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ストーカー退治をしたら弟子ができた件について

今回は遊がストーカーを退治したら弟子ができる話です

人間、どう転んだらこうなるのだろうか・・・・

では、どうぞ

 恋人が5人に増え、同棲する彼女が2人追加された翌日の放課後である。俺は秋野さん────美優のストーカーを退治するために遊華の通っている中学の前まで来ている。どうして俺が秋野さんを下の名前で呼び捨てで呼んでいるかって?そんなの本人からそう呼べって言われたからだ。上目遣いで頼まれたら断れない。悲しいかなこれが男の────いや、俺の(さが)だ。


「お兄ちゃん!未来でやった方法はなしだからね!」

「わかっているよ。今回は別の方法を用意してある」


 未来では遊華に心配掛けてしまったからな。身体を張る価値がないとかそんな事はないが、今回は遊華を始めとして、香月、美月、美優、由紀にもキツく言われている。まぁ、親父の部屋を掃除していた時に発見したゴミを処理すると言った意味でも今回は安全でシコリが残らないような方法で解決していきたいと思う


「遊、本当に大丈夫?」

「心配するな香月。今回は身体を張って命を危険に晒す事なんてしないさ。掃除してた時にちょうどいいものを見つけたからな。まぁ、美優には悪いが、今回は家のゴミを処理する意味でも安全だ」

「そ、そうなんだ……」


 若干顔が引きつっている香月だが、安全な方法なら何も問題ないだろ。俺の命には関わらないし


「遊ちゃん、安全な方法って言ったけど、それって説明できるものなの?」

「あー、説明できるが、あんまり知らない方がいいと思うけど?」


 説明できるが、今、説明すると親父の威厳に関わる。今回の小道具が小道具だからな。


「そう……」


 悲しそうな顔をする美月。悪いな、生徒会に入ってる美月には特に言えないんだ


「遊さん、本当に命は掛けない作戦なんですか?」

「問題ない。命は掛けない。由紀達を悲しませる心配はない」

「そうですか……」


 遊華や香月、美月もそうだが、俺って身体を張ったり、命を掛けたりと言った事に関しては信用ないのな


「遊君、本当に危険はないの?」


 美優さん?貴女もですか?こりゃ今回の手を説明しなきゃいけないのか?あんまり説明したくないんだが……


「美優、危険はない」


 危険はない。俺にも相手にもな。ただ、それが終わった時、相手の女性に対する考え方が変わるかもしれないがな


「ならいいけど……」


 あんまり追求しないでもらえると助かるんだが……


「お前!!俺の美優に近づくな!!」


 そうこうしているうちに美優のストーカーが現れた。未来では汗まみれの男だったが、この時代では体育会系の男子か……まぁ、問題ないな


「秋野さんが誰の物とか言ってる時点でモテなさそうだが、このまま付きまとわれたら面倒だな。上履きとか持ち帰られたり、縦笛舐められたりしたら面倒だし。あとは、盗撮とか盗聴されたら学校レベルでの問題になりそうだ」


 いろいろと仮定の話をしたが、結論はめんどくさいのだ。美優からは毎日のように手紙が下駄箱に入っているとか言われたし……だが、それも今日で終わりだ


「俺がそんな事するわけないだろ!!やって精々下駄箱に手紙を毎日入れるくらいだ!!」


 バカだコイツ。こっちから聞く前に自分で自白したぞ。自白してくれた方が聞く手間が省けていいんだがな。さて、じゃあ、やりますか


「君が何をしようが別にいい。ただ、ちょっとこっちに来てくれないか?」


 俺は男子生徒を路地裏に呼び出した。別にそこで殴ったりとかはしない。ただ、話をするだけだ


「ふん!何の話か知らないが、俺の美優に近づかないっていう約束でもするのか?」


 うわ、こういう好きな相手が自分のものだって錯覚している奴はいつの時代もめんどくさい


「お兄ちゃん……」

「遊……」

「遊ちゃん……」

「遊さん……」

「遊君……」


 遊華達は心配そうに俺を見ているが、俺はコイツを殴るつもりはないし、コイツに殴られるつもりもない


「心配するな。ちょっと話をするだけだ」


 俺はストーカー少年を連れて路地裏へと行く。さて、女性陣もいないし、始めるか。終わった後でこの少年の考え方がどう変わるか……


「おい!俺をこんなところへ連れてきて何するつもりだ!?」


 やたらと興奮した様子のストーカー少年。とりあえず、興奮してもいいから対象を別のものへと変化させよう


「まぁまぁ、俺は別に君を殴るつもりもなければ秋野さんに近寄るなって言うつもりもないぞ。本当に君と話がしたかっただけだよ」

「はあ?話?俺がアンタと?俺はアンタと話す事なんて何もないぞ?」


 そうだろうな。俺だって男と路地裏で2人きりで話す趣味はない。俺はノーマルだからな。


「俺だってない。ただ、これを見てくれ」

「一体何だって────」


 俺は少年に親父が母さんをからかう為の小道具であるキャバクラの名刺を見せた。探すのに苦労したが、ちゃんと写真付きのを選んできた。名刺を見た少年は固まっているがな


「どうだ?秋野さんより魅力的じゃないか?」


 同級生の女子に魅力を感じる年頃だろう。遊華と同じ年なら多分、年上の異性に興味を示すはずという俺の短絡的な発想に基づいた作戦だ。家に溜まったゴミを処理できると同時に平和的且つシコリの残らない方法だと思う


「た、確かに……」


 ストーカーを働く少年だ。こうすれば美優を簡単に諦めるはずだとは思っていたが、本当にそうなるとは思わなかった


「で、少年よ」

「な、何ですか?」

「年上の女性にモテる男になって年上の彼女がほしいとは思わないか?」


 今の俺は幼気な少年をいけない道に誘い込もうとしている悪い奴に見えるだろう。だが、遊華達との約束で自分の身を危険に晒すような手を使わない。そう約束した俺は自分の身を危険に晒してはいない。約束は破っていない


「年上の女性……」


 少年の心が揺らぎ始めた。フッ、この少年単純だぜ!あと少しだ。あと少しでこの少年の心を動かせる


「そう、年上の女性にリードされたくはないか?」

「年上の女性にリードされる……」

「後はそうだなぁ……年上の女性が不意に自分に甘えてくるところとかグッとくるんだけどなぁ」


 俺は少年の心を揺さぶる。美優の事を強引に諦めさせるのは簡単だが、心のどこかで未練が残る。だが、別の目標や別の好みを新たに植えつければ自然と見る方向が変わる


「年上の女性……甘えてくる……」

「そうだ。年上の女性が年齢にそぐわない口調で甘えてくるんだ。いいと思わないか?」


 俺の提案は悪魔のささやきに聞こえるだろう。さて、そろそろ決めるか


「年上の女性に甘えられるのっていいかもしれない」

「年上の女性に甘えられるっていいもんだぞ?」

「そんなにいいのか?」

「ああ、最高だ」


 俺は最後の砦を崩した。これでこの少年も美優のストーカー行為をしないだろう……


「し、師匠と呼ばせてください!!」

「は?」


 美優のストーカーを退治する事はできた。だが、俺の意としない形で弟子ができた。ストーカーを退治できた事はよかったが、どうして俺に弟子ができるんだ?


「師匠!!年上の女性を落とす方法を教えてください!!」

「い、いや、俺も年上の女性と付き合った事なんてないし?」

「師匠!!」

「と、とりあえず、遊華達のところに戻ろらないか?」


 俺だけでは収集がつかないので一先ず遊華達の元へ戻る事にした。とりあえず、どうしよう……


「あ、お兄ちゃん!やっと戻ってきた!」

「た、ただいま。遊華……」


 道の端っこで俺を待ってた遊華達。だが、美優のストーカーを退治はできたが、俺に弟子ができてしまった事はどう説明したものか……


「遊、大丈夫?すごく疲れているみたいだけど?」

「本当だ。遊ちゃん疲れた顔してるよ?」


 香月、美月。心配してくれるのは嬉しいが、タイミングが悪い。年上の女性と付き合った事がないと言ってしまった手前、この2人の事を説明するのは面倒だ


「し、師匠!!このお2人は師匠の彼女ですか!?」

「あー、俺の姉」


 説明が面倒になった俺は香月と美月を姉として紹介しようとしたが────


「遊、私は彼女じゃないの?」

「遊ちゃん、今の発言について詳しく話を聞きたいんだけど?」


 香月と美月によってそれは叶わなかった。俺の逃げ場がなくなったわけだが、ここは……


「サラバッ!!」


 俺は香月と美月の尋問と少年からの追及から逃れる為にその場から逃走した。


「「待てっー!」」

「師匠!お待ちを!」


 逃走したら香月達が追いかけてきた。こうして美優のストーカー退治は無事に済んだが、代わりに俺は香月達と命がけではないが、町内鬼ごっこをする羽目になった。俺にとっては少年には美優のストーカーであり続けてもらった方がよかったのか、他の女性に目を向けられてよかったのかがわからない


「はぁ、疲れた……」


 町内鬼ごっこを終えた俺は自室のベッドでグッタリしていた。町内鬼ごっこは俺が家に逃げ込むという形で決着が付き、香月と美月にどうして自分を姉として紹介したのか?と問いただされたが、事情を説明して事なきを得た。そんなわけで現在は深夜なんだが……


「お兄ちゃん!私達にも説明してよね!っていうか、私達を残してどっか行っちゃうなんて酷いよ!!」

「あー、忘れてた」


 香月達から逃げるのに夢中で遊華達の事をすっかり忘れていた。遊華の話を聞いたところによると、俺が香月達から逃げた後、遊華はその場に取り残された状態になり、その場にただ立ち尽くすだけだったらしい。


「お兄ちゃん……忘れてたってどういう事かな?」

「あ、いや、これにはわけがあってだな?」


 遊華はユラァと立ち上がった。目にハイライトはない。うん、俺はこのままだと殺されるな。って言ってもうまい言い訳が思いつかない


「へぇ~、じゃあ、美優と由紀も交えて説明できるよね?」

「そ、それは勘弁してくれると嬉しいかなぁ~?って思うんだけど?ダメ?」

「ダメだよ。そういう事で美優、由紀、入っていいよ」

「「は~い」」


 俺氏終了のお知らせ。遊華に加えて美優と由紀にも尋問されたら俺は無事では済まないだろう。っていうか、絶対に無事に明日を迎えられない


「あ、そうそう、香月さんと美月さんもいるからね!お兄ちゃん!」

「遊」

「遊ちゃん」

「「覚悟してね!」」


 昼はストーカー退治で夜は尋問。俺の平和な時間は帰宅した時と夕飯と風呂の時間を除いて他に思いつかない。遊華達曰く、俺に尋問するなら深夜にした方がいいらしい。今日は踏んだり蹴ったりだな。はぁ……

今回は遊がストーカーを退治したら弟子ができる話でした

幼気な少年をたぶらかしたら弟子ができました

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました

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