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浩太の意外な一面を見た件について

今回は浩太の意外な一面を見た話です

普段は割と熱血系キャラの浩太ですが、今回の浩太はどんなキャラなのでしょうか?

では。どうぞ

 いつもは気が付かない事ってあると思う。例えば、地味なメガネ女子や男子がメガネを外すと女子は美人、男子はイケメンでしたなんていうのがラブコメや恋愛映画の定番だったりする。人間に例えるとこれがわかりやすいだろう。では、人間以外のもの……例えば、景色だ。都会の景色や住宅街の景色って普段は人工的な光で覆われてたりする。だが、それがなくなった時、夜空には満点の星空が見える事もあるだろう。つまり俺が何を言いたいかって言うとだな─────────


「浩太ってメガネ掛けると雰囲気変わるんだな」


 浩太がメガネを掛けて読書をしていたという事を言いたかったんだが、メガネを掛けるだけで人の雰囲気が変わるのはいい。少し知的に見えるし。だが問題は次だ。次が問題なんだ……


「何言ってるんだ?目が悪いんだから当たり前だろ?それに、俺だって本くらい読む」


 そう、メガネを掛けた浩太はクールになる。しかも、クールになっただけじゃない。文学少年というオプションまで付く。


「いや、そりゃ浩太だって本を読むだろうけど、俺はてっきり漫画とか雑誌しか読まないと思っていた」


 懐中電灯の明かりを頼りに本を読んでいる浩太。だが、読んでいる本は小説であり、普段の浩太からは想像もできない


「遊は俺を何だと思っているんだ?」

「読書と小説とは縁がなさそうな奴だと思っている」


 俺は正直に思っている事を言う。だってそうだろ?普段の浩太は文学少年というよりはスポーツ少年という印象が強いんだから


「普段が普段だから何も言わないが、遊、自分が失礼な事を言ってる自覚はあるか?」

「ああ、自覚はしている」


 自覚はしていても口に出さずにはいられない。浩太の普段とのギャップはそれぐらいすごかった


「まぁ、言わなかった俺も俺だが、何気に酷いからな?遊」

「知ってるよ。っていうか、今は明美さんがいるからあんま言わないが、昔は彼女がほしいっていつも言ってたが、普段からそうしていれば女子なんて引く手数多だろうに」


 普段の浩太は女子から距離を置かれたりしている事が多い。だが、今の浩太は違う。騒がしいというより知的な文学少年で物静かな雰囲気だ


「俺は見た目とか外面で寄ってくる女は嫌いなんだよ」

「へぇ~、意外だな。で、何で普段は騒がしいの?」


 俺はこの際だから普段の騒がしい理由を聞いてみる。どうせ俺と浩太しかいないし、ちょうどいい機会だ。


「別に?昔は読書家でどちらかというと大人しい方だったが、ある日母親に言われてな」

「何を?」

「“アンタも子供なんだから他の子みたいに外で遊んできたら?”って」

「そうか。で?それがどうしてあの騒がしさになるんだ?」


 外で遊んできたらという提案だけで大人しい読書家が喧しいスポーツ少年になるはずがない


「何となく外で遊ぶ=元気。元気=騒がしいと幼い頃の俺は結論付けてやってくうちに現在までズルズルと」


 つまり、浩太の普段の騒がしさは幼い頃から続けている習慣みたいなもので今更止める事ができないものか


「習慣化してるのな」

「まぁな。俺のコレは明美さんですら知らない」

「何で?」

「別に言う必要もなければ聞かれてすらいない。俺は聞かれてない事をベラベラ喋るタイプじゃないからな」


 確かに言う必要がない事と聞かれてすらいない事をベラベラ喋る必要はない。特に知ってても知らなくてもどっちでもいい事なら尚更な


「俺も言う必要のない事と聞かれてすらいない事はベラベラ喋るタイプじゃないからその辺は理解できるな」

「だろ?遊だって肝試しの時に見つけたもの───おそらくは手紙だろうけど、それを見つけたことを俺達に黙ってるだろ」

「なっ─────!?」


 俺は肝試しの時に見つけた手紙の事を誰にも言っていないはずなのに浩太はどうしてそれに気づいているんだ?


「何だ?俺が気づいてないとでも思ったか?」

「あ、ああ、あの時は誰も何も言わなかったからな。てっきり気づいてないものだとばかり思ってた」

「他のみんなはどうか知らないけどな、俺はすぐに気づいたぞ」


 どうしてすぐに気づいた?あの時の俺に変わった様子とかあったか?


「どうして気づいたんだ?」

「職員室に入る前と後じゃ遊が頭を掻く回数が少し多かったからな」


 自分でも自覚してなかったし、俺は頭を掻いた覚えは全くない。なのに浩太はそれを見逃さなかったというのか?


「俺には全く覚えがないんだが?」

「そりゃそうだ。あれはお前が動揺した時に出るクセみたいなものなんだろう。だから無意識のうちに出たし、それが出るって事は余程の事なんだろ?それこそ遊華ちゃん達に心配を掛けるんじゃないかってくらいの」


 俺は浩太に手紙の内容をどころか手紙を見つけたって相談すらしていないのによく見破ったと感心してしまう


「そうだな。あれは遊華達に見つかったら不安にさせる内容だな」

「やけに素直だな。隠しきれないって悟ったか?」

「ああ」

「俺が聞いてもいい内容か?」


 浩太は視線を小説に落としたまま尋ねてくる。別に言ってもいいし、困る事ではない。だが、内容も手紙を発見した場所も普通じゃない


「別に聞かれて困る内容じゃないが、書かれてる内容と発見した場所がどう考えてもおかしいがそれでもいいか?」

「ああ、職員室で見つけるという事自体がすでにおかしい。内容を聞いても俺は驚かない」

「なら話すよ。どの道隠し通せるものでもないしな」


 俺は浩太に手紙の内容を話す事にした。いずれ誰かにバレるし、それこそ人によっては隠していた事を怒るかもしれない。隠しているつもりは毛頭ないがな。っていうか、浩太よ、小説読みながら手紙の内容聞くのね


「“高校2年に進学したら貴方を迎えに行きます。私と貴方の本当の妹と父と一緒に暮らしましょうね。本当の母”ねぇ……見つけた状況もそうだが、内容も不可解なものだな」


 浩太の意見は俺と同じものだった。俺は手紙が来ていた事を職員室に忍び込みプロマイドを置くまで知らないかったし、そもそもが肝試しの日にそれを発見できたかすら怪しい


「そうなんだよ。どうして俺が高2に進学してからなのかってところもあるが、学年が上がる時の表現として“進学”って普通使うか?」


 俺は手紙に書かれていた“進学”の部分が引っかかっていた。大学の学部から大学院に進んだ場合や専攻学科に進んだ場合以外を除き同じ学校で学年が上がる時に使うのは“進級”が一般的であり、あまり“進学”という表現はしない


「同じ学校でも大学の学部から大学院に進むわけじゃないし、専攻学科に進むわけでもないのに“進学”は変だな。“進級”ならまだわかるが」


 浩太も俺と同じ疑問にいきついた。同じ疑問にいきついたという事は仮説も同じだろうと思う


「考えられる仮説は2つあるんだが、浩太も同じか?」

「ああ、遊が考えている事とほぼ同じだろうな」


 どうやら俺達が行きつく仮説は同じみたいだな。さて、答え合わせをしますか


「仮説として考えられるのはこの手紙を書いた人物は進学と進級の使い方をよくわかっていない人物。または……」


 俺はその先の言葉が出てこない。いや、出したくない。1つ目の仮説は進学と進級の違いをよくわかってない人物。これなら笑い話で済むが、そうじゃない場合……つまり、俺と遊華達を引き剥がす可能性がある場合だ


「遊が言いにくそうだから俺が言うが、もう1つは俺達が高2になった時に遊を海外に連れて行ってそこで飛び級か何かをさせようとしている人物ってところか」


 俺が言いにくい仮説を浩太は小説に視線を落としたまま言ってのけた。まぁ、手紙を直接見せたわけじゃないし、内容を話しただけだから浩太が今現在、小説に視線を落としていても不思議はないんだが……


「進学と進級の使い方をよくわかってないだけなら笑い話で済むが、遊を海外に連れて行かれたら遊華ちゃん達が大変だな」


 浩太の口ぶりは他人事のそれだが、俺が海外に連れて行かれたら遊亜達が生まれない未来になってしまう。


「そんな事をされたら俺が旅行に行った時に飛ばされた未来にならないし、俺の息子達は生まれてない事になる」

「ほう、息子ねぇ……その話、詳しく話してくれないか?」


 浩太は小説から視線を離し俺を見つめている。いつものニヤニヤしたものではなく、いつになく真剣な表情に戸惑いを隠せないが、こうなったらとことん話すしかあるまい


「へぇ、旅行中にそんな事があったのか」


 俺は旅行中に未来に飛ばされた事やその未来で息子と娘達に会った事を掻い摘んで話した。そして、遊亜から言われた高2になった時に俺が一時的に失踪するって言ってたな……


「まぁな。それにしても高2か……」

「どうかしたのか?」

「ああ、いや、飛ばされた未来で息子から聞いたんだが、俺は高2になった時に一時的に失踪するっていう話があってな」


 遊亜から聞いた話を浩太にも話す。1人で考えるより2人で考えた方がいいのは確かだ


「失踪ね……まぁ、遊の性格を考えるとありえそうだな。そんな事にならないに越した事はないが、そもそも行く宛てがあるのか?」


 俺に行く宛てなんて浩太と敬の家以外にはない。だが、遊華達と喧嘩して家出したなら浩太か敬の家に転がり込めばいい。しかし、俺の本当の母親が絡んでいる以上は浩太か敬の家に転がり込めば迷惑が掛かるかもしれない。それだけは避けたい


「ないな。俺の本当の母親が絡んでいる以上は浩太にも敬にも迷惑を掛けるわけにはいかないからな」

「遊ならそういうと思っていたが、そうなったらどこに身を隠す?」


 行く宛てがないだけで身を隠す場所がないわけじゃない。行く宛てはあくまでも俺が家から出て行くとなった場合だ


「この部屋の隣りにある隠し部屋だな。あそこなら遊華達と今話した浩太しか知らない」


 俺の周りの人間がいざという時に俺がどこに身を隠しているかを知っているだけでいい。


「そうか。この手紙の主がどれくらいのものかは知らないが、用心しておいた方がいいな」

「だな。進学と進級の違いがわからないような人間だが、どんな手を使ってくるか……」


 手紙に書いてある本当の母が何者なのかは知らないが、少なくとも俺は遊華達から離れるという選択はない。未来から帰って来て遊華に告白して恋人になってそれまでの空いた時間をまだ埋めてはいない。それに、悲しませたくないしな

今回は浩太の意外な一面を見た話でした

熱血系キャラから知的文学少年というか、クールキャラになりました。浩太と遊はこういうところで同じ匂いがして親友のなったのかもしれませんね

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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