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【本当の母襲来編未来渡航15】俺が珍しく風邪を引いた件について

実母襲来編は終わりませんが、実母が入院してる未来線の話はここで終わりです

 人間には絶対に勝てないものがある。自然災害だったり、予想外の事態だったり……身近なところで言うと風邪とかだ。俺の場合は未来に飛ばされるのもそうだ。未来に飛ばされるのはさすがに勝てん。勝てないものの話は置いとくとしてだ、実母と対話して俺が何を思ったかと言うと特に何も思っちゃいない。親父が俺を売り飛ばしたことも特に何も思わない


「マジかよ……」


 いつもなら遊華達に揉みくちゃにされるか捕食一歩手前の俺が今日は珍しく平和に過ごしている。何でかと言うとだ、単に俺が風邪を引いたからだ。当然のことながら元の時代には帰れていない。実母と対面し、目的は果たしたし、遊華達の望むことは可能な範囲で叶えてきたというのにだ。このままこの時代から抜け出せないのではないかとすら思う。だが、いつかは戻らなきゃいけないのだが……


「マジだよ。現実を見て。それとも私達が裸で温めてあげようか?」

「遠慮する。いらん。マジで止めろ。こんな時くらい安静にさせてくれ」

「遊は私達と裸の付き合いをしたくないと」

「遊ちゃん?」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」


 リビング内に俺の深い溜息を吐く音が響く。彼女達が変態なのはもう慣れた。人間は欲望に忠実な生き物だ。金のない人間は金を求め、異性にモテない人間は異性を求める。食うに困ってる人間は食い物を求める。普段は理性が働き、欲望を塞き止めているが、1度理性が崩壊すると欲望に忠実な獣。誘惑に打ち勝てる人間がいたとしたら相当理性の壁が分厚いと思う。と、今までの話はあくまでも初めてが頭に付く。何度か話しているように慣れとは恐ろしいもので、金でも異性関係でも食でもあって当たり前になると何とも思わなくなる。遊華達は声優で美人な部類に入るだろう。彼女達の裸を見たい男なんて山のようにいる。しかしだ、見慣れてしまえば何も思わんのだ。話が長くなってしまったが結論を言おう。コイツらの裸など見慣れてしまって何も思わない


「オニイチャン?」

「ユウ?」

「ユウチャン?」

「勘弁してくれ……こっちとら病人なんだよ」


 俺はハイライトの消えた目で俺を見る遊華達を一瞥し、眉間を抑えた。彼女達に魅力がないわけではない。ただ、風邪を引いてる時くらいは安静にさせてくれ。切に願う。そもそもがどうしてこんなことになっているのかと言うとだ、話は朝に遡る








 今朝────


「あー……」


 遊華の部屋で気怠さと共に目を覚ました俺は声が()れ、心なしか頭がボーっとしている。そんな気がした。この時は自分が風邪を引いてるとは全く思っておらず、頭がボーっとするのは寝起きだからで声が嗄れてるのは部屋が乾燥してるせいだと思っていた。だから遊華達を起すことはないと判断し、彼女達を起さないようにそっと部屋を出てリビングへ向かおうとしたのだが……


「────!?」


 ベッドから起き上がり、立ち上がった途端、強烈な立ち眩みに襲われた


「お兄ちゃん?」

「どうしたの?」

「お顔が真っ青だよ?」


 神様は俺が嫌いなのだろう。遊華達が運悪く目を覚ましてしまった


「な、なんでもない……」

「「「嘘!!」」」


 ですよねー。カッスカスの声で言っても説得力ありませんよね……


「さすがに誤魔化せねぇか……」


 我ながらこれで誤魔化しきれると思っていたから大馬鹿だ。案の定バレた


「香月さん、美月さん」

「「了解」」


 遊華達は目配せをしたと思ったら香月と美月は足早に部屋を出てリビングの方へ、遊華は俺を拘束すると有無を言わさずリビングへ連行。と、ここまでが遊華達が比較的大人しい理由だ






 で、現在。俺はリビングへ連行されると早々に渡された体温計で熱を測るとビックリ仰天。37.5度という藤堂遊にしては珍しい数字を叩き出した。言うまでもなく風邪を引いたらしい。実母に会いに行った時に何かしらの病原菌を貰って来たと考えるのが妥当か……それよりも、1つ問題がある。病院だ。ちょっとした風邪だから絶対病院へ行けってわけではないのだが、この時代じゃ俺は死んだことになっている。10年も失踪してたんだ、戸籍だって多分というか、絶対ない。戸籍がないんだから当然、保険証もないわけで……保険証がない状態で医者にかかるとちょっとした診察でもアホみたいな額の金を取られるわけで……結論、薬局の薬だけでこの場を乗り切ろう


「オニイチャン、キョウハツキッキリデカンビョウシアゲルネ。ニガサナイ」

「ユウ ズットイッショ リカイ」

「ユウチャントハダカノツキアイ ハアク」


 みんなに質問がある。現状で病院へ行くべきは俺と遊華達、どっちだと思う?


「裸の付き合いはせんでいいし、病人関係なくここから逃げ出した俺に行き先なんてない。遊華達が俺を襲ってさえ来なければ大人しく寝てる」


 自分が好意を受けて当たり前とは言わんが、体調不良ばかりは仕方ない。大人しく遊華達の好意を受け取っておこうとは思う。決してヤンデレ遊華達が怖いからとか、逃げ出したらめんどくさいからじゃないぞ?


「なら、私達も看病の準備しないとね」

「そうだね。このままじゃやり辛いし着替えないとね」

「うんうん。今のままじゃ何かと不便だもんね」


 パジャマのままはさすがに不便だと思う。普通の思考を持つ人間ならパジャマから普通の洋服に着替えるだろうし、ちょっと残念な思考な持ち主だったらコスプレ用のナース服に着替えるだろう。遊華達の場合は思考が限りなく明らかにぶっ飛んでる。一緒にいる時間と彼女達の行動パターンを把握しきった俺にはこれからコイツらがどんな行動に出るか手に取るように解かるわけで……


「看病って言葉とそれに適した服装を調べてから出直してこい」


 呆れながらそう言った。当たり前だ。どこの世界に看病するために裸になろうとする奴がいるんだか……彼女達の行動パターンを読めるようになった俺も俺だけど


「オニイチャンハワタシタチノハダカミタクナイノ?」

「ミタクナイッテイッタラドウナルカワカッテルヨネ?」

「ユウチャン、ワルイコニハオシオキカナ?」


 何も間違ったこと言ってないんだが……どうしてこうなるかなぁ……


「看病するのに服を脱ぐ必要はないだろって言ってるだけなんだがなぁ……」


 ヤンデレというか、遊華達が分からない……改めていつからこの娘達はぶっ飛んでるというか、破天荒なキャラになったんだろうか……若々しい彼女達を知ってる身としては戸惑いしかないんだが……いかん、熱のせいで思考が纏まらん


「アルヨ?」

「ユウヲヒトハダデアタタメルノ二ハハダカがイチバンデショ?」

「ユウチャンハヒトハダコイシイジキダモンネ」


 わお、勝手に人肌恋しい時期に捏造されてら……


「もうそれでいいよ……」

「「「スナオデヨロシイ」」」


 ツッコミが追い付かなくなった俺は元の時代に帰ること以外の全てを諦めた。この時代の遊華達は欲望が服を着て歩いてるような存在。理性で欲望を抑え込もうとするといつかは崩壊する。だったらある程度欲望を発散させるのが得策。部屋にガスが充満したら換気して外へ逃がす。それと同じだ


「素直じゃないんだが……もういいや」


 風邪と遊華達のぶっ飛んだ行動に疲れたせいか、俺は目を閉じるとすぐ眠りに就いた










「ふぁ~」


 あれから何時間寝ただろうか……目が覚めると夕日が差し込んでいた。少なくとも昼ではないらしい。腕に妙な温もりを感じ、そちらへ目を向けると遊華達が気持ちよさそうに寝息を立てていた。珍しく服を着ているのはどういう心境の変化なんだ?


「喉乾いた……」


 寝た時間が何時かは知らんが、少なくとも6~7時間は寝ていたと思う


「とりあえずトイレにでも行くか……」


 遊華達を起さないようにそっと起き上がり、トイレへ向かうべくリビングを出ようとした。その時────


「────!?」


 目の前が真っ白になり、目を開けると……


「何でだよ……」



 遊華達が変態と化した未来へ飛ばされる前にいた部屋にいた。だが、油断はできない。いる場所が未来へ飛ばされる前にいた部屋でも元の時代だとは限らない。オマケに熱のせいでまともに考えられない


「とりあえずトイレに行くか……」


 ふら付く足取りで部屋を出たのだが……


「遊、身体もういいの?」

「風邪大丈夫?」

「遊ちゃん、私達が恋しくなっちゃった?」


 何故か水着姿の遊華達鉢合わせした。彼女達の奇行には慣れたのだが、問題はその容姿だ。元の時代へ帰って来たのなら彼女達の容姿はどこか幼いのだが、目の前にいる彼女達は今の今までいた未来の姿。憶測だが、どうやら俺は別の未来へ飛ばされたらしい


「どうなってるんだ……」


 遊華達が変態と化した未来へ飛ばされた理由が分からないってのに別の未来へ飛ばされるとは……マジでどうなってるんだ?









今回も最後まで読んでいただきありがとうございました

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