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遊亜と遊美が仲直りした件について

今回は遊亜と遊美が仲直りする話です

遊亜は遊の息子ながら鬼畜すぎると思う

では、どうぞ

 俺はまだ人の親になんてなった事はない。よって子育てをした事もない。だが、自分の息子と娘が目の前で喧嘩をしているのを見過ごせるほど人でなしでもない。しかし、遊美達が遊亜にした事を容認する事もしない。いくらなんでも弟の人間関係に口出しをするのはやり過ぎだ。遊亜の気持ちはよくわかる


「遊亜、お金以外で私にできる事はないかな……?」


 涙を流しながら遊美が遊亜に尋ねる。そりゃ、アパートにしろ、マンションにしろ10万を超える金額を簡単に出すだなんて言えるはずはない


「ないな。そもそも、俺が1人暮らしをしようって思い立った原因を作ったのは姉さん達だろ?それを“ごめんね”の一言で済ませて許してもらおうだなんて虫がよすぎるんじゃないのか?」


 遊亜の言っている事は筋が通っている。金を要求するのは何か違う気がする。だが、それ以外だと筋が通ってるのは厄介だ。そもそも、遊亜は遊美を許すって選択肢はあるのか?


「遊亜、俺が使っていた部屋に遊亜の部屋を移動させるって事じゃダメなのか?」


 金を要求されている遊美が可哀そうになり、助け舟を出した。遊亜の気持ちはよくわかるが、金を要求するのは違う気がする


「親父、俺は金を貯めていなかったわけじゃない。1人暮らしをするためにバイトして金を貯めた。だから別に最初の頭金くらいなら自分で出せる。だが、問題はそこじゃない。姉さん達は俺の人間関係に口出しをしてきた。小学校、中学校、高校、専門学校。学校での俺の人間関係は全て姉さん達のせいでメチャクチャになった。親父に俺の気持ちが解るか?」


 遊亜の気持ちが俺には解らなかった。遊華達はヤンデレだ。だが、俺に女と仲良くするなとは言っても直接干渉してくる事はなかったから遊亜の気持ちが解らない


「俺には遊亜の気持ちは解らない。俺は遊華達に人間関係をメチャクチャにされた事はなかったからな」

「そりゃ、母さん達は物事の良し悪しがちゃんと理解できてたらしいからな。だが、姉さん達は違う。物事の良し悪しが理解できる年齢になっても俺の人間関係に口を出し、ぶち壊した。そんな姉達と一緒にいたくないし、会話もしたくない。当然だろ?」


 確かに、遊美達のした事はされた方からしてみれば許せるものじゃない。俺だって遊華達に同じ事をされたら家を出て行くだろう


「遊亜……どうしたら許してくれるの……?」


 遊美が懇願するように遊亜に尋ねた。俺も遊亜がどうやったら遊美達を許すのかが気になる。遊亜はどうしたら遊美を許す?


「金がダメなら姉さんの1番大事なものをくれたら許してやるよ」

「え?」

「聞こえなかったのか?姉さんの1番大事なものをくれたら許してやるよ」


 遊美の大事なものって遊亜以外にあるのか?人間にとっては命が1番大事だが……


「私の1番大事なものは遊亜だよ?」


 ほら、遊美ならそう答えると予想はしていた。遊亜の言う遊美の1番大事なものって何だ?ひょっとして遊亜と俺達の“1番大事なもの”に対する認識が違うのか?


「姉さん達さ、俺に夢中でまだファーストキスを済ませてないだろ?それに、遊美姉さんはファーストキスは好きな人としたいとか言ってただろ?遊美姉さんを許す条件はファーストキスで許してやるよ」


 我が息子ながらゲスい。人間関係とファーストキスか……遊亜はきっと人間関係を大事にしてきた。遊美はファーストキスを大事にしてきた。そういう事か


「そ、それは……」


 ファーストキスを要求されて“いい”とも“嫌”とも言えない遊美。遊亜は遊美を最初から許す気はなかったみたいだ


「何?できないのか?そりゃできないよな?じゃあ、俺は遊美姉さん含む姉さん達を許す気もこれ以上一緒に住む気もない。話は終わりだ。さっさと出てけ」


 ハッキリしない態度の遊美に容赦なく冷たい言葉を浴びせる遊亜。遊美が遊亜にファーストキスを捧げれば遊亜の怒りも収まり、遊美()()は何とか許してもらえるだろう。遊理達はどうかはわからないが


「───げるから」

「は?」


 遊美の言葉に不機嫌そうに反応する遊亜。遊美が何を言っていたかはうまく聞き取れなかったが、何か言ってたみたいだ


「私のファーストキスぐらいあげるから!許してよ!」


 遊亜からしてみれば逆切れともとれる遊美の言い方。俺の息子ならこういう時は必ず煽る。俺ならそうする。


「へぇ、じゃあ、してみろよ。っていうか、許してもらうのに逆切れするなよ。元は姉さん達が俺の人間関係にまで口出してきたが悪いんだろ?」

「うえぇぇん!!ごめんなさい!ごめんなさい!!」


 いよいよもって本気で泣きだしてしまった遊美。それを冷ややかな目で見る遊亜。今のは遊美が悪いな。いくらなんでも逆切れともとれる謝り方したら“してみろよ”って言われるのも無理ないか


「遊美姉さんはすぐ泣くから面倒なんだよな……」


 心底面倒だと言わんばかりの遊亜。第三者である俺からしてみれば遊亜が鬼畜に見えるのはどうしてだろう?


「だって、だって……遊亜がどうしたら許してくれるかわからないんだもん……」

「だから、ファーストキスで許してやるって言ってるだろ?人の大事なものをメチャメチャにしたんだら当たり前だろ?許してほしかったら遊美姉さんも俺に1番大事なものをくれる。それでチャラだ」


 遊亜はこの状況を完全に楽しんでるな。まぁ、人間関係をメチャクチャにした報いだと思って甘んじて受けるんだな。遊美


「わかったよ……これもそれも自分の行いのせいだもん。甘んじて受けるよ」


 遊美と遊亜がキスしようとしたので俺はソッと後ろを向き耳を塞いだ。許す条件にファーストキスを要求する遊亜も遊亜だが、それを受け入れてしまう遊美も遊美だ。


「終わったか?遊亜、遊美」


 さすがにもう済んだだろうと思い、俺は遊亜と遊美の方を向いた。これで終わってなかったらディープキスの方だな


「終わったぞ、親父」

「うん……」


 振り返った先には顔色1つ変えていない遊亜と赤くなっている遊美がいた。遊亜は遊美を許したとして、これからどうするんだろうか?


「遊亜は1人暮らしするのか?」


 さっきは俺が使っている隠し部屋を使う事を提案したが、あくまでも遊美に金を出させない為に言った事だ。今となっちゃどう思っているかわからない


「ああ、するけど?」


 シレッと1人暮らしをすると言ってのける遊亜。遊美からしてみれば話が違うと思っても仕方ないだろう。だが、遊亜は遊美を許してもその後で1人暮らしをしないとは一言も言っていない


「え?で、でも、私がファーストキスをあげたら許してくれるって言ったじゃない!」


 遊美の言い分は尤もだが、遊亜は許すとは言っても1人暮らしをしない。もしくは諦めるとは一言も言っていない


「遊美、遊亜はファーストキスを捧げたら許すとは言ったが、1人暮らしをしない。1人暮らしを諦めるとは一言も言ってないぞ?」

「そんな……」


 遊美は世界の終りだとでも言いたげな顔をしていたが、遊美は自分もついて行くって言う事はしないのか?


「遊亜、遊美と2人暮らしは視野にないのか?」


 遊華達もそうだが、遊美は目の前の真実に目が行き過ぎて新たな選択肢を見つける事ができなくなると思う。


「俺はこの家から離れられればそれでいい。別に遊美姉さん1人増えても俺は別に構わない」

「え?」

「だから、俺は遊美姉さんも一緒でいいって言ってるんだけど?」

「え?いいの?」


 意外そうな顔で遊亜を見ている遊美だが、遊亜の最終的な目標は人間関係をぶち壊す姉達から離れる事だろう。全員一緒は嫌だけど、1人くらいなら連れて行ってもいいってか?


「遊美姉さん1人を連れていくなら別に構わない。俺は姉さん達全員は嫌だけど、1人くらいならいい」


 遊亜はやっぱり俺の息子だ。ちゃんと抜け穴的な何かを用意しているみたいだ。


「じゃ、じゃあ、私と2人で一緒に住める場所を探そうか?」


 遊美は遊亜の1人暮らし……いや、遊美と遊亜の2人暮らしに賛成みたいだな。俺も遊華としか付き合ってなかったらどっかにアパートでも借りて2人暮らししてたかもな


「遊美姉さんと2人暮らしでもいいが、そうなったら少しは金出してくれよ?」

「うん、わかってるよ」


 遊亜と遊美はすっかり仲良くなったみたいだが、遊亜は遊美以外の姉とは仲直りしてないぞ?遊亜に遊理達と仲直りする気があるかどうかは知らんけど


「遊美と遊亜はこれで落ち着いたな」


 落ち着いたのは遊亜と遊美の仲だけだ。遊理達との仲は拗れたままだが、姉達全員と拗れたままよりはマシだろう

今回は遊亜と遊美が仲直りする話でした

遊亜は遊の息子ながら鬼畜過ぎたと思います

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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