表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/165

俺が実は有名だった件について

今回は遊が密かに有名だったという話です

遊が有名って何かのシャレですかね?

では、どうぞ

「遊華、俺は今日1日ここで過ごさなきゃいけないのか?」

「うん、そうだよ?」


 案を出した美月に聞くよりも言い出した遊華に俺が今日1日この時計のない部屋で過ごすのかを聞いた方が早い。そう思った俺は遊華にその辺どうなのかを聞いてみた


「俺がここで1日を過ごすとして、家事や飯の用意はどうするんだ?」


 俺が今日1日ここで過ごすという事は家事や飯の用意をする人間がいないという事だ。それこそ、遊華達まで俺と今日1日ここで過ごすとなれば必然的に家はもぬけの空状態だ


「それは大丈夫よ。遊」


 俺と遊華の会話に美月が入ってきた。大丈夫ってどういう事だ?


「大丈夫って、今、家───────正確にはリビングだが、そこには誰もいないんだろ?どうして大丈夫だなんて言えるんだ?」


 ここが家にあるどの部屋なのかは知らないが、リビングに誰もいない状態であるのは確かな事だ。しかも、学校に行ってるならまだしも、ズル休みした挙句、部屋に引きこもってるんだもんなぁ……


「今日は遊斗さん達に来てもらってるから遊が気にする事なんて何もないわよ」


 なるほど、親父達を召喚したのか。だから大丈夫だなんて言えたのか


「俺が家事や食事の用意をしなくていいのは理解した。だが、俺がトイレに行きたくなったり喉が渇いた時はどうするんだ?ここでしろって言うのか?」


 さすがの遊華達も飲み物を飲む事や食事はともかく、ここで用を足せとか言わないだろ


「飲み物はお父さんがある程度そこの冷蔵庫に入れてくれたし、それに、トイレなら私達のうちの誰かがお兄ちゃんに目隠しして連れて行くから大丈夫だよ!」


 俺は囚人か?飲み物は後で確認するとして、トイレに行くのに付き添いが必要になるとは……


「そ、そうか……ところでここはどこなんだ?家の中だって事はわかるんだが……」


 親父達がいるという事は家の中である事は確かなんだが、問題はどこの部屋にいるかだ


「ここはお父さんのパソコン部屋だよ!」


 親父のパソコン部屋か……俺が未来に飛ばされて間もない頃に寝床として使ってたが、この時代に帰って来てからは入ってないなぁ……


「そうか、じゃあ、娯楽には苦労はないな」


 パソコン部屋って事は娯楽には苦労しない。だが、遊華達とここで2日間どうやって過ごすんだよ……


「遊、さっそくだけどいいかな?」

「何だ?香月」


 今まで黙っていた香月が口を開く。俺の彼女達の中で常識的な方だが……


「遊、おはようのキスがまだなんだけど?」

「…………」


 俺は今までおはようのキスなんて1回もした覚えがない。気が付けば顔がベトベトだったことは何回かあるがな


「遊さん、どうしたんですか?香月さんの言ってる事どこかおかしいですか?」


 おかしなところは特にない。新婚夫婦ならおはようのキスくらいするだろうし、同棲中のラブラブカップルにも同じ事が言えるだろう。しかし、5人と付き合ってる俺は誰からキスしていいものか……


「いや、俺からキスするとなると誰からしたらいいのか迷ってな」


 彼女は5人、俺は1人。俺が分身でもしない限り5人の彼女に同時にキスするなんて芸当できるはずがない


「遊くん」

「何だ?美優」

「本当なら遊くんからキスしてほしいけど、私達を平等に扱おうとしてくれてるから許してあげる」


 美優の言葉を合図に遊華達は俺にキスしてきた


「今度からキスする順番を決めておいてくれ」

「「「「「うん!」」」」」


 キスされた後で俺は順番を決めておいてくれとしか言えなかった。お礼を言うのも変だし、かと言って愛の言葉は囁き過ぎると新鮮味に欠けるし


「はぁ……腹減った……」


 俺は起きてから何も食べてない。よって空腹なのだ


「遊、お腹空いたの?」

「ああ……」

「ちょっと待っててね」

「ああ」


 香月は俺に待つように言ってからどこかへ電話を掛けた。


「うん、遊がお腹空いたって言ってるから。うん、よろしくね」


 香月は『よろしく』と言って電話を切ったが、出前でも取ったのか?それにしては砕けた口調だったが……友達に飲食店をやってる人がいるのか?


「家が飲食店の友達にでも電話したのか?香月」


 高校生で飲食店を経営するだんて事が無理なのは俺でも知ってる。加えて香月の砕けた口調。そこから出る答えは家が飲食店の友達に電話するって答えしか出ない俺。


「ううん、お母さんに遊のご飯を持ってきてもらうように電話したんだよ」

「そうだったか。てっきり俺は家が飲食店の友達に電話したものだとばかり思ってたぞ」

「私の友達に食べ物屋さんなんていないよ」


 家が飲食店の友達に電話したのかと思ってたが、実際は羽月さんに電話していたらしい。香月の交友関係はともかく、飲食店に出前を頼んで届くのに時間が掛かるか……それに、さっき遊華も言ってたが、親父達が家にいるんだから出前を取る必要がないって事は考えなくてもわかる。腹が減り過ぎて思考力が低下してるらしい


「俺は先輩と関わる機会がないからよくは知らないが、香月の友達に家が飲食店の友達っていなかったのか」

「うん。ところで遊は美月の学年の子達とも私の学年の子達とも関わる機会ってないの?」


 香月さん、俺は部活に入ってるでも生徒会に入ってるでもないんですよ?そんな俺が先輩と関わる機会なんてあるはずがないじゃないですか


「俺は部活にも生徒会にも入ってないんだ。そんな俺が先輩と関わる機会なんてあるはずないだろ。それに、俺は高校入学してから先輩に声を掛けられた事なんて1度もない」


 コミュ障じゃないが、俺は同じ学年の奴との関わりも少ない。そんな俺に先輩と関わる機会があるわけないじゃないか。彼女が5人もいる事もそうだが、それ以前に彼女がいる事自体が奇蹟みたいなモンなのに


「え?でも遊ちゃんは私の学年でも結構有名だよ?」


 美月の学年で俺がどんな風に有名なのかは知らないが、どんな風に有名なんだ?いつも特定の誰かとしか会話しない根暗な奴とか?


「美月の学年でも?私の学年だけじゃなかったんだ……」


 どうやら俺は香月の学年でも有名らしいが、どんな感じで言われてるか皆目見当も付かない


「へぇ~、お兄ちゃんって美月さんと香月さんの学年でも有名なんだ……私達の学校でも有名なのに」


 美月、香月に続いて遊華まで俺が有名だって言い出す始末。俺って中学生の間でも有名だったのか


「香月達の学年で有名って言ってもどうせ『特定の誰かとしか会話しない根暗な奴』っていう陰口だろ?」


 自虐的になるのはよくないが、第一、俺が有名って事自体が信じられないし、そもそも、他人の評価に興味がない俺は噂話をしないし、聞いた事すらない


「お兄ちゃん、ひょっとして知らないの?」

「何が?」

「私達のクラスじゃお兄ちゃんはお婿さんに迎えたい人ランキングのナンバーワンだって事」

「初耳だな。そもそも、どうして遊華達のクラスでそんなランキングがあるんだよ?」


 大体そんなランキングがあるだなんて事自体が初耳だ。俺が知るはずないだろ


「「え?遊華ちゃんのクラスでもあるの!?」」


 香月と美月が驚いてるところを見るとランキングがあるのは遊華のクラスだけじゃないみたいだ


「え?もしかして香月さん達のクラスでも?」

「「うん」」


 遊華に続き香月達まで……あれか?今時の女子はランキングで順位を決定するのが流行ってるのか


「ちなみに香月さん達のクラスじゃどんなランキングが?」

「私のクラスじゃ遊ちゃんはクールな男子ランキングだよ」

「私の方は弟にしたいランキングだけど……」


 いろいろツッコミどころはある。まずクラスでのランキングってクラス内の男子に順位を付けるものだろ?それに、俺はクールじゃない。愛想が悪いだけだ。でもって香月よ、どうして俺が弟にしたいランキングにランクインしてるんだよ?


「…………」


 いろいろと聞きたい事はあるが、俺に投票した人はどこで俺の事を知ったんだ?


「遊くん、遊華ちゃん達が話し合ってる間いいかな?」


 思考停止しているところに美月から声が掛かる


「あ、ああ、いいぞ」

「遊くんが遊華ちゃんにお弁当を作った事あったでしょ?」

「あー、今じゃ美優達のも作ってるが、彼女が遊華だけの頃に作ったな」


 今は自分の分を含めて美優達全員に弁当を作ってるが、まだ遊華としか付き合ってない頃に作った記憶はある


「その頃さ、私と由紀ちゃんもそうなんだけど、クラスの女子全員で遊華ちゃんを問い詰めたんだよ。『そのお弁当は彼氏に作ってもらったのか』ってね」

「あながち間違いじゃないな」

「うん。でも、遊華ちゃんはなんて答えたと思う?」

「さあ?そのまま言ったんじゃないか?『このお弁当は彼氏が作った』って」


 俺と遊華は義理の兄妹だ。恋人関係って伝えたところで咎められる理由は何1つとしてない


「ううん、遊華ちゃんは『このお弁当はお兄ちゃんが作ったんだよ』って答えたよ」

「そうか。それで?」


 別に彼氏でもよかったんだが……そこはまぁ、いい。気になるのはその次だ


「それで、その後はみんなで遊華ちゃんとお弁当のおかずを交換したんだけど……」


 みんなってクラスの女子全員とかよ……それってある意味イジメなんじゃ……


「ああ」

「あまりの美味しさに遊くんを紹介しろって遊華ちゃんに問い合わせが殺到したんだ」

「そ、そうなのか……」


 俺のところに遊華のクラスメートの女子が1人も来ないって事は遊華が上手い事言って断ってるからなんだろうな


「うん。そこから先は遊くんなら予想できるよね?」


 美優の言う通り、そこから先の予想は簡単だ。クラス内の女子がお婿さんにしたい人ランキングを作り、俺の本名は知らなくても投票箱に『遊華ちゃんのお兄さん』って書いて投票すれば自ずと俺がランキング第1位になる


「なるほど、美優達のクラスで俺が有名な理由は理解した」


 できれば理解したくなかったが、有名になってしまったのは仕方ない。過ぎてしまった事だし、今のところ俺に実害はないしな


今回は遊が密かに有名だったとい話でした

ランキングがあっただんなんて意外でしたってそれだけなんですけどね

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ