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俺が息子とじっくり話す件について

今回は遊亜とじっくり話す話です

前回は速足に話してすぐに元の時代に帰ってしまいましたが、今回はじっくり話をします

では、どうぞ

「俺が揺らぐ?記憶にない母に会ってどうして俺が揺らぐんだ?」


 本当の母に関する記憶はない。赤ん坊の頃に施設に預けられたんだからないのは当たり前の事だが、どうして俺が揺らぐんだ?


「親父がどちらも大切にしたと思ってるからだろ」


 まるで他人事のように言ってのける遊亜。遊亜からしてみれば他人事かもしれないが、俺にとっては重要な事なんだけど?


「どっちも大切にってどういう意味だ?」


 遊亜に聞かずとも意味は何となく理解できる。本当の母がいなければ俺は生まれてないし、華さんがいなければ俺はここまで生きてくる事や遊華に出会う事なんてなかった。そう言った意味ではどちらも大切だ


「自分の中で答えが出ているのに聞くんだな。まぁ、いい。親父は本当の母がいなければ生まれてないし、華さんがいなければ親父は施設にいたままで遊華母さんに出会う事なんてなかった。そう言った意味では生みの親も育ての親も大切だって事だ」


 自分の中で答えは出ていたとしても今の俺にはどれが正しいかの判別ができないでいた。だが、改めて遊亜に言われて自覚してしまった。どんなクソ親でも自分を生んでくれた親に変わりはないと


「遊亜に言われて改めて自覚した。だが、俺は遊華達と何があっても離れないって約束したんだ!そんな俺が生みの親に誘われても一緒に暮らす事なんてありえない!」


 遊華達と約束し、何かある度に言ってるが、俺は遊華達から離れる気はない


「そうだな。親父は何があっても母さん達から離れはしないだろうし、俺が聞いた話でも親父が母さん達から離れたって話は聞いた事がないな。学校行事等は別だが」


 遊亜の話じゃ俺は学校関係以外では遊華達と離れないっていう約束を守り続けたみたいでよかった


「そうか。俺はちゃんと約束を守り続けてるみたいでよかった……」

「ああ、親父はちゃんと約束を守ってるさ。だがな、俺が親父から聞いた話だと本当の母の騒動があった時は危なかったらしいぞ」


 聞いてよかったのか悪かったのかコメントに困る事を言わないでくれ、我が息子よ……


「できれば聞きたくなかった……」

「だろうな。これは毎日惚気話を聞かされる俺からのささやかな仕返しだ」


 その仕返しは10代の俺じゃなくて40代の俺にしてほしかった


「仕返しならこの時代の俺にしてくれ」

「それができたら苦労はしない」


 この時代の俺は遊亜に相当な迷惑を掛けてるみたいだ。


「なんか……ごめん」

「謝るな。余計に腹が立つ」


 居たたまれない空気になってしまった俺と遊亜。


「さて、話が脱線したが、元に戻していいか?」


 未来の俺がどれだけ息子に惚気話をしてるか把握したところで話を元に戻す


「ああ、親父にとって生みの親と育ての親の両方が大切だって事は話したから次に移るがいいか?」

「ああ」

「じゃあ、次に移るが、どうして高1の親父を未来に呼んだかって事だが、別に俺は高2の親父でもよかったんだ」


 本当の母が来るのは俺が高2に進級してからだから遊亜が呼ぶべきなのは高2の俺だ


「高2の俺でもよかったのにどうして高1の俺を呼んだんだ?」


 事が起こるのは高2になってから。高2のいつなのかは知らないが、高2になってから迎えに来るのは間違いなさそうだ


「親父を今のまま放っておくとストレスで倒れ入院する。俺や姉さん達がいるから親父は生きてるがな」

「それはそうだろうな。俺が死んだら遊亜達は生まれてない」


 当たり前の事だが、俺が死んだら遊亜達は生まれてないし、そもそも存在すらしていない


「ああ。親父は死にはしない。だが、ストレスで入院する事は確かだ」


 死ななくても俺はストレスが原因で倒れ、その結果、入院する。って事か


「俺が入院する期間は聞かない。だが、1ついいか?」

「何だ?」


 俺の未来がどうなるかを知る事ができるのはいい。だが、自分で聞いといてなんだが、未来を知り過ぎた結果、それに背くかもしれないのにどうして遊亜は詳しく教えてくれるんだ?


「どうして遊亜は未来の事を俺に詳しく教えてくれるんだ?」


 前に聞いた時は未来の事は簡単に教えられない的な事を言われたが、今回は未来に起こる事を詳しく教えてくれる。それはどういう事だ?


「本当なら過去の人間に未来の事を詳しく教えるのはマズイ事なんだが、今回ばかりは未来の事を教えておかないと未来が変わる可能性がある。姉さん達はどうか知らないが、俺は昨日、右手が消えかかった」


 右手が消えかかった?どういう事だ?遊華達と結婚し子を成したなら右手が消えかかるなんて事はあり得ない


「どういう事だ?どうして遊亜の右手が消えかかるんだ?」

「俺にも右手が消えかかった原因はわからない。が、俺はどの時代かは知らないが、過去の親父が母さん達と別れるか結婚しないって選択をしたせいだと思っている」


 確かに遊華達と結婚しなければ遊亜達は生まれてない事になるから消えるのも無理はないと思う。だが、それなら身体の一部分が消えるのは変だ


「確かに俺が遊華達と結婚しなければ遊亜達が生まれてない事になって消えるのは仕方ない。それでどうして高1の俺を呼んだんだ?」


 これから遊華達と喧嘩し破局の危機に瀕する事なんていくらでもあるだろうに


「親父が母さん達と付き合いだしたのは高1だ。親父達の生活の中で1番の出来事が高2に進級した時に本当の母が親父を迎えに来る騒動だ。だが、親父は高2に進級するまで何度か本当の母の夢を見るからな。本当の母が現れる前に親父に未練を絶ってほしかったからだ」


 高2に進級した時に迎えに来る本当の母が俺の人生最大の騒動になるってのは正直どうかと思う。だが、住む環境の変化が関わっているのなら遊亜の言う事にも一理ある


「俺の人生の中で最大の騒動がそれって言うのはどうかと思うんだが……」

「じゃあ聞くが、母さん達と付き合っている以上、いずれ子作りするだろ?それがいつになるかは言わないが、そんな決まりきった事を騒動って言わないし、親父と母さん達が喧嘩するなんて事はないからな。大騒動がそれしかない」


 遊亜?それは遠回しに俺の人生が薄いって言ってるのか?それとも、軽いって言ってるのか?


「遊亜は俺の人生が軽いって言ってるか薄いって言ってるのと大差ないんだが、気のせいだよな?」

「ああ、気のせいだ」


 速攻で否定する遊亜


「気のせいならいいんだが、俺と遊華達ってそんなに喧嘩する事が少ないのか?」


 いくら仲のいいカップルでも喧嘩の1つや2つするだろ


「ああ、親父と母さん達じゃ勝負にならない」


 喧嘩にならないのは俺が遊華達の尻に敷かれてるからか?


「俺って遊華達の尻に敷かれて過ごしているから喧嘩にならないって事か?」

「いや、親父に嫌われたら母さん達はヤンデレになって親父を監禁するからな。ヤンデレと喧嘩するだけ時間の無駄だ」


 悔しいが遊亜の言ってる事は正しい。ヤンデレと喧嘩したところで監禁されて明日の朝日が拝めないのが関の山だ


「た、確かに……ヤンデレの遊華達とだったら喧嘩にならないな」


 息子から自分の恋人達はヤンデレだって事を聞かされると改めてとんでもない奴らと付き合ってしまったんだと思う


「だろ?ま、母さん達のヤンデレは置いておいてだ。俺の話を聞いた今、本当の母への未練は断ち切れる事ができたか?」

「そうだな……まだ俺は本当の母に会った事はないから何とも言えないが、俺には遊華達がいればそれでいいかなくらいには思えるようになったな」


 本当の母への未練が全くないわけではない。しかし、俺には遊華達がいればそれでいいかくらいには思える


「そうか。それならよかった。俺にとって親父が母さん達と別れなければそれでいい」

「それじゃ俺が遊華達と別れなければ他はどうでもいいって言ってるように聞こえるんだが?」


 遊亜は俺の息子だ。多分、俺と遊華達が別れなければ他の人はどうだっていいって言ってるんだろうなぁ……


「聞こえるも何もそう言ってる」

「だよなぁ……」


 俺の息子だけあって自分の目的の為に効率を重視しているみたいだ


「誰だって自分の命が1番大事だろ?まぁ、親父達に別れられたら俺と姉さん達が生まれてない事になるからな」


 そりゃそうだ。俺が遊華達と別れたら遊亜達は生まれてこないだろうしな


「なぁ、爺ちゃん達は元気か?」


 唐突だが、親父達の事を聞いてみた。別に深い意味はない


「元気だよ。親父達に負けず劣らずイチャイチャしている」


 親父達は孫が生まれてもイチャイチャしてるのか……子供が生まれてもイチャついてる俺が言えた立場じゃないが


「そ、そうか……」

「ああ。遊斗爺ちゃんは華婆ちゃんを煽るだけ煽って酷い目に遭ってる」


 人は学習する生き物だ。世間ではそう言われている。だが、同じ事を繰り返す人間は学習能力がないなんて言われる事がある。親父は学習能力がないみたいだ


「藤堂遊斗は何年経っても学習しないんだな」

「ああ。遊斗爺ちゃんは俺が小さい頃から全く学習しない」


 孫に学習しないと言われる祖父。アホらし過ぎて何も言えない。こんな時に俺は何て言ったらいいんだ?親父をフォローすべきか、遊亜と共に親父の学習能力のなさを嘆くべきか


「孫に学習能力がないって言われる祖父……哀れ過ぎる」


 学習しない親父を哀れむ気もフォローする気も起きない。人って達観すると一周周って気力を失うんだな


「爺ちゃんは爺ちゃんで婆ちゃんを愛しているからこそできるんだ。それに、爺ちゃんはキャバクラの名刺を持ってはいるが、本人曰く1度も行ってないらしいぞ」

「それは知ってる。俺も本人から聞いた」


 あくまで本人から聞いただけだから確たる証拠はないから信用性に欠けはするが、家族が平和に過ごせている部分には感謝している



今回は遊亜とじっくり話す話でした

本当の母の事もそうですが、未来の遊の日頃の行いもじっくり話しました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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