俺と浩太が恋人とキャンプ気分を味わう件について
今回は遊と浩太が恋人とキャンプ気分を味わう話です
今回の女性陣はどこか変です
では、どうぞ
呼び出しをする時ってどんな時だと思う?俺個人としては告白する時や大事な話をする時だと思う。あとは……あー、そうだな。決闘する時とか?そんな事はどうでもいい。俺は敬を公園に呼び出し今日の話をする為に家を抜け出そうと思い、その言い訳をどうするかを悩んでいたが、それはアッサリ遊華にバレてしまった。原因?そんなんもん言うまでもない。俺が口に出してしまったからだ。で、現状はというと……
「人間どう転べばこんな状況になるんだろうな?」
「俺に聞くな!俺だって明美さんにしがみ付かれている状況なんだ」
俺と浩太がそれぞれの恋人にしがみ付かれている状況だ。俺は夕飯時を狙って浩太に家に来るように前もってメールを出し、そのメール通りに家に浩太はやって来た。そこまではよかったんだが、家のある区域で電線が切れたらしく、停電になってしまった。でだ、それを彼氏たる俺と浩太に密着できるチャンスだと感じた遊華達と明美さんが俺と浩太にしがみ付いてきたというわけだ
「みんな、少し離れてくれないか?動きづらい」
「「「「「嫌!!」」」」」
遊華達は俺を解放する気は全くないみたいだ。まぁ、ブレーカーを上げたところで電気が点くわけではないからどの道動けないのは確かだが、それにしても動きづらい!
「あ、明美さん、少し離れてくれませんか?動きづらいです」
「嫌!!」
ツッコみたい事はたくさんある。浩太がちゃんと敬語を使っているところ、明美さんが子供みたいになっているところとか等だ。だが、今はそんなツッコミはなしだ。浩太も俺と同じ状態である以上はどうしようもない。
「電気が付くまでこうしているか。なぁ?浩太?」
「そうだな、遊」
俺と浩太は彼女達がこうなった時の対処方は知っている。言っても無駄だという事もよく理解している。ならば、どうするか?答えは簡単だ。電線が元に戻るまで彼女達にしがみ付かれたまま時が経つのを待つ。待つのは嫌いじゃないんだが……
「「「「「グヘへ~」」」」」
「ゲヘヘ~」
彼女達は何て言うか、女性がしてはいけない表情をしている。ヤンデレになるか変態になるかどっちかにしてほしいんだが……俺はわからない!俺の彼女達なのに!自分の彼女達がわからないよ!こんな時どうしたらいいの!?誰か教えて!
「浩太……」
「何も言うな遊。俺だって自分の彼女の意外な一面を見てどうしていいかわからないんだ」
浩太も俺と同じ心境だったとは……俺の彼女になる女性ってなんて言うか、ヤンデレと変態のハイブリットだったんだな
「浩太……」
「何も言うな遊。俺は今、自分の彼女はヤンデレと変態のハイブリットじゃないか?という疑問を持ったところだ」
浩太も俺と全く同じ事を思っていたみたいだ。この場に敬と早川がここにいたら同じ状態の男が1人、同じ状態の女が1人増えていた事だろう
「お~に~い~ちゃ~ん?だ~れが変態なのかな~?」
「ひぃ!?」
ある程度の事じゃ驚かない自信がある俺だが、この暗がりでしかも、遊華のジト目と怒気を含んだ声につい情けない声を上げ、情けない対応をしてしまった。
「で?誰が変態なのかしら?ねぇ?遊?」
「さぁ?誰でしょうね?」
美月は美月でクールモードで追及していた。マジで美月はどこでそのキャラ知ったの?この状態の美月に素直に“あなた達が変態なんですよ”だなんて言えない。言ったら殺される……
「お兄ちゃん、下手に誤魔化すと後で酷いよ?」
「そうよ。遊。素直に話なさい」
遊華と美月のダブル攻撃により俺の逃げ場はどんどん失われている。ヤバい!このままじゃ俺は正直に言っても誤魔化しても殺される!どうする?何か使えるものは……
「ダメだ!使えるものがなにもない!」
辺りを見回してみても使えるものがなにもない。あるものといえば、俺の体臭を嗅いで幸せそうな香月達、俺と同じ状態の浩太。そして、遊華達と同じように浩太を問いただしている明美さん。仕方ない!こうなったら移動しよう!浩太にはソファを使ってもらうとして、俺は寝室に移動しよう!
「使えるものとは失礼な!俺だって明美さんから問いただされて大変なんだぞ!」
言われなくても知ってる。同じ状況だからこそお前は使えないと言っているんだよ。まぁ、俺は移動するけどな。
「知ってるよ。あ、そうだ。明美さん」
「何?」
明美さんの反応は普通だったが、目が言っている。“邪魔するな”と
「いい機会だから明美さんと愛し合いたいって浩太が言ってましたよ」
「本当!?」
「なっ!?ゆ、遊!お前何を─────」
俺は浩太が何かを言う前にこの場から離れた。もちろん、遊華達と一緒に。と、いうか、俺は遊華達に引きずられる形で部屋から運ばれたと言った方が正しい。なので俺はこの暗がりで伝わるかどうかは知らんけど、アイコンタクトで浩太と会話する事にした
『浩太、俺もお前も正直に言っても誤魔化しても生きていられる保証はない』
『だな。で?どうしてあんな事を言ったんだ?』
『正直に言っても誤魔化してもバッドエンド一択だ。だが、愛の言葉でも囁いて変態とヤンデレのハイブリットって言った事を有耶無耶にしてしまった方がよくないか?』
『一理あるな。じゃあ、俺は明美さんに!』
『俺は遊華達に!』
『『愛の言葉を囁く!』』
俺は遊華達に引きずられるという情けない姿で、浩太は浩太で明美さんに押し倒されるという姿でアイコンタクト越しに彼女達へ愛の言葉を囁く事を誓い合った
「さあ、誰が変態とヤンデレのハイブリットなのかちゃんと吐いてね?お兄ちゃん」
「遊、誤魔化すとあなたの為にならないわよ?」
遊華と美月は俺の発言を忘れてはいなかった。マジでか?忘れてくれていた方が助かった
「変態とヤンデレのハイブリットって言ったのは言葉の綾だ。遊華達の笑い声が不気味だったし、表情が女性がしちゃいけないものだったからな」
本当の事を言っても誤魔化してもダメならいっその事、全てをぶちまける。
「お兄ちゃんは私達をそんな風に思ってたんだ~?」
「遊?覚悟はいいかしら?」
バッチリと戦闘態勢の遊華と美月。だが、これも俺の予想通り!ここから俺は攻める!
「だが、俺は変態とヤンデレのハイブリットでも遊華達を愛している」
徐々に親父に似てきている自分がとてつもなく嫌になる。そして、遊華は実の母親だから仕方ないとして、美月も母さんに似てきているのはどうしてだろうか?
「「なっ─────!?」」
遊華と美月は暗くて顔は見えないが、おそらく顔は真っ赤だろうな。っていうか、さっきから遊華と美月しか喋ってないけど、香月達はどうした?
「「「えへへ~」」」
どうやら香月達はまだトリップしているみたいだ。まぁ、いいか
「香月達は香月達でトリップしたまま協力して俺を運んできたのか……」
よく女性はながら作業が得意だっていうけど、今回ばかりは本当にそう思う。トリップしながら遊華達と協力して俺を寝室に運んでくるところを見ると本当にすごいと思う
「由紀と美優はともかくとして、香月は昔から同時に作業するの得意だったのよ」
「あ、そうなんだ」
美月から聞かされる香月の超意外すぎる特技が判明した。付き合っていても知らない事ってあるんだな。
「お兄ちゃん!由紀と美優も同時に作業するの得意なんだよ!」
「え?そうなの?」
遊華から聞かされる由紀と美優の超意外すぎる特技が判明した。っていうか、俺の彼女3人の特技が重なっている事実にはもう何も言うまい
「お兄ちゃん、この停電っていつまで続くんだろうね?」
「さぁな。切れた電線がいつ直るかわからんから何とも言えないな」
そもそも、今日は特に何かがあったというわけじゃないから電線が切れた原因はおそらく劣化して切れたとかそんなところだろうな
「遊ちゃん、冷蔵庫の中身大丈夫かな?」
「冷蔵庫を1日開けなければ平気だよ」
冷蔵庫を空けなければ1日はもつはずだ。冷蔵庫で思い出したが、腹へった……
「おなかすいた」
トリップしていた香月がスッと起き上がった。起き上がった原因は空腹みたいだな……
「香月も現実に帰ってきたみたいだし、そろそろ飯にするか」
浩太達もそろそろ終わった頃だろうし、それに、浩太は今日に限ってカップ麺を大量に買ってきやがった
「そうだね。じゃあ、私は由紀と美優を起こすよ」
起こすというよりは現実に戻すと言った方が表現的には正しいんだろうとは思うけど、この際どっちでもいいか……
「頼んだ」
俺は懐中電灯片手に寝室を出る。たまにはキャンプ気分を味わうのも悪くない。電気もそうだが、水道やガスも使えて当たり前って思うが、快適な生活を送れている事がどれだけ幸せな事か、当たり前の事がどれだけ有難い事かを知るいい機会だ
「浩太~終わったか~?」
無言で入って営み中だったら困るから念のために声だけ掛けておく。してなかったらしてなかったでいいし、してたらしてたでそれをネタにして弄ればいいか……
「おう!明美さんは納得してくれたぞ!」
明美さんは納得してくれたようで浩太もいつもと同じテンションに戻った。本当は今日は家に敬を呼ぶはずだったのに、突然の停電でそれは無理になった。こりゃ敬に話を聞くのは先になりそうだな
「そうか。ところで浩太よ」
「ん?何だ?」
「俺は今日、冷蔵庫を開けたくないんだ。そこはわかってくれるな?」
「ああ!で、何が言いたいんだ?」
俺の言いたい事?そんなの決まっているだろ?いや、浩太はわかっているだろ?
「今日の晩飯はカップ麺でいいか?」
「俺はいいが、遊華ちゃん達はいいって言ってるのか?」
「いいもなにも、冷蔵庫は1日開けなきゃ大丈夫だって遊華達に説明した」
「あ、ならよかった」
浩太と明美さんは今日、家に帰るのは不可能だろう。となると、家に泊めるしかない。さて、寝る時の配置はどうしたものか……
「ところで、浩太と明美さんは家に泊まって行くとしてだ。寝る時の配置はどうする?」
晩飯が終わり、遊華達は懐中電灯を頼りにシャワーを浴びている最中だ。そして、男2人で寝る配置について話し合う
「俺達はリビングに布団敷いて寝る。明美さん達は寝室のベットでよくね?」
「そうだな。それでいいか」
俺と浩太の勝手な話し合いにより、男性陣はリビングで、女性陣は寝室で寝るのが決定した。明日には元に戻っているだろうし、気楽にいきますか
今回は遊と浩太が恋人とキャンプ気分を味わう話でした
遊と浩太しかいなかったから遊華達はありのままというか、本能に従う事ができたのかな?
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました