遊華達が書斎でとんでもないものを見つけてしまった件について
今回は遊華達が書斎でとんでもないものを見つけてしまう話です
書斎でとんでもないものって何でしょうね……
では、どうぞ
未来に飛ばされるという予想外の展開があったが、無事に旅行から帰ってきた俺達。まぁ、ひと夏の思い出と考えたら未来に飛ばされた事も俺達だけの笑い話になるかもしれない。だが、俺は────いや、俺達は旅行中に新たな課題を見つけた。言うまでもないが、未来の事だ。どうして飛ばされる未来がバラバラで戻ってくるのは飛ばされた時からそんなに時間が経っていない時間に戻されるのか?だ
「未来の事について調べるとは言ったものの……資料を提供してくれる奴は現在高校生だし……どうしたものか……」
俺が飛ばされた未来で資料を提供してくれた浩太は現在高校生で大学教授にコネがあるわけでもない。現状で頼れるのは親父達なんだが……その親父達だってどれだけコネがあるかわからない。全く頼りにならないわけじゃないが、頼りきれないところがある。
「未来について調べるって結構大変なんだね……」
くたびれた様子の香月。遊華達は現在、親父の書斎に籠って未来の事について調べている。できれば俺が親父の書斎から資料になるものを探すって言ったんだが、遊華達は頑なにそれを拒否した。書斎だから何もないとは思うが……うーん、いかんせん親父だ。どこに何を隠しているかわからないから不安だ
「まぁ、飛ばされた先では浩太が資料をくれたからいいが、この時代では浩太はただの高校生で大学教授とコネがあるわけじゃない。それに、今までだって未来に飛ばされた人は手探りで自分が未来に飛ばされた原因を探ってきたんだ。それを考えると多少苦労するのは当然の事だろ」
俺が飛ばされた未来では浩太が大学で未来の事を研究していてくれたおかげで俺は未来に飛ばされた人達の資料を手に入れる事ができた。それを考えるとご都合主義なところはたくさんあった。だが、今回はそうじゃない。最初から自分で調べなきゃいけない。だが……
「それはそうだけど……ネットじゃ半分冷やかしみたいなものしか出てこないし……」
「ネットで調べるんじゃ限界があるよなぁ……」
いくらネットは便利だとはいえそれでも情報っていうのは本当の事が半分、嘘が半分のところがある。当然、浩太にもらった資料のようなものがあるとは限らない。本当にどうしたものか……
「遊、遊斗さんの知り合いに大学教授いないか確かめられないかな?」
香月の案はいいと思う。いいとは思うが、親父にも限界はある。こうなったら親父だけじゃなく、母さんや一月さん達の知り合いに片っ端から当たってみよう
「できない事もないが、親父だけじゃ限界がある。この際だから母さんや一月さんの知り合いを片っ端から当たってみるか」
「うん!そうだね」
俺と香月の意見が見事に合致した。俺は未来に飛ばされるまで親父の職業を知らないかった。未来に飛ばされたおかげで親父の職業を知る事ができた。だが、俺が知っているのは親父の職業だけで知り合いまでは把握していない。簡単に言うと親父に頼んで資料がどこまで集まるかわからない。
「さて、遊華達にこの事を知らせに────」
『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』
2階から遊華達の悲鳴が聞こえてきた。ゴキブリでも見つけたか?それともグロいものでも見つけたか?いや、親父が隠し持っていたエロ本か?
「今の悲鳴2階からだね!遊華ちゃん達に何かあったのかもしれない!遊!行ってみよう!」
もの凄い剣幕の香月だが、親父の書斎に危険物はない。少なくとも俺にとっての危険物はないが、遊華達にとっての危険物はたくさんある。エロ本とか
「あー、そんなに心配する事ないと思うぞ?」
親父の書斎で遊華達が悲鳴を上げる原因に心当たりがある俺は真面目に考えるだけバカバカしいので香月にあまり心配しないように言ってみるが……
「遊!!何かあってからじゃ遅いんだよ!?」
いや、危険地帯だったらそうだけど、親父の書斎だし……念のために親父の書斎に行ってみるか
「わかったわかった、俺も行くからそんなに怖い顔で俺を見るな」
香月の剣幕に圧されて書斎に駆け付ける。親父の書斎だからなぁ……あれ?親父の書斎?って事はアレがある可能性が……ヤバい!アレが遊華に見つかったらヤバい!美月達に見つかってもダメージがないわけじゃないが、とにかく女性陣に見つかったらヤバい!俺が隠し事してるわけじゃないが、冷や汗が止まらない
「どうしたの?遊?すごい汗だよ?」
冷静になった香月に突っ込まれるが、今はそれどころじゃない。見られたらヤバいものが親父の書斎にはある!!親父……次会ったら回らない寿司でも奢ってもらおう
「あ、ああ、ちょっと大変な事を思い出してな……」
初めて飛ばされた未来では親父の書斎探索は香月と2人きりでした。その時の香月は20歳を超えていたから悲鳴は上げずに気まずくなっただけで済んだけど、この時代の香月はまだ高校生だ。美月も高校生だが、それ以上に遊華と美優と由紀はまだ中学生だ。何が言いたいかって言うとだ。遊華達の教育には大変よろしくないものがたくさんある
「大変な事?何?」
コテンと首を傾げる香月。可愛いが、今はそれどころじゃない!急いで親父の書斎に行かねば!ったく、人のプライベート空間にとやかく言いたくはないが、隠す場所は考えろよな。
「説明は後だ!今は書斎に行くのが先だ!」
香月と共に書斎に走る。アレがなければ慌てる必要はないが、アレが見つかったら……俺の尊厳には関わらないが、遊華達にとっては本当によくない
「遊華!!」
書斎のドアが開いていたのでそのまま中に飛び込む。書斎に行く途中にアレを見つけてくれていない事を祈っていたが……
「おにいちゃぁぁん……こ、これぇぇぇ……」
遊華が持っていたのは白いディスク。パッと見は普通のディスクに見える。だが、中身はとんでもないものだ。遊華達も災難だな。よりにもよってそれを見つけてしまうとは……
「遅かったか……」
地下から全速力で駆け付けたが、時すでに遅し。半べそかいた遊華達がそこにいた。唯一の救いは香月に見つからなかった事だ。これで香月にまで見られてたら大変な事になっていた
「ゆうちゃぁぁぁん……」
「ゆうくぅぅぅぅん……」
「ゆうさぁぁぁぁん……」
本当にかわいそうだと思う。だが、見てしまったものは仕方ないと思う。これは俺だけじゃなく、俺達全員に回らない寿司奢り決定だな
「この場にいる全員で見てしまうとは……」
この書斎にはテレビがない。テレビがない代わりにデスクトップのパソコンがある。つまり、それが何を意味しているかというと、遊華が持ってきたDVDディスクをこの場で見られる事を意味する。きっと好奇心からだろうが、見てしまったのだろうというのは容易に想像がつく
「遊、ディスクの中身ってもしかして……」
察しがいい彼女を持って俺は幸せだぞ。香月。はぁ、家を出るなら見られたくないものや見られちゃマズイものくらい持ってけよな……
「そのまさかだ。その番号が書かれているディスクは父さんと母さんの夜の営みが収められたものだ。あるとは思ってたけど、遊華達がそれを見てしまうとは……」
俺も未来で知った時は香月と気まずい空気になってしまったが、まさか遊華達が見てしまうとは思わなかったし、書斎に入る事はないと思ってたから遊華達を止めはしたけどディスクの存在は教えなかった。
「お~に~い~ちゃ~ん~」
遊華にもの凄い目で睨まれる。これって俺が悪いのか?ここは親父の書斎なんだし、隠していた親父が悪いんじゃないのか?俺を睨まれても困る。
「な、何でしょうか?」
思わず敬語で返事をしてしまった。悪い事をしてないのに何だろう?このどこか後ろめたい気持ちは。俺が俺の部屋に隠してたエロ本を見つかって遊華達に怒られるなら解るが、俺の部屋じゃないし、俺のものじゃないエロディスクでどうして俺が怒られるんだ?
「これの存在を知ってたの?」
遊華の言うこれとは親父と母さんの営みが収められたディスクの事だろう。知っていたか否かで言えば俺は知っていた。
「知ってた」
知ってはいたが、わざわざ言いふらす事でもないので黙っていた。断じて見つけた時の遊華達のリアクションが見てみたかったとかそんなんじゃないぞ?ヤンデレで遊ぶだなんて命を粗末にする真似をするほど俺は愚かじゃないからな
「遊ちゃんは知ってて黙ってたの?どうして?」
美月からの鋭い指摘に反論ができない。うるさいとか関係ないだろとは絶対に言えない。知ってて黙ってたのはそれを言う必要がなかったからだ
「美月達は書斎に入らないだろうと思っていたし、何より自分の両親の営みが収められてるディスクがある事を教えたらドン引きしてただろ?」
俺が美月達の立場だったら突然そんなものの存在を教えられたらドン引きする。コイツは何を言っているんだ?ってな
「そ、それはそうですけど、私達が書斎に入る前に教えてくれてもよかったじゃないですか!」
由紀は入る前とはいえ俺が突然そんな事を言ったら頭のおかしい奴だとは思わないのか?それに俺は入る前に止めたぞ
「ごめん、ちゃんと言っておくべきだったな」
俺が怒られる謂れも謝る筋合いもないが、事前に言っておくべきだった。そう、俺は遊華達に1番大事な事を言ってなかった
「遊くんが気にする事ないんだよ?」
美優、慰めてくれるのは嬉しいけど、これは俺のミスだ。俺が伝えてなかったから……ドン引きされても伝えなかった俺のミス。彼女達を信用していれば伝えられたはずだったのにッ!俺は……俺はッ!自分の彼女を信用できなかった!クソッ!何が彼氏だ!彼氏なら彼女を信じてもいいだろ!?
「いや、これは俺のミスだ!本当にゴメンッ!」
遊華達に俺は勢いよく頭を下げる。それこそ土下座をする勢いだ。いや、土下座してもいい!遊華達にそれだけの事をしてしまったんだ
「お、お兄ちゃん、もういいから、頭を上げて?」
遊華は何とか頭を下げ続けてる俺の頭を上げさせようとしている。頭を上げて遊華達に言う事は決まっている。謝罪の言葉?違う。じゃあ、お詫びはいくらでもするって事を伝える?違う。お詫びをするのは俺じゃない。
「ああ、俺は遊華達に大事な事を伝えなければならない」
頭を上げ、俺は遊華達に大切な事を伝える。そう、忘れてはいけない大切な事。どんな事があってもこの家で暮らす以上は覚えておかなければいけない事
「私達に伝えたい事って何?遊?」
香月は何となく察しているとは思うが、俺はそれを口に出して言わなければならない。俺達の将来の為に。これから俺達が安全にこの家で暮らすために大切な事を
「この部屋には親父と母さんの営みが収められたディスクが後10枚以上はある!俺と遊華の親父はな!エロ本は隠すし、夫婦の営みを映像に収めるド変態なんだよ!!」
遊華達の前で親父を父さんと呼ぶのはもう止めだ。遊華達が親父をどう思っていても関係ない!俺は俺の為にこの書斎に隠されているディスクの存在をバラす!イメージが崩れるのは俺じゃない!親父だ!
「お兄ちゃん……」
「遊……」
「遊ちゃん……」
「遊さん……」
「遊くん……」
「みんな、わかってくれたか?」
遊華達の理解が得られれば俺としては助かる。できればそうであってほしい。無理にとは言わないけど、できれば理解してほしい
「「「「「知ってるなら先に言え!!」」」」」
「ごめんなさい!」
怒られてしまった。俺じゃない事はわかってもらえたから結果オーライだからいいんだけどな!余談だが、俺達は見たくもない夫婦の営みを見せた罰として親父と母さんに高級な寿司を奢らせた。教えた時は母さんは顔をこれでもかというくらい真っ赤にしていたし、親父も親父で一言も口を利かなかった事を言っておこう。そのおかげで俺達は高級寿司にありつけたからよかったがな!
今回は遊華達が書斎でとんでもないものを見つけました
家にいる時は自分しか使わない部屋でもそれはマズイと思う今日この頃
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました