敬と早川がイチャついてた原因が判明した件について
今回は敬と望海がバカップルとなった原因が判明する話です
まさか、他人の事でここまで思い込むとは
では、どうぞ
朝食が終わり、俺達はそれぞれ学校に登校する。俺達は学生だから学校に行って勉強するのは当たり前の事だが、中には不登校の子もいる。不登校にもいろいろと理由があるから俺はこの事について何かを言うつもりは全くない。どうして俺が不登校の話をしているかと言うとだな……原因は目の前のギャル系女子と文系男子の異色カップルが原因だ
「敬、会いたかった……」
「僕もだよ。望海ちゃん」
この異色バカップルが作りだしているラブ空間を誰か何とかしてほしい。俺、藤堂遊は切実に思う。
「なんかあの2人昨日よりも悪化してないか?俺の気のせいか?」
「悪化してるぞ!確実な!」
俺の質問に答える浩太は昨日のような知的な感じではなく、普段と同じ熱血系男子になっていた。美月で慣れているとはいえ、俺は浩太のこのギャップに違和感しかない。
「はぁ……敬と早川───特に敬の変わり様にも違和感しかないが、浩太のギャップにも違和感しかない」
「敬の変わり様にも俺のギャップにも慣れてくれ!」
浩太はどれだけ無茶な事を言っているのか自覚してるのか?慣れろ?そんなのすぐには無理だ!!
「お前、どれだけ無茶苦茶な事言ってるかわかってる?」
「もちろんだ!だが、美月さんのギャップに慣れた遊なら大丈夫だと俺は信じてる!」
全く嬉しくない。宝くじに当たった方がまだ嬉しい。そもそも、どうして俺の周りに集まる人間はこうも表裏が激しいんだ?あれか?今はファンタジー小説がブームなのと同じで俺の周りは裏表が激しいのがブームなのか?
「そんな信頼は全く嬉しくないが、浩太は敬と早川があんな状態になった原因って見当がついてるのか?」
「当たり前だ!伊達に浩太という名前を親からもらってないからな!」
浩太という名前と異色バカップルの異常なまでにイチャつく原因の見当がついてるのと何の関係があるんだよ?
「名前と原因の見当がついてるのと何の関係があるんだよ?」
「深い関係はない!名前は関係はないが、敬と早川がああなった原因は大体わかっている!」
「そうか。なら教えてくれないか?」
俺もそうだが、クラスの連中もうんざりした様子だった。声には出してないが、みんな心の奥では“早くHRにならないかな?”とか、“教室の中でイチャつくんじゃねーよ!”とか思っているに違いない。俺がそう思ってるからな!
「十中八九、肝試しで遊が1人だけ戻ってくるのが遅かった事だ俺は思っている!」
どうして敬と早川のバカップル化の原因が肝試しで俺が遅く戻った事が原因なんだよ……
「肝試しの時に戻るのが遅かった事は謝るが、それがどうしてバカップルになるんだよ?」
「え?気づいてないの?遊ってバカなの?」
コイツ……わからないから聞いてるのにバカ呼ばわりかよ
「わからないから聞いているんだよ!バカって言うな!」
「すぐに答えを教えてやりたいが、今回ばかりはヒントをやる。あとは自分で考えろ!」
いつもの浩太ならすぐに答えを教えてくれたりするが、今回はヒントのみか……
「そうかい、じゃあ、ヒントをくれ」
「ヒントはお前が持っている手紙だ!」
「俺の持っている手紙?それって本当の母を名乗る人物からの?」
「ああ!最後に職員室から出てきた遊を遊華ちゃん達も心配してたぞ?」
遊華達には気づかれてないと思っていた。が、実はそうじゃないらしい。ひょっとしたら遊華達は俺が手紙の事を話すのを待っているのかもしれないな……
「そうか。なぁ、浩太」
「なんだ?遊?」
「遊華達って俺が手紙の事を話すの待ってると思うか?」
「そりゃ待ってるだろうな」
いきなり裏の顔になる浩太。今までは真面目な話をしていても熱血系のキャラだったが、俺が浩太の裏の顔を見たせいか今の浩太は完全に文学少年の顔だった
「だよな……」
「ああ、それにな、大げさかもしれないが、職員室から戻って来た時の遊の顔は何て言うか、誰かが見張ってないとそのままいなくなってしまうんじゃないかって俺達はそう思ったぞ」
「なんだよ、それ」
意味がわからない。俺の本当の母を名乗る人物からの手紙を受け取ったくらいで大げさな……
「直感でそう感じただけだから何とは言わない。だが、俺達はそう思ったってだけだ」
「そうかい。だが、俺は俺なりに浩太からもらったヒントを頼りに敬と早川がああなった原因を考えてみるよ」
「そうしろ。答え合わせは俺にじゃなく敬にでもしてくれ」
「了解」
ここで担任が来たので浩太との会話は終了。そして、そのままHRになった。さて、俺は浩太からもらったヒントを頼りに敬と早川のバカップル化した原因について考えるか。
「ヒントが俺が持っている本当の母からの手紙って雑過ぎね?」
“遊へ、高校2年に進学したら貴方を迎えに行きます。私と貴方の本当の妹と父と一緒に暮らしましょうね。本当の母”手紙にはそう書いてあった。進学の使い方が違うんじゃないかとかのツッコミはなしにして、俺が高2になったら俺を迎えにくる。そして、俺の本当の母、父、妹と一緒に暮らす。それって遊華達や浩太、敬と離れて別の場所で暮らすって事だろ?それが敬と早川のバカップル化と何の関係があるんだ?
「手紙をもらったのは俺なのにどうして敬と早川がバカップルになるんだ?」
俺が手紙をもらって事により遊華達がすり寄って離れないのはわかるが、どうして敬と早川がバカップルになるんだよ。意味がわからない
「立場を変えて考えてみるか……もし、俺と敬が逆の立場だったらどうする?様子のおかしい敬に何も聞かずに敬が話してくれるのを待つだろうな。ん?逆の立場?」
逆の立場という言葉が俺の頭に引っかかる。敬はともかく、早川がいなくなってしまう恐れのある俺を見た後で自分の彼氏を見て何を思う?自分の彼氏が急にいなくなってしまうんじゃないかって思うのか?仮にそうだとして、そう思ったら────ダメだ。敬と早川だと考えがまとめられない
「遊華達と俺で考えてみよう。遊華達なら俺を離さない為ならどうする?」
遊華達全員をイメージして考えるのは難しい。だが、似たような事だったらあった。そう、未来で美優のストーカーを退治した時だ。あの時、俺は遊華と由紀、それに被害者である美優にも黙って親父の部屋から防弾チョッキを拝借し、ストーカーと対峙し、ソイツを煽って刺された。その後、遊華に手足を縛られた。そしてヤンデレ遊華に説教をされた。
「あれ?敬と早川のバカップル化の答えってこんな簡単だったんだ」
当事者じゃない敬とその彼女である早川がバカップル化する意味が全く理解できないし、浩太は自己申告されたからいいとして、敬からは何も聞いてないからわからないが、そういう事でいいのか?
「遊、敬と早川のバカップル化した原因はわかったかな?」
「ああ、合っているかどうかは知らないし、敬と早川は俺に何があったかなんて具体的には知らないのにどうしてこんな事でバカップル化する意味がわからないけどな」
俺はその後、“当事者じゃあるまいし”と言おうと思ったが、止めた。嫌な予感するし
「意味?そんなの決まってるだろ。俺の彼女、敬の彼女、遊の彼女って性格や見た目は違えど共通する事があるだろ?」
浩太の言葉で俺は納得してしまった。一言で納得させられる俺も俺だが、なんてわかりやすい連中なんだ
「ヤンデレ……か」
「正解。じゃあ、後は当事者である敬と早川に任すわ」
HRが終わって少し浩太と話していたはいい。だが、異色バカップルがイチャつく事もせずに俺の答え合わせに付き合ってくれるとは……
「うん、任されたよ。浩太」
どこから聞いてたかわからない敬が浩太の話を引き継いだ。どうやって早川を振り切って俺の元へ来たのか?なんて聞くまでもない。俺が考えるに俺への説明とか言ったんだろうな……
「敬、早速で悪いが、早川が敬と人目を無視してイチャついてたのって肝試しの時に俺が戻ってくるのが遅かったのが原因だってのもあるが、見張ってないと居なくなってしまうかもしれない俺を早川が敬に重ねたからか?」
くだらない前置きはなしだ。俺は遊華達の前からも敬と浩太の前からも消える予定もない。ハッキリ俺はいなくなったりしないって言っておこう
「そうだね。僕と遊は長い付き合いだからそんな予定はないってわかってるけど、望海ちゃんはそうじゃなかった。遊がいなくなるかもしれないっていうのは気にしてないみたいだったけど、遊と一緒に僕までいなくなってしまうんじゃないか?って心配した結果が昨日、今日のアレ」
「やっぱりか……はぁ、本当に面倒な事になりそうだ」
「何があったのか聞いてもいいかな?」
敬が控えめに聞いてきたが、敬の彼女を不安にさせてしまった。敬の彼女を不安にさせた挙句、敬にも迷惑を掛けたから俺に何があったか────いや、俺が何を見つけたかを話しておくべきだろう
「その話、アタシも混ぜてくんない?」
敬の後ろから早川が声を掛けてきた。別に大した事じゃないからいいんだけど、これって聞く人によってはホラーだよな?
「早川か……別に構わないが、聞く人が聞いたらホラーだぞ?」
「それは聞いてからアタシが決めるから」
意外にも男らしい早川の回答に俺は少し驚いてしまう。どの道俺と関わっている奴全員が知るんだ。それが早いか遅いかの違いだ
「そうか、じゃあ、話すが、俺はあの日──────」
俺は肝試しの時に浩太のプロマイドを置く机を選んでいる最中の話をした。プロマイドを置く机を選んでいる時に手紙を見つけた事、それが俺宛てになってる事、手紙の差出人が俺の本当の母を名乗る人物で内容が俺が高2に進級したら迎えにくるという事である事全てを話した
「遊にそんな手紙が届いてたんだ……」
「しかも、高2に進学したらって、アンタの本当の母を名乗る人物ってバカ?」
敬は手紙が届いていた事に驚きもしなかった。だが、早川も敬と同じで驚きもしなかったが、意見は辛辣だった。特に高2に進学した時という文面に対してバカ呼ばわり。
「2人とも驚かないのか?」
発見した場所が家ではなく、職員室。内容が進級した俺を迎えにくるという内容。どちらにしても不可解だ。
「遊は既に未来に飛ばされたっていう事実があるから今更驚かないよ」
「アタシも敬に同意」
俺は敬と早川に未来に飛ばされたと話したし、証拠として未来で撮ったプリクラも見せた。未来に飛ばされた事のある俺が今更不可解な状況で手紙をもらった言っても誰も驚かないか
「それもそうか……」
未来に飛ばされた事と不可解な状況で不可解な内容の手紙をもらう事は違うと思うが、どちらにしても普通じゃない事に違いはない。こりゃ遊華達にも俺が手紙を見つけた事を話してさっさと施設に行くか……会うのは進級してからでも遅くはないだろうし
今回は敬と望海がバカップルとなった原因が判明する話でした
遊が見張ってなきゃいなくなってしまうかもしれないと思う周囲。そして、それを自分の彼氏に当てはめる望海。他人の事だとしても自分の彼氏に当てはめてしまうのは1度は経験していると思う今日この頃
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました