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風邪を引いた俺が不思議な夢を見る件について

今回は風邪を引いた遊が不思議な夢を見る話です

風邪を引いた時に見る夢って独特なものがあると思う

では、どうぞ

 風邪を引いた時って家族の対応がいつもと違う。なんて事を感じた事はないだろうか?例えば、普段は冷たい姉が優しくなったり、母親が付きっきりで自分を診てくれたりといろいろあると思う。俺も例外ではなく、遊華達の献身的な看病を受けているわけで、扱いは……普段と変わらない。まぁ、ヤンデレだしなぁ……仕方ないか。納得できない部分もあるけど、今はそれどころじゃない


「なんかおかしくないか?」


 俺は朝飯を作ってる途中で倒れて遊華達によって運ばれたと思う。しかし、これはどういう事だろう?俺は熱が37.8度ある。立派な風邪と言えるだろう。だからこそこの状況はおかしいと思う


「おかしくないよ?普通だよ?お兄ちゃん」

「遊は熱に侵されて頭が回ってないからおかしいと思うんだよ。これが普通なんだよ」


 遊華と香月の言い分は熱に侵されている俺でも理解できる。この状況は明らかにおかしい


「遊ちゃんは私達に温められるの嫌かな?」

「嫌ではないが、風邪を引いている状態だからな。できれば離れてほしいのが本音だが……」


 俺は恋人達に風邪を移したくない。移したくないが、彼女達がそれを聞き入れる事は──────────


「遊くんの風邪なら大歓迎だよ?」

「遊さんが看病してくれるって信じてますから」


 なかった。由紀達が風邪引いたら看病するけど、その前にそろそろ突っ込みを入れたいんだが……


「今までずっと黙ってたんだが、どうしてみんな下着で俺の布団に入ってきているんだ?」


 温めるだけなら服を着たままでも十分だろうに、どうして下着で俺の布団に入ってきているんだ?


「お兄ちゃんは私達がこんな恰好で一緒に寝るの嫌なの?」


 嫌とかいいとかの問題じゃない。風邪が移るといけないから俺に近づくなと言いたいんだ


「嫌とかいいとかじゃなくて俺は遊華達に俺の風邪を移したくないんだよ」

「私達が風邪引いたらお兄ちゃんが看病してくれるから移されても平気だよ」


 遊華さん?看病する方は5人同時に看病する事になるかもしれないから平気じゃないんだけど?


「いや、看病するけど、風邪の時って辛いぞ?」


 何とか遊華達を布団から追い出そうとする。こうなったら根競べも辞さないが、正直、俺が勝てる見込みは限りなくゼロに近い


「別にいいよ。お兄ちゃんを独占できるならね」

「「「「うん!!」」」」


 遊華の言葉に同意する香月達。いつも独占してるだろ?こんな事は口が裂けても言えないが、心の中で思うくらいはしてもいいと思う


「俺を独占するなら風邪なんぞ引かなくてもいつでもできるぞ?」

「「「「「風邪引いた時じゃないと意味ないの!!」」」」」


 5人同時に同じ事を言うだなんて、本当に仲がよろしいことで。しかし、どうして風邪引いた時なんだ?


「どうして風邪引いた時にこだわるんだ?」


 風邪を引かなくても遊華達はいつも俺を独占していると思う。何せ当事者である俺が遊華達と常に一緒にいる事が多い。それを考えると風邪を引かなくても引いても変わらないんじゃないかなとは思う


「いつもより優しくしてもらえるからだよ!遊ちゃん!」


 美月、その言い分だと俺が普段優しくないみたいじゃないか。普段も優しいよな?大丈夫だよな?


「美月の言い分だと俺は普段優しくないって聞こえるぞ?」

「そんな事は言ってないよ?ただ、いつも優しいけど風邪を引いたらそれ以上に優しくしてもらえると思っただけだもん!」


 生まれてから1回も女性と縁がない。それでいて彼女ができたと思ったら一気に5人も彼女ができた俺が女性の扱い方なんて知るわけがない。遊華達と付き合ってるのも手探りで好み等を探りながら付き合ってるんだからいつも以上に優しくする方法なんて知るわけないだろ?


「希望に沿えるように頑張るよ」

「「「「「うん!」」」」」


 5人の返事が重なる。ひょっとしたら遊華達も手探りで俺と付き合ってるのかもしれない。


「それにしても遊華達の身体って温かくて柔らかいんだな」

「「「「「ふえぇ!?」」」」」


 風邪のせいなのか、思った事をそのまま言ってしまった。浩太や敬がいる前では絶対に言えないな。


「ごめん、今のは忘れてくれ」


 遊華達の返事を待たずして俺は眠りについた。風邪を引いてる時は寝るに限る。別に遊華達から忘れない宣言をされるのが怖いとかそういうのじゃない


「ここは……?」


 目を開けた俺はどこだかわからない空間に来ていた。俺は布団で寝ていたはずなんだが……


「俺の部屋じゃない事は確かだが、ずいぶんと暗いな」


 どうして俺はこんなところにいるんだ?それに、ここはどこなんだ?


「遊……」


 口調は香月と似ているが、声が違う。誰なんだ?


「誰だアンタは?」


 目の前の女性は香月とは似ても似つかない人。俺はこの人を知らない。だが、この人は俺を知っている


「私はあなたの母親よ」

「は?アンタ何言ってんだ?俺の母親は藤堂華1人だ」


 目の前の女性は俺の母親と名乗っているが、俺の母親は藤堂華1人だけだ。この人は俺の母親じゃない


「ふふっ、あなたならそう言うと思ってたわ。私はあなたの()()()母親よ」

「本当の母親?それがどうして俺の夢に現れる?」


 俺はこの空間が夢だと自覚している。ここが現実なら周りに遊華達がいるのが普通だ。同じ布団に入っているんだからな


「そんなの決まっているじゃない。あなたに会いたくなったからよ」

「はっ、今更何を言ってるんだ?」


 本当に今更だ15年間も放っておいてよく言う。会いたくなったならもう少し早い段階で会いに来るのが筋なんじゃないか?まぁ、生まれたばかりの俺を施設に入れるくらいだ。そんな道理が通るわけないか


「今更なのは自覚しているけど、私達にも事情があるの。それは理解して頂戴。今は夢の中だけど今度は現実で会いましょう」


 できれば夢でも現実でも2度と会いたくはないな。俺は遊華達がいて浩太と敬がいて早川や明美さん、親父達がいればそれでいいんだ。アンタ等の入る余地なんてない


「夢でも現実でも俺はアンタには2度と会いたくないな」


 俺は捨て台詞に会いたくない意思を伝えた。現実でもそうだが、今更母親だって名乗られても俺は俺で生活があるんだ。それを壊されてたまるか


「そう。でも、私達はいずれ現実で対面する事なる。その時を楽しみにしているわね」


 俺は母を名乗る女性に返事をする事はなかった。当然だろ?俺には母親は間に合っている


「やっぱり夢か……」


 目が覚めると遊華達が隣りで寝ていた。やっぱりあの時の事は全て夢だったみたいだな。それにしても本当の母親か……一緒に暮らしたいとは思わないな


「遊くん?」

「あ、悪い。起こしたか?美優」


 目が覚めた俺は起こさないように起き上がったつもりだが、美優を起こしてしまったみたいだ。


「ううん、私も遊くんと同じ時くらいに目が覚めたから」

「そっか……」

「うん……ところで遊くん何かあった?」


 美優はどうして俺に何かあったかを聞くんだ?俺はただ寝ていただけなんだが……


「どうして俺に何かあったかだなんて聞くんだ?俺には何もなかったが?」

「だって起きた時の遊くん顔が怖かったから……」

「俺はそんなに怖い顔してたか?」

「うん、すっごく怖い顔してたよ」


 自覚してなかったが、俺は美優が顔が怖いって言うくらいすごい顔してたらしいな。秘密は作りたくないが、夢の中の話だから美優にも遊華達にも俺が本当の母親に会った事は言う必要はないか


「まぁ、何だ?ちょっと悪夢を見てな」

「そっか……」


 若干心が痛いが、夢の中だし、生きているかどうかすらも不明だ。不確かな事を言って遊華達を不安にさせる事もないだろう。だが、それと同時に遊亜に言われた事も気になる


『親父が高2になった時に一時的に失踪する事になる』


 遊亜に言われたこの一言が気になる。俺が失踪する事じゃなく、俺が失踪する何かが起きた。クソッ!こんな事なら遊亜から何が起こるか聞いておくべきだった!


「俺が失踪か……どちらにしろ失踪した時の滞在先くらいは確保しておかないとな」

「なら、遊くんが言ってた隣りの隠し部屋なんかがいいんじゃないかな?」

「そうだな。外へ出たら警察とかに見つかったらアウトだし、外へ出たと見せかけて隣りの隠し部屋に隠れるってのが1番いいか」


 美優と2人で失踪した後の事を考える。彼女と一緒に失踪した後の事を考えているとまるで俺が美優と駆け落ちする見たいになる。


「遊さん、さっきから黙って聞いていればまるで美優と駆け落ちするみたいになってますけど?」


 由紀に指摘された事はさっき俺も思った。駆け落ちする予定なんてないんだけどな


「俺は5人の彼女達を平等に愛するって決めているんだ。駆け落ちするなら5人全員とする」


 5人だと駆け落ちって言うよりは集団失踪って言った方がいい気もする。まぁ、いなくなるならこの場にいる全員でいなくなるって事だな


「そ、そうですか……」

「当たり前だ。この場にいる誰かをおいて行こうものなら俺はタダでは済まないだろう」


 未来で勝手に家を抜け出した時は遊華が俺が気が付かぬうちに俺の背後に現れて有無を言わさずに俺は家に帰された。つまり、俺は彼女達から逃れられない。そういう運命にあるらしい


「当たり前だよ、遊。ここにいる全員が遊と一緒にいたいんだから置いてくなんて許さない」


 光のない目で俺を見る香月。未来でも香月は同じ目をしていたが、関係が義姉から恋人に変わってからそれがさらに強くなった。まぁ、俺には遊華達の誰かを置いてどこかに行くだなんて選択肢はない。


「心配しなくても俺は彼女達をおいてどこかに行く事なんてしないさ」


 遊華と香月達の親はともかく、美優と由紀の親が親父とどういう関係かは知らない。だが、親父と知り合いだったとしたらコネはあるだろうしな。利用するってわけじゃないが、どうしても頼ってしまう事もあるだろうと思う。美優と由紀の家が金持ちなら金をじゃなくて親にバレない移動手段を貸してもらうかもしれないけどな




今回は風邪を引いた遊が不思議な夢を見る話でした

風邪を引いた時ってどうして不思議な夢を見るようになるのでしょうか

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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