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遊亜と遊理が仲直りした件について

今回は遊亜と遊理が仲直りする話です

遊理は遊華の娘ですので、遊華とほぼ同じ手を使います

では、どうぞ

 突然だが、ドラマやなんかで喫茶店に入って修羅場になるなんてシーンをよく目にすると思う。そういう時って大抵は相手にコップの水をかけて店を去るっていうのが王道パターンだ。それともう1つあるのが喫茶店に2人で入って相手がその場で泣いてしまうというパターンだ。こういう時って大抵は男女で入り女が泣くっていうのがお決まりだと俺は思う。なんて言い訳がましい説明をしたが、今の俺は本意ではないが女を泣かせてしまっている。痛い!周囲の視線がもの凄い痛い!誰か俺と代わってくれ!


「はぁ……自分の行いが災いしたとはいえ泣くとは思わなかった」


 泣いている遊理を見て自分のしてきた事が原因で自分の家族が家から出て行くという事実に耐えきれなくなったんじゃないかと俺は思う。だが、心配するのは解るが、遊理は────いや、遊理達はやり過ぎた。いくら家族でも人間関係に干渉される覚えはない。非行の恐れがある場合を除くがな


「お兄ちゃん……どうしようか?」


 遊華も遊華でどうしていいかわからないと言った感じだ。俺が罵倒したり、暴言を吐いたりして泣かせたのならともかく、遊理の泣いている原因は自分のしてきた事が原因で遊亜が出て行くという事実に耐えきれなくなったからだ。


「遊美は自分の大事にしていたファーストキスを遊亜に捧げて許してもらったんだ。同じ手が2度通じるかどうかはわからないが、遊亜と話をして謝って遊理の大事にしているものを遊亜にやれば許してもらえると思うぞ?」

「そうかな……遊亜は許してくれるかな……?」


 完全に考え方が後ろ向きになっている。本当にどうしよう……こうなったら俺の現在の状況を小説にして読者からいい案を募るか?いや、ダメだ。俺が書いた小説をどれだけの人が読んで感想をくれるかわからない。となると、俺の周りにいる男性陣に聞くか?あ、ダメだ。碌なのがいない!俺が考えるか、遊亜に直接聞くしかないか


「俺は遊亜じゃないからこれといった案は浮かばないが、遊亜だって話せばわかってくれるさ」


 遊亜だって人間だ。話せばわかってくれると思う。だが、話せばわかる事はかりじゃない。どうしたものか……遊美の時だって遊美が泣きながら謝ってファーストキスを捧げてようやく許してもらえた。が、遊理はどうなんだろう?


「本当?遊理の事を許してくれるかな?」


 ダメだ。不安になり過ぎて完全に幼児退行している。この場面を遊亜に見せれば父性本能を刺激されてちょっとは遊理とまともな会話になるはずだと思う


「親父、探したぞ」

「本当だよ。いきなりいなくなってびっくりしたよ」


 遊亜が許してくれるだろうと思っていたら遊亜本人が遊美を連れて登場した。歌のモノマネ番組じゃあるまいし、どうしてこんなタイミングで登場するんだよ……


「あ、あの、遊亜……」


 遊理が遊亜に話掛けようとした。だが────


「親父、部屋はもうちょい探すから次のところに行くぞ」


 話し掛けようとした遊理を完全に無視している。遊亜、少しは遊理の相手をしてやってもいいんじゃないか?


「ゆ、遊亜、遊理ちゃんが何か言おうとしているよ?」


 見ていられなくなったのか、遊美が遊理を助けようとした。仲直りした遊美の言葉なら遊亜も聞き入れるだろう


「あ、そう。それで?」


 聞き入れる気が全くない遊亜。このままじゃ遊理があまりにも可哀そうだ。俺も助け船を出しますか


「遊亜、遊理がお前に謝りたいらしいぞ?少しは話を聞いてやったらどうだ?」


 年下とはいえ父親の言う事なら聞くだろと思う。この時代の俺に父親としての威厳があるならの話だがな


「親父が言うなら遊理の話を少しだけ聞くが、本来なら俺は遊美を許す事も遊理と話をするのも嫌なんだ。遊理、話があるなら手短に話せ」


 この時代の俺は父親としての威厳が少しばかりはあるらしい。遊亜が遊美と仲直りしたのも俺が一緒だったからか?自惚れるわけではないが、そう思ってしまう


「ちょ、ちょっと!遊亜!」


 遊亜の態度を咎めようとする遊華。しかし、された事がされた事なだけに俺は遊亜の態度を咎める事なんてできない


「遊華、ここは黙って見てよう」

「で、でも……」


 ここは喫茶店であり、周囲の人間に迷惑がかかると思う。だが、親が出て行く場面じゃない。幼い子供の喧嘩もそうだが、時として子供のみで解決しなきゃいけない時がある。


「遊華」

「わ、わかったよ……」


 納得がいかない遊華だが、渋々引き下がった。俺も内心は仲直りできるか不安だが、ここは当事者たちに任せていいと思う。俺達は口を出しちゃいけないと思う


「遊亜……どうして家を出ようとするの?」


 遊理が早速本題を切り出した。こういうところは遊華そっくりだ。やっぱり遊理は遊華の娘なんだなとこんな場面で感じてしまう


「別に。俺だって20歳なんだしいつまでも家にいるわけにもいかないだろ?それに、俺が家を出ようと遊理姉さんに何の関係がある?」


 遊亜の言う事は筋が通っている。20歳なんだし自立した家を出て自立してもいいと思う。遊亜も子供じゃないんだから遊理にどうこう言われる筋合いもない


「わ、私は遊亜が家を出ると寂しいよ?」


 遊亜の言い分に対し、感情論をぶつける遊理。寂しいという気持ちはわかる。だが、感情論だけで押し切れるほど遊亜は甘い相手じゃない。感情論が通じなくなった遊理がどう出るかだな……


「俺は寂しくない。大体、俺の交友関係に口出してくる姉と一緒にいたいと思うわけないだろ?スキンシップまでは許したが、恋愛感情の有無に関わらずに女友達を排除する姉といるくらいなら家を出る。それだけだ」


 俺も遊華がただの妹だったら許してスキンシップまでだな。さすがに交友関係にまで口出しされたらキレる


「それは謝るから……だから、出て行かないで……」


 懇願するように遊亜を見つめる遊理。遊亜が俺の息子なら本当に冷酷になりきれるわけがない。遊亜が今まで遊理達にどんな事をされたか俺にはわからない。遊亜が遊理達を許せるなら許す、許せないなら許さない。結局は遊亜の基準だからな。許す許さないを決めるのは遊亜だ


「嫌だよ。家にいたら俺には一生彼女ができる気がしないし、仕事の飲み会とかにも付いて来そうだし」


 一生彼女ができないのと仕事の飲み会に姉が付いて来るのは嫌だな。職業上、姉と共演して飲み会にっていう流れならいいが、それ以外だとちょっとな……


「そんな事しないから……だから!だから……出て行かないで……」


 本気で泣き出してしまった遊理。涙脆いのは母親譲りだな……こりゃ。遊亜は遊理の涙を見て何を思う?めんどくさい女?それとも、泣き虫の姉?


「じゃあ、俺が家を出ない、俺が遊理姉さんを許すのに遊理姉さんは俺に何をくれるんだ?遊美姉さんは自分の大事なファーストキスをくれたぞ?まぁ、人の交友関係を小学校からずっとぶち壊したんだ。ごめんなさいの一言で許せるわけないだろ?」


 遊美と仲直りした時にも聞いたが、そんなに前からなら止めろの一言を言ってもいいものだと思う。実際に言ってたのかもしれない。だとしたら遊理達にも問題はある。それにしても、遊亜は感情をむき出しにしないところを見ると遊理達に何を言っても無駄だって諦めてしまったのか?


「ごめんなさい……私の大事なものを遊亜にあげるから……それで許して……お願いだから」


 遊理は自分の大事なものをあげると言ってるが、遊亜は許すのか?それとも、遊理とは仲直りする事はしないのか?


「へぇ~、遊理姉さんも遊美姉さんと同じくファーストキスでもくれるのか?」


 挑発的な遊亜。挑発すれば遊理が諦めるとでも思ってるのか?遊理は遊華の娘だぞ?そう簡単に諦めるわけがない。それに、この状況で挑発はアウトだ。ここは徹底的に突き放すのが正解だ


「遊亜が私の前からいなくならないならあげる。私が1番大事なものを失って遊亜がいなくならないならいくらでもあげる……だからッ!だから……側にいて」


 ほらな?挑発したところで遊理には逆効果だ。まぁ、遊理の性格を把握し切れてなかったであろう遊亜の負けだな


「はぁ……わかったからいい加減泣き止め」


 どうやら遊亜が折れたところで決着が付いたみたいだな。あー疲れた。何で未来に来てまで疲れてるんだ?俺は……


「遊理ちゃん、よかったね」


 瞳に溜まった涙をぬぐいながら遊美が遊理を支える。ドラマの撮影と勘違いしてしまうが、これってただの家族間で起きた揉め事なんだよなぁ……


「うん!遊亜……」

「何だよ遊理姉さ────」


 遊亜が遊理姉さんと言い切る前に遊理が遊亜の唇を奪った。おい!ここ喫茶店だって事忘れてないか?周りの客も感動した視線で2人を見てるし……あれか?この状況をおかしいと思うのは俺だけか?未来の世界ってご都合主義が多いのか?


「はぁ……」

「大丈夫?お兄ちゃん?」


 溜息を吐く俺を心配そうに見つめる遊華。俺の苦労を理解してくれるのは遊華だけだ。いや、他にも香月とか美月とかいるけど、現状では遊華だけだ。


「大丈夫だ。少し疲れただけだから」

「そう?ならいいけど」


 安心したのかホッと胸を撫で下ろす遊華だが、俺の溜息を心配するよりも今は遊亜と遊理が仲直りした事を祝福したやろうではないか


「俺の溜息よりも今は遊亜達が仲直りした事を祝福しようか?」

「うん!」


 俺と遊華はしばらく遊亜達を見守った。俺は半分現実逃避も入ってるが……それはこの際気にしない方向でいこう


「で、どうして遊理姉さん達は俺達の後をつけてきてたんだ?」


 店と遊亜達が落ち着いたところで遊亜君の楽しい質問タイムとなった。本来ならそれは最初に聞くべきところなんじゃないのか?


「遊亜が心配だったから……それに、何となくだけど、いなくなってしまうんじゃないか?って思ったらいても立ってもいられなくて……」


 虫の知らせというやつか。そういえば、俺が飛ばされた未来でも黙って家を出た俺を遊華が捕まえに来たっけ?


「俺は不動産屋に部屋を探しに行っただけで、家を出て行くかどうかは俺の希望の部屋があればすぐに契約する予定だったが、それだって時間が掛かる。住めるようになるまでは家にいるつもりだったんだが?」


 そりゃそうだ。っていうか、遊亜は部屋の下見もせずに決めるつもりだったのか?遊亜も遊亜で案外抜けてるとこあるんだな

今回は遊亜と遊理が仲直りする話でした

遊理は遊華の娘ですので最終的には泣きました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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