごめんなさい」」


 図星を突かれ何も悪い事をしていないのに謝る俺達。悪い事をしていないのにどうして謝らなきゃならんのだ


「別にお兄ちゃんと香月さんがキスしようとしてもいいけど、その後で私にも愛の言葉を囁いてキスしてよね。お兄ちゃん」


 遊華さん?どうして俺が香月に愛の言葉を囁いた事を知っているんですかね?


「遊華?どうして俺が香月に愛の言葉を囁いた事を知っているのかな?」

「そんなの私がお兄ちゃんの妹兼彼女だからに決まっているでしょ」


 理由の説明になってないぞ。遊華


「遊華ちゃん、説明になってないよ?」


 そうだ!もっと言ってやれ!香月!


「説明になってないって言われても私には妹兼彼女だからとしか言いようがありません。香月さんはどうして地球が丸いのかって聞かれて説明できますか?」

「で、できない……」

「それと一緒です。私にはお兄ちゃんの行動が把握できるスキルが備わっているんです!」


 俺にとってはある意味で恐ろしい事この上ない事をドヤ顔して言う遊華。お兄ちゃんはそんなスキルがあるだなんて初耳だよ


「そ、そうなんだ……」


 ほら、香月(遊華の同類)だって若干引いてるじゃないか


「ええ、香月さんもお兄ちゃんに今よりも深い愛情を抱けばすぐにでも手に入るスキルですよ」

「わかった。私も遊の彼女である以上、そのスキルを手に入れてみせる!!」


 本人を前に何を言ってるんでしょうかね?香月(遊華の同類)さん?


「本人を前にして何を言ってるんだ?遊華、香月」

「え?お兄ちゃんをより深く愛そうねって言ってるんだよ?」

「そうだよ」


 愛されるのは嬉しい。だが、俺の言動を常に把握しようとしたりしないでもらえませんかね……


「あー、でも、俺の言動なんて把握したところで面白さの欠片もないと思うけど?」


 俺の言動なんて把握してもいい事なんて何もない。女に縁がなく、家事しかしてない俺の行動なんて把握していても意味はないからだ


「そんな事はないよ。お兄ちゃんが私達以外の女を見てないかとか浮気してないかとか確認できるし私達の知らないお兄ちゃんを知る事ができて私は幸せだよ?」


 光のない目で俺を見る遊華。うん、こんな遊華でも可愛いと思える俺は病気だな


「そ、そうか、ま、まぁ、遊華が幸せならそれでいいんだ」


 可愛いと思っても彼女のストーカー染みた部分を見るのはドン引き以外の何物でもない


「うん!私は十分幸せだよ!」


 心底幸せそうな遊華。こんな事で幸せなら結婚した時には死んでしまうんじゃないか?


「私も遊華ちゃんに追い付かなきゃね」


 香月は香月で変な方向に情熱を燃やしている。いいんだぞ?そんな事に情熱を燃やさなくても


「香月、変な方向に情熱を燃やさないでくれ……」


 未来での遊華や香月の行動を見てきた俺にとって遊華が何をしようと今更だ。それは香月にも同じことが言える


「お兄ちゃん、何か忘れてない?」

「何をだ?」


 唐突に何か忘れてないかと言われてもなぁ……


「お兄ちゃん、香月さんには愛の言葉を囁いて私にはないのかって聞いてるの」

「あっ……あー、そうだったな」


 後で言うつもりだったから決して忘れてないわけじゃない。だが、このタイミングで言うの?マジで?


「そうだったな?お兄ちゃんにとって私はその程度の存在なの?もし、そうなら私はお兄ちゃんを殺して私も死ぬよ?」


 俺が死んだら遊亜達は生まれてこないんだけど?


「止めろ。俺が死んだら遊亜達が生まれなくなる。それに、遊華は俺にとって大切な存在だ」

「じゃあ、言ってくれるよね?」

「ああ、もちろん」


 このタイミングで言えって言われると思ってなかった。しかし、言うタイミングなんていつでもいい。要は俺が遊華達に自分の思いを伝えられればそれでいいんだから


「じゃあ、言ってよ」

「遊華、いつも一緒にいてくれてありがとう、俺を心配してくれてありがとう。愛している」

「うん、私も……こんなめんどくさい女の子と一緒にいてくれるお兄ちゃんを愛してるよ」


 香月との前例があるからここでキスをする事はしないが、遊華よ。めんどくさい女だって自覚、あったんだな


「好きになってしまえば面倒な部分だって可愛く思えるから何の問題もない」


 恋というものは不思議なもので他人から見たら面倒だと思われる部分でも可愛く見えるから不思議だ


「遊、私は?私だって面倒な女だよ?」


 香月は上目遣いで俺を見てくる。自分で面倒だって言いますかね?


「香月の面倒な部分だって好きになってしまえば何の問題もない。それに、ヤンデレって面倒なものだろ?女子との事務的な会話ですら浮気って誤解するし」


 ヤンデレに愛されたい男子諸君、ヤンデレな彼女を持つと大変だぞ?女子との事務的な会話ですら浮気認定するんだから。だが、好きになってしまえばそんなところも可愛く思えるぞ?これだけは伝えておこう


「それは彼女がいるのに他の女と話す彼氏が悪いんでしょ?」


 遊華の言い分もわからないわけじゃない。だけど。委員会の仕事とかで必要な会話すら浮気になるんだったら仕事なんてできないぞ?


「あのなぁ~遊華」

「何?お兄ちゃん」

「女子との事務的な会話が許されないのなら仕事なんてできないと思うんだが、その辺はどう思う?」

「しなきゃいいと思う」


 遊華……独占欲強すぎだぞ?俺は怒らないが、他の男だったら確実に怒ってたな


「俺は遊華達一筋だから浮気をする気なんて全くないから」


 遊華達が暴走して俺に被害が出ても構わない。しかし、他の人に被害が出るのなら俺は遊華達との付き合い方を考えなきゃいけなくなる。同じ家で生活してる以上、別れるのは無理だと思うけどな


「遊、その言葉に嘘はない?」


 香月が不安そうに聞いてくるが、前提として間違ってる。女に縁のない俺は遊華達に捨てられたらお終いだ


「ああ、俺は彼女達に嘘は吐かない」


 俺は隠し事をする事が多いが、嘘は吐かない。これが俺なりの流儀だ

今回は遊が元の時代に帰って来て遊亜に言われた事を実行する話でした

最初は香月と遊華からでした。

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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