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遊華達の様子がおかしい件について

今回は美月が遊より早く起き、遊華と香月が甘える話です

いきなりどうした!?遊華達!?

では、どうぞ

 月日が経つのは早いもので季節は秋になった。ついでに言えば10月。ついこの間俺の誕生日だったが、今月は遊華と香月の誕生日があったなと思いつつも俺は普段通りの生活を送る。が、俺は今まで生きてきて女の子に誕生日プレゼントなんて贈った事はない。遊華の誕生日?そんなのアイツが無愛想になってから祝ってない


「女子って誕生日プレゼントに何もらったら嬉しんだ?」


 女子って何をもらったら嬉しいのか俺はサッパリわからない。というか、遊華と香月の誕生日はまだ先なのにどうして俺はこんなに悩んでるんだ?


「遊華と香月のほしいものか……」


 口に出して言ってみたものの思いつかない。このまま部屋に引きこもっていても仕方ないので部屋を出る


「あ、遊ちゃん!おはよう!」


 リビングに行くと珍しく美月が朝飯の用意をしていた。あれ?寝坊した?


「お、おう、おはよう美月。ところで、俺寝坊した?」


 朝飯の用意やその他の家事は俺がする事になっている。俺が勝手にそう思っているだけだが……


「ううん、遊ちゃんは寝坊なんてしてないよ?ただ、いつもやらせたら申し訳ないと思って私が勝手にやってるだけだから」

「そうか。だが、俺が好きでやってる事だから美月が気にする事なんてないんだぞ?」


 家事は俺が好きでやっている事から美月が気にする事なんて何もない


「で、でも……いつもやってもらってるし……」


 シュンとした美月も可愛いな。このままシュンとさせてしまったままだと目覚めが悪い。


「じゃあ、2人で朝食を作るか」

「うん!」


 俺が出した案───それは、2人で朝飯を作る。俺が遠慮したら美月は手伝いたいと言い続けるだろうし、美月が手伝いたいと言い続けたら俺は遠慮し続ける。どちらにしても同じ事の繰り返し。だったらどうすればいいか?答えは簡単だ。一緒にやればいい


「美月は朝飯に何が食べたい?」

「今日は和食がいいかな?」


 和食か……和食って言っても手の込んだものはできなさそうだしなぁ……


「手の込んだものはできないけどいいか?」

「うん、いいよ。私は遊ちゃんと一緒にお料理ができればそれでいいから」


 こんな満面の笑みを浮かべている美月だが、裏の顔は女王様みたいな感じなんだよなぁ……あ、ちょうどいい機会だし、からかってみるか


「ありがとな。女王様」

「え?遊ちゃん?女王様って何?」


 あれ?失敗した?うまくいくと思ったんだけどな……


「あ、いや、何でもない。忘れてくれると助かる」

「そう言われると気になるわね。遊、言いなさい」


 前言撤回、成功してました。成功した結果、女王様が降臨しました


「怒らないか?」

「素直に言ってくれたら怒らないわよ。大好きな遊ですもの、怒る理由がないわ」


 いつもの天然美月には好きとか大好きとか言われ慣れてるが、クール美月に好きとか大好きとか言われ慣れてない分、気恥ずかしいものがある


「み、美月のそのキャラが女王様みたいだな~と思いまして……」

「私のどこが女王様なのかじっくり聞かせてもらえるかしら?」

「お、怒らないって約束は?」

「怒ってないわよ?ただ、遊が私のどこを見てそう思ったのかを話し合うだけよ?」

「あ、朝飯の用意は?」

「それは後でいいでしょ?さぁ、リビングに行きましょう?」

「はい」


 美月をからかった結果、俺はリビングに連行され、美月からの尋問を受ける羽目になった。なぜか俺が美月を抱きしめるという形で


「すっかり遅くなってしまったな」

「そうね。遊が私を極悪非道な女王様なんて言うからでしょ?」


 俺が悪いのは自分でも自覚している。が、俺は美月を極悪非道な女王様なんて言ってないぞ?女王様とは言ったけど!


「み、美月さん?俺は女王様とは言ったが、極悪非道なんて言ってないんだけど?」

「そうだったかしら?でも、私は遊の一言でとても傷ついたわ」

「ごめん……」

「悪いと思うなら私とデートしなさい」


 俺としては女子の好きな物がわかるから願ったり叶ったりなんだが、遊華達には内緒にしておかなきゃな


「わかったよ。だが、遊華達には内緒だぞ?」

「わかってるわよ。遊華ちゃん達にバレたら嫉妬されてしまうしね」


 俺は美月とデートの約束をした。いつにするかは決めてないけどな!


「さて、朝飯もできたし、遊華達を起こすか」

「ええ、そうしましょう。あ、遊」

「ん?何だ?」

「今週の土曜日のデート楽しみにしてるわよ?」

「お、おう」


 どうやら美月の中では土曜日にデートする事が決定事項らしい。俺は用事があるわけじゃないからいいけど、俺の予定を確認してからデートの日時は決めような


「おにいちゃんおはよ~」

「おう、おはよう。遊華」

「うん」

「寝癖が酷いようだからシャワーでも浴びてきたらどうだ?」

「そうするぅ~」


 遊華は寝ぼけた様子で風呂場に向かった。アイツ、途中で転んだりとかしないか?大丈夫か?


「遊華が起きてきたという事は香月達も起きてくるはずなんだが……遅いな」


 俺達は同じ寝室で寝ているので遊華が起きてきたという事は香月達が起きて来てもおかしくないはずなんだが……美月が俺より早く起きていた事には全く気が付かなかったけど


「遊、おはよう」

「おはよう、香月。遊華が今シャワー浴びてるからシャワー浴びるなら少し待ってな」

「うん」


 こちらも寝ぼけモードなため、いつものような覇気はない。そもそも、俺と接する時の香月は年上のお姉さんというよりは可愛い女の子だから覇気も何もないんだがな!


「って!寝るな!香月!」


 朝飯を並べている俺の前を通り過ぎ、そのままソファーに向かったと思ったらそのまま二度寝しようとした香月を止める。


「ねむい……」


 俺だって眠いわ!それくらい我慢しろ!っていうか、遊華もそうだが、香月も今日は変だぞ?いつもなら遊華は寝ぼけてないし、香月はソファーで二度寝しようとなんてしないぞ?


「どうしたんだよ?香月が二度寝するなんてらしくないぞ?」

「うん、たまには遊に甘えてみようかと思って」


 唐突すぎやしませんかね?誕生月だから俺に甘えたいとか?


「そっか。香月がそう言うなら失礼して」


 俺は寝ぼけている香月を抱きしめた。抱きしめる意味は特にない。強いて言うなら香月の体温を近くで感じたいっていうくらいだ


「ふえっ!?ちょ、ちょっと、遊!?」


 驚いてる驚いてる。しかし、俺は止めるつもりは一切ないし、離すつもりもない


「どうした?」

「ゆ、遊がいつもと違うから……」

「そうか?俺はいつもと同じだぞ?」


 俺はいつも通りだと思う。うん、俺はいつも通りだ。


「そ、そう?」

「おう!俺はいつもこんな感じだろ?」

「そ、そうだったかな?」

「もちろん!俺は隙あらば常に香月達を抱きしめたりする事ばかり考えてるぞ?」


 って何言ってんだ俺!?これじゃただの変態だ!!いや、恋人なんだから抱きしめてキスする事だってあるだろうけど!!


「へぇ~、お兄ちゃんってそんな事を考えてたんだぁ」


 シャワーが終わった遊華が俺達の元へとやって来た


「お、おう!もちろんだ!」


 俺は自分で何を言っているかわからない!誰か教えてくれ!誰でもいいから!


「じゃあ、私の事も抱きしめて」

「はい?」

「聞こえなかった?私の事も抱きしめてって言ったの」


 遊華の言った事が聞こえなかったんじゃない。唐突な遊華の要求に脳が追い付いていかなかっただけだ


「わ、わかった。だが、ちゃんと髪乾かしたか?」

「うん」

「ならいい。濡れたままじゃ風邪引くからな」

「そう言われると思ってちゃんと乾かして来たよ」

「準備いいな。ほら、おいで?」

「うん!」


 両手に花とは今のような状況を言うのだろうか?右に香月、左に遊華。俺は今日、死ぬんじゃないか?


「おにいちゃん」

「ゆう」


 ちょっと待て!遊華と香月を抱きしめたのはいい。遊華も香月も甘えん坊だしな!だが待て!どうして朝からこんなにも甘えん坊なんだ!?何か変なものでも食ったか!?いやいや、俺は遊華達の食事には何倍も気を使っている!食材は賞味期限が切れる前に使うようにしているし、親父と母さんがいた時なんて賞味期限ギリギリの食材は親父に、新鮮なものは遊華と母さんに割り振っていた!


「ど、どうしたんだ?2人とも今日は変だぞ?」


 今月は遊華と香月の誕生日というイベントがある。しかし、当日だったらまだしも、誕生日までまだ時間はある。嫌じゃないが、唐突に甘えられたらビックリする


「お兄ちゃんに甘えたいの……」

「私も遊に甘えたい……」


 どうして俺に甘えたいのかを今の俺は聞く術を持たない。いや、持っていたとしてもここで聞くのは無粋だ。恋人が甘えたいって言ってるんだからそうさせる事が俺の役目なんじゃないか?


「甘えたいなら好きなだけ甘えてくれて構わない。俺だって遊華達に甘えたい時があるしな」

「「うん」」


 俺だって遊華達に甘えたいと思う時がある。俺だけ甘えて遊華と香月が甘えたい時に甘えさせないというのは理不尽だ


「遊ちゃん!」

「遊さん!」

「遊くん!」


 遊華と香月を甘えさせていたら美月達に見つかりました。どうしましょうか?


「は、はい……」

「「「私達も甘えさせてよね!!」

「はい……」


 遊華と香月を甘えさせているところを美月達に見つかり、その後どうなったか?ちゃんと朝飯を食って学校に行きましたよ?遅刻寸前だったが


「なんだったんだ……」


 放課後、俺は今朝の事を思い出していた。美月の早起きから始まり、遊華と香月がいつも以上に甘えん坊な状態で幕を閉じた騒動。俺の恋人達はどうしたというんだ?


「どうした?遊?疲れた顔してるな?」


 いつもは暑苦しい浩太。だが、それはあくまで表の顔。今は文学少年の顔で俺に声を掛けてきた浩太


「実は今朝、美月が早起きして遊華と香月が甘えてきてな……いつもはこんな事ないんだが……」


 今回の騒動は省略して説明するほど長くはないし、掻い摘んで説明したつもりもない。今の説明した事が全てだからそれ以上聞かれても困る


「そ、そうか……俺としてはこうだって言えない。だが、考えられる可能性としては美月さんは遊に愛想を尽かされた夢を見て香月さんと遊華ちゃんはお前が離れていく夢でも見たんじゃないのか?」

「そ、そうなのか?」

「俺に聞かれてもわからないが、人間のする事には大体理由や原因があるものだ。遊からしてみれば唐突だと思う事でも彼女達にとってはきっとそれをした理由や原因があるんだよ」


 なんともまぁ、哲学的だが、俺には今朝の遊華達の行動理由はサッパリだ。こればかりは遊華達に聞くしかないが、どのタイミングで聞けばいいか……


「こればかりは遊華達に直接聞くしかないが、どのタイミングで聞けばいいか……」

「それなら夜がおススメだぞ?それも22時くらいだな」


 聞くのは夜しかないだろうが、どうして22時と時間指定したんだ?


「夜なら俺達が全員揃うが、どうして22時って時間指定までするんだ?」

「だって、大体そのくらいの時間帯って眠くなるだろ?」

「ああ」

「眠いと脳って正常な判断がしにくいだろ?」

「ああ」

「愛の告白とかそうだが、大体22時くらいに告白すると成功率が上るんだよ」


 それと俺が遊華達に今朝の事を聞く事に何の関係があるんだよ?


「それと俺が遊華達の今朝の事を聞くのに何の関係があるんだ?」

「告白じゃないにしろ遊華ちゃん達が素直になるにはちょうどいい時間だと思って」

「あ、そう」


 どんな理由かと思っていたら、そんな理由か……力が抜けたというか、安心したというか……俺には何も言えなかった




今回は美月が遊より早く起き、遊華と香月が甘える話です

いきなりどうしたんでしょうね?それは次回にでも

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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