浩太達が泊まりに来た理由を聞く件について
今回は浩太達が泊まりに来た理由を聞く話です
最近はスローテンポの曲を聞きながら書いてますが、そういう曲を聞きながら書く時に限ってシリアス回じゃないこの矛盾・・・・
では、どうぞ
そう言えば、俺は聞いてなかった。どうして浩太と敬は家に泊まりに来たんだ?連絡をもらった時に俺は何も聞いてなかった。しかも、彼女を連れて泊まりに来るなんてな!親と喧嘩でもしたか?朝飯を済ませ、登校中の俺達だが、男同士なら泊まりに来た理由も遠慮なく聞けるんだが、遊華達がいるとどうも聞きづらい
「じゃあ、私はここで」
遊華はまだ中学生なので、中学の前で別れた。初登校の時は遊華の額にキスしたが、遊華の方から嬉しいけど、人前じゃ恥ずかしいから止めてくれと言われたので止めた
「ああ、頑張って来いよ」
「うん……行ってくるね。お兄ちゃん」
遊華は小さく手を振って校門を潜った。キスして冷やかされたら遊華が可哀そうだ。それに、遊華と2人っきりならいざ知らず、今は浩太と敬もいる。遊華も俺も冷やかされたらたまったもんじゃない
「ゆ~う~、いい雰囲気じゃないか~?」
浩太、お前は酔っ払いのオッサンか?絡み方がウザいぞ?で、そんなウザい浩太を止めるのが────
「浩太君、止めなさい」
明美さんである。明美さんは浩太と付き合ってから変わったな……いや、あれが本当の明美さんなのか?
「でも、明美さんはそんな俺でも?」
「好き……って何言わせるのよ!」
乗せる浩太も浩太だが、乗せられる明美さんも明美さんだ。俺と遊華のイチャイチャを見て弄り倒すつもりだったんだろうが、浩太と明美さんのイチャイチャを見せつけられるとは……
「浩太、早く行かないと遅刻するよ」
冷やかす事なく浩太に遅刻する事を告げる敬。普段弄られてるから自分は弄らないつもりなのかな?
「敬、さっきの佐藤のイチャイチャシーン撮れたよ!」
「ありがとう、望海ちゃん」
「えへへっ」
前言撤回。敬は早川に動画を撮らせていた。コイツ弄る気満々だ……しかも、ちゃっかりイチャついてるし
「敬も早川とイチャついてるし……」
敬、お前早川と付き合ってから逞しくなったな。いろいろな意味で……まさか、あの敬が人前で堂々と彼女とイチャつくなんてな。それに早川も見た目の変化こそないが、敬とイチャつくのに躊躇いがない。
「遊……」
「遊ちゃん……」
香月と美月が俺を見つめてきた。あー、はいはい、2人も浩太や敬と同じようにしてほしいんだな……
「香月、美月。ここで堂々とイチャつくのは黒歴史になりそうだけど、手ぐらいは繋ぐか?」
「「うん!!」」
こうして俺達は手を繋いで学校まで行った。敬と浩太?もちろん放置した。バカップルと関わると碌な事にならない。そして、現在は教室にいるわけだが俺は昨日浩太と敬が泊まりに来た理由を聞く
「で、浩太と敬は何で家に泊まりに来たんだ?親と喧嘩したのか?」
コイツ等が親と喧嘩する姿なんて想像できない。だが、ありえない話じゃないしな
「俺は別に親と喧嘩はしてないぞ?ただ、親に冷やかされて居づらくなったから遊の家に泊まりに行っただけだぞ」
浩太、そんな事で家に泊まりに来るなよ……いや、気持ちはわかるけど
「僕は自分の家の両親と望海ちゃんの両親に結婚はいつだ?って聞かれて練習してくるって言って遊の家に泊まりに行っただけだよ」
敬の理由はよくわからないけど、俺の家に夫婦になった時の練習をしに来たんだな?
「だからって家を練習場に選ぶなよ……」
家に親父達がいなかったからいいものの、家に親父達がいたらどうするつもりだったんだろうか?
「ごめん……こういう時に頼れるの遊しかいなかったから……」
敬、こういう時に俺はどんなリアクションしていいかわからないんだが……
「とにかく、敬と浩太が家に泊まりに来た理由はよくわかった」
要するに浩太は両親に冷やかされたから、敬は互いの両親に結婚の催促をされたから家に逃げてきたんだな……
「遊、わかってもらえて何よりだ」
「遊ならわかってくれるって信じてたよ」
浩太の理由は納得できるが、敬の理由は納得できないぞ?そもそも夫婦の練習をしたいなら自分の家でしろよ……
「あ、ああ、浩太の気持ちも敬の気持ちもよくわかるしな」
浩太の気持ちはともかく、敬の気持ちはサッパリわからん。だが、ここで波風を立てない為には一応だがわかるという事にしておこう
HRが終わり、授業が全て終了した。そして、今は放課後だ。さて、中学まで遊華を迎えに行くとしますか
「遊、俺は明美さんと、敬は早川とデートに行くんだが遊はどうする?」
放課後デートか。魅力的な提案だが、俺は遊華を迎えに行かなきゃならない。
「俺は遊華を中学に迎えに行かなきゃならんのだが……」
「「付き合う!」」
浩太と敬は声をそろえて付き合うと言ってきた。いや、何で?2人揃って放課後デートに行けばいいじゃないか
「いや、2人はデートに行って構わないんだぞ?」
登校は一緒だったが、下校まで一緒にする必要はない。まして、浩太達を付き合わせるつもりもない
「遊!俺達友達だろ?そんな冷たい事言うなよ」
明らかに冷やかしに来る気満々の浩太。言葉で言わずとも顔に書いてある。“俺は冷やかしに行く気満々です”と
「いや、俺達友達だろ?って言われても俺は浩太達の放課後デートを邪魔したくないだけなんだけど?」
さすがに冷やかしに来るなとは言えず、デートを邪魔したくないと言って誤魔化そうとするが……
「遊、望海ちゃんも遊の用事に付き合うってさっきメールが来たよ?」
敬、静かだと思ったらお前そんな事してたのか……敬は帰宅部だから付いてくるだろうが、浩太は部活をやっている。それを盾に諦めてもらおう
「敬はともかく、浩太は部活があるだろ?」
「いや、ないぞ?」
何だと?浩太は部活を退部したのか?コイツの場合ありそうで怖いぞ
「え?」
「いや、今日は部活は休みだ」
間抜けな声を上げる俺に部活は休みだと告げる浩太。なんか裏がありそうだな……
「お前どんな手を使った?」
浩太の事だ。きっと碌でもない手を使ったんだろう。決めつけはよくないが、俺の中の何かがそう告げている
「同級生には先輩を紹介するって言って、先輩には普通に女を紹介するって言っただけだぞ?」
ほら、碌でもない。だが、浩太にそんな人脈があったとは意外だな。コイツは意外と顔が広いんだな
「そうか、じゃあ頑張ってくれ」
俺は他人事のように浩太を応援した。実際、他人事なんだけどな!紹介される先輩達、ドンマイ!
「何言ってんだ?紹介するのは遊だぞ?」
は?コイツ何言ってんだ?いつ俺が浩太の部活の連中に女を紹介するって言ったよ?そもそもがどうして俺が紹介しなきゃいけないんだよ?
「遊、頑張って!」
敬、応援するなら俺がなぜ浩太の部活の連中に女を紹介しなきゃいけなくなるか教えてくれ
「いや、頑張れって……」
「頼むぞ!遊!」
浩太の熱意に負けたわけじゃないが、香月か美月にそれとなく頼んでみるか……後は遊華とか?まぁ、上手くいくかは知らんがな
「わかったわかった、香月か美月に頼んでおくから」
「わかった!」
香月か美月に頼んでおくという事で決着が付いた。っていうか、そもそもが浩太が明美さんに頼めばいいって発想はないのか?合コンをセッティングする時は明美さんも誘おう。浩太への嫌がらせの為に
「あ、お兄ちゃん!」
いつも通り中学の前に着いた俺を笑顔で迎えてくれた遊華。もう、周りにいる浩太と敬がどうでもよくなってきた。俺にはもう遊華と香月と美月がいればそれでよくなってきた
「おう、お待たせ遊華」
正直、浩太と敬は邪魔だが、仕方ない。ついて来てしまったものはどうしようもない。うん、こればかりはどうにもならない。
「遊華、その人誰?」
「遊華ちゃん?」
遊華に声を掛ける2人の少女がそこにいた。っていうか、秋野さんと冬野さんだった。この時代では俺が一方的に知っているだけで本人たちは知らないだろうけどな
「由紀……それに美優も……」
何だ?遊華の様子が変だぞ?喧嘩でもしたか?10年後の世界でもそろって声優やってるこの3人が?いや、喧嘩くらいするか……
「なぁ、遊?遊華ちゃんとそのお友達だと思うが、喧嘩でもしたのか?」
浩太が小声で尋ねてきた。喧嘩でもしたか?って俺が知るわけないだろ?この時代では初対面なんだから
「さぁ?」
俺だって何も知らないんだ。答えられるわけがない。生憎俺はエスパーではないし
「遊、遊華ちゃん達は喧嘩って言うよりも遊華ちゃんは隠れて付き合ってた彼氏の存在がバレて気まずそうだし、お友達2人は遊華ちゃんの彼氏をようやく見つけたって感じだよ?」
10年後の未来では見られなかったが、香月ってよく観察していると思う。遠目から遊華達の雰囲気がどんなものかを見抜けるなんて。合っているかどうかは別として
「遊ちゃん、香月ちゃんの観察眼は確かだよ?」
美月がそう言うなら間違いなさそうだ。香月も香月で自分で言わないあたり自覚はしてないみたいだが
「香月と美月がそう言うならそうかもな。だとよ、浩太」
「そうか」
浩太よ、俺に聞く前に女性に聞いた方がよかったんじゃないか?自分の彼女とか
「浩太君、女の子は彼氏を独占する為に隠す生き物なのよ?」
「そ、そうなんですか?」
「そうよ」
明美さんに諭されて納得する浩太だが、俺は一言言いたい。女性が彼氏を独占する為に隠す生き物だって初めて聞いたぞ
「敬はその点は大丈夫だよね」
「え?何で?」
「だって、アタシ以外の女子と上手く会話できないでしょ?」
「そ、そうだけど……」
「それに、アタシ以外の女子は必要ないっしょ?」
「うん」
敬、さりげなくイチャつくな。っと敬と早川のバカップルに構ってる場合じゃなかった。遊華の事を忘れてた
「お兄ちゃん!由紀と美優も家に来る事になったから」
いつの間にか秋野さん達も家に来る話になっていたが、俺は一言も家にまっすぐ帰るとは言ってない。だが、俺の予感的に込み入った話になりそうなのは確かだ
「遊、込み入った話になりそうだから僕と望海ちゃんは帰るね」
「俺と明美さんも帰るわ」
「おう、また明日な」
浩太と敬はそれぞれの彼女を連れて帰ってしまった。ってちょっと待て。え?俺を置いてくの?マジで?だが、ここで置いてくなとは言わなかった。込み入った話になりそうだから帰る。敬はそう言ったし、浩太も何かを察したようだった。つまり、俺は秋野さん達に未来の事を話さなければならないが、俺と遊華の本当の関係も話さなければならないという事だろう
「別に遊華の友達ってだけなんだから俺と遊華の本当の関係まで話す必要はないと思うが……」
10年後の未来で秋野さん達に会っている以上は話さなければならないが、俺と遊華の本当の関係まで話す必要があるか?と聞かれれば、別に話す必要はないと思う。が、しかし、10年……いや、それ以上の友達になりうる2人だ。遊華の為にも話しておこう
今回は浩太達が泊まりに来た理由を聞く話でした。
浩太達の会話は多かったものの彼女達の会話は少なかった・・・・
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました