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俺が家具屋で誘惑されかかってる件について

今回は美月とのデートです

今回の遊はいつもの冷静なキャラとは違い若干崩れかかっています

では、どうぞ

 価値観って人それぞれだと思う。俺がそう感じる時は部屋の掃除なんかしてると価値観って人それぞれだなぁ……って感じる。特に男の俺と女の遊華達の価値観には大きな差がある。俺がいらないと思うものでも遊華達にとっては必要だと思うものだったりする。この例え話は置いといて、何でこんな話をしているのかと言うと、俺は現在、駅前で美月と待ち合わせをしている。同じ家に住んでいるんだから一緒に出てもいいと思うが、美月にとっては違うらしい


「遊華達にバレたくないのは理解できるが、せめて家の近くで待ち合わせとかでもいいだろうに……」


 美月と2人で出かけること自体に不満はない。だが、家から離れた駅前で待ち合わせというのが納得いかない


「家の近くじゃデートの雰囲気が出ないでしょ。少しは待ち合わせしたいっていう私の乙女心を察しなさい」


 背後から美月の声がした。だが、おかしい。美月は家以外じゃ天然キャラで過ごしているのにどうして今日に限ってクールキャラなんだ?


「ご、ごめん……でも、どうして今日は天然キャラじゃなくてクールキャラなんだ?」


 俺としては天然な美月もクールな美月もどちらも美月だからキャラなんて関係ない。だが、外ではあまりクールな一面を見せないのも事実だ


「好きな人とのデートなのよ?ありのままの私でいたいじゃない」

「さいですか」


 ありのままって、今までの美月はありのままじゃなかったのかよ……


「今までだってありのままよ?当たり前でしょ?」

「どうして俺の考えてる事がわかるんだよ……」

「遊は気づいてないかもしれないけど、顔に出てるわよ?」

「え?マジで?」

「ええ」

「って事は、俺が手紙を見つけた時も?」

「ええ、あの時の遊は見ていられなかったわ。だから、1つ約束してくれないかしら?」

「俺にできる範囲でなら何でも」


 多くの人で賑わう駅前だが俺には美月の悲しそうな顔が鮮明に見え、不安そうな声がハッキリと聞こえる


「何があっても私達に隠し事しないで」


 手紙の件は俺が高2に進級してからだから時間があるとはいえ、俺は手紙の事を誰にも言わなかった。遊華達にも浩太や敬にも別に言うほどの事じゃないと思ったから言わなかったが、結果として遊華達を不安にさせた。俺がトマトジュースを苦手な事を隠していたせいで遊華達に誤解されてしまった。どちらも俺が勝手に言わなくてもいいかと思って言わなかった事だが、美月達にとっては不安だったのかもしれないな


「わかったよ。些細なことでもちゃんと言うよ」


 俺は普段、絶対にできない約束はしないようにしているが、今回ばかりはそうも言ってられないな


「よろしい。さて、そろそろ行きましょうか?」


 美月が俺に手を差し伸べてきた。遊華達もそうだが、美月の手を握ってこれからも過ごしていくんだろう


「そうだな、行くか」


 差し出された手をとり俺は歩く。さて、辛気臭いのは止めてどこから回るか考えますか


「遊、最初はどこに行きたいかしら?」

「そうだな……普段ならゲーセンって言いたいが、今日は新しいベッドでも見に家具屋でも行くか」


 デートで最初に行く場所が家具屋ってありっちゃありだと思うが、なんて言うか、これは同棲の準備をするカップルか新婚夫婦みたいだな……


「そうね。今のベッドじゃ小さいものね」


 同意しちゃったよ……さすがにこれはないだろうと思ってたが、美月的にありなのか?


「本当はカップとか見に行きたかったんじゃないのか?」

「ええ、そうよ。だけど、カップなら家具屋にもあるでしょ」

「そりゃそうだが……」

「ならいいじゃない」


 天然美月は草食系だが、クールな美月は肉食系のようだ。遊華達もそうだが、美月は多重人格じゃないかと疑ってしまう。そうじゃないって頭では理解しているが、こうもギャップが激しいと本気で疑ってしまう


「まぁ、買う時にどんなものがいいかって希望を出しやすくするためにはいいか」


 家具屋でカップを一通り見てアンティークショップに行った時に希望のカップを決めやすくしておく。これに越した事はない。もしかしたら家具屋で希望のものが見つかるかもしれないし


「そうね。ひょっとしたら堀だしものが見つかるかもしれないし」


 クールな美月もいいが、天然な美月を見慣れているせいか常にクールな美月と一緒にいるのはどうにも慣れない


「とりあえず行ってみるか」

「ええ」


 歩きながら会話している俺と美月はどう見えるんだろう?仲のいい兄妹?それとも、恋人?どっちでもいいか。俺と美月は恋人同士なわけだし


「さて、カップとベッドどっちから見るんだ?」


 家具屋に着いたが、カップとベッドのどちらから見るか決めてなかった。どっちを見るにしても時間は掛かるから大した差はない。それでも見る順番を決めているのと決めていてないのとでは大きな差がある。


「そうね。最初はベッドからにしましょうか」

「了解。じゃあ、寝具コーナーに行くか」

「ええ」


 ベッドから見ると決めた俺達は最初に寝具コーナーへと向かった。さすがにキングサイズのベッドはないだろう。俺はそう思っていた。この時は


「誰が買うんだよ……」

「さあ?お金のある人で遊みたいに恋人が複数いて同棲している人じゃないかしら?」


 目の前のキングサイズのベッドとその値段に驚きを隠せないでいる俺。だって50万だぞ!?驚くなって方が無理だろ?


「そんなピンポイントな奴が早々いてたまるか。俺は未来の事を知った上で美月達と付き合っているし、1人1人を大切にしようと思っている。最初は良心が痛んだが……」


 最初は良心が痛んだ。特に遊華に対して悪いなとは思ったが、未来の事を話したらあっさりと受け入れてくれた事には感謝している。だが、恋人が増えるにつれて遊華と2人だけの時間が減る事に対して思うところもある


「遊と付き合えたことは素直に嬉しかったわ。それと同時に私もそうだけど、香月達も悩んだわ。それで私達は遊と同棲する事を選んだけど、1つだけ不満があるの」


 普段、天然の方でも不満を言わない美月から出る初めての不満。一体何が不満なんだ?


「不満?何だ?」

「遊と一緒に寝れない事よ」

「あー、今使ってるベッドは1人か多くて2人しか寝れないもんな」


 美月の不満は俺と一緒に寝れない事だったか……意外だ


「お客様、ベッドをお探しですか?」


 驚きのキングサイズベッドを見ていたら店員に声を掛けられた。


「ええ、今使っているベッドが小さいのでもっと大きなものが欲しいんですけど中々見つからなくて」


 美月が店員に応対しているが、ちょっと待て。俺達は今日初めてベッドを探しに来たんだ。今の言い方じゃ今まで探したいたみたいな言い方だぞ?


「どのようなベッドをお探しですか?」


 ほら見たことか。店員がベッドの希望を聞いてきたじゃないか


「そうですね。彼には私以外に4人の彼女がいて同棲してるんですが、6人で寝れるベッドなんてありませんよね?」


 おい!!言い方!!今の言い方じゃ俺がただの女好きで美月達に許してもらって同棲しているみたいになるから!!


「はぁ……6人用のベッドですか……」


 うわー、店員さんの俺を見る目がゴミを見る目だ……


「ち、違いますよ!?確かに俺は5人の女の子と一緒に住んでますが、内1人は妹ですし!」

「でも、血は繋がってないでしょ?」


 美月さん!?余計なことを言わんでよろしい!!


「チッ、リア充が……」


 店員さん?小声で言ったつもりでもバッチリ聞こえてますからね?


「あ、あの……」

「何か?」

「いえ、なんでもありません」


 俺はこの店員さんの闇を見てしまった気がする。店員さん、生きていればそのうちいい事ありますよ?多分


「それで、6人用のベッドってありますか?」


 何事もなかったかのような対応。さすがプロ、外面だけはいいんですね


「そうですね、こちらのキングサイズのものなんて如何でしょう?」


 ですよねー、知ってた。俺はわかってた。予想できた!


「そうですね……ですが、値段がちょっと……」


 このキングサイズのベッドは美月の希望に叶っているとは思うが、値段が値段だ。簡単に手が出るものではない


「で、ですよね……」


 店員さんも値段が高いって思っているのか、顔が引きつっている


「このベッドっていつからここへ置いてあるんですか?」


 値段の話をした途端に引きつった店員さんの顔、そして、ベッドの値段。そこから推測するに置いてある期間は1か月とかそんな短い期間じゃない。多分、数年単位で置いてあると考えていい


「そ、そうですね……1か月くらい前からですかね……」


 俺と目を合わせようとしない店員さん。俺の考えはは当たっていたみたいだな


「で?本当は?」

「1年前からです」


 だろうな。サイズはともかく、値段が値段だ。買い手はいないだろう。俺だってこのサイズでこの値段だったら買わんし


「遊、このベッドどうするの?買うの?」


 いやいや、どうして買う前提で話をするの?美月さん?買わないよ?


「いや、高いし買わないよ?」

「え?買わないの?」

「買わないんですか?」


 美月もそうだが、店員さん?どうして買う前提で話をするの?バカなの?


「買わないよ!?高いじゃん!」


 美月もこの店員さんも理解に苦しむ。どうして買う前提で話を進めるんだ?


「遊……?」

「お客様……?」


 こ、コイツ等……泣き落とし作戦に出てきやがった……


「泣きそうな顔してもダメ!2人とも値段を考えろ」


 残酷だが美月にも店員さんにも現実を教えてやることが優しさだと俺は思う


「「ダメ……?」」


 マジで泣き落としにかかってきやがった……マジでか?


「ダメだ。値段が高すぎる」


 値段を見てものを言え。上目遣いの女性にお願いされたくらいで50万のベッドを買うほど俺はバカじゃない。そんなのに騙されるのは彼女いない歴=年齢の奴だけだ


「チッ……こうなったら仕方ありません。全員集合!!」


 店員さんが集合の合図を出したが、何が出てくるんだ?怖い人達?え?この店って怖い人達と繋がりがあるの?


「「「了解!!」」」


 怖い人達かと思ったら他の店員さん達だった。しかも、全員女性


「「「「「お願い……」」」」」


 俺は来た店を間違えたか?家具屋だと思ったらキャバクラだったとか?っていうか、美月も何してんだ!?


「お願いされても買わないぞ?」


 美月も店員さん達も俺をナメ過ぎだ。俺だぞ?未来に飛ばされた遊さんだぞ?潜ってきた修羅場の数が違うんだよ!こんなの未来に飛ばされた事に比べればどうってことない!!


今回は美月とのデートでした

今回は遊のキャラがいつもとは違い崩れかけました。普段、遊にどんなイメージを抱いているかはそれぞれ違うと思いますが……

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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