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俺が学校見学の事を知る件について

今回は遊が学校見学を知る話です

学校見学を知った遊はどんな反応を示すのか?

では。どうぞ

 朝飯と学校へ行く準備を済ませて遊華達は中学校へ、俺達は高校へと向かう。が、俺はには疑問がある。そう、由紀と俺は年齢が1歳違う。社会人ならば年齢の差なんて気にならないが、俺達学生には大きな壁となる。学年もそうだが、それ以上に通う学校が違う。それはいいが、由紀と俺は中学生と高校生だ。通う学校が違うから当然、1日中一緒にいる事なんて同じ年じゃないと俺達学生には不可能だ。なのに、どうして由紀は何も問題はないなんて言ったんだ?


「考えても仕方ないか……」


 由紀の言うことを蔑ろにするというわけじゃないが、由紀本人が教えてくれない以上、無理に聞き出すわけにもいかない。教室に着いた俺は時が来るのを待つしかない。そう結論付けた


「おはよう!遊!」

「おう、浩太、おはよう」


 教室に響く浩太の声。文学少年の浩太じゃなく、いつもの元気な浩太。俺の周囲にはどうして表裏のギャップが激しい奴が集るのか疑問だ


「どうした?朝から元気がないぞ!遊!」


 今日の浩太は妙にテンションが高いな


「浩太のテンションが高いんだよ」


 俺のテンションが低いんじゃない。浩太のテンションが高すぎるんだ


「はぁ、俺だって好きでこんなテンションでいるわけじゃない。理由があるんだよ」

「は?理由?どんな?それと、いきなりクールダウンするな」

「俺がテンションの高い理由……それは」

「それは?」

「今日は中学生が学校見学に来るからだ」


 浩太のテンションが高い理由は理解した。が、彼女のいる浩太がどうして中学生の学校見学でテンションが上がるんだ?


「そうか。浩太のテンションが高い理由は理解した。だが、浩太、お前には明美さんって彼女がいるだろ?」


 今のは浩太が学校見学に来る女子中学生目当てだったらの話だが


「はぁ……その明美に言われたんだよ」

「なんて?」

「『浩太、貴方の本当の顔は私だけが知っていればいいの。中学生のジャリ娘共に見せる必要はないわ』ってな」

「そうか……って言うか、え?お前、明美さんに裏の顔バレたの?」


 少なくとも浩太の裏の顔は俺しか知らないはずだ。家に泊まりに来た時点で明美さんは浩太の裏の顔の事を知らなかったはずだ


「ああ、明美がアポ無しで俺の部屋に来た時なんだが、その時ウッカリバレてしまった。というか、家で母親と明美が鉢合わせてな。全部バラされた」


 俺は浩太になんて言えばいいかわからない。とりあえず、浩太も親には苦労させられてるんだという事くらいは理解できたが


「そうか、なんて言うか、お疲れ」

「ああ、本当に疲れた。母さんは俺の幼い頃の話を片っ端から明美に聞かせ、今の俺と昔の俺じゃ全く違うって事と俺はいつもテンションが高いが、本当はクールだみたいな事を全部バラされた」


 聞いてもいない事をペラペラと話す浩太は本気で疲れているんだと察した


「で、浩太の苦労話は今はいいとして、中学生の学校見学とか聞いてないし、そういうのって普通は土日にやるんじゃないのか?」

「俺も細かい事は知らないが、休日だと普段の授業の様子がわからないだろうから平日である今日を選んだんじゃないかと思う」


 文学少年の浩太は本当に鋭いと思う。が、今回は俺が隠し事をしていたわけじゃないから、当てになるかどうか……


「ちなみになんだが、見学に来る中学校の名前とかって……」

「知らないな。遊、お前は俺を何でも屋か情報屋と勘違いしてるが、俺は何でも知っているってわけじゃない」

「だよな……いくら浩太でも詳しい事はわからないよな」


 俺は浩太を何でも屋とか情報屋なんて思ったことはない。だが、浩太なら知っているんじゃないか?と思った


「ああ。ところで、俺はテンションを上げてバカっぽくしていればいいが、敬の方はもっと大変みたいだぞ?」

「敬?そういえば、ずっと見てないな」

「そうか、じゃあ、アレ見てみろ」


 俺は浩太が指差した教室後方を見た


「何だ?アレ?」


 俺が見たもの、それは─────────


「敬……信じてるけど、中学生の女子なんかに目移りしないよね?」

「あ、当たり前だよ!僕は望海ちゃん一筋なんだから!」

「そ、そう……アタシも敬一筋だよ……」


 敬と早川が人目も気にせずにイチャついてる場面だった


「敬と早川のラブシーンだ。見れば解るだろ?」

「俺が言いたいのはどうしていつにも増して強烈なんだって事だよ」

「中学生の学校見学があるから」

「OK、理解した」


 俺は浩太の一言で全てを理解した。だが、チャラ男になった敬ならいざ知らず、今の敬が女遊びが激しいとは思えない。それに、失礼な話かもしれないが、敬は多くの女性にモテるタイプじゃない


「早川の独占欲が強すぎるのも問題だよな」

「ああ、そうだな」


 俺と浩太もそうだが、周囲のクラスメートも夏休み明けの一件以来、慣れてしまい、今では誰も何も言わなくなった。慣れって恐ろしい


「見学に来た中学生に悪影響を及ぼさないといいが……なぁ、遊もそう思うよな?」

「そうだな」


 見学に来た中学生の中には来年、後輩になる奴もいるかもしれない。それが俺の身内だったら入学前に説明すればいいが、無関係の奴なら説明するのが面倒だ。まぁ、俺が後輩と親しくなればの話だが


「担任、早く来ないかなぁ……」

「そうだな。敬はいいが、俺と浩太、クラスにいる彼氏ナシ、彼女ナシには精神的に毒だな」


 同じ年の彼女がいる敬はいい。だが、年上の彼女がいる浩太と年上、年下の彼女がいる俺には精神的にキツイものがある。特に同じ教室でイチャつけない事に対して


「お~し、HR始めるぞ~」


 敬と早川のイチャつき振りにウンザリし始めたところでタイミングよく担任がやって来た。その声を合図にクラスメート達は怠そうに席に着いた


「あ~、みんな知ってると思うが、今日は学校見学で中学生が我が校に見学に来る。高校生として恥ずかしくない行動をするように」


 外部からの来校者が来た時だけ取り繕っても無駄なんだが……それに、今日見学しに来た中学生だって入学したら嫌でも知る事になるだろ。今日は取り繕ってただけだって


「はぁ……中学生の学校見学があるのはいいが、どうして由紀は何も問題ないなんて言ってたんだ?」


 中学生の学校見学があるのはいい。だが、それがどうして由紀は何も問題ないなんて……ん?学校見学?あー、そういう事か


「由紀……おそらくは遊華と美優もか……この学校に来るつもりか」


 由紀の『問題ない』という言葉と今回の『学校見学』。この2つを繋げれば答えは見えてくる。強引かもしれない。だが、おそらく由紀は俺のいるこの学校に来る


「はぁ……遊華もそうだが、どうして俺の恋人達は回りくどい言い方しかできないのかね」


 そういえば、夏休みに未来へと飛ばされた時に息子の遊亜もそうだったよなぁ……


「俺も人の事は言えないが、素直にならなきゃいずれ大切なものを失うかもしれないな」


 俺は自分が素直じゃないと自覚している。類は友を呼ぶって諺があるが、その通りだと思う。素直じゃない俺の周囲には素直じゃない連中が集ってくる。が、俺自身は時として素直にならないと大切なものを失ってしまうんじゃないかと思う


「大切なものを失うのはいつなのか……」


 俺が最初に飛ばされた未来じゃ母さんと一月さんは現時点ではすでに死んでいた。俺も遊華と香月に聞かされただけだし、実際にその場面に居合わせたわけじゃないから本当かどうかは不明だが


「考えてみれば母さんと一月さんは夏休み前くらいには死んでたんだよな……」


 俺が最初に飛ばされた未来では母さんは俺が失踪(?)した2か月後に、一月さんはいつ死んだかは知らないが、夏休みの時点では生きてなかっただろうとは思う。が、俺が未来から帰ってきた時は飛ばされてから30分後くらいだった。そこはいい。理由は突き止めてあるから。だが、今まで俺の身内に変わった事はなかったが、これからどうなる事やら……


「結局は俺が未来に飛ばされずに今の時代にいる事によって未来で起こるはずの出来事のツケが回ってくるかもしれないな」


 SF小説上での知識でしかないが、おそらくは何らかの形で最初に飛ばされた未来で起こりうる事のツケ回ってくるはずだ


「おい!藤堂!」


 思考の海を漂っていたが、担任によって現実に引き戻された


「は、はい!」


 俺は担任の声にビビッて声が裏返ってしまった。オマケにクラスメートに笑われてしまうし……


「今日見学に来る中学生の中にお前の妹がいるらしいから、藤堂の妹とその友達の案内を任せた!」

「は、はい……」


 これでハッキリした。由紀は今日、学校見学でこの学校に来る!


「遊……よかったな。合法的に彼女達とイチャつけて」


 浩太、それは嫌味か?俺はこれからいろんな意味で大変なんだぞ?っていうか、遊華と美優まで一緒なら由紀を優先させてやれなくなるかもしれないぞ?


「1人は妹だって言えばいいが、残り2人はなんて言えばいいんだよ……」


 遊華は俺の妹で通るが、由紀と美優はなんて言えばいいのやら……


「普通に妹の友達でいいじゃないか」

「そりゃそうだが……」

「ま、遊に5人の彼女がいるって知ってる俺としてはおもしろいものが見れると期待してるぞ」

「浩太……お前……」


 浩太は頼りになるが、俺の異性関係となるとこの上なくウザい


「いいじゃないか。他の連中は何も知らないんだから。これがクラスの連中にバレたらお前、命はないぞ?」

「命以前に世間体が危ないんだが?」


 付き合ってるのが恥ずかしいから隠すわけじゃない。5人の女の子と本人達が承諾しているとはいえ付き合ってる事の方が問題だ


「本人達が認めてるならいいじゃないか。それに、5人の彼女達のうち1人は妹だし」


 HRが終わってから浩太と話し込んでるが、言いたい事が2つある。それは、5人と付き合ってる事に対して何か言え。もう1つは遊華は実妹じゃなく、義妹だ


「本人達がいいならそれでいい。あと、遊華は実妹じゃなく義妹だ。血が繋がってないんだから問題ないだろ?」

「遊がいいなら俺は何も言わない。だが、気を付けろ」

「何をだ?」

「明美もそうだが、暴走した女は怖いぞ?」


 浩太に言われなくても暴走した女が怖いのは俺がよく知っている。何せ未来で嫌というほど体験したからな。さて、学校見学はどうなることやら……

今回は遊が学校見学を知る話でした

遊が学校見学を知っても普段と何も変わらずでした

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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