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俺が香月をからかった件について

今回は香月とイチャイチャする話です

本日のテーマ、不器用な愛です

では、どうぞ

 人の本能は理性という名の檻から解き放たれた時、どうなってしまうのだろう?ふと考えた事はないか?俺はある。だが、本能が理性から解き放たれた時ってどんな時だ?人を殺す時?それとも、性行為をする時?まぁ、理性と本能の話は置いといて、どうしてこうなった?


「遊……きて……」


 晩飯を作った時も、風呂から上った時も普通だった。で、寝る前である今はどうだ?うん、いつもの香月じゃない。同じベッドに入るだけだというのに何故、俺は誘惑されてるみたいになってるの?


「そりゃ、もう寝るんだからベッドには行くだろ」

「遊、ムード壊さないで」

「どんなムードだよ」

「恋人同士の初夜のムードだよ」


 彼女いない=年齢だった奴に恋人同士の初夜なんてわかるはずないだろ


「香月、ムードってのは作るものじゃなくて自然とそうなるものだと思うんだけど?」


 どこかの映画でも言っていた『恋はするものじゃなくて落ちるもの』だって。俺はそれに倣って『ムードは作るものじゃなく、自然とそうなるものだ論』を唱えたい


「そういうものなの?」

「多分、そういうものだ」


『ムードは作るものじゃなく、自然とそうなるものだ論』を唱えたはいいが、彼女いない歴=年齢だった俺が恋愛のいろはを知っているわけもない


「そう……じゃあ、遊が自然にそうなるようにエスコートしてくれないかな?」


 普段の香月が可愛くないとは言わないが、今の香月は普段以上に可愛く見える


「ふっ、彼女いない歴=年齢だった俺にエスコートを期待するだけ無駄だ」

「遊……言ってて悲しくない?」


 うるさいぞ。仕方ないだろ?今まではそうだったんだから


「別に。彼女いない=年齢は今までの話だ。だが、今は香月達がいる。そうだろ?」

「うん!」


 未来に飛ばされてなきゃ5人と付き合うなんて事しなかった。そういった部分では未来に飛ばされてよかったのかもしれない


「隣りに座っていいか?」

「うん」


 俺は香月の隣りに座ったはいいが、その先、どうしていいかわからない。


「遊、隣りに座ったはいいけど、どうしたらいいかわからないって顔してるよ?」

「そう言う香月も似たようなものだろ?」

「まあね。私だって彼氏いない歴=年齢だったからこういう時にどうしていいかわからないのは同じだよ」


 俺と香月は─────いや、香月達は彼女(彼氏)いない歴=年齢だった。が、俺が遊華に告白した事でそれはガラリと変わった。しかし、それまで俺は恋愛をした事なんてない。香月達は知らないが。香月は今、言質を取ったけど


「俺だって女の子と付き合うのは初めてだ」

「うん」

「正直、こういう時にどうしたらいいかわからない」

「うん」

「だから、俺は自分のしたいようにする」


 書店に行くと恋愛マニュアルなんてものが売ってるが、それは所詮、他人からの入れ知恵であり、その場凌ぎの付け焼刃だ。時としてそれも必要なのかもしれないが、俺は自分なりのやり方で自分の彼女達を愛そう


「うん。私も自分のしたいようにするよ」

「お互いに自分のしたいようにするって事で意見が一致したところで、香月」

「なに?」

「目を閉じてくれないか?」

「わかった」


 香月に目を閉じさせた。で、やる事なんてアレしかあるまい


「香月、愛してる」

「わた─────!?」


 香月が『私も』と言い切る前にキスをした。返事を待たずしてキスするなんて恋人以外にはできないな……ま、恋人だからしたんだけど


「んっ……」


 不意打ちにキスで文句を言われると覚悟していたが、香月の方から舌を入れてきた


「「はぁ、はぁ、はぁ……」」


 どれくらいの間、キスしてたかは知らないが、キスが終わった時にはすでに2人とも息切れを起こしていた


「ゆ、遊……いきなりのキスは反則だよ……」

「そ、そう言う香月だって途中から舌を絡めてきたじゃないか……」


 不意打ちでキスした俺も悪いが、舌を絡めてきた香月も悪い


「だ、だって、遊にキスされたのが嬉しくて……」

「だ、だからってなぁ……普通、息が切れるくらいまでキスするか?」


 普通のカップルがどんなものか俺は知らないが、少なくとも息が切れるくらいまではしないだろ


「恋愛した事のない私が知るわけないでしょ」

「開き直るな」

「あうっ!」


 俺は開き直った香月へチョップをかます


「いたい……」

「ご、ごめん……」

「ゆう、いたいよ……」

「ご、ごめん、お詫びに何でも言うこと聞く」

「本当?」

「ああ、できる範囲でな」


 何でも言うことを聞くとは言ったが、俺にだってできる事とできない事がある


「じゃあ、抱きしめて」

「わかった」


 俺は香月の要求通りに抱きしめる。遊華に告白し、トントン拍子で彼女ができたが、俺は遊華以外とキスした記憶がないし、抱きしめた記憶もない


「遊の身体って温かいね」

「そりゃ生きてるんだ。体温を感じない方が変だろ」

「そうだけど、なんて言うのかな?遊に抱きしめられてると安心する。そういう温かさだよ」

「そうか」


 普段の俺なら香月の乙女チックな表現をからかったりするが、今はからかったりする気は全く起きない


「遊に抱きしめられてると安心する。だけど、安心する反面、怖い」

「怖い?何がだ?」

「この幸せがいつか崩れるんじゃないかって思うと怖い」


 幸せな時間はいずれ終わる。それは俺達が喧嘩してなのか、第三者の手によるものなのかは不明だ。しかし、俺は自分が手にした幸せを手放す気は毛頭ない


「崩れないさ。俺が香月の側にいる限りはな」


 夜という事もあってか香月は少し臆病になっているみたいだ


「本当?本当に側にいてくれる?」

「当たり前だ。俺がいなくなったら誰が家事してヤンデレな香月達の相手をするんだよ」


 香月達の家事スキルを信用してないわけじゃない。だが、どこに何があるかを把握しているのは俺だけだ


「そうだね。家事をしてくれる人はともかく、私達の相手をしてくれる人なんて世界中探しても遊しかいないね」

「だろ?」

「遊、そこは『香月達ならすぐに別の男が見つかるよ』って言わなきゃ」


 自分の彼女が他の男に言い寄られる場面や他の男と付き合うところなんて想像もしたくないんだ。ここは同意させてくれ


「自分の彼女が他の男と付き合うところなんて想像もしたくない。逆に聞くが、俺がもし、香月達以外の女と付き合ったらどうする?」


 自分の彼女にする質問じゃないが、香月はさっき俺に似たような事を言ったんだ。これくらい許されるだろう


「嫌……遊が私達以外の女と付き合うなんていやぁ……」


 香月は俺の腕の中で泣き出してしまった。いつもなら光のない目で俺に迫ってくるのに今は泣くのな


「だろ?香月はさっき俺に似たような事を言ったんだよ」

「ごめんなさい……もう言わないから。だから……だから、捨てないで……私は遊に捨てられたら生きていけない」

「捨てない。捨てないから泣き止んでくれ」

「うん」


 こうして見るとどっちが年上かわからないな。香月はしばらく俺の腕の中で静かに泣き続けた


「泣き止んだか?」

「うん」

「顔、上げてみ?」

「うん」


 顔を上げた香月の目は真っ赤に腫れていた。


「目、真っ赤だぞ?」


 さすがに酷い顔なんて言えなかった。香月を泣かせたのは俺だ。そんな俺が香月に酷い顔なんて言えるわけないだろ


「泣いてたから当たり前だよ。それに、乾き目はよくないって言うでしょ?」

「それはそうだが、香月を泣かせたのは俺なんだぞ?それに対しての文句とか言われるの覚悟してたんだけど?」

「原因を作ったのは私だし、それに、最近、目が乾燥して困ってたからちょうどよかった」


 自分を泣かせた文句よりも目の乾燥を気にするのね。まぁ、そっちの方が香月らしいけど


「え?さっきの狙ってやったの?」

「狙ってはいなかった。だけど、目の乾燥に困ってたのは事実だし、遊と2人きりの時に嬉し涙を流せたらとは思っていた」


 香月って天然なのかな?俺には香月がよくわからなくなってきた


「あのなぁ……目の乾燥を解消する為に俺を利用しようとしないでもらえないかな?」

「ごめん。お詫びに何でも言うこと聞くから」

「ほう?何でも?」

「わ、私にできる範囲なら……」


 男女差別はしないが、男の何でもと女の何でもじゃ大きな違いがある事を教えておくか


「本当にできる範囲で何でも言うことを聞いてくれるんだな?」

「う、うん……で、でも、遊は私に何をさせるつもりなの?」


 俺から離れ、不安の表情を浮かべる香月


「別に?命に関係する事じゃないさ。ただ、香月が何でも言うことを聞くって言うから本当かどうかを確認しただけだ」

「そ、そう。で、遊は私に何をさせるつもりなの?」

「そうだなぁ……何をさせようかなぁ~?」

「で、できれば過激な事は避けてほしいんだけど……」


 年齢制限に引っかかる事をするつもりはないが、面白いから少しからかってやるか


「過激な事じゃなければいいんだな?」

「うん」


 そうかそうか、過激な事じゃなければいいのか


「じゃあ、スリーサイズを教えてくれ」

「え?」


 ポカンとする香月。まさか、俺からセクハラ親父みたいな要求が出るとは思いもしなかっただろう


「だから、スリーサイズを教えてくれ」

「え?えぇぇぇぇぇぇ!?」


 ククッ、驚いてる驚いてる


「どうした?できる範囲で言うことを聞いてくれるんだろ?それに、これは過激な事じゃないと思うが?」

「で、でも、恥ずかしいし……」

「そうか、恥ずかしいか」

「うん」

「でも、止めるつもりはないぞ?」

「で、でもでも……うぅ……」


 香月は困り果てて唸ってるし、これ以上からかうのはさすがに可哀想だから止めとくか


「香月」

「な、何?まだ心の準備ができてないからもう少し待って」


 これ以上、香月を放っておくと大変な事になりそうだからタネ明かしするか


「香月」

「な、何?」

「さっきのは冗談だ」

「じょう……だん……?」


 冗談だと伝えた瞬間に香月は呆気にとられた顔をした。そりゃ冗談に決まってるだろ?


「ああ、冗談だ」

「ゆ……」

「ゆ?」

「遊のバカぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」


 部屋全体に香月の雄叫びが響いた。うん、香月にこの手の冗談を言うのは止そう。俺が耳を塞ぐハメになるし


「ごめんごめん、何でも言うことを聞くって言うからついからかってみたくなってな」

「ばかぁ……遊のばかばかばかー!」


 ポカポカと俺を殴る香月。その攻撃は俺には全く効いてないんだが、子供みたいに俺を叩く香月は可愛いなぁ……


「ごめんごめん、でも、香月に知っておいてほしかったんだよ」

「何を?」


 攻撃が終わった香月はそれはそれはご立腹だった


「彼女でも簡単に何でも言うことを聞くなんて言ったらさっきみたいな要求をされても文句は言えないぞって事」

「遊がからかってただけでしょ?」

「そうとも言う!」

「開き直るな!」

「イテッ」


 先程は香月がチョップを食らってしまったが、今度は俺がチョップを食らってしまった


「遊!」

「は、はい」

「今後はこの手の冗談は禁止だからね!」

「はい」

「よろしい!じゃあ、お詫びに私を抱きしめて寝て」

「わかりました」


 俺は香月をからかったお詫びとして香月を抱きしめて寝る事になった

今回は香月とイチャイチャする話です

本日のテーマは不器用な愛でしたが、いかがでしたでしょうか?

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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