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誤解が意外とあっさり解けた件について

今回は誤解を完全に解く話です

遊は無事に誤解を解く事ができるのか?

では、どうぞ

 自分で撒いた種は自分で何とかしろなんてよく言われる。特に日頃の行いが悪い人間は自分でまいた種は自分で何とかしろと言われる事が多いし、自分でした事の責任は自分で取れと言われる。俺、藤堂遊はまぁ、苦手なトマトジュースを遊華達に内緒で克服しようとして誤解されてしまった。だが、遊華は自分も香月達に説明してくれると言った。結論、遊華可愛い


「とりあえず、香月さん達を呼んでくるね?」

「ああ、頼む」


 遊華が出て行って俺は1人遊華の部屋で考える。怒られる覚悟はあるが、それ以上の事になったらどうしようと


「元々は俺が悪いんだし、大人しく殴られるくらいはするかね」


 元はといえば俺がトマトジュースを苦手だっていう程度だが、隠し事をしていたせいだ。そう、全ては俺の責任だ


「香月は泣くだろうし、美月は……想像したくねぇな」


 香月は泣くだけまだマシだと思うが、美月には何を言われたものか……


「罵倒も覚悟しておかないとな」


 美月から罵倒される覚悟も決まったし、あとは香月と美月に何を言われ、何を要求されても受け入れよう


「罵倒なんてしないよぉ~」

「うわっ!?み、美月!?」


 俺は美月に抱き着かれた。マジでビビったぞ……まったく、心臓に悪い


「ゆ、遊……」


 入口には悲しそうな香月がいた。さて、抱き着いている美月を含めて誤解を解いていくとしよう


「香月……」


 俺と香月と美月、さっきから黙っている遊華。俺達の間に流れる沈黙は気まずいものだった


「お兄ちゃん、さっさと話して楽になった方がいいよ?」


 酷い言われようだが、遊華の言う通りだ。誤解や謝罪は早いに越した事はない


「そうだな。美月、香月」

「「なに?」」

「単刀直入に言うが、俺は病気じゃない」


 事情を知らない奴が聞いてたらきっと頭の悪い奴に見えるだろうが、そうじゃない。遊華によって俺が血を吐いたと言われ、香月達はそれを信じた。まぁ、実際に吐いたのはトマトジュースだけどな


「え?でも、私は遊華ちゃんから血を吐いたって聞いたんだけど……」

「私も~」


 香月と美月は遊華から聞いたから血を吐いたと思い込んでいるんだよなぁ……


「その吐いた血なんだけどな──────」


 俺は遊華にした話と同じ話をした。誤解を解くためにする話だ。いちいち話を変える必要もないだろう


「そう……トマトジュースだったんだ」


 心底安心したような香月。その表情からは悲しみや怒りの表情は見えない


「トマトジュースだったかぁ~」


 美月も悲しむでも怒るでもない安心した様子だが、この2人は怒ってないのだろうか?


「香月も美月も怒ってないのか?」

「そ、そうですよ!」


 俺と遊華はいうならば誤解を招いた張本人だ。遊華はともかく、俺は怒られても仕方ないと覚悟していた


「遊華ちゃんの話を聞いてちゃんと遊本人にちゃんと確認しなかった私も私だし、遊にどうこう言えた立場じゃないから怒ってないよ」

「私も香月ちゃんと同じ意見かな~」


 言わなかった俺も確認もせずに香月達に話してしまった遊華も遊華から話を聞いて直接俺に聞かなかった香月達自身も悪いという事で落ち着いた。だが、まだ美優と由紀が残っている


「この場にいる全員悪かったって事でいいかな?遊」


 話し合いの結論が出たところで香月がまとめに入る。最近俺は年齢の事を気にせずに香月に接していたが、香月は俺達の中で1番年上なんだとこの時に実感した


「ああ、そういう事でいい」


 香月達との話し合いは揉めることなく解決したが、美優と由紀はどうだ?揉めずに解決できるのか?


「お兄ちゃん、いよいよ美優と由紀だけど……」

「ああ、揉めない事を祈る」


 自分が悪いとはいえ、揉めるのは勘弁してほしい。が、相手は中学生だ。ただでさえ不安定な年頃なのに人1人が死ぬかもしれないという事実を受け止めきれるか……


『遊華、いる?』

「由紀?」

『うん』


 部屋のドアをノックしてきたのは由紀だった。俺の名前が出ないという事は本当に遊華に用事があってここに来たんだろうな


「入っていいよ。お兄ちゃんと香月さん達いるけど」

『遊さん達もいるならちょうどいいや、入るよ』


 ドアが開いた先には由紀と美優がいた。俺はてっきり由紀だけだと思ったが、美優も一緒だったとは……


「どうしたの?由紀?それに美優も」

「あ、うん、遊華が朝に遊さんが血を吐いた、きっと遊さんは死んじゃうんだって言ってたけど、遊さんが死んだら私達が行った未来にいた遊亜君達はどうなるんだろうって思って聞きに来たんだけど……」

「「「「あ……」」」」


 俺は─────いや、俺達は忘れていた。夏休みに未来に飛ばされた時に俺達は自分達の子供に会っていた事を


「え?遊華ちゃんや香月さん達は忘れてたの?」


 美優と由紀に朝の件について誤解を時に行こうと思った矢先に由紀達の方から来るとは思わなかったし、きっと揉めるんだろうと思っていた。が、逆に質問しに来るとは思わなかった


「「「「…………」」」」


 俺は紛らわしい事をしたという罪悪感から、遊華達は自分達の子供と会ったという事を忘れていた事から言葉が出なくなった


「皆さん忘れていたんですか?」

「「「「…………」」」」


 ダメだ、言葉が出ない。マジで言葉が出ない


「忘れていたんですね?」

「「「「はい、ごめんなさい」」」」


 由紀から謝れと言われたわけではないのに出てくる謝罪の言葉。汚い大人(親父)が言ってたっけ?気まずくなったらとりあえず謝っとけば何とかなるって


「別に謝れって言ってないんですが……で、遊さんが死んだら未来が変わってしまうと思うのですが、ちょうどいいので遊さんに質問です」

「はい……」

「遊さんがこの時代で死んだら未来で会った私達の子供はどうなりますか?」

「俺が死ぬことにより未来が変わって存在しないことになります……」


 今の答えはあくまでも由紀達が妊娠していない仮定の話だ。もし現段階で妊娠していたら話は別だが、俺は彼女達と子作りをした覚えはない


「そうですよね?未来に行った時に遊さんが大きな病気を患っていた事があるとかそう言う話を聞いた事はありません。ここから導き出される結論はなんだと思いますか?」

「俺が吐いたのは血以外の赤い液体だという事だと思います」


 俺と一緒にいるせいか由紀の考え方が俺と少し似てきていると思うのは気のせいだろうか?


「そうですよね?で、遊さんが遊華の前で吐き出した赤い液体は何ですか?」

「トマトジュースです」


 母さんに怒られている親父ってこんな気持ちなんだろうか?肩身が狭いというか、逆らってはいけないからこれ以上怒らせないようにできるだけ言葉を選ばなきゃいけない気持ちになるというか……


「はぁ……苦手なものを隠れて克服しないでください」


 俺は何も言ってない。それなのに由紀はどうしてわかったんだろう?


「ごめんなさい。ところで、どうして由紀は俺が病気じゃないっていう結論を出したんだ?」

「どうしてって、遊さんと未来に飛ばされたじゃないですか?」

「ああ」

「遊さんが10代で死んでいたら未来で遊さんとの間にできた子供と会うなんてありえない事ですよね?」

「そうだな」

「で、未来で遊さんが大きな病気したって話は1度たりとも聞きませんでした」

「ああ」

「結論、遊さんは病気でもなんでもなく、遊さんが吐いたのは血じゃない別の何かだという結論に至りました」


 俺は由紀の考え方にグウの音も出ない。だが、美優はどうだ?美優も同じなんだろうか?


「由紀はそう思ったとして、美優も同じ考え方か?」

「ううん、違うよ」

「え?」

「私はさっきキッチンに行ったんだけど、その時にコップが流しにコップがあるのを見つけたんだけど」

「ああ」

「そのコップに赤い液体がコップの底に残ってたのを見たんだ」

「あ、洗うの忘れてた」

「まぁ、そのおかげで遊くんが吐いたのは血じゃなくて赤い飲み物なんじゃいかって思ったんだけど……」


 なるほど、美優はキッチンに飲み物を飲みに行ったか、何かを摘まみに行ったかは知らないが、キッチンに行って流しに洗ってないコップがあるのを見つけ、そのコップの底に赤い液体が残っているのを見て俺が使ったと思ったか


「トマトジュース吹き出して流しに放置したままだった」

「遊くん、トマトジュース苦手だったんだね」

「ああ」


 由紀と美優に怒られる事はなかった。だが、俺は俺で謝るでもなんでもなかった。結論から言うと俺の苦手なものがトマトジュースだってバレただけだった


「どうしてこうなった」


 香月達に正直に朝の事を全て話し、由紀達には俺の苦手なものを見破られるという結末を迎えた今回の騒動。あのまま謝罪し、苦手なものについては笑い飛ばしてくれたらよかった。朝、遊華達は誤解してたから飯どころじゃなかったし、昼は話し合いをしていて飯どころじゃなかった。で、現在は夜。


「お兄ちゃんトマトジュース苦手じゃない?」

「ああ」

「お兄ちゃんの妹である私もトマトジュースは苦手なんだけど」

「え?そうなの?」

「うん、トマトジュース苦手だよ」


 遊華の苦手なものが俺と同じだという偶然を喜ぶべきなのか、それとも目の前にあるそれをどう処理するかを考えるべきなのかどっちだ?


「遊華がトマトジュース苦手な事は理解したが、どうして今日の晩飯がトマトラーメンなんだ?」


 俺は目の前のそれ────トマトラーメンを指した。トマトジュースとトマトラーメンとは大きく違う。俺の記憶が確かならトマトラーメンにトマトジュースは使わないはずだ


「お兄ちゃん、これはトマトラーメンだけど、スープにトマトジュースを使っているんだよ」

「え?マジで?」

「うん。っていうか、お兄ちゃんこのラーメンは冷たい奴だからね?トマトジュースをそのまま使っているからね?」

「………………マジでか」


 遊華達の好意なのか、それとも今回の騒動を引き起こした俺に対するお仕置きなのかは知らないが、トマトジュースを使った料理だった。

今回は誤解を完全に解く話でした

遊は無事に誤解を解く事ができました。そもそも、未来に飛ばされた時に会っている子供達の事を思い出せばよかったのでは?と自分で自分にツッコミを淹れてしまう話でした

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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