表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/165

俺が敬の告白を見届ける件について

今回は遊と浩太で敬の告白を覗き見する話です

これで10年後の未来に一歩近づいたかな?

では、どうぞ

 好き合ってる男女が恋人になる瞬間ってどうしても気になる。しかし、告白シーンに遭遇するなんて事は生きているうちに何回あるだろうか?覗きはよくないと思いつつも覗いてしまうのは多分、好奇心からなんだと思うという事で、俺と浩太は今から敬と早川がくっつくシーンを覗き見したいと思います


「敬と早川のどちらからコクるか賭けね?」


 浩太、敬と早川のどちらから告白するかは気になるが、さすがに賭けまでしたいとは思わないぞ


「止めとく。どっちから告白しても恋人になるっていう結果には変わらないからな」


 そんな事よりも俺達がここでコソコソ話していたら敬と早川の会話が聞こえないだろ


「だな。遊の話が本当なら敬と早川が付き合う事になるのか」

「ああ、そんな事よりも始まるぞ」

「だな」


 俺と浩太は敬と早川の告白を聞くために一旦息を潜める。今は浩太との会話よりも敬と早川だ


『あ、あの!早川さん!』

『な、何?』


 おー、2人ともテンパってるテンパってる。未来じゃ完璧に敬はチャラ男で早川は清楚系女子だったからな。こんな2人を見る事ができるとは思わなかった


『いい天気だね!』


 敬、ここまで来てそれはねーだろ……好きですくらい言ってやれよ……


『そ、そうだね……』


 早川も早川で意気地なし!くらい言っても罰は当たらんだろうに……


「なぁ、遊」

「言うな浩太。敬に度胸がないのは俺達が1番よく知っているだろ」

「「はぁ……」」


 敬のヘタレっぷりに俺と浩太は溜息が出る。俺は10年後の未来を知っているだけに度胸のない敬がどうやったら10年後にチャラ男にジョブチェンジするのか疑問だ


『あー!もう!止め止め!こんなのアタシには似合わない!』


 痺れを切らした早川が叫ぶ。早川、似合ってないのは俺も同意だ


「早川の奴キレたな」

「だな。現時点でアイツに清楚とかお淑やかとかを求めるだけ無駄だ」


 浩太は冷静だが、お前も告白の時はテンパると思うぞ。俺もテンパった記憶あるし


『え!?な、何!?』


 敬は敬で驚いてるし……あの2人はどうやって付き合い始めたとか10年後にいた時に聞いておけばよかった


『田端……いや、敬!アタシはアンタが好き!教室で浮いてたアタシに初めて声を掛けてきた時からずっと好きでした!アタシと付き合ってください!』


 屋上に響き渡る早川の告白。俺はそれを聞いて思い出していた。入学したての時の事を


「そう言えば早川は入学したての時は浮いてたな」


 浩太が思い出したように言った。コイツも俺と同じ事を思いだしてたらしい


「ああ、英語のペア作る時とかいつも余ってたよな」

「俺と敬と浩太は3人だからペアとなると1人余ってたよな」

「そうそう!で、俺と遊が女子に耐性のない敬を女子と組ませようとして強引に早川に声掛けるように唆したんだっけ?」

「ああ、そうだったな」


 元は俺と浩太が女子に耐性のない敬を唆したのが事の始まりだ。まぁ、簡単に説明すると、俺と浩太と敬は元々は同じ中学出身で高校も同じところを受験して3人とも合格。無事に入学したわけだが、敬が女子に耐性がないのは当時の俺達はマズイと感じていた。早川は早川で入学当時から髪は金髪、服装は派手でクラスでは浮いていた。当然だが、授業でペアを作るとなると毎回余るわけだ。


「女子に耐性のない敬が何の躊躇いもなく声掛けた時はビックリしたが、きっと早川に思うところがあったんだろうな……」


 俺は敬が早川とのファーストコンタクトで何の躊躇いもなく声掛けたのは驚きだったが、思い起こせば早川からしてみればあれが敬を好きになったきっかけだったのだろう


「俺らが面白がってやった事で恋が生まれるとは世の中どうなるかわからないな。なぁ、遊」

「だな」


 敬と早川のファーストコンタクトはまたの機会に語るとして、今は敬の返事待ちか……


『こちらこそ、ずっと一目見た時から好きでした!よろしくお願いします!』


 早川と敬のカップル成立の瞬間だった。それと同時に女子に耐性のない敬がファーストコンタクトの時に躊躇いもなく早川に声を掛けられた理由の1部を今聞いた


「一目惚れだったら躊躇いもなく声掛けられるわな」

「ああ、俺や浩太はともかく、敬は人が緊張するような場面でもこうって決めたら突き進むとこあるからな」


 何にせよ、よかったな。敬、早川。10年後の未来を知っていてもカップル成立の瞬間は嬉しいものだ


『う、嬉しい……』


 早川が敬に抱き着いてる瞬間を目撃した俺と浩太。これ以上覗くのは止めとくか


「これ以上覗き見してたら早川がうるさいから帰ろうぜ、遊」

「だな、弁当も少し残っているし、教室でゆっくり食うか」


 俺と浩太はカップル成立の瞬間を見届けるという目的を果たしたので、屋上を後にした


 で、その日の放課後。昼休みが終わり、教室に戻ってきた時までは普段と変わらない様子だった早川と敬だが、今は────


「け~い」

「どうしたの?望海?」

「ん~ん、何でもな~い、呼んだだけ~」


 誰だコイツ等?とてもじゃないが、俺の知っている敬と早川と同一人物とは思えない。あれか?カップルになっていろいろ吹っ切れたか?


「なぁ、遊」

「言うな浩太。コイツ等は敬と早川だ」

「未来でもあんな感じ?」

「あんなではないが、似たような感じにはなってる」


 俺は今、未来で見た敬と早川と重なる部分を見ているような気がしてならない


「ちょっと~そこ2人感じ悪いよ」

「そうだよ、遊も浩太もコソコソ話して感じ悪いよ?」


 バカップルが揃いも揃って感じ悪いときたもんだ。バカップルに付き合っていてると遊華と帰れなくなる。


「うるさい。そういえば、10年後の敬は女にだらしなかったなぁ……早川、その辺を敬と話し合った方がいいんじゃないのか?」


 俺は10年後の未来で見てきた敬の1部を早川にチクった。当然、この時代の敬には濡れ衣だが、バカップルを退治するにはいい薬だ。


「敬……浮気するの?」


 早川の目から光が消えた。うん、俺あれ知ってる!遊華と同じ目だ!


「ぼ、僕に浮気する度胸なんてあるわけないだろ!?遊、いい加減な事を言わないでよ!」

「10年後ではそうなっているってだけだ。まぁ、早川は敬を他の女に渡したくないなら家にでも連れ込んでキスマークでもつければいいんじゃね?」


 俺が未来で遊華達にされた事を伝えてみる。すると……


「そうする。敬、いこ?」

「え?ちょ!?」


 敬は早川に引きずられる形で教室から出て行った。さて、次は浩太だが……


「悪い!今日は家の用事で一緒に帰れそうにない!またな!」


 慌ただしく教室を出て行った。敬は彼女と帰ったし、浩太は家の用事。いつもなら俺1人で帰るところだが、俺にだって一緒に帰る相手くらいいる


「さて、じゃあ、遊華を迎えに行きますか」


 俺は遊華を迎えに行くため、遊華の中学へと向かう。それにしても敬と早川が付き合うの早かったな。未来では俺がいなくなってすぐと聞いていたが、付き合うのが今日になるとは思わなかった。


「これで10年後に近づいたな」


 学校を出て中学に向かう途中で考える。後は浩太と明美さんをくっつければ一先ずは10年後と同じ状態になる。浩太の場合は結婚していたが、結婚するまでの過程は詳しくは聞いていない。付き合い始めがいつなのか、それはわからない。


「どちらにせよ香月と美月に会わないとな」

「ふ~ん、彼女の私をスル―して他の女の事を考えてるんだね」


 いつの間にか遊華の中学に来ていたらしい。背後から遊華の声がした。いつも思うが、俺は後ろを取られやすいな。いずれ刺されないか心配だが、10年後の未来で1回刺されたっけ?


「ご、ごめん。別にスルーしたわけじゃないんだ」

「ふ~ん、スル―じゃなかったら何?」

「彼女と下校が楽しみ過ぎていつの間にか中学の前に来ていたのを忘れてた」


 考え事をしていたのは認めるが、ここでヤンデレになられたら俺の身が持たない。何とか誤魔化しておこう


「そ、そんな事言ったって誤魔化されないもん!」


 誤魔化されないと言いつつニヤけてますよ?遊華さん?


「そうかい」


 俺の隣りを歩く遊華は心底幸せそうだが、遊華に一応、報告しておかなきゃいけない事がある。それは家に帰ってからでもいいだろう


「ただいま」

「ただいま~」


 俺と遊華が揃って帰宅。登校する時にも思ったが、下校、帰宅も遊華と一緒だとどこか変な感じがする。今まで別々に登校、下校、帰宅してたからか?


「あら、おかえり2人とも」


 母さんがリビングから出てきた。まぁ、俺達が帰ってきたから出てきたと言うよりは玄関に用事があったから出てきたと言った感じだろう


「ただいま、母さん」

「お母さん、ただいま」


 軽くあいさつをして部屋へ戻る。さっさと着替えて遊華に今日あった事を報告するか


「遊華に伝えたい事があるんだが……」


 ソファーに2人寄り添って座る。未来に飛ばされてなきゃ遊華とこうする事もなかっただろう


「ん~?何?」

「俺の友達なんだがな、そのうちの1人とクラスのスーパーギャルが付き合う事になった」

「ふ~ん、それって10年後の世界で私がお世話になったっていう敬さん?」

「ああ。浩太が嫁さんと出会うには先ずは香月と美月に会わなきゃいけないからな」


 浩太の嫁さんは香月の友達だ。つまり、この世界ではまだ香月と会ってないわけだからな。浩太が嫁さんと出会うには俺と遊華が香月と美月と出会わなければならない


「それもそうだね。で、いつ会えるんだろう?」

「父さんが母親である羽月さんと約束を取り付けてくれるって言ってたが、それがいつになる事やら……」


 親父、近いうちに頼むぜ……俺と香月達が会わなきゃ浩太の嫁さんにも会えん


「お兄ちゃん、電話鳴ってるよ?」


 遊華から言われ、電話が鳴っているのに気が付く。誰だ?敬……ありえないな。今頃は早川とイチャイチャしているはずだし。じゃあ、浩太?浩太は家の用事だと言っていた。浩太もありえないだろ。だったら誰だ?


「なんだ、父さんか」


 着信の表示には“親父”と表示されていた。何の用だ?エロ本の隠し場所を変えといてくれとかだったらすぐに切ろう


「もしもし、父さん?」

『あ、遊?羽月と会える日時が決まったよ』

「え?いつ?」

『今日だよ』

「はい?」


 今日、俺は未来の世界では義母だった羽月さん、義姉だった香月と美月の再会が決定した。よりにもよって今日かよ……親父の唐突にはほとほと困り果てるしかなかった


今回は遊と浩太で敬の告白を覗き見する話でした

明日は久々になるのかな?ヤンデレ遊華が出てきます

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ