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俺が香月と2人で下校する件について

今回は香月と2人で下校する話です

最近の遊が詩人っぽくなってる

では、どうぞ

 俺が飛ばされた未来で黙って家を抜け出した件について判決が出たのが昨日の話。昨日は偶然が重なり創立記念日で学校が休みだったが、今日は違う。俺達全員、学生だから学校がある。あるのだが……


「な、なぁ、香月?」

「ん?何?遊?」

「くっつき過ぎじゃないか?」


 現在、昼休み。昼休みだから当たり前だが、俺は昼飯を食べようとしている。が、香月がくっついてきている。


「遊……」


 浩太の呆れたような視線が痛い……


「浩太、見てないで助けてくれ」

「嫌だ。関わりたくない」


 浩太に助けを求めたが、アッサリと拒否されてしまった。チッ!薄情者め!


「敬……お前は俺を助けてくれるよな?」


 俺はもう1人の見物人である敬に助けを求めた。が──────


「ごめん、無理」


 敬にも見捨てられてしまった


「薄情者共め……」


 浩太と敬はダメだったが、他の連中はどうだ?


「チッ!リア充め……」

「いいよなぁ……藤堂のヤツ……香月先輩と密着できて」

「マジで死ね」

「視線と言葉だけで人を殺せたらどんだけいいか……」


 うん、クラスの連中は俺に殺意しか抱いてない。クラスの連中に助けを求めるのは諦めよう


「どうしたものか……」


 クラスの連中(主に男子)がダメなら女子はどうだ?


「藤堂君、お姉さまに密着されて羨ましい……」

「おい、藤堂、そこ代われ」

「死ね」

「藤堂殺す」


 女子は男子よりも質が悪い。男子は殺意をオブラートに包んだが、女子は包み隠さず俺に殺意を向けてきている


「このクラスに俺の味方はいないのか……」


 このクラスどころか俺の味方は校内にいないんじゃないかと思えてくるから不思議だ


「遊、諦めろ。俺はお前達の関係を知っているからいいが、クラスの連中はお前達の関係を知らないんだからな」


 浩太の言う通り俺と香月の────いや、俺と香月達の関係はクラス内で知ってるのは浩太と敬、早川だけだ


「遊、嫌なら離れるよ?」


 泣きそうな顔の香月。やめろ、そんな泣きそうな顔で俺を見るな。俺が苛めてるみたいだから


「嫌じゃないからそのままでいい」

「本当?」

「ああ、香月を泣かせたら俺がクラスの連中に殺されそうだし、それに、恥ずかしいだけで嫌じゃないから」


 香月を泣かそうものならクラスの連中は俺を殺しにかかってくるだろう。恋人である香月を泣かさない為、何より俺の命の為に香月には側にいてほしい


「じゃあ、チャイムが鳴るまで抱き着いてていい?」

「ああ。好きにしてくれ」


 俺は逆らうのもめんどくさくなってきた。それに、男子であれ女子であれ他人の不幸を望む奴は絶対にモテないと思っている


「うん!好きにする!」

「ああ、ところで、気になってたことがあるんだが、いいか?」

「何?」

「俺への罰で1週間、日替わりで香月達と過ごさなきゃいけないってのはいい。今日は香月と過ごすのもいい。が、順番はどうやって決めたんだ?」


 今日が香月の日だが、明日は誰になるかが予想できない。それ以上に順番がどうなっているのか気になる


「ん?ジャンケンだけど?」


 なるほど、ジャンケンなら公平に決められるし、勝った順から順番に誰が1番かを決めればいいから揉めることはない


「で、香月が最初に勝って1番か」

「うん!」


 できれば明日以降、俺が誰と過ごすのか教えてほしいが……


「できれば明日以降の順番を教えてくれると助かるんだが……」

「ごめん、それは無理」

「ですよね!知ってた!」


 結局俺は明日以降の順番を聞けずに昼休みを終える事となった


「結局、昼休みからモヤモヤしっぱなしで放課後を迎えてしまった」


 昼休みに香月から明日以降の順番を聞けずにモヤモヤしたままだった。初めて未来に飛ばされた時には未来での人間関係を確実なものにする方にばかり気を取られて自分がどうして未来に飛ばされたかは後回しにしてきた。今回の事は未来とは全く関係ないが、俺自身が知りたいと思っている事に対し、答えを教えろとは言わない。が、ヒントくらいはほしい


「香月は敬や親父と違って優しい女の子だと思ってたんだけどなぁ……」


 飛ばされた先の親父と敬は遊華の事で重要な事を俺に隠していた。気が付かなかった俺も俺だが、ヒントすらくれなかった事を思い出す


「遊……」


 校門で待っている俺の背後から香月の声がした


「香月か……」

「うん……」

「さっきの独り言聞いてたりするか?」

「うん」

「悪い、さっきのは忘れてくれ」


 香月達にだって秘密にしたい事の1つや2つある。それを聞き出そうとするなんて俺にはできない


「それって遊が私が遊斗さんや敬君と違って優しい女の子だって言ってた事?」

「ああ、親父達と香月を比べるなんて俺はどうかしていた」


 本当にどうかしている。親父達と香月を比べるなんて……未来の親父達だって別に好きで遊華の事を隠していたわけじゃない。俺が自分で気が付かなければいけない事だからあえて隠していた。それだけの事だ。香月も明日以降、俺が誰と過ごすのかわからない方が楽しみが増えると思って隠していた。それだけの事。悪意はないと思う


「いいよ。別に。明日以降の順番を教えなかった私も悪いし」

「ごめん……」

「ううん。それより、家に帰ろう?私、遊と一緒にお料理したいし」

「そうだな。晩飯作らないといけないからな」

「歩く前に1ついいかな?」

「なんだ?」

「手……繋いでいい?」

「ああ」


 俺と香月は手を繋ぐ。もちろん、恋人繋ぎで


「じゃあ、今度こそ帰ろうか?」

「そうだな」


 香月と手を繋ぎ、家へと歩き出した


「初めてだね」

「何がだ?」


 歩いている途中、香月がふと初めてだと言ったが、俺には何の事やらわからなかった


「こうして手を繋いで歩くの」

「そうか?」

「うん。遊華ちゃん達と一緒に遊びに行ったりとかはするけど、2人だけは初めてだよ」

「あー、そう言えばそうかもな」


 言われてみれば遊華達とどこかへ行く事はよくある。俺自体がインドアだから外出する機会自体があんまりない。だが、香月と2人だけでってのは初めてかもしれない


「私はずっと遊と2人で歩けるのを待ってたけどね」

「俺も香月達1人1人と2人きりの時間を作ろうとは思っていたんだが、中々時間が取れなくてな」

「大抵は全員一緒だもんね」

「ああ、俺が選んだ事とはいえ、同時に5人の女の子と恋人になるとは思わなかったからな」

「これも遊が未来に飛ばされたおかげだね」


 俺が未来に飛ばされたおかげか……俺が未来の事を知っているからこそできる芸当なのは間違いない


「そうかもな……」


 俺が未来に飛ばされなかったらどうなってたんだ?遊華との関係は今も冷え切っていたのか?


「どうしたの?」

「あ、いや、俺が未来に飛ばされていなかったらどうなってたんだろうって考えてた」

「どうって?」

「俺と遊華の関係は今も冷え切っていて香月達とは出会わなかったのかもしれない」

「え……?」


 悲しそうな顔の香月。だが、俺が遊華に告白しようと思ったのも香月達と出会ったのも未来に飛ばされたからだ


「俺が遊華に告白したのも香月達に出会ったのも全て未来に飛ばされたからだ。未来に飛ばされてなかったら俺は遊華を無愛想な妹程度しか思わなかったし、羽月さんに会いたいとも思わなかった」

「遊って本当にインドアだね」

「自分でもそう思う」


 浩太と敬はともかく、未来に飛ばされてなければ俺は今も彼女ナシのままだろうと思う


「遊華ちゃんもだけど、私達が遊と付き合えたのは遊が未来に飛ばされたおかげだね」

「その間に苦労はたくさんしたような気もしなくはないが、そうだな」


 未来に希望を持つのはいい事だ。タイムマシンに乗って未来に行きたいと思うのは人の自由だ。だが、未来に行けば知りたくもない事実を知る事にもなる


「その苦労話もっと聞きたいな」

「え?マジで?」

「うん、マジで」

「じゃあ、さっさと帰るか」

「うん!」


 香月と俺は家へと向かう。俺が未来で苦労した話は歩きながらじゃ時間が足りない。


「遊」

「なんだ?」

「大好きっ!」

「俺もだ」


 香月は手を繋ぐだけじゃ飽きたらず、俺の腕に抱き着いてきた


「帰ったら遊が未来で苦労した事を聞かせてね!」

「ああ」


 未来に飛ばされるなんていう体験はあんまりしたくない。だって、そうだろ?未来に飛ばされるほど思われているのは嬉しいが、その人物が飛ばされた未来にいないって事だし


「「ただいま」」


 俺と香月は2人揃って家へ入る。まぁ、平日だし、家に誰もいないのは当たり前か


「遊華達はまだ帰ってないみたいだな」

「そうだね」

「着替えてくるか」

「うん」


 俺と香月は着替える為に一旦別れる。どんなに好きでも着替えを見られるのは恥ずかしい


「香月達とこれからを歩んでいくのはいいが、これから喧嘩もたくさんするんだろうなぁ……」


 今まで俺達は喧嘩らしい喧嘩をしたことがない。互いに遠慮している部分があるのかは知らないが、遊華達が俺に本気でキレる事も俺が遊華達に本気でキレる事も少ない。それはそれでいい事だが、時々思う。本気で向き合えてないんじゃないかって


「まぁ、喧嘩はしない方がいい。本気で向き合うのは喧嘩が全てじゃないしな」


 本音をぶつけ合うのは喧嘩じゃなくてもいい。


「香月を待たせるのはよくないし、着替えるか」


 1人になると考えすぎるのは俺の悪い癖だ。人間は考えるのを止められないと言うが、今の俺がそうだ


「まぁ、喧嘩した時にどうやって仲直りするかは喧嘩した時に考えればいいか」


 短絡的だが、喧嘩した時の仲直りは喧嘩した時に考えるのが1番だ


「お待たせ、香月」

「ううん、そんなに待ってないよ」


 リビングに入るとラフな格好をした香月がいた。


「話をする前にコーヒーでも淹れるか」


 話をする前にコーヒーを2人分のコーヒーを淹れる。長い話になりそうだし、コーヒーを飲みながらゆっくり俺の未来での苦労話を香月にしよう








今回は香月と2人で下校する話でした

シリアスにしたつもりはないのですが、遊が詩人っぽくなっているのはどうしてだろう?

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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