俺の夜更かしが実は彼女達にバレていた件について
今回は遊のいつもの考え事をしているのが実は彼女達にバレていた話です
自分の事は誰も見ていないと思ったら大間違い!
では、どうぞ
自分が生まれた病院が存在するかどうか?なんて余程の事がない限りは気にしないと思う。そして、実際に行く人はいるかいないかで言うと俺はいないと思う。まぁ、転勤とかがなく、生まれた後もその病院がいつも行く病院だって人もいるだろうから一概には言えない節がある。病院の話はここまでにしておいて、自分が預けられていた施設はどうだろう?その施設に行く人っているんだろうか?
「学校終わりに行くか、それとも休日に行くか……」
晩飯が終わり、既に遊華達は寝ている。だが、俺はグッスリ寝ている遊華達の側で1人考える。自分がいた施設にいつ行くかを
「俺のいた施設に行くって遊華達に言ったら絶対に付いて来たがるからなぁ……はぁ~、どうしたものか……」
今日は遊華達を俺の滞在する予定の部屋に連れて行った。その結果が思考停止の疲労困憊なわけで肝心な事は遊華以外に話した覚えはない
「私は休日の方がいいと思うよ?」
「うぉ!?香月、起きてたのか」
いつもなら遊華の役目である俺に話し掛けてくる係が今は香月か……
「うん、なんだか眠れなくてね。で、遊が預けられていた施設に行く話だったよね?」
「ああ、俺1人で行くなら学校が終わったその足でいいんだが、香月達が付いて来るって言う事も考えたらどうしようかな?ってな」
自分のいた施設に行くくらい1人で行ける。問題は香月達が付いて来るのかだ
「みんなの予定を聞かない事には何とも言えないけど、みんなは休日でいい?」
「「「「うん!」」」」
「起きていたのか……」
香月の問いに寝ていたはずの遊華達が答えた。君達グッスリ寝ていなかった?
「遊が私達に話でもあるのかな?って思ってみんな起きていたんだよ」
意外だ。香月もそうだけど、遊華達は揃って思考停止と疲労困憊で寝ていたと思ってたんだがな……
「起きていたなら声くらい掛けてもいいんじゃないのか?」
新手のドッキリか何かか?それとも、俺の秘密が聞けると思っての寝たふりか?
「いやぁ……そのぉ……えっと……」
珍しく歯切れが悪い香月。どうしたんだ?怒られるとでも思っているのか?
「どうした?俺には言えない事なのか?」
「1人で考え事しているお兄ちゃんがカッコよくて声を掛けられないんだよ」
モジモジしている香月の代わりに遊華が話を引き継ぐ。が、1人で考え事している俺がカッコいい?冗談だろ?
「あ、そうなの?」
ここで調子に乗って下手な事を口走ったりするような俺ではない!何より、俺の彼女は全員ヤンデレだ。日頃の親父のようにヤンデレを刺激したところでいい事なんて何もない
「うん、遊ちゃん思案顔の遊ちゃんはすっごくカッコいいよ!!」
遊華達がどうとかではない。だが、美月にカッコいいと言われるのは手放しで嬉しい。遊華達に言われて嬉しくないってわけじゃないが
「そ、そうか……ありがとな」
「う、うん……」
美月の顔が真っ赤だが、美月から見たら俺の顔も赤いんだろうな……ん?悪寒がする。何だ?
「お兄ちゃん……」
「遊……」
「遊さん……」
「遊くん……」
振り返ると目から光を消した状態で俺を見つめる遊華達がそこにいた。あ、これダメなやつだ
「………好きにしろ」
逃げ切れないと完全に悟った俺は遊華達の好きにさせる事にした。彼女達のヤンデレに慣れてきている自分がいるのが嫌とかじゃないが、命の危機を感じなくなってきているっていうのは俺の価値観が変わったからなのか、それとも、信頼故の事なのか……
「施設に行く事もそうだが、遊華以外に手紙のこと話してなかったな」
「「「「手紙?何それ?」」」」
香月達は頭に?マークを浮かべていた。俺の記憶が確かなら遊華には話したが、香月達には話していないと思う
「ああ、肝試しの日に俺が職員室で見つけた本当の母を名乗る人物からの手紙だ」
理不尽かもしれないが、いちいち説明するのは面倒だと思う。それだけ俺の周囲には人が多いってことなのか?
「事情は解りました。ですが、1つだけいいですか?」
説明が終わった後で由紀が挙手した。なんだ?俺の説明にどこか不備でもあったか?
「ああ、どうした?由紀」
「高校2年生に上がるだけなら進級なのに、高校2年生に進学するって……この手紙の主はバカですか?」
その部分は遊華がすでに指摘している。遊華も由紀も辛辣であることには変わりないがな
「俺に言うな。俺は本当の母も父も知らないんだから」
俺の育ての親は知っている。父は母をからかう為に小道具まで用意する。母はヤンデレだ。うん、俺はそれしか知らないな。っていうか、親父と母さんの日頃の行いで印象深いのがこれしかない
「遊ちゃん……」
不安気に俺を見つめる美月。勘のいい美月の事だからきっと本当の母が俺を迎えに来た時の事でも考えてるんだろう
「美月が心配するような事態にはならないさ」
美月の心配しているような事態にはならないし、俺がさせない
「ならいいんだけど……」
美月もそうだが、香月達も心配そうに俺を見ていた。唯一遊華だけ心配そうに見つめてくるなんてのはなかったが、これは俺が前もって言っておいたからだな
「香月達もそうだが、今まで何もしてこなかったクセに今更親を名乗られても困るし、俺は今の生活を気に入っているんだ。迎えに来られても困る」
受け身で過ごしてきたわけじゃないが、俺だって自分で物事を判断できる年齢だ。俺がどこにいるかは俺自身が決める!全てが1人でできるほど大人じゃないが、自分の居場所くらい自分で決めてもいいだろ
「お兄ちゃんは私達より本当の家族といた方が幸せなんじゃないかって香月さん達は思っていたみたいだけど、それは香月さん達の思いすごしで終わりそうだね」
そんな事か。しつこいようだが、俺の彼女達はヤンデレだ。ヤンデレだというのにネガティヴ思考になり、それ以降の行動は特にない。
「友人関係はともかく、俺は家に彼女達がいる今の生活が1番幸せなんだよ」
浩太と敬は一緒にいて楽しいし、互いに頼りにしている部分もある。が、家に帰って来て自分が好きになった人達がいて、自分を愛してくれる人達がいるだけで俺は幸せだ
「「「「「…………」」」」」
遊華達は真っ赤になって俯いてしまった。照れているところは可愛い。しかし、これじゃ結婚する時に大変なんじゃないか?
「照れてくれるのは嬉しいけど、気絶はするなよ?運ぶ俺の理性がウッカリ吹き飛びそうになるから。自転車の鍵を落としたレベルで理性をどっかに落としちゃうから」
口にだしては言わないが、気絶した遊華達を運ぶのは俺だ。お姫様抱っこで全員を運べたらいいが、おんぶで運ぶとなると話しは別だ。俺の背中に彼女達の夢と希望と欲望と欲望を駆り立てる2つの果実があたる事になる。それだけは避けたい!
「私達としては遊くんの理性がウッカリ吹き飛んでくれた方が嬉しいんだけど、高校生と中学生だからそうもいかないんだよね?」
美優さん?他にツッコミを入れるところがあると思うんだが、この際いいか
「ああ、万が一の事があれば学業にも生活にも支障が出るからな」
今言った事はほんの一部だ。本音を言えば休み中に飛ばされた未来を確実なものにするためには遊華達が高校卒業したくらいに手を出す。これが俺の予定だ
「そっか……」
遊華達は何を想像したのか、より一層モジモジし始めた。うん、ここまできたら放置だな
「遊華、あとよろしく」
俺は一言遊華に伝えて寝る事にした。というか、寝たい。
「…………道理で重いと思ったら」
目が覚めた俺は身体に重量感を感じ、周囲を見てみると遊華達が俺にくっ付いて寝ている。あれ?今日は学校があったはずだが……
「今日は自主休校って事でおやすみ」
本来なら学校があるんだが、今日は自主休校だ。昨日は彼女達を不安にさせてしまったし、たまには何もせずに彼女達と過ごすのもいいだろう
「二度寝するか」
いつもなら起き上がって朝食の用意をするが、今回ばかりは睡魔に勝てず、布団の中へと戻って行く
「いつもは朝食の用意をしているところだが、今回だけは寝かせてくれ」
俺の意識は再び夢の世界へと旅立った。遊華達と寝るのが苦になるとは言わないが、今回は疲労がたまっていたせいかすぐに眠る事ができた
「あれ?今何時だ?」
携帯で時間を確認してみると既に10時を過ぎていた。遊華達はまだ寝ている。俺も俺でまだ眠いが、ちょっと待て。眠気の他に感じる事がある。それは─────
「何か怠い」
身体の怠さだ。さっきは遊華達の顔をちゃんと見なかったが、今確認してみると心なしか息が荒く、顔が赤い。こりゃ俺も遊華達も風邪引いたな
「前回は俺1人だったが、今回は遊華達も風邪を引くとは……」
そう、俺達は全員仲良く風邪を引いてしまった。本来なら俺が看病しなきゃいけないんだろうが、俺まで風邪を引いてしまったし、何より、身体の怠さと異常なまでの眠気には勝てなかった。
「親父にメールでも出しておくか」
意識を失う前に俺は親父に遊華達と共に風邪を引いた事をメールした。ここで俺の意識は途切れてしまい、そこから先の事は覚えていない。だが、親父にメールしておけば誰かがここへたどり着き、看病してくれるだろう。
「なんだこれ?」
気が付けば俺は森の中にいた。ちょうどY字に別れた道に来ている。が、その道の前には立て看板
「“右は幸せ村、左は不幸村”ってなんだこれ?」
幸せになりたい人は幸せ村へ、不幸になりたい人は不幸村へって解釈でいいのだろうか?
「この立て看板は何を言いたいんだ?」
俺は左右の道を選択する事に対し、悩み続けたが、結局答えは出ずにいた。
この後の話を少しすると、俺のメールを読んだ親父だったが、手が離せなかったという事で母さん、羽月さん、由紀の母さん、美優の母さんが俺達の看病にやって来た。親父が全員ダメで看病しに来たのが全員母のにはビックリしたが、その看病のおかげで翌日には元気を取り戻したという事だけ言っておこうと思う。
今回は遊のいつもの考え事をしているのが実は彼女達にバレていた話でした
自分の事は誰も見ていないと思ったら大間違いですが、俺は見ているとか言う人に限って全く見ていないってパターンは多いと思う
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました