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俺が由紀の心境を聞く件について

今回は由紀の心境を聞く話です

由紀はどうして遊と付き合ったのか

では、どうぞ

 俺はよく敬と早川をバカップルと言う。それは俺にとって当たり前の事だ。人目を気にせずにイチャイチャしている奴らをバカップルと言って何が悪い?が、今はそんな事はどうでもいい。放課後である今、俺は敬と早川の事を咎められる立場じゃないって事だけは言っておこう


「遊さん、私と腕を組むの嫌ですか?」


 周囲に下校している生徒がいる中、由紀は俺の腕に抱き着いている。そんな状態の俺達─────特に俺を見る周囲の視線が痛い


「嫌じゃない。嫌じゃないんだが、周囲の視線が痛い」


 可愛い彼女に甘えられるのは嫌じゃない。だが、周囲の視線が痛い。主に男子の俺を殺さんばかりの視線が


「そんなの気にしてはいけませんよ。遊さん、今は私だけ見ていればいいんです。他の人は気にしてはいけません」


 由紀は俺の恋人達の中で常識的な方だと思っていたが、実はそうじゃないみたいだ


「いや、でも、少しは人の目を気にした方が……」


 最初の頃の敬はこんな気持ちだったのか?周囲の視線は痛い。が、自分にすり寄ってくる彼女を無碍にはできない。じゃあ、どうすればいい?簡単だ。彼女の望むようにする。そうしていくうちに価値観が変わったのだろう


「遊さん、私だって人目を気にせずに遊さんとイチャイチャしたいんです」

「ったく、今日は周囲の連中をジャガイモか何かと思って気にしないようにするが、これからはナチュラルな感じで頼む」


 自分の彼女に外では抱き着くななんて言えるはずもなく、俺はナチュラルなやり方で頼むしかできなかった


「はいっ!」


 満面の笑顔で俺に抱き着いてくる由紀。普段は真面目を絵に描いたような感じなのにな


「抱き着いてるのは構わないが、帰りに買い物して帰るからな」

「はいっ!」


 由紀に抱き着かれようとも家にマーガリンを含めて食材がないのは事実だし、それに、ないと困るしな


「とりあえず、マーガリンだな」


 スーパーに着いた俺は早速マーガリンを探しに行く。どうしてかって?そんなの簡単だ。最初にないものを買っておけば買い忘れなんて事はない


「遊さん……最初にマーガリンを最優先させますか……」


 由紀は呆れたような視線を向けてくるが、切らしているのは事実だし


「まぁ、切らしているしな。それに───────」

「それに?」

「今日は由紀を思いっきり甘えさせようと思ってるしな。余計な事を考えて家に帰るのが遅くなるよりも必要なものをさっさと買って早く家に帰りたい」

「遊さん……」


 第三者から見れば俺と由紀はバカップルに見えるのかもしれないが、俺にとって優先すべきは彼女達だ。


「まぁ、今は制服だしな。マーガリンだけ買ってさっさと帰る。で、家にないものがあれば着替えてからもう1度買いに来ればいいだろう」


 2度手間になるかもしれないが、今は制服だ。目立つ行動をとると学校に連絡されかねない


「そうですね。目立つ事して学校に連絡されても困りますし」

「同じ考えを持っていてくれて助かるよ」


 香月もそうだが、由紀も俺の考えに共感していくれるので非常に助かる。いや、遊華達が俺の考えに共感してくれないって言ってるわけじゃないよ?だが、香月や由紀の方が共感してくれる場合が多いってだけで


「遊さんは私の彼氏ですから……彼氏が困るような事はしません」


 俺が困る事をしないのは俺的には助かるが、たまには我儘を言ってくれてもいいと思う


「それは助かるが、たまには我儘を言ってくれてもいいんだぞ?」

「ふふっ、遊さんがそう言うならたまにはそうさせてもらいますね」


 俺達はマーガリンを買い、スーパーを出た。そして、その道中


「遊さん」

「何だ?」

「実は私、最初は遊さんの事、遊華達みたいな感じで遊さんの事が好きではありませんでした」


 俺は心のどこかで『由紀は遊華達ほど俺の事を好きじゃない』と思っていた。だが、それは今、確信に変わった


「だろうな。遊華達は家では甘えて来たりしたのに由紀はあまりそう言うことをしてこなかった。最初は遠慮してるんじゃないかとも思ったんだがな」

「はい。私は単に遊華や美優において行かれるのが怖かった。1人になるのが怖かった」


 家へ帰る道中で語られる由紀の心境。だが、夏休みに飛ばされた未来じゃ由紀との間にも子供がいた。つまり、俺と由紀はこの問題を乗り越えたという事になる


「そうか。だが、遊華と美優は好きな人ができたくらいじゃ由紀を1人にはしないと思うぞ?」


 遊華と由紀は好きな人ができても友人を蔑ろにするような奴らじゃない。少なくとも遊華はそうだ


「はい。そこは私が遊華と美優を信じきれなかった落ち度だと思います」

「まぁ、他人の事を全て信じろだんて不可能だから俺からは何も言わない。で、どうする?由紀は俺と別れるか?」


 世の中には一目惚れから始まるカップルや告白されてお試しから始まるカップルもいる。が、由紀が俺を好きじゃないのであれば俺が無理に縛り付ける事もない。が、俺は由紀が本気で好きだ


「別れません!!最初は遊華や美優が好きだから私も遊さんを好きになろうとしました!ですが、遊さんに触れる度、遊さんと関わる度に私は本気で遊さんに惹かれていきました!確かに私と遊さんは1対1で関わる事は多くはありませんが、遊華や美優と関わっている遊さんを見て私も同じようにしてもらえるんだって思った瞬間に私は遊さんを意識しました」


 俺は恋人が5人いようが全員を同じように愛するし、誰1人として寂しい思いをさせはしない


「そうか。だが、どうして今それを話すんだ?別に隠していてもよかったんじゃないのか?」


 由紀が今語った事は別に隠していてもよかった事だ。由紀にとってそれを語る意味はないはずだ


「はい。ですが、遊さんに隠し事はしたくなかったんです」

「どうして?人間、隠し事の1つや2つあっても不思議じゃない」

「初めて心のそこから好きになった人だから……好きな人に隠し事なんてしたくなかったんです」

「そうか。じゃあ、これからもよろしくって事でいいのか?」


 由紀の心境は理解した。だが、このまま関係を続けるか、今日限りで別れるかは由紀次第だ


「はいっ!遊さん!これからも彼氏、彼女として付き合ってくださいね?」

「おう」


 俺と由紀の関係はこれまでとは変わらず、彼氏、彼女として関係を続けていくだろう。


「そ、それで、行く行くは結婚してくださいね?遊さん」

「おう」


 前言撤回。由紀は彼氏、彼女として付き合っていくだけじゃなく、将来的には結婚も視野に入れている。つまり、遊亜達がいる未来がほぼ確定している見て間違いないだろう


「遊さん」

「何だ?」

「大好きです」


 俺に抱き着いている由紀は心の底から幸せそうだ。恋愛の始まり方にはいろんな形がある。友人の付き添いから始まってもいいんじゃないかと俺は思う


「由紀、大好きなのも俺の腕にしがみ付くのもいい。だが、帰ったら牛乳ジャム作るの忘れるなよ?」

「忘れてませんよ。遊さんとやる初めての共同作業ですから」


 世間ではケーキ入刀が夫婦初めての共同作業になるが、俺と由紀にとってはジャム作りが初めての共同作業みたいだ


「じゃあ、その初めての共同作業を早くする為にさっさと帰るか」

「はい」


 夕暮れの住宅街なんてロマンチックなシチュエーションじゃないが、2人寄り添って家に帰れるからいいか


「遊華達はまだ帰ってないみたいだな」

「ええ、遊華達は日用品を買ってから帰るって言ってましたよ」


 日用品なら買わなくてもたくさんあるのにどうして?まぁ、女性特有の日用品を買いに行くと言う事であれば俺が知る由もないんだがな


「そうか。どれくらい時間が掛かるかはわからないが、俺達は俺達でジャム作りを始めるか」

「はい」


 俺と由紀は手を洗い、着替えてから念のためにエプロンを着てキッチンに立った


「遊さん、今日作るのって牛乳ジャムですよね?」

「ああ、牛乳ジャムだから包丁やまな板は使わない。使うのは鍋とお玉だけだ」


 果物を使うジャムだったら包丁とまな板を使うが、牛乳ジャムを作る時に使うのは鍋とお玉だけで他に使うものはない


「早速作るわけですが、牛乳はどれくらい入れるんですか?」

「牛乳は400ccで砂糖は200gだ」

「わかりました」


 俺は由紀に牛乳と砂糖の分量を指示し、由紀は俺の指示に従って牛乳と砂糖を入れた


「よし、入れたな」

「はい」

「入れたら中火で25分くらいに詰めてあら熱を取って冷蔵庫に入れたら完成だ」

「か、簡単なんですね」


 彼女と一緒に作るのならば他の料理を選択するべきだったかとも思う


「ああ、簡単だが、初めて俺と作ったものがジャムで作り方が簡単なものでガッカリしたか?」

「いえ、簡単なものでも遊さんと一緒に作れた事は嬉しかったですし、それに、牛乳ジャムって使い道がありそうなんで作り方を覚えられてよかったです」

「それはよかった」


 初めて共同で作ったものってのはどんなものでも新鮮に見えるのかな?


「遊さん」

「何だ?」

「遊さんってよく話をしながら料理できますね」

「慣れてるからな」


 由紀と話していても鍋をかき混ぜるのは止めてない。由紀からしてみれば会話しながら料理できる男って憧れるのか?


「どうやったら慣れますかね?」

「どうやったら慣れるってそりゃ数をこなすしかないだろ」


 具体的なコツを言えって言われても慣れるしかないとしか言えない。


「私にもできるでしょうか?」

「できるだろ。俺にだってできるんだから」


 由紀が料理苦手なんて話は今まで聞いた事がない


「そうですか。ところで、時間を計らなくて大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。いつも携帯のアラームをセットしてから始めるし、それに、いちいちセットするのも面倒だから1度料理した時のは消さずに残してあるからな」


 前に作ったのは牛乳ジャムじゃないが、25分計った事がある。今回はそれを使っているので新しくセットし直す必要はない


「遊さん、携帯、鳴ってますよ」


 俺の携帯がブルブルと震えだした。つまり、25分経ったという合図だ


「お、もう25分経ったか」


 俺は鍋から牛乳ジャムを瓶に移した。瓶は前もって殺菌してあるから何の問題もない。ちなみに言うが、時間を計っておらずとも牛乳が薄いキャラメル色になったら火からおろし、熱いうちに瓶に移せばいい。慣れないうちは時間を計った方がいいがな


「遊さん、次はどうしたらいいですか?」

「あら熱をとって冷蔵庫に入れる」


 俺達はジャムのあら熱をとっている間に鍋とお玉を洗う。空いてる時間は有効に使わないとな


「こうして2人で料理していると新婚夫婦みたいですね」

「ああ。そうだな」

「遊さん、なんか素っ気ないですね」

「夏休みに飛ばされた未来で自分達の子供を見ているからな。今更慌てる事もないだろう。それに、いずれは俺と結婚するんだろ?」

「はい!」


 俺が由紀と初めて作ったのは牛乳ジャムだった。この後の予定?遊華達が帰って来たら買い出しに行く。今日は由紀の日だから由紀にもついて来てもらおう

今回は由紀の心境を聞く話でした

お試しで付き合ってから目覚める好意があってもいと思う

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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