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俺が行動面においては全く信用がなかった件について

今回は遊の行動面についての話です

日頃から隠し事が多かったり、黙ってどこかに行く遊は行動面においては信用に欠けるみたいです

では、どうぞ

「遊華」

「うん?なあに?」


 現在、俺に抱き着いたままの遊華。それはいい。それはいいんだが、俺の両手両足はいつになったら解放されるのだろう……


「さっきから遊華は俺を抱きしめてるよな?」

「うん」

「俺の両手両足は現在進行形で富士られてるよな?」

「うん、ずっと手錠したままだね。それがどうかしたの?」

「そろそろ両手両足に限界を感じるんだが?」


 俺は両手両足に限界は感じているものの、手錠を外してくれって言うレベルじゃない。重要なのは俺だって人間だ。当たり前だが、身体の老廃物を排出しなければいけない。なんて難しく言ってみたが、端的に言うと、トイレに行きたい


「うん。でも、手錠は外さないよ?」


 わかってはいたが、遊華は手錠を外す気は全くないらしい


「どうしてもダメか?」

「うん。だって、外したらお兄ちゃん逃げちゃうでしょ?」


 俺には逃げる理由はこれっぽっちもない。遊華よ……どうして俺が逃げるって前提で話が進むんだ?


「逃げない。俺はただトイレに行きたいだけだ」


 遊華がバカだとは言わないが、ヤンデレの遊華にはストレートに言わないと伝わらない


「そう。じゃあ、一端、両手両足の手錠は外してあげるけど、私もついて行くからね」

「あ、ああ」


 両手両足が自由になったのはいいが、高校生にもなって妹にトイレに付き添われる兄……しかも、介護を必要としていないのにだ


「はい、外れたよ」


 遊華に手錠を外してもらい、遊華に付き添われてトイレに向かう。向かうのだが……


「なぁ、遊華?」

「ん?なあに?お兄ちゃん?」

「どうして俺は恋人全員に付き添われてトイレに向かっているんだ?」


 そう、俺は遊華に手錠を外してもらい、遊華に付き添われてトイレに向かったのだが、リビングにいた香月達に見つかってしまい、RPGゲームの如く香月達がついて来てしまったのだ


「私1人じゃお兄ちゃんを取り逃がすと思って」

「だから、俺は逃げたりしないって……」


 どんだけ俺は信用ないんだよ……っていうか、俺が遊華から1度でも逃げた事あったか?いや、逃げたいなと思ったことはあるけど!


「でも、逃げたいなとは思ったことあるでしょ?」

「……………………………………………………………………そんなことはない」

「ねえ?今の間は何かな?」

「何でもない」

「何でもないって言う割には長くなかったかな?気のせいかな?」

「気のせいだろ。そんなことより、早くトイレに行かないと漏れる」


 この時代では遊華の元を逃げ出したが、未来じゃどうだったかを思い出すと…………あったわ、1回だけ


「今は誤魔化されてあげるけど後で理由聞くからね」

「はい」

「「「「私達もね」」」」


 この瞬間、俺は遊華達から尋問される事が決定した。が、飛ばされた未来での話だ。ノーカンだよな?


「わかったよ。わかったからトイレに行かせてくれ。何が悲しくてトイレの前で立ち話をせにゃならん」


 井戸端会議のおばちゃん達でもトイレの前で井戸端会議はしないだろ。今の時代に井戸端会議をすることがあるのか知らんけど


「そうだね、トイレから出たらちゃんと話してくれるよね?お兄ちゃん?」

「あ、ああ、もちろんだ」


 飛ばされた未来での話だ。どう話したものかと思いながら俺はトイレに入り、用を足す。


「はぁ……未来での事とはいえ、逃げたのはまずかったかなぁ……」


 未来の事って言ってもアレだ。俺が未来に飛ばされたばかりの頃、家にいるのが退屈だってのもあったが、飛ばされる前と飛ばされた後で遊華の変化に戸惑って家を出た。が、それは遊華が嫌でとかじゃない


「ホント、どうしよう……」


 未来に飛ばされたばかりの時にいたメンバーは遊華、香月、美月と家にはほとんどいなかったが、親父と羽月さん。由紀と美優はいなかった。こんな時こそ藤堂遊救済係にメッセージを募集するべきか?


「未来での話だしノーカンだろ」


 俺はノーカンと結論づけた。俺しか飛ばされてないし?バレることはない。むしろ俺しか知らない事だからな


「さて、さっさと手洗って戻るか」


 このままドアに鍵を掛け、トイレに立てこもってもいいが、ヤンデレは何をするか読めないところがある


「おかえり、お兄ちゃん」

「「「「おかえりなさい」」」」


 トイレから出ると遊華達が目に光を宿していない状態で待っていた。


「お、おう。別に待ってなくてもよかったんだぞ?」


 別に逃げはしないから待ってなくてもいい。というか、トイレの前で待ち構えられてると逆に困る


「待ってなかったら遊が逃げると思ってね」


 香月の中の俺はどんなイメージなんだ?


「逃げない逃げない。逃げたところで俺には何の得もない」


 できればさっきの事を忘れていてくれてた方が助かる。だが、俺の恋人達はそんなに都合よくはない。


「遊ちゃん、損か得かじゃないんだよ。遊ちゃんは逃げる事で言い訳を考えてるでしょ?それをさせない為に私達は待ってたんだよ」


 さすが美月、天然キャラでも観察眼は衰えてない模様


「俺が言い訳をするように見えるか?」


 全く言い訳をしないということはありえない。だが、俺が逃げたという話は俺が最初に飛ばされた未来での話だ。この時代ではノーカンだ


「遊さん、遊さんが言い訳をするように見えるか見えないかじゃないんです。遊さんは私達に秘密にする事が多いですからね。手遅れになる前に聞き出したいだけなんですよ」


 由紀の言った事は俺の図星を突く。本当の母を名乗る人物からの手紙の件について黙っていたから返す言葉もない


「確かに俺は自分自身の問題だって理由で由紀達に言わない事があるが、逃げたとか逃げないとかの問題で隠し事なんてしない」


 逃げたか逃げないかなんて些細な問題だ。そんな些細な問題で俺は隠し事をしないぞ


「ほんとかなぁ?遊くんにとっては大した事じゃなくても私達にとっては重要な問題を隠してる事があるからイマイチ信用できないんだよなぇ」


 美優と俺とじゃ認識の違いが生まれるのは仕方ない。価値観は人それぞれだから仕方ない事ではあるがな


「え?美優って日頃から俺のこと信じてないの?」


 え?俺って恋人達から信用されてないの?何それ悲しい


「信用してないわけじゃないけよ?ただ、遊くんって問題を1人で抱え込むところがあるから心配なだけ。トイレの前で立ち話もなんだからね?リビング戻ろ?」


 俺の返事を聞かずに俺をリビングまで連行する美優達


「で、お兄ちゃんは私から逃げようって思って実行した事あるのかな?」


 リビングに連行されてから早速遊華に前科がないかを聞かれた。俺としては忘れていてほしかった


「え、えーっと、それは……その~、なんだ?」


 飛ばされた未来で1回だけ逃げ出したわけじゃないが、勝手に家を抜け出した事がある。それが逃げた事になるのか……


「遊、言えない事でもあるの?」


 言えない事じゃないんだ香月。言っていいかどうかわからない事なんだ


「いや、言えないってわけじゃないんだけど、どう言っていいか……何せ俺が最初に飛ばされた未来での話だし、ノーカンかなと……」


 俺にとっては逃げたというよりは家にいても退屈だから遊びに行った。それだけなんだが、遊華からしてみれば逃げた事になるのかなぁ?


「お兄ちゃん、それは話を聞いた後で私達が判断するよ」


 捉え方は人それぞれだ。遊華の言うように話を聞いてから判断しても遅くはないが、ヤンデレ達だからなぁ……俺的には逃げたというよりは勝手に抜け出したって感じなんだけど


「でもなぁ……俺的には逃げたという認識じゃないからなぁ……話さない方がいい気がするけど……」


 逃げ出した認識は一切ない。抜け出した認識はあるけど


「遊ちゃん」

「なんだ?美月?どうし────────」


 ドン!!という音と同時に俺は押し倒されていた


「さっさと話せ」

「はい……」


 美月のドスの利いた声により、俺は未来であったことを話さざる得なくなった


「うん!じゃあ、さっさと話してね♪」


 美月ってクールキャラと天然キャラのハーフじゃなかったっけ?


「えーっと、確認なんだが、みんなと付き合う前に俺が未来に飛ばされた話はしたと思うが、俺の生活について詳しい話はしてなかったよな?」


 俺は初めて飛ばされた未来でどんな生活を送っていたかを話していない事を確認する。俺の記憶が正しければしていないはずだ


「最初に告白されたのは私だけど、お兄ちゃんが未来でどんな生活をしていたかは聞いてないよ」

「私も遊から未来での職業は聞いたけど、遊の生活については聞いてない」

「私も~」

「私もです」

「私もだよ」


 遊華達に話していなかったか……声優をやっていたということは話したが、俺の私生活については話してなかったか……ま、話してたら俺が家から抜け出した事を誰かが覚えているか


「あー、話してなかったか。じゃあ、話すが、俺の飛ばされた未来での生活はまぁ、ほとんど家に引きこもり状態に近い生活をしていた。時々外出する時もあったが、それは未来での生活に慣れてからだ。ここまではいいな?」

「「「「「うん!」」」」」

「で、未来での生活に慣れてないなかった頃に退屈過ぎて1回家を抜け出した事があるんだが……それって逃げ出した事にならないよな?」


 いろいろと端折ったが、嘘は吐いていない。未来での生活に慣れていない頃に家を抜け出したのは事実だし


「お兄ちゃん」

「なんだ?」

「未来での生活に慣れていなかった頃って由紀と美優はいた?」


 由紀と美優は未来の生活に慣れてきてから出会った。飛ばされて数日は遊華、香月、美月の3人くらいにしか関わっていない


「いや、いなかったな。俺が由紀と美優に出会ったのはある程度未来の生活に慣れてからだし」

「そっか……じゃあ、お兄ちゃんが家を抜けだした時に関わっていたのは私と香月さんと美月さんくらいだったって事?」

「そうなるな」


 遊華が何を聞いたいか質問の意図が全く理解できない


「ふ~ん。じゃあ、お兄ちゃんは私達が嫌で抜け出したって事でいいのかな?」


 俺の前に仁王立ちする遊華、香月、美月


「嫌だってわけじゃない。ただ、家に引きこもってばかりじゃ退屈だったから遊華達に黙ってゲーセンに遊びに行ったってだけだ」


 未来に飛ばされた俺は引きこもりと同等の生活をしていた。だが、ゲームや小説といった娯楽の類はなかった。あってパソコンぐらいだ。最初は見たいアニメとかあった。が、それもそれで飽きが来てしまう。そうなったらする事は1つだろ?


「でも、お兄ちゃんは私達に黙って出て行ったわけだよね?」

「ああ」

「ちょっと待っててね。遊ちゃん」

「わかった」


 さっきまで仁王立ちしていた遊華達は由紀と美優と集って何やらヒソヒソと話し始めた。


「どうする?お兄ちゃんを許す?」

「遊が私達を嫌って家から抜け出したわけじゃないみたいだから許してもいいと思う」

「でも、今の遊ちゃんに抜け出さないって保証はどこにもないよ?」

「そうですよ!遊さんですからね。私達を嫌いになることはないだろうとは思いますが、家を抜け出さないって保証はありませんよ!」

「由紀の言う通りだけど、いきなり有罪は可哀そうだよ!」


 何を話しているかは知らないが、俺にとっていい話じゃない事は確かなようだ。


「とりあえず、監禁してもいいけど、それだとお兄ちゃんに丸め込まれそうじゃない?美優の言う通りいきなり有罪は可哀そうだけど」

「じゃあ、こうしよう。1週間の間は私達と行動を共にする。これでいい?」

「「「「異議なし!」」」」


 遊華達が何を話しているかは知らないが、嫌な予感しかしない


「お待たせお兄ちゃん!」


 すごくいい笑顔で戻ってきた遊華。どうやら話し合いは終わったみたいだ


「お、おう。で?俺は何をされるんだ?」


 遊華達が俺を取り囲み、俺は逃走する事が不可能になってしまった。そんな気は全くない。それよりも俺は何をされるのかの方が気になる。


「今はお兄ちゃんに何もしないけど、お兄ちゃんには私達1人1人とこれから1週間の間、一緒に行動してもらいます!もちろん、日替わりでね!」


 遊華の話を簡潔にまとめると、俺が未来で黙って家を抜け出した事は有罪であり、その罰として俺は日替わりで遊華達1人1人と1週間の間、行動を共にしなければいけないらしい




今回は遊の行動面についての話でした

何でも1人でやろうとする姿勢はいいですが、時には相談も必要なようです

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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