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俺と美月がゲーセンに行く件について

今回でデート編終わりです

遊と美月のデートは普通じゃないのです

では、どうぞ

 何かを待っている時間というのは長い。それはものだったり、人だったり。まぁ、何を待っているかは別に今は気にする事じゃない。だが、何かを待っている時間というのはいつも以上に長く感じる。逆に暇な時間というのも長く感じる事がある。船旅とかでやる事がない時とかな。ま、だが、今言ったのは喋る相手がいない場合だ。今の俺には美月がいる


「それにしても遅いわね」

「そうか?」


 美月にはパスタが来るまでの時間が長く感じるのか、少し不機嫌なように見える


「そうよ、遊が作る時はもう少し早く感じるんだけど?」


 作る側の俺には遅いか早いかなんてわからない。それに、美月よ、家にいる時は俺が飯を作り、それまで美月は別のことをしているから長く感じるんじゃないのか?


「気のせいだろ。俺が作ろうが店の調理担当が作ろうが大差ないと思うぞ?」

「そうかしら?」

「そうだよ。それに、俺は美月と話しているからそんなに待たされている感じはしない」

「そ、そう……ならいいわ」


 何がいいのかサッパリだ。だが、美月とこうして2人きりになってみるとわかる。美月って照れた時に髪を弄る癖があるみたいだ


「お待たせしました、和風きのこパスタとナポリタンでございます。ご注文は以上でしょうか?」

「はい」


 俺の目の前にナポリタンが、美月の目の前に和風きのこパスタが置かれた。まぁ、1人で特にやる事がないと遅く感じるが、人といる時ややる事がある時はそんなに遅くは感じない


「では、失礼します」


 ウエイトレスは一礼して俺達の元を去って行った。


「さて、いただきましょうか?」

「だな」


 俺と美月は2人揃って注文した料理に手を付けた。注文の品が来るまでに話はしたから食べる時に話す事は特になかった。バカップルみたいにあーんもしなかったしな


「たまにはファミレスもいいわね」

「ま、たまにはな」


 食べ終わった俺と美月はファミレスを出たが、メインであるカップを見る事は昼飯前にやってしまった。飯が終わってやる事は特にないんだが、美月はどうだ?


「これからどうしましょうか?」

「そうだな……帰るにはまだ早すぎるしな……ゲーセンでも行くか?」


 時刻は13時。デートして帰るにはまだ早い時間だ。カラオケに行ってもいいんだが、入る時はいいが、出る時の時間を考えると昼料金になるか、夜料金になるか微妙なところだ


「そうね、カラオケに行くのも悪くはないと思うけど、料金的に昼と夜の境目だろうし、ゲーセンが1番いいわね」


 俺は最初に飛ばされた未来でも美月とカラオケに行ったことはない。じゃあ、遊華や香月と行ったことがあるかと聞かれれば遊華と香月とも行ったことはないんだがな


「美月ってレースゲームとか得意だったっけ?」

「いきなり何?」


 美月からしてみれば唐突だが、未来に飛ばされた俺からしてみればいきなりではない


「初めて飛ばされた未来で美月とゲーセンに行ったんだが、そこで美月がレースゲームが好きだって言ってたような気がしたから聞いただけだ」


 デート中に考える事じゃないと思うが、俺が飛ばされた未来じゃ親父は羽月さんと再婚し、遊華、香月、美月と家族として暮らしていた。そこに母さんと一月さんはいなかった。当然、俺も……だが、俺がいるということは未来は変わったということだ。しかし、その未来で美月はレースゲームが好きだって言ってたが、俺は家で美月がレースゲームをしている姿を見た事がない。好きだって言う話も聞いた事がない


「そうね……あるのは知ってるけど、実際にやった事はないわ」

「そうか……やってみるか?」

「ええ」

「じゃあ、ゲーセンに行くか」

「そうね」


 俺と美月はゲーセンに向かって歩き出したが、ここで俺は疑問に思うことがある。現段階で美月はレースゲームの存在は知っているが、実際にプレイした事はない。じゃあ、美月はどこでレースゲームをプレイした?人の趣味にとやかく言うつもりはないが、少し探ってみるか……でも、どうやって?


「さて、着いたな」

「ええ、早速レースゲームをやりに行きましょうか」


 美月は他のゲームに目もくれずにレースゲームコーナーへ向かってしまった。まぁ、マップもあるし、案内プレートもあるから迷うことはないが……レースゲームと言っても種類はたくさんあるしなぁ……


「あ、ヤベ、美月にカードを必要とするのもあるって言うの忘れてた」


 カードと言ってもクレジットカードの類じゃない。そのゲームのデータを保存する為のカードが存在する。別にそんなに値が張るものじゃない。高くて500円くらいだ。カードを買うかどうかは本人の自由だしな


「未来の事を考えると美月はレースゲームにハマりそうだし、一応は教えておくか……」


 カードの存在を後から教えて文句を言われても嫌だし、教えておいた方がいいだろう


「その前に美月を探さないとな……」


 インターネットが発達した現代になってゲーセンや街でナンパするなんてレトロ且つレアな奴はいないだろうが、何が起こるかわからないのが世の中だ。早めに見つけ出しておいて損はないだろ


「って言ってもなぁ……レースゲームと言ってもいろいろ種類があるからなぁ……美月がどこにいる事やら」


 ゲーセンは規模によるが、ゲームの種類というのは豊富にある。このゲーセンはカードが必要なゲームから必要ないゲームまでいろいろある。レースゲームだからと言って探し人が簡単に見つかるなんて保証はない


「ここにいるわよ」

「どわぁ!?」


 いつの間にか美月が後ろにいた。未来で遊華に後ろを取られることは多々あったが、美月にまで後ろを取られるとは……


「大声出さないでよ……ビックリするじゃない!」


 美月は俺の大声にビックリして耳を塞いでいるが、ここはゲーセンだ。大音量で様々な音が鳴っているのに俺1人の声ごときで耳を塞ぐ意味は?


「ご、ごめん、でも、どうしていきなり後ろに?」

「一通り回ったけど、何をどうしていいかわからなかったから戻って来たのよ」

「さいですか」


 時々遊華に対しても思うが、ヤンデレな俺の恋人達は俺の背後に音もなく忍び寄るのはステータスなのか?


「ええ、それに、私の恋人である遊の後ろに音もなく忍び寄るのは遊の恋人にはデフォルトで備わっているステータスなのよ」

「俺の心を読むのもか?」

「そうね。遊の心を読むのは私にだけ許された特権なのよ」


 俺の恋人達は暗殺者にでもなるつもりなのか?俺と付き合うのに音もなく背後に忍び寄るステータスは必要ないと思うのは俺だけだろうか?


「はぁ……もう多くは聞かない。ところで美月」

「何かしら?」

「レースゲームをするのはいいが、カードはどうする?」

「カード?」


 美月は知らないんだったな。俺も知識がある方じゃないが、説明するか


「ゲームの中にはデータを保存できるものがあるんだが、そのデータを保存する為にカードが必要なんだよ。でもカードといってもいろんな会社のがあるからな。カードを買う前にそのゲームがどこの会社で作られているものかを知らなきゃいけないんだけどな」

「そ、そうなの?」

「ああ、値段自体はそんなに高いものじゃないし、カードだって自分がそのゲームを次もプレイするかどうかを考えて買ってもいいし、ゲームをした後で考えてもいい。その辺りは美月の好きにしろ」


 クレジットカードや電子マネーカードみたいに使える範囲が広いわけじゃない。そのゲームがあるゲーセンとか、メジャーなものだとショッピングモールとかにも置いてあるけどな


「わかったわ。ところで、遊はそのカードを持っているのかしら?」

「ああ、持ってるが?それがどうかしたか?」

「見せてもらってもいいかしら?」

「ああ、ちょっと待ってな」


 俺は財布をポケットから財布を取り出し、ゲーム専用のカードを見せた


「これがゲーム専用のカード……これはいくらしたのかしら?」

「そうだな、俺が買った時は500円だったぞ?」

「そう。じゃあ、私も遊と同じカードを買おうかしら」


 この後、美月は俺と同じカードを買い、2人でレースゲームの対戦をした。だが、美月が予想以上に上手く、結果は俺がギリギリで勝利するという結果に終わった。


「あと少しだったのに……」


 俺に敗北した美月は少ししょげていた。俺も俺で手加減した方がよかったかな?とは思うが、勝負の世界は非常だって事と、美月のように負けず嫌いな人間は手加減したらしたで怒るだろう


「どうにかギリギリで勝てた……」


 俺は俺で美月にギリギリ勝てたが、それ以上にゲームをしていて疲労感を感じたのはこれが初めてだ


「遊、次は負けないわよ」

「おう、いつでもかかってきな」


 俺と美月は2人で笑いあう。だが、ゲーセンに来てばかりだと金が掛かるし、いつもいつもゲーセンに来るわけにはいかない。さて、俺が持ってるゲームでレース系のゲームはあったかな?


「さて、どうする?デートを切り上げて家でさっきのリベンジマッチでもするか?」

「そうね、負けっぱなしは悔しいからそうしましょうか」


 俺と美月は家に帰るということで意見が一致し、帰宅する事になった。俺には普通のデートなんてわからない。俺自身が未来に飛ばされるなんて特殊な経験をしているし、それに、遊華に告白する前までは彼女どころか異性の友達すらいた事がない。だが、普通のデートなんてあるのか?それって結局は女性を満足させる為の接待になるんじゃないのか?つまり、何が言いたいのかっていうとだな、自分も楽しめて相手も楽しめるデートが最高のデートって事だ


「美月」

「何?」

「今日は楽しかったか?」


 家へ帰る道中でふと美月に問いかける。俺はいろいろあったが楽しかった。だが、美月がそうだとは限らない。きっと同じ気持ちだろうなんてのは押し付けだ。俺は押し付けなんかじゃななく、美月と同じ気持ちを共有したい


「楽しかったわ。今日1日最高に楽しかったわ」

「そうか、ならよかった」

「遊は?」

「ん?」

「今日のデートは楽しかったかしら?」

「ああ、楽しかったぞ」

「なら、よかったわ」


 きっと普通のデートとは程遠いものなんだと思う。だが、俺と美月のデートはこれでいいんじゃないかとも思う。無理に取り繕うでもなく、どちらかが我慢するでもない。家具屋に行って、ファミレスで飯食って、ゲーセンで少し遊ぶだけのデート。そんなデートがあってもいい。



今回でデート編が終わりました

ファミレスに行ってからのゲーセンって……金使ってばかりだな……遊

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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