表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/165

俺が授業中見つめられ続ける件について

今回は遊が授業中に見つめられ続ける+αな話です

見つめられるのはいいとして+αとは一体・・・・

では、どうぞ

 授業参観で親が来て普段以上にはしゃいだ経験ってないだろうか?恥ずかしい話、俺にはある。小学生だった俺は母さんにいいとこ見せたくて頑張って手を挙げた。それは他の奴も大体同じだった。が、学年が上がるにつれて授業参観に親が来るなんて恥ずかしい以外の何物でもなかった。それは置いといて、俺、藤堂遊は今、もの凄い恥ずかしい。その理由とは─────────


「…………」

「…………」

「…………」


 教室の後方にいる遊華達にメチャクチャ見られているからだ。授業参観に来た母親か?ってくらい見つめられていた


「俺は小学生の子供かよ……」


 授業中であってもつい、愚痴ってしまう。高校の授業が珍しいのと俺と同じ教室で授業を受ける機会なんて早々ないからな。つい、見つめちゃうのは仕方ないが、3人揃ってガン見しなくても……


「はぁ……早く休み時間になってくれ」


 俺は切に願う。休み時間よ早く来いと


「今日の授業はここまで!起立と礼は省略する」


 公民担当が教室から出て行くとクラスは少しずつざわめき出してきた。


「ようやく終わった……」


 クラスがざわざわし出したが、俺もどこか解放的な気分になった。授業中は監視されているようで落ち着かなかったし


「お疲れ様、遊」


 疲れ切った俺に声を掛けてきたのは敬だった


「おう、疲れたぞ。敬」


 早川はどうしたなんて自分の寿命を縮めるような事は言わない


「遊華ちゃん達、遊の事ずっと見てたもんね」

「ああ、遊華達は始まりから終わりまでずっとな」


 自慢したくはないが、遊華達は授業開始から授業終了までずっと俺を見つめていた。


「愛されてるね、遊」

「敬には負ける」

「そう?でも、望海ちゃんをヤンデレにしたのは遊華ちゃんだよ?」


 忘れていたというか、忘れていたかったが、早川をヤンデレに進化させたのは遊華だ。早川だけじゃない。香月達をヤンデレにしたのも明美さんをヤンデレにしたのも遊華だ


「それについてはリアクションに困るんだが……謝った方がいいのか?」


 遊華のせいで敬と早川の関係が悪くなったとしたら俺は遊華の彼氏として謝らないといけない


「いや、別に謝らなくていいよ。今の望海ちゃんは僕の両親や望海ちゃんの両親からは結構、好評だから」

「あ、そう」


 敬の両親も早川の両親もかなりの変わり者だと思う。だって、ヤンデレ化したのに逆に好評だし


「うん。僕の両親も望海ちゃんの両親も『孫はまだか?』って言ってくるし」


 敬の両親と早川の両親は脳外科か精神科に行く事をおススメしよう


「そ、そうか……ちなみにどこが好評なんだ?」


 遊華のせいでヤンデレ化した早川のどの部分が好評なのかが気になる


「え?僕みたいな奴に対して一途なところは僕の両親にウケがいい」

「そうか、それで?早川の両親は?」


 敬は元々自己評価が非常に低かった。が、早川と付き合ったおかげで敬は幾分か明るくなったような気はするが……


「アタシの両親の事はアタシが言うよ」


 俺と敬の話にごく自然に加わる早川。敬がいるところに早川あり!って言うべきか?


「早川、お前、敬がいるところにはどこへでも現れるのな」

「当たり前でしょ?敬がいるところにアタシありなんだから」


 俺がさっき思ってた事をそのまま口に出したな。コイツ


「そうか。で、早川の両親が敬への評価が高い理由を聞こうか?」


 敬と早川の関係にツッコむと重要な事が聞けなくなる可能性があるのでスル―しよう


「アタシの両親が敬への評価が高い理由はアタシを見かけじゃなくて中身で見てくれたからだよ」


 言われてみれば早川が敬と付き合う前は見た目は派手だし、態度も高圧的だったりしたから正直、近寄りにくかった部分はある


「そうか、よかったな。敬」


 余計な事を言うと敬と早川がイチャつき始めるので俺はあえて雑に返す


「遊、なんか雑じゃない?」

「そうだよ藤堂。敬の言う通りなんか雑だよ?」


 敬と早川のバカップルに雑だと言われましても?お前らの日頃の行いのせいだとしか俺は言えませんし?


「気のせいだ。俺が大親友の敬とその彼女である早川を雑に扱うわけないじゃないか」


 親友とは思っているが、雑に扱うわけがないというのは嘘だ。いつもいつも教室でイチャつきやがって!同年代に彼女がいない俺の気持ちも考えろ!


「そ、そう?遊がそこまで言うのなら僕は遊を信用するけど……」

「アタシも敬が信用するなら藤堂を信用する」


 簡単に騙されるなんて本当の意味で敬と早川はバカップルだ


「おう、ありがとな」

「どういたしまして。それより、遊」

「何だよ?敬」

「アレ、いいの?」


 敬が指差したのは教室の入り口。


「あ、よくない」


 敬の指差した先には俺を無言で見つめる遊華達の姿があった


「早く行ってあげないと遊華ちゃん達が寂しがってるよ?」

「おう、そうするわ」


 俺は敬達から離れ、遊華達の元へと向かう


「あのな……」


 遊華達の前まで来た俺は遊華達に物申す


「「「何?」」」

「授業開始から授業終了まで見つめられちゃ俺は授業に集中できないんだが?」

「「「だって、カッコよかったんだもん……」」」


 いや、授業受けてるだけだからカッコよくはないだろう?1時間目からこれじゃ俺の身が持たない


「見るなとは言わないから穴が開くほどガン見するのは止めてくれ」


 見学だから見られるのはいいんだが、見るなら俺1人だけじゃなく全体的に見てほしい。そんなこんなで授業は進み、昼休みがやって来た


「あー、やっと昼休みだ」


 遊華達に俺だけを見つめるんじゃなく、授業全体を見ろとは言ったが、結論から言うと無駄だった。それはそうだ。ヤンデレな彼女達に俺以外にも興味を持てなんて無理だった。


「遊さん!」


 声を掛けてきたのは由紀1人だけだった。遊華達はどうしたんだ?


「おう、由紀。遊華達はどうした?」

「今日は私の日なので私と2人きりです。遊華と美優はもちろん、香月さんと美月さんも来ません」


 どこに行ったかを聞くのは……由紀に失礼だ。だからこれ以上は聞かない


「そうか。じゃあ。どこで昼飯にする?学食?それとも、購買で何か買って屋上かどこかで食うか?」


 今日に限って浩太はどこかへ行ってしまったし、敬は……いつもと同じく早川と一緒だ。つまり、俺1人だから教室で昼飯を食う意味がない


「いえ、ここで食べましょう。遊さんの分も購買で買ってきましたし」

「え?昼飯あるの?いくらだ?」


 彼女に奢られっぱなしというのは悪い。由紀は中学生だし尚更な


「お代は結構です。私とここでお昼を一緒に食べてくだされば」

「だ、だが、それじゃ悪い」


 由紀や美優、遊華の前じゃ俺は年上だ。オマケに彼氏でもある。そんな俺が年下であり、彼女でもある由紀に昼飯を奢ってもらうのは男として、年上として、彼氏としての立場がない


「いえ、お代は本当に結構です。遊さんのお父さんと私のお父さんの酒代に消えるはずのお金をお母さん達から頂いてきただけですから、私個人のお金ではないのです」


 なるほど、親父と由紀のお父さんの酒に消えるはずの金だったから由紀の財布には何の影響もないって事か。それはいいとして、購買に売っているものは50~100円の間だ。が、親父のと由紀のお父さんの酒代をいくらもらったかは知らないが、購買で使ったら余るんじゃないのか?少なくとも5000円は超えてるだろうし


「まぁ、由紀個人の金じゃなければ俺は何も言わないが、それにしたって親父と由紀のお父さんの酒代って少なくとも5000円以上はあると思うが、残りは何に使う予定なんだ?」


 由紀が無駄遣いするとは思えないが、使い道だけは聞いておきたい


「残りですか?残りは私達の生活費に充てようと思いますが?」

「そうか、それならいいが、親父達の酒代とはいえ金だ。大切に使わないとな」

「はい、なので、私達の生活費に充てたんです。それより、早く食べませんか?お腹すきました」

「そうだな。昼休みが終わる前に食べるか」

「はい」


 俺と由紀は目の前のパンに手を付けた。が、金の件はいいとして、どうして購買のパンなんだ?


「由紀、1つ聞きたいんだが、いいか?」

「はい、なんですか?」

「手作りの弁当を用意してもよかったんじゃないかと思うんだが、どうして購買のパンなんだ?」


 由紀みたいなタイプの女子は彼氏に手作り弁当を振る舞って『はい、あーん』なんてするのが夢だと思ってた。だが、由紀はそれをせずに購買のパンを買ってきた。どうしてだ?


「遊華と美優もそうですが、私も学校ではいつも給食なんです。当然、手作りのお弁当には憧れますが、同時に購買のパンにも憧れているんです」

「それで?」

「それで私は考えました。手作りのお弁当にするか、購買のパンにするか。そして、私は購買のパンを選択しました。遊さん、どうしてだと思います?」


 質問していたはずの俺が由紀に質問されてしまった。手作りの弁当と購買のパン……由紀の手作り弁当……いや、由紀の手料理か。まあ、言っちゃなんだが由紀の手料理はいつでも食べられる。そういう事か


「由紀の手料理は家にいればいつでも食べられる。だが、購買のパンなんて中学生にとっては珍しいものは高校合格後か学校見学くらいじゃないと食べられない。だから由紀は購買のパンにした。そうだろ?」


 俺の考えは完璧だとは言えない。購買のパンなんて製造元を辿れば普通のベーカリーで作られたりしている。だが、由紀が気にいしているのはそこじゃない。購買という珍しい場所で買う事に意味があるんだと俺は思う


「正解です。私達中学生にとって購買は珍しいですからね。例え製造元がベーカリーだったり、パン工場だったとしても購買という珍しい場所で買い物をする事自体に意味があるのです」


 由紀の感性というのはわからないが、まぁ、本人がいいならそれでいい。感性なんて人それぞれだ。由紀がそうしたいのなら危険がない限り俺は尊重しようと思う



今回は遊が授業中に見つめられ続ける+αな話でした。

購買で販売されているものって製造元は同じでも由紀にとって購買で買う事に意味があったみたいです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ